小ネタ 遊園地に誘ってみた
御坂美琴は最近あることに真剣に悩んでいた。
それは一人の少年に恋をした…いわゆる初恋だった。
誰かに相談してスッキリしたいのだがこういうことを相談できる友達があまりいない。
相談したらうわさが広がり騒ぎとなるからだ。
特にあの白井黒子だけには知らせてはいけない。
それだけの強制感だけは持っていた。
相談という手段を捨て、自ら告白するという手段を考えることにした。
携帯をいじり、ぼんやりと画面を眺めていると、とあるサイトに目が止まった。
新しくリニューアルオープンした遊園地だ。
そこには世界一、一周が長いと言われる観覧車があり、宣伝には、
『夜6時にはナイトパレードが始まり、絶景が見られます!彼氏彼女とのデートには是非!』
ここだと思い、思わずつばを飲み込む。
どうやら携帯でチケットが購入できるらしい、さっそくチケットを購入する。
「ふぅ…、あとはどうやってアイツを誘うかよね」
あれこれ考えても仕方がない、とりあえず上条を呼び出すことにした。
「……」
上条がなかなか出ないからか美琴の緊張も余計高まる。
沈黙に耐えれずにそわそわしている。こうもしないと気持ちが落ち着かないのだ。
『もしもし?みさ―――』
『遅いわよ、この馬鹿!!もっと早く出なさい!』
不安から解放され、安心してかいつもの用に怒鳴ってしまった。
『わ、悪い。で、何の用なんだ御坂?』
『へ?』
数秒の沈黙が訪れる。電話越しから、ため息が聞こえた。
『用がないなら切りますよー?上条さんはこれから晩御飯を食べるところなのですよー』
あとなんのために俺怒られたんだよ…、と愚痴まで聞こえてきた。
『用があるから電話してるに決まってるじゃない!』
ここで一息つき、
『あの…最近リニューアルオープンされた遊園地のチケットが手に入ったんだけど
暇なら一緒に行かない?』
『あぁ、あそこの遊園地か。別に俺は構わないけど…よりにもよってなんで俺なんだ?
白井でも誘えば―――』
『と に か く!行くの?行きたくないの!?あと黒子はジャッジメントの仕事があるから断られたわ』
この振りは予想できたのできちんと言い訳を考えることができた。
もちろん白井にこのことが知られたら大変なことになるのだが…。
上条も美琴の勢いに押され、
『わ、分かった。一応今度の日曜なら空いてるけど』
一応OKを貰えたことに一安心し、
『じゃぁその日で待ち合わせは―――』
時間帯などを詳しく伝え、
『分かったわね?あと絶対遅刻しないこと、遅刻したらただじゃおかないわよ!』
最後で釘をさす。厳しめの口調からは少しの安堵を感じられた。
『分かった、じゃぁな』
『うん、また今度ね』
電話を切り、ベッドに腰をかける。
今から日曜日が楽しみで仕方がない。
期待に胸ふくらませ、いつまでも浸りたいがために早く寝ることにした。