とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ みかん



「あったかいわねー。やっぱりコタツは最高よねー」
「そうだよなー。日本はすごいもんを開発したもんだ」

2人は今上条の寮でコタツに入ってぬくぬくとあったまっている。
なんだか四肢が軟体動物のようにだらけてしまいそうなくらい眠気が襲ってきていたりしているのだが、2人は会話をすることでそれを防いでいる。

「おっと、そうだった。コタツといえばアレだよな」
「……アレ?」

上条はコタツから出るとキッチンの方へ足早に進んでいった。コタツから出たら出たらで冷えてしまうのが嫌だったのだ。
上条がキッチンから戻ってくると、その手には箱を持っていた。

「何よ、その箱」
「………みかん」
「それは予想がつくけど、なんで箱なのよ?」
「父さんからな、『景品でみかんが当たったんだ。当麻にも分けてやろうと思ってな』というメッセージとともに送られてきた」
「へぇ~、それはよかったじゃない」
「これがあともう一箱ある」
「そ、そう……」

上条はコタツの横に箱を置くと中からみかんを取り出して、再びコタツの中へと入る。
2人はみかんを手に取ると、皮を剥いて食べ始めた。

「やっぱりコタツにはみかんよねー」
「そうか? その辺りはよくわかんね」
「そういうもんなのよ」
「そっか」

テレビではバラエティ番組をやっているのか、芸人がネタを披露している。
この部屋の同居人であったインデックスはいない。イギリスの方へと帰っていた。そして恐らく、再び同居することはないだろう。
上条はそのことが少し寂しいとさえ感じる。だけど、上条と美琴は恋人同士だ。
2人のことを考えるのならば、インデックスが同居しているのはいけないだろう。

「こら」

そんなことをボーッと考えていると、美琴にチョップされてしまった。
美琴は少し不機嫌そうな顔をしていた。

「私を無視して何考えてたのよ? 隣に彼女がいるっていうのに」
「ああ、悪い悪い」
「…………なら、ちょっと目を瞑りなさい」
「は? なんで」
「いいから」
「わかったよ」

上条は美琴の言うとおり固く目を瞑る。
何をされるのかはわからないので、緊張と不安と期待が入り混じる。
不意に、何かが唇に押し付けられた。だけど、それはすぐに離される。
それからたっぷり時間をおいて、

「もういいわよ」
「い、今、何を……?」
「何したと思う?」

そう聞き返してくる美琴はなんだかとても嬉しそうにしていた。
それを見て上条は少し恥ずかしくなる。美琴が可愛かったからだ。

「何って………キス?」
「プフッ、アッハハハハハハハ!!!!」

真面目に答えたら大爆笑された。何が可笑しかったかさっぱりわからない。
それからしばらく美琴は笑って、少し落ち着いたのか話しはじめる。それでもまだ肩で息していたが。

「あ~笑ったわ。アンタ、本当にそう思ってるの?」
「あ? 違うのかよ?」
「私がアンタの唇に押し付けたのはコレよ、コレ」
「………………………………え?」

美琴が手に持っているのはどっからどう見たって、先ほどまで食べていたみかんの皮だった。
それから一つの推論が導き出されるが、上条はなんとなく信じたくない。
だけど、上条は恐る恐る訊いてみた。

「みかんの………皮?」
「うん。そうよ。アンタ、こんなのに騙されるなんておもしろいわねー」
「…………ぅ、う、嘘だっ!!」
「パクッてないで、現実を受け入れなさい」
「でも、マジで騙されたんだが………」

どうやら本当に先ほど押し付けられたのはみかんの皮だったらしい。
………………コノウラミ、ハラサデオクベキカ。

「よーし、美琴。目ぇ瞑れ」
「え、嫌よ。やり返すつもりでしょ?」
「いいから瞑れ」
「ぅ………わかったわよ。でも、私は騙されないからね」

美琴は渋々といった感じで目を瞑った。
上条は作戦を実行に移すことにする。

「よーし、いくぞー。美琴ー」
「ぇ、ぅん。って、言ったら意味ないん―――――ッ!!!???」

上条は美琴の唇に押し付けた。
――――――自分の唇を。
たっぷり時間をかけた後、上条は美琴から離れる。
美琴の顔はリンゴのように真っ赤になっている。
上条の顔も同じくらい赤くなっているだろうが。

「ぁ、あ、あああああ、アンタ………い、今……!」
「ん~? なんだ?」
「今、き、きききキスしたでしょ!!」
「いーや。みかんの皮だけど?」
「う、嘘いうんじゃないわよ!!!!」
「ほらほら、美琴さんも早く現実を受け入れなさい」
「こっ、この野郎………!」

美琴の前髪がバヂバヂと青白い放電を始めるのを見て上条は過去最高の素早さで土下座モードへと移行した。

「あ、あああ、アンタ………!!」
「すすすすいませんでし」
「も、もう一度ちゃんとやりなさい!!!!」
「……………………………………………、はい?」

上条は時が止まったように固まって、美琴を凝視した。
美琴は見られていることが恥ずかしいのか、また顔が赤くなっている。
とりあえず今言われた言葉を信じたくない上条は訊き返すことにした。

「い、今……、なんて?」
「キっ………私にまたあんな恥ずかしいことを言わせる気かぁ!!!!」
「ぎゃー! ごめんなさいでしたー!!」

答えの代わりに電撃をプレゼントされた。
で、結局言う気はないのかと思っていたら、美琴は俯いて、とても小さな声で。

「ぅ、嬉しかったからまた、キ、キスしなさいって言ってるのよこの馬鹿…………」

とんだ爆弾発言をされてしまった。
だけど、ここで断ると雷が落ちてきそうな気がしたので、

「ゎ、わかったよ。目、瞑れ」
「ん」

美琴は待ってましたといわんばかりの速度で目を瞑った。
だが、いざとなってみると凄く恥ずかしくなってきた上条は、同時に悪戯心が沸いてきた。
上条は美琴の唇にみかんの皮を押し付けて、離す。

「いいぞ」
「…………………アンタ」
「んー? なん――――ひっ!?」

美琴は怒れる雷神と化していた。全身からバヂバヂといっている。
どうやらあっさりとバレてしまったらしい。

「今から5秒あげるから、今のうちに遺言でも書いときなさい」
「ごごごゴメンナサイ」
「死んで♪」

その数瞬後、この世のものとは思えない絶叫が学園都市に響き渡った。





終わっとく。


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