とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part1

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熾烈を極めた魔術サイドと科学サイド、両方を巻き込んだ戦争はようやく終わった。
最終決戦に参加した者たちの歓声が、そこかしこに響いている。
ついさっきまで戦場だった場所なのだが、みなそんなことはお構いなしに騒いでいる。
みな疲れきってはいるが、その瞳には喜びがあふれていた。
―まったく、今にもぶっ倒れそうなのに、元気だよな、みんな―
そんな中、この大戦を終結へと導いた主要人物の一人である少年、上条当麻は、安堵の息をつきながら、彼自身も、この大戦がようやく終わったことに喜びを感じていた。
…まあ、彼の場合は、いつものことながら、負傷してボロボロなので騒いでいるみんなを眺めているだけであるが。
見渡せば、いろんな人たちがいる。
神裂火織は、白かったTシャツを自身の血で赤く染めながらも、他の天草式のメンバーに治療してもらいながら笑いあっている。
ステイル=マグヌスは、意識はあるようだが、魔力の使いすぎで動けないようだ。
他にも、イギリス正教の者たちが、ロシアの撲滅白書の者たちが、アニェーゼたちが皆それぞれ喜んでいる。
さらにその中には、科学サイド…つまりは学園都市の者たちの姿もあった。
そんな皆を眺めていると、その中に御坂美琴の姿が見えた。

むこうも、こちらの姿を見つけたのだろう。
彼女自身、限界以上まで体を酷使し、電撃を放ったはずなのに、こちらに、息を切らせながらも駆け寄ってくる。
その懸命な姿に苦笑し、さすがに座ったままで彼女と話すのは申し訳ないと思い、上条当麻は、痛む体だろうと関係なく気合を入れ、立ち上がる。
彼女に、言わなければならない、伝えなければならないことがある。
果たして自分は、彼女を前にしたとき、しっかりと言葉を紡ぐことが出来るのだろうか。
この大戦の中で気づいた、自分の正直な気持ち。
それを彼女に言おうと思う。
―まったく、そんなに急がなくっても上条さんは逃げませんよ―
そんなことを思いながら、近寄ってくる御坂に視線を向けると、自然に笑顔が出てくる。
「っ!!」
そして見つけてしまった…いや、見つけることができた、の間違いだろうか。
ともかく、それを見てしまった当麻の体は、知らぬ間に動き出していた。
―まったく、最後の最後まで不幸…いや、この場合は幸運だった、かね―
不思議と思考は穏やかであった。
いや、このさきの展開を考えるのを拒否しているからなのかも知れない。

急に、自分に全速力で走ってくる当麻に、驚きの表情を隠せない美琴。
なにか言っている気がするが、当麻の耳には入らない、いや、理解するほど余裕がなかった。

そして、訳のわからない顔をしている美琴を、当麻は突き飛ばす。
驚いた顔をしている美琴を見ながら、最後に当麻は笑った。

そして、その瞬間、美琴を突き飛ばしたことで、がら空きになっていた胸部へと、激しい光を伴う魔術が吸い込まれ、上条当麻の心臓は……停止した。

上条当麻が、地面に倒れ付して、周囲はまるで水を打ったように静かになる。
いきなりのことで、理解が追いつかない。
そして、倒れ付してから実に数秒後、どこからか悲鳴が上がった。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
誰の悲鳴だったのか、それは定かではないが、その声を皮切りに、一斉に周囲が動き出した。
「上条ーーーーー!!」
「カミやん!!」
「少年!!」
「とうまーーー!!」
皆、それぞれに当麻の名前を呼びながら、大半のものは近づいて、残りのものは、今しがた魔術を放ったやつを探す。
近づいてきた人で、あっという間に当麻の周りには人垣ができた。
皆、顔を青くしながら、しかし、この少年は今までのように、こちらの予想を裏切って、何食わぬ顔で、立ってくると。先ほどの魔術も、その右手で打ち消しているはずだろうと、心の底で思っている。
「……心臓がとまってる。 残念ながら――もう無理なのよ」
だが、皆の予想は、最悪の形で裏切られることになる。
当麻の容態を見ていた建宮斎字が、苦痛にの表情で、搾り出すように言う。


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