― ホワイトデー ―
3月13日上条宅、朝
上条は大いに悩んでいた。
その悩みの種は明日、つまり世間で言うところのホワイトデーにある。
彼は自分では何故かはわかってはいないのだが、バレンタインの夜遅くに家に帰ってみるとそこには、大量のチョコが家の前に置かれていたのだ。
ただの義理チョコならまだいいのだが、中には、手紙のある明らかに気合いの入っているチョコも。
それ故、彼はお返しをしようとは思ってはいるのだが、中には無記名のものもあり、たとえそれを除いても元々の絶対数が多いため、必然的にお返しも桁外れの量になってしまう。
だからこそ、貧乏学生上条当麻は非常に困っていた。
その悩みの種は明日、つまり世間で言うところのホワイトデーにある。
彼は自分では何故かはわかってはいないのだが、バレンタインの夜遅くに家に帰ってみるとそこには、大量のチョコが家の前に置かれていたのだ。
ただの義理チョコならまだいいのだが、中には、手紙のある明らかに気合いの入っているチョコも。
それ故、彼はお返しをしようとは思ってはいるのだが、中には無記名のものもあり、たとえそれを除いても元々の絶対数が多いため、必然的にお返しも桁外れの量になってしまう。
だからこそ、貧乏学生上条当麻は非常に困っていた。
「なんであんなにチョコくれるんだよ……不幸だ」
世間一般ではこの状況を不幸と言うと当然、非難の嵐がとんでくるのだが、上条にとっては死活問題にも発展しうるので十分不幸な部類に入る。
だがさらにもう一つ悩みの種はあり、それは先月のバレンタインに晴れて結ばれた"彼女"御坂美琴のことであった。
彼女はバレンタインでは手作りとは思えない程のクオリティと味のケーキを贈ってきたため、三倍返しが基本(らしい)のホワイトデーのお返しにはこちらも頭を抱えている。
だからといって値段で勝負したって結果は見えており、破産確定。
そもそもお嬢様相手に値段で勝負という発想自体が自殺行為だ。
だがさらにもう一つ悩みの種はあり、それは先月のバレンタインに晴れて結ばれた"彼女"御坂美琴のことであった。
彼女はバレンタインでは手作りとは思えない程のクオリティと味のケーキを贈ってきたため、三倍返しが基本(らしい)のホワイトデーのお返しにはこちらも頭を抱えている。
だからといって値段で勝負したって結果は見えており、破産確定。
そもそもお嬢様相手に値段で勝負という発想自体が自殺行為だ。
「ああもう!!俺はどうすればいいんだぁ!!……不幸だ」
上条は自分の不幸を精一杯嘆いた。
しかし嘆いたところで状況は何も変わらない。
しかも今年はバレンタインが日曜日であり、ホワイトデーもまた日曜日なのである。
上条は昨日、14日を美琴からの誘いを受けて予定を入れた。
そして美琴以外の人にお礼をするにしても渡すのは月曜日と元々決めている。
よって、美琴の分+美琴以外の分を今日中になんとかしなければならない。
数にして約20人分ものの量を…
つまり今のこの時間は無駄以外の何ものでもない。
しかし嘆いたところで状況は何も変わらない。
しかも今年はバレンタインが日曜日であり、ホワイトデーもまた日曜日なのである。
上条は昨日、14日を美琴からの誘いを受けて予定を入れた。
そして美琴以外の人にお礼をするにしても渡すのは月曜日と元々決めている。
よって、美琴の分+美琴以外の分を今日中になんとかしなければならない。
数にして約20人分ものの量を…
つまり今のこの時間は無駄以外の何ものでもない。
「ここでこうしてる時間がもったいない。材料を調達してる最中に考えるか…」
上条は身支度を整えると、履きなれたバッシュを履き、外へと足を踏み出した。
同日、とあるファミレス
御坂美琴は久しぶりに、いつもの4人組とのおしゃべりを楽しんでいた。
バレンタインが終わってからの彼女はほぼ毎日といっても差し支えないほど、上条と顔を会わせている。
学校帰りは例の自販機前で待ち合わせをして門限まで話をしたり、出かけたり、休日にいたっては平日では行けないような所へと出かける。
なので、よっぽどの用事がある時以外の予定は、ほぼ上条と会うことで潰れていたため、四人で集まることは本当に久々なのである(無論、他の三人は事情を知っているため口は出さない)。
そして今日は上条が『今日はホワイトデーの準備をさせてくれ!!』と必死に頼みこんできたので、美琴は久々に四人で過ごしていた。
バレンタインが終わってからの彼女はほぼ毎日といっても差し支えないほど、上条と顔を会わせている。
学校帰りは例の自販機前で待ち合わせをして門限まで話をしたり、出かけたり、休日にいたっては平日では行けないような所へと出かける。
なので、よっぽどの用事がある時以外の予定は、ほぼ上条と会うことで潰れていたため、四人で集まることは本当に久々なのである(無論、他の三人は事情を知っているため口は出さない)。
そして今日は上条が『今日はホワイトデーの準備をさせてくれ!!』と必死に頼みこんできたので、美琴は久々に四人で過ごしていた。
「―――ところで、御坂さん。バレンタインからお忙しいようですけど、彼氏さんとはうまくいってるんですか?」
「ぶはっ!!……う、初春さん。そういう話は心臓に悪いから急には…」
「バレンタインから全然会ってくれませんからね!あたしももお気になって気になって……」
「お姉様、別に毎晩黒子に惚けてるように話すように話せばいいのではありませんの?」
「「ま、毎晩!?」」
「ぶはっ!!……う、初春さん。そういう話は心臓に悪いから急には…」
「バレンタインから全然会ってくれませんからね!あたしももお気になって気になって……」
「お姉様、別に毎晩黒子に惚けてるように話すように話せばいいのではありませんの?」
「「ま、毎晩!?」」
黒子の何気ない爆弾発言に二人が身を乗り出す。
先ほど言った通り、美琴と上条はほぼ毎日顔を会わせている。
なので、美琴は上条当麻のネタにはこと欠かない。
美琴としても、事情を知る身近な人間が黒子しかいないため、やり場のない幸せ気分全てを黒子に向けている。
そのためここ一カ月の美琴と黒子の会話の話題は八割以上が上条ネタだ。
黒子としては幸せそうな美琴を見れるのはいいのだが、流石に毎晩惚けられると身が持たない。
実際、いくら黒子が認めた殿方である上条といえども、数回本気で存在を消しにかかったこともあった。(そのたびに、美琴の制裁のおかげで事なきを得ている。)
それで、予定がないと言っていた美琴を誘って今に至るのだが。
先ほど言った通り、美琴と上条はほぼ毎日顔を会わせている。
なので、美琴は上条当麻のネタにはこと欠かない。
美琴としても、事情を知る身近な人間が黒子しかいないため、やり場のない幸せ気分全てを黒子に向けている。
そのためここ一カ月の美琴と黒子の会話の話題は八割以上が上条ネタだ。
黒子としては幸せそうな美琴を見れるのはいいのだが、流石に毎晩惚けられると身が持たない。
実際、いくら黒子が認めた殿方である上条といえども、数回本気で存在を消しにかかったこともあった。(そのたびに、美琴の制裁のおかげで事なきを得ている。)
それで、予定がないと言っていた美琴を誘って今に至るのだが。
「ちょっと黒子!?ま、毎晩ってそんな……」
「毎晩どころか毎日ではありませんの?別に事情は知られているのでしたら、偶には黒子以外の人にも話してあげてくださいな」
「毎晩どころか毎日ではありませんの?別に事情は知られているのでしたら、偶には黒子以外の人にも話してあげてくださいな」
うんうんと大きく頷く二人。
確かに美琴は普段は黒子にいつも話している。
だがそれはデート後のやり場のない幸せを向ける矛先が黒子しかいないから、彼女に話すわけであって、デート後のようなフワフワした気分でもない今では、美琴としては話すのはかなり恥ずかしい。
確かに美琴は普段は黒子にいつも話している。
だがそれはデート後のやり場のない幸せを向ける矛先が黒子しかいないから、彼女に話すわけであって、デート後のようなフワフワした気分でもない今では、美琴としては話すのはかなり恥ずかしい。
「うぅ……やっぱり無理!…そうゆう気分じゃないと恥ずかしい」
「では今からそういう気分になってくればいいんじゃないですの?」
「では今からそういう気分になってくればいいんじゃないですの?」
そう言って黒子は窓の外を指差す。
美琴はおろか初春と佐天までもキョトンとした顔で指された方を見る。
美琴はおろか初春と佐天までもキョトンとした顔で指された方を見る。
(ッ!!な、ななななんで今現れるのよ――!!)
そこにはなんとも不幸そうな表情で大量の何かが入っているスーパーの袋を両手に持ったツンツン頭の少年の姿があった。
言うまでもなく、上条である。
初春と佐天は美琴に彼氏ができたのは知っているが、彼氏が上条であることを知らない。
ましてや、二人とも上条のことさえも知らない。
二人は美琴が絶句している理由も、黒子が指を指した意図もわからなかった。
言うまでもなく、上条である。
初春と佐天は美琴に彼氏ができたのは知っているが、彼氏が上条であることを知らない。
ましてや、二人とも上条のことさえも知らない。
二人は美琴が絶句している理由も、黒子が指を指した意図もわからなかった。
(ね、ねえ初春。外になんかある?)
(私もわからないです……外に彼氏さんでもいるんじゃないでしょうか?)
(私もわからないです……外に彼氏さんでもいるんじゃないでしょうか?)
「ほらほら、早くしないと愛しの上条さんが行ってしまわれますわよ?」
「「ええ――!?」」
「ど、どれなんですか白井さん!その上条さんって!!」
「あ、あたしも知りたいです!!」
「「ええ――!?」」
「ど、どれなんですか白井さん!その上条さんって!!」
「あ、あたしも知りたいです!!」
美琴もようやく我に返り、そこで二人の状態に気づく。
「だ、ダメよ黒子!教えないでよ!!」
食い入るように黒子に食いつく二人に対して、当然ながら美琴は二人に上条の存在を気づかれる前に、たまらず黒子を制止する。
いつかはバレること、それがいつになるのかは些細な問題でしかないのだが、やはり美琴は気恥ずかしい思いを隠せない。
放置する気だけには、なれなかった。
しかし、いくら美琴直々の依頼であっても、簡単に止まる彼女ではない。
いつかはバレること、それがいつになるのかは些細な問題でしかないのだが、やはり美琴は気恥ずかしい思いを隠せない。
放置する気だけには、なれなかった。
しかし、いくら美琴直々の依頼であっても、簡単に止まる彼女ではない。
「今何やら大きなスーパーの袋をぶら下げているツンツン頭の方がそうですの」
「ダメって言ってんでしょうがぁ―――!!!」
「ダメって言ってんでしょうがぁ―――!!!」
美琴はとっさに電撃を放とうとするが、今は店内だからか手前で踏みとどまるが、美琴のその抵抗に対して全く遅れをとらず、二人はその白井の情報に当てはまる人物を凝視していた。
「ってそっちも見ちゃダメ――!!」
「あ、あれじゃない?大きなスーパーの袋をぶら下げたツンツン頭の人って」
「きっとそうですよ!御坂さん、ここは私達のためと思って、行って来てください!」
「お話は後でゆ―――っくり聞きますから、そういう気分になってきてください」!
「え!?ちょ、ちょっと二人とも!?」
「あ、あれじゃない?大きなスーパーの袋をぶら下げたツンツン頭の人って」
「きっとそうですよ!御坂さん、ここは私達のためと思って、行って来てください!」
「お話は後でゆ―――っくり聞きますから、そういう気分になってきてください」!
「え!?ちょ、ちょっと二人とも!?」
美琴の咄嗟の制止もかなわず、時既に遅し。
二人は黒子の言った条件の人物を探しだし、その後、きらきらと目を輝かやかせながら美琴に詰め寄ってきていた。
流石の美琴も、能力を使わずに半ば行けといっている二人に敵うわけもなく、美琴は初春と佐天に強引に背中を押され、店の外へ締め出される。
締め出された後も戻ろうと試みるが、二人が扉の向こうでニヤニヤしながら扉を抑えつけているため、それも叶わない。
二人は黒子の言った条件の人物を探しだし、その後、きらきらと目を輝かやかせながら美琴に詰め寄ってきていた。
流石の美琴も、能力を使わずに半ば行けといっている二人に敵うわけもなく、美琴は初春と佐天に強引に背中を押され、店の外へ締め出される。
締め出された後も戻ろうと試みるが、二人が扉の向こうでニヤニヤしながら扉を抑えつけているため、それも叶わない。
「はあ……アイツの不幸が少しずつ私に移ってきてるのかな……」
ため息混じりに一人呟く。
「……せっかくだし、行ってこようかな」
そして浮かない顔は次第に明るく、重い一歩は次第に軽くなっていた。
同日、とあるファミレス前
「お、重い……不幸だ」
何やら大きなスーパーの袋をぶら下げて、いかにも不幸そうな顔をしたツンツン頭の人は、一通りの買い物を終えていた。
朝一番に買い物に出かけていたはずが、今や時間は昼になろうとしているところ。
これには理由がある。
一つは上条ならではの不幸な出来事。
もう一つは何をするかで迷っていたこと。
最終的には美琴以外の子には手作りで一人当たりの量を減らすことで決着がついた。
しかし肝心の美琴の分は未だに迷っていた。
どんなに喧嘩っ早くても、どんなに生意気でも、まがりなりにも相手はお嬢様。
こういうことは難しい。
いっそ本人に聞きたいとも思っている。
だがやはり、時間は待ってはくれないのだ。
とりあえず美琴の分を後回しにしてでも、他の子の分だけでも片付けてしまわないと時間が本格的にまずくなってしまう。
だからというもの、一度買い物を早めに切り上げ、上条は帰路についていたわけなのだが。
朝一番に買い物に出かけていたはずが、今や時間は昼になろうとしているところ。
これには理由がある。
一つは上条ならではの不幸な出来事。
もう一つは何をするかで迷っていたこと。
最終的には美琴以外の子には手作りで一人当たりの量を減らすことで決着がついた。
しかし肝心の美琴の分は未だに迷っていた。
どんなに喧嘩っ早くても、どんなに生意気でも、まがりなりにも相手はお嬢様。
こういうことは難しい。
いっそ本人に聞きたいとも思っている。
だがやはり、時間は待ってはくれないのだ。
とりあえず美琴の分を後回しにしてでも、他の子の分だけでも片付けてしまわないと時間が本格的にまずくなってしまう。
だからというもの、一度買い物を早めに切り上げ、上条は帰路についていたわけなのだが。
「ちょ、ちょっと…」
「ん?」
「ん?」
いきなり背後から声がかけられた。
しかしそこで上条はそれが誰かなどとは思わない。
仮にも背後からとは言え、ここ1ヶ月ほぼ毎日聞いてきた相手の声。
聞き間違えるはずがない。
上条は振り向きながら、それでも確信をもって答える。
しかしそこで上条はそれが誰かなどとは思わない。
仮にも背後からとは言え、ここ1ヶ月ほぼ毎日聞いてきた相手の声。
聞き間違えるはずがない。
上条は振り向きながら、それでも確信をもって答える。
「美琴か?どうしてこんな所にいるんだ?」
「そ、それはこっちのセリフよ。なんでアンタがここにいるの?」
「あれ?俺今日はホワイトデーの準備するって言ったよな?だからその買い出しだよ」
「そ、そうなんだ…」
「そ、それはこっちのセリフよ。なんでアンタがここにいるの?」
「あれ?俺今日はホワイトデーの準備するって言ったよな?だからその買い出しだよ」
「そ、そうなんだ…」
上条はなにも嘘は言っていない。
たとえそれが美琴の分だけでなく、他の女の子の分が含まれていようとも…
ちなみに彼はバレンタインに美琴以外の子から大量のチョコをもらったことは彼女には言っていない。
だから今日はホワイトデーの準備、としか言っていない。
と言うかそもそも、一人のために上条がぶら下げている程の大きな袋や、一日つかうことは少々おかしいのだが…
たとえそれが美琴の分だけでなく、他の女の子の分が含まれていようとも…
ちなみに彼はバレンタインに美琴以外の子から大量のチョコをもらったことは彼女には言っていない。
だから今日はホワイトデーの準備、としか言っていない。
と言うかそもそも、一人のために上条がぶら下げている程の大きな袋や、一日つかうことは少々おかしいのだが…
「……そういうお前は?」
一番突っ込まれたくないことを聞かれる前に、上条は話題を違う方へ向けさせる。
「わ、私は友達とそこのファミレスでお茶してて、その時に当麻を見かけたから……」
対してこちらも嘘は言っていない。
その友人に背中を押され、無理やり会わされようとも、見かけたからには変わりはない。
その理由のせいで、慣れているはずの会話も若干緊張しているのだが、なんで会いに来たかなんてことは口が裂けても言えないだろう。
お互いに重要な部分は隠しつつ、会話を繰り広げる。
しかし、そんな会話も続くわけもなく、少しの間二人の間を沈黙が続く。
その友人に背中を押され、無理やり会わされようとも、見かけたからには変わりはない。
その理由のせいで、慣れているはずの会話も若干緊張しているのだが、なんで会いに来たかなんてことは口が裂けても言えないだろう。
お互いに重要な部分は隠しつつ、会話を繰り広げる。
しかし、そんな会話も続くわけもなく、少しの間二人の間を沈黙が続く。
「えっと…?用がないなら上条さんは作業があるので帰らせていただきますが…?」
そして、その沈黙を上条が破る。
上条としては突っ込まれたくないことがあるので早めに去りたい。
美琴としても元々用があって話しかけたわけではなく、無理やり何か話をしてこいと言われてここにいるので、これといった話題なんかは特に何もない。
それでも美琴はこのままあっさり別れるのは少し気がひけた。
せっかくだからもう少し一緒にいたい、話をしたい。
そんな自分勝手ながらも、そこは惚れた弱みなのか、なんとも言えない気持ちに駆られる。
上条としては突っ込まれたくないことがあるので早めに去りたい。
美琴としても元々用があって話しかけたわけではなく、無理やり何か話をしてこいと言われてここにいるので、これといった話題なんかは特に何もない。
それでも美琴はこのままあっさり別れるのは少し気がひけた。
せっかくだからもう少し一緒にいたい、話をしたい。
そんな自分勝手ながらも、そこは惚れた弱みなのか、なんとも言えない気持ちに駆られる。
「あ、えと…」
だからこそ、美琴は必死で何か話題を考えた。
彼を、上条を少しでもこの場に繋ぎ止めるための話題を。
そして彼女の視界に彼の大きな袋が目に入る。
彼を、上条を少しでもこの場に繋ぎ止めるための話題を。
そして彼女の視界に彼の大きな袋が目に入る。
「そ、そういえばさ、ホワイトデーには何作ってくれるの?」
ここで上条は先程まで自分が何を考えていたかを思い出す。
美琴への贈り物をどうするかということについて。
美琴への贈り物をどうするかということについて。
「あー…そうだな、美琴は何がいい?」
「へ…?わ、私は当麻が作ってくれるものならなんでも…」
「いや、好みとかあるだろ?もし嫌いなものだったら困るしさ」
「へ…?わ、私は当麻が作ってくれるものならなんでも…」
「いや、好みとかあるだろ?もし嫌いなものだったら困るしさ」
質問に対して質問で返されて美琴は少し戸惑う。
そして返答にも困った。
彼女は元々上条から貰えるものなら何でもいいと思っていたし、食べるつもりだった。
しかもこれという好物も特にない。
だからこそ返答に少し困ったわけなのだが、上条にそこまで言われるとちゃんと答えないと申し訳ない気がしてくる。
そして返答にも困った。
彼女は元々上条から貰えるものなら何でもいいと思っていたし、食べるつもりだった。
しかもこれという好物も特にない。
だからこそ返答に少し困ったわけなのだが、上条にそこまで言われるとちゃんと答えないと申し訳ない気がしてくる。
「じゃ、じゃあ……甘いもの?」
「なんで疑問系なんだよ……まあわかった、なるべく期待にそえるよう頑張るよ。……でもあんまり期待はするなよ?」
「なんで疑問系なんだよ……まあわかった、なるべく期待にそえるよう頑張るよ。……でもあんまり期待はするなよ?」
上条はそう言うとニカッと笑って美琴の頭を撫でる。
美琴は突然のことで肩をビクッと小さく揺らし、顔を赤く染めるが、付き合ってからは偶に上条がすることなので漏電して気絶ということはなくなった。
そして何よりも彼にこれをされるとなぜだか美琴は幸せな気分になれた。
ずるいとも思っていた。
たったこれだけのことで幸せな気分にできるのだから。
だから彼女も彼が最も弱いとも言える、甘えた上目遣いで、
美琴は突然のことで肩をビクッと小さく揺らし、顔を赤く染めるが、付き合ってからは偶に上条がすることなので漏電して気絶ということはなくなった。
そして何よりも彼にこれをされるとなぜだか美琴は幸せな気分になれた。
ずるいとも思っていた。
たったこれだけのことで幸せな気分にできるのだから。
だから彼女も彼が最も弱いとも言える、甘えた上目遣いで、
「ううん、美味しいの作ってね?……期待してるよ?」
鉄壁の理性を誇る上条でも彼女である美琴の甘えた上目遣いには弱かった。
そこそこの頻度で美琴はこれをするのだがやはり慣れない、いや、男としては慣れることはできないだろう。
上条は目線を逸らし、顔を若干赤くして俯き加減に、
そこそこの頻度で美琴はこれをするのだがやはり慣れない、いや、男としては慣れることはできないだろう。
上条は目線を逸らし、顔を若干赤くして俯き加減に、
「………頑張るよ」
その声は目の前にいる美琴にしか聞こえない程の大きさだが、彼女はしっかり聞き取って嬉しそうに微笑んだ。
始め気にしていた人目ももう気にせず、二人は自分達だけの世界にいた。
始め気にしていた人目ももう気にせず、二人は自分達だけの世界にいた。