小ネタ とある二人のキューピッド
「(なんか変な風に下ろしたお金が飛ばされてから一時間……どんなに探しても見つからない。
青髪…土御門は…ダメだろうなぁ…。誰かいない…って御坂…? でもさすがに年下に借りるのは…
いや…でもこの際変なプライドは捨てよう、そーしよう!)」
「(あ、アイツだ……)」
「おう、御坂…」
「そ、そっちから話しかけてくるなんて珍しいじゃない」
「そうか? ていうか今暇か?忙しくない?」
「忙しくない忙しくない忙しくない!」
「なら良かった……」
「そういうアンタは何かしらあるんでしょ? 不幸だーって顔してるし」
「顔にまで不幸が出てる!? 上条さんお婿に行けない…」
「そ、その時は私のとこにくれば良いじゃない……」
「は?」
「い、いや。何でもないから、気にすんじゃないわよ! 美琴センセーも忙しいんだから、さっさと用件を言う!」
「お前、今さっき「忙しくない」って言ってなかったか…?」
「だぁ~もう! 用件聞かせろって言ってんのよこらぁ!」
「はぃい! ……大変申し上げにくい事なんでせうが…」
「なんだって言いなさい! 私を誰だと思ってるのよ」
「では、遠慮なく……お金貸して下さいっ!!!!」
「はあっ!?」
「いや、ですから……上条さんにも色々色々ありまして……。もちろんタダで借りるつもりは一切ないのですっ!なんでもします!
…年下の中学生、そしてオンナノコ、よりにもよって…常盤台の御坂美琴さんしか頼める人がいないこの底辺のわたくしめをどうかお救いください!」
「なんでもするのよね…?」
「はい、なんでも!」
「ふ~ん、なんでも…ねぇ。 後で文句言ったり、取り消したりするのはナシよ。それでもOK?」
「文句なんて滅相もない! 借りなければ今月の残りを試食品だけで過ごす事になってしまいますので…」
「じゃ、貸したげる。 これくらいで良いわよね?」
「神様仏様御坂様!何でもします!この上条当麻を執事…いや、奴隷だと思って何なりとお申し付けください!」
「……う~ん」
「なんでも良いんだからな?」
「本当の本当になんでも…?」
「命に関わる事じゃなければなんでも受け入れるつもりですよ?」
「……苗字を上条にしたい」
「はい?」
「だから…私の苗字を上条にしなさいって言ってるのよ」
「御坂さん…? 何を言っているのかイマイチわかりかねますよ?」
「アンタと同じ苗字になりたいって言ってんのよ!!」
「そ、それってつまり…。分かる範囲で理解しますと……結婚しろとおっしゃっているんでせうか?」
「ダメ……?」
「えーっと、我が日本国の法律のよると…男性は18歳以上、女性は16歳以上にならないと認められないんらしいんですよ」
「そ、それを過ぎたら良いってワケ?」
「あ、ハイ」
「えっ?」
「え?」
「重みも何もあったもんじゃないわね……」
「それまで後二年…苦しい事、悲しい事は全部俺が自慢の不幸で吸い取ってやる、その代わり嬉しい事楽しい事は一緒に味わって行こうぜ…良いか?御坂」
「ちょっとお願い…ほっぺた引っ張ってくれないかしら? 遠慮なく思いっ切り」
「…………痛い?」
「痛い……。夢…じゃないのよね」
「彼氏って何をしたら良いのかよくわかんねーけど…」
「か、彼女って何をしたら良いのか私もよくわかんない…」
「とりあえず…手でも繋ぐか?」
「う、うん……」
「ちょっとそこの貴方!」
「ん?今なんか聞こえなかったか?」
「私は何にも聞こえなかったけど…」
「…あの殿方はわたくしを常盤台の婚后光子と知って無視してるんですの…?
もういいですわ!折角わたくしが直々に手元まで届けて差し上げようと思いましたのに……えい!」
~終了~