とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ 二月といえば



上条は、物陰で息をひそめて隠れていた。

「くそっ…、」

ツンツン頭の少年は、自らの身にせまる危機に冷や汗を流していた。

「(このままじゃやられちまう。いったいどうすれば…!)」

しゃがみ込んで頭をかかえ、脳みそを忙しく回転させて今の現状をどうにかしようと考える。
とその時、上条が隠れているところの近くで、足音がした。

「(!!)」

緊張は高まり、上条は息をとめて相手の様子をうかがう。
一滴の汗が、顎から地面へ流れ落ちる。

「(頼む…見つからないでくれ…!)」

そんな上条の願いもむなしく、足音はどんどんこちらへ近づいてくる。
ぴたりと足音がとまった。

不幸な少年は、見つかってしまった。

一気に青ざめる少年に対して、少年を見つけた人物は、にんまりと笑った。




「…鬼は~外!!」

「いでででで!!あだ!や、やめろ御坂!痛い、痛いですから!
 つか、どこをどうしたら豆がこんなに痛い飛来物になるんだよ!? ってあだ!俺が悪かった!本当にごめんなさい!
 お願いだからそのゴム弾程の威力をもつまるい大豆でできた凶器を投げつけないでください!!」

「しょーがないでしょー、あんた鬼なんだかっら!」

そう言って御坂はさらに豆を上条に投げつける。

「痛てえ!もうやめて上条さんのライフはもうゼロよ!!」

「いいから、あたしの日ごろの恨みとともに、くらっときなさい!!」

「ぎゃああ!俺が何したってんだよ!」

「いっつもいっつも無視してくれちゃって!
 たまには私の身にもなってみろってんのよ!!」

「うわああ!」

「大体ね、私に会った時毎回疲れたような顔するのはなんなのよ!
 そりゃ私ももうちょっと優しく話したりとか…
 ……じゃなくて!!人としてどうなのよ!?」

「それはいつもお前が俺にビリビリしてくるからだろ!!
 あんなの浴びせられたら上条さん死んじゃいます!
 というか、今現在続いてるお豆さんの攻撃のせいで死んじゃいます!!」

上条の必死の講義もむなしく、ヒートアップしてしまった御坂の
マシンガントークは降りかかる凶暴な豆と同じく止まない

「アンタに電撃打っても効かないじゃん!
 それとなんでアンタの周りは女の人だらけなの!いったいどこで助けてくるわけ!?
 こないだなんかあんなきれいな人と歩いて鼻の下のばしちゃったりしてさ!
 そんなに大人の女の人が好きなの!?」
 
「い、いや紳士な上条さんは決して鼻の下をのばしたりとかは…そりゃちょっとは…
 ああいやいやなんでもないです!!」

「ア~ン~タ~は~…!」

「ひえええ!!」

御坂の豆攻撃が止んだ、上条は次に大きな攻撃が来ると思い、身構える。
だが、一向に御坂から次の攻撃が来ない。不審に思い、顔をあげると豆を手にしたまま
うつむいていた少女は、小さな声で呟いた。

「…ったくアンタを好きな私のことも考えてみろってんのよ…。」

それは独り言のように、近距離にいても聞こえないほどの小さい声だった。上条に伝えるつもりの
言葉でもなかったから、本当に小さな声で呟いた。
だが、御坂の動作一つ一つに気をつけていた上条には何となくだが、微かだが、聞こえた。

「…え?…お前が俺を…好き??」

瞬間、御坂は顔を真っ赤にして驚いた。まさか聞こえるとは思ってもいなかったからだ。

「!!っななな、何言ってんのよ!!んなわけないじゃない!
 ああもう、ええい、記憶を失ええ!!」

上条に今までない大量の豆を投げ付けながら、
いつもは無視するくせにと御坂は心の中で愚痴を言う。
でも、先ほど言ってしまった一言を、否定してしまった自分にも、
いくじなし、と呟く。
…いつまでこの関係が続けられるのかもわからない。
このままうじうじしていたら、上条に誰か恋人が出来てしまうかもしれない

でも、

「うわああああ!!ごめんなさい聞き間違いでした!
 あたたた!豆の中に八つ当たり成分が入ってる!!って言うかお前どんだけ豆持ってんだよ!?」

「いいから、いっぺんやられてしまええい!!」

「あだだ!!さらに痛くなった!?すでにそれが豆なのかすらあやしくなってきたぞ!!?」


でも、もう少しだけ…


「痛い痛い上条さんの遺体ができちゃううう!!」

「そうなっちゃえ!(乙女心をもて遊ぶ悪い鬼には、お仕置きが必要だものね。)」

「ひでえ!?ああああもう、不幸だああああああ!!!」

理不尽なことはわかってる。でも、豆を投げることで、ついでに自分の中にある、
自分を素直になれなくしている悪い鬼も、どこかに行ってしまわないかなとかも思った。
上条に豆を投げる少女は、どこか楽しそうだった。

だって、豆まきの日だもの。
いろんな悪い鬼を追い払ったら、もう少し、素直になろうと思った。


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