とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part68

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ただいま


アレイスターの分身と呼ばれた上条は、
絶望の縁に立った。
しかし、美琴の言葉に立ち上がる。
そして、家族で最凶に挑む。

だが、状況が変わった訳ではない。

「飛べ!! 美琴!!」

先ほどまで立っていた場所で、
天使が振るうべき青き極炎が踊る。

炎を放ったローラは空を見上げた。
視線の先には標的。
御坂美琴は空を舞う。
鉄橋という戦場は、電撃使いの活動範囲を大幅に広げた。
彼女の右手に抱かれるのは、
上条に渡されたインデックス。

「インデックス!! 花火できる!!?」

「あぃっ!! どー!!」

母の言葉を受け、赤子の人指し指が降り下ろされる。
それを視認したローラは、ひらり、と跳んだ。
足元で光が弾ける。

(よしっ……)

美琴は知っている。
その花火はしょせん見かけ倒しだ。
花火に感動したインデックスが、自宅のリビングで見せてくれた。
もちろん、家具は全て無事だし、誰もケガなぞしていない。
攻撃になりはしないのだ。
しかし、ローラにはその判断ができないのか、花火は防がずに躱す。
そんなローラの耳に声が届いた。

「そんでもって!!」

迫り来る電撃。
それを追うように襲い来る超電磁砲。
しかし、魔女の余裕は崩れない。
紫電は霧散し、
コインも軽々と躱す。
それどころか、手に白い槍を生み出し、美琴達に投げる。
赤子にボールを投げる程度の力だったが、新幹線よりも速く美琴に届く。
が、彼女は生きていた。

「…………させるかよ」

幻想殺し。
上条は、左手で美琴の腰を抱き、美琴やインデックスと共に滑空する。

「いっけーーーー!!」

「だぁ!! だぶっ!!」

超電磁砲と花火を軽やかによけるローラ。
だが、美琴は笑みを浮かべた。

(やっぱり、きちんと対処させてる!!)

直撃する前に霧散する電撃と違い、コインは何らかの対処が必要なようだ。
つまりは当たれば有効打となりうる。
迫り来る猛獣を電撃でいなしながら、美琴達は飛ぶ。

「よく耐えにしな」

クスリと笑うローラ。
しかし、すぐに表情が消える。
疑問に彩られた美琴の顔は、次の瞬間ひきつった。

視界の端、現れては消える人影。
自身より一回り小さく、
同じ常盤台の制服を着ている。
桃色に流れる髪。
美琴は叫んだ。

「ダメッ!! 黒子!!」

愛しき美琴の声を聞きつつも、
白井は脅威から視線を外さない。

(あれが、お姉様が相手にするような敵!!)

冷汗は、止まる気配がない。
口が渇く。

(ここが!! あの方達の戦場!!)

鉄矢を取り出し、必死の一撃を放とうとした。
が、
視線の先、敵の口が動く。
ゆっくりと、ゆっくりと、まるで走馬灯のように。
音は聞こえない。
しかし、内容は受け取れた。

邪魔だ、消えろ。

瞬間、
全ての鉄矢が焔で溶けた。
あ、なんて間抜けな声が自身の口から出たときには、
眼前に広がる太陽。
しかし、白井が炭になることはなかった。

「うおぉぉぉおおおらあああああああ!!」

上条が白井を突き飛ばしながら、
右手を掲げる。
しかし、打ち消せない。
焔はそのまま破裂。
上条は爆風にうち上がり、
7メートル上空から地面に叩きつけられる。
一方の白井は上条の助けで無事だ。
彼女にインデックスを抱えた美琴が駆け寄る。

「大丈夫!?」

「す、すみません!! 上条さんが!!」

「そんなことより…………!!」

言葉の途中で、美琴はインデックスを白井に押し付け突き飛ばす。
次の瞬間、横薙ぎの一閃が美琴を吹き飛ばした。
支柱に激突し、肺の空気が全て吐き出される。

「お姉様!!!!」

叫んだ白井の視界の端で、
再び空気が蠢いた。
正面から襲い来るは、数千もの刃。

だが、彼らが駆けつける。

打ち消され、弾かれ、剃らされ、防がれ、砕かれた。
白井、そしてインデックスまでの壁は厚い。

「助かった」「ありがとう、黒子」

2つの巨壁から、声が発せられる。
視線を向けられることはない。
しかし、白井にはわかった。
その言葉は見栄やその場しのぎのものではない。
きっと、彼らは笑っている。
だが、

「実際、どうにかしたかったんだ」

宿敵の腕の火傷は、先程自分を助けるために負ったはずだ。

「お願い、その子を守って!!」

愛しの目標は、自分が駆けつけたせいで頭部に傷を受けて出血している。

「お前だけが頼りだ」
「黒子にしか頼めないの」

「…………わかりましたの。どうかご無事で!!」

インデックスの驚きの表情とともに、
白井は消えた。
最後まで、上条と美琴は振り返らなかった。
いや、視線をそらすことはできなかった。
一挙手一投足も見逃せない。
脅威は再び笑い、その右手から閃光を放った。

車よりも速く移動する少女。
しかし、彼女は風を感じない。
瞬間移動。

電灯から看板へ、
看板から屋上へ、
少女は翔ぶ。

腕に抱かれた赤子は、
必死に何かを抗議していた。
が、
止まる。
額に落ちた雫の正体を確かめようと上を向いた。
月明かりの影となり、白井の表情は伺えない。
だから、必死で手を伸ばした。

「くおこ、だーじょぶ??」

インデックスの頬に、雫が落ちる。

「大丈夫、ですの」

再び、少女は消えた。










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