小ネタ 縦読みせよ!
なんでだろう、と美琴は呟いた。今、美琴は一人でもんも
んとしていた。アイツ上条のことを考えて。
「でも、やっぱりアイツが気づいてくれないのがわるいのよね。
アイツは、鈍感で、馬鹿で、………カッコよくて、ヒーローで
んでもって…って!?そうじゃない!!
ただ当然のごとく妄想してしまうのが、美琴にとって何だが気恥ずかしかった。顔を枕にうずくめる。
「はー。気づいてくれないかなアイツ……」
こんなにも想っているのに、通じない。けれでストレートに伝えることはできない。な
んだか、ジレンマみたいなこの状況に美琴自身、馬鹿だと想う。
「なんで素直に伝えられないんだろう……私の方が、馬鹿じゃない」
にっちもさっちも行かない。
もう、美琴はこの状況から抜け出したかった。だから。
「明日、アイツに会おう。うん、そうしよう!」
言って、自分自身に決意させる。こうでもしないと、美琴は自分が逃げて
しまうような気がしたからだ。上条との距離を縮めたい、その一心で。が。
「てことは、アイツに約束取り付けなくちゃね……どうしよう」
今、硬く決意した意志がすぐに揺らぎそうになってしまった。これではま
るで、優柔不断な本物のお馬鹿である。な
ので、美琴は深呼吸して揺るぎ始めた決意を元に戻す。そして落ち着いたところで次
に方法を美琴は考え始める。
「私との約束取り付けるためには……そうね電話かしらね。
ただ、なんて話を切り出そう……。ええい、もうやけだ!!」
しかし、携帯を持つ美琴の指は震えてしまう。かなりの時間を費やしてやっと
のことで、電話を上条にかけられた。
『こんばんはー。何のようですか御坂さん?』
「と、突然ごめんね。ところで、あ、明日って空いてる?」
『わかった。空いてるぜ明日なら。……んじゃあそっちが、どこ
か集合場所決めてくれ』
「つーことはOKってこと?(よっしゃぁああああ!!)じ、じゃあ、あの公園っ
てことでいい?」
「苦労しなくていいな。そこに行くなら。よし、わかった。また、明日なー」
連続して振動する、鳴り止まない心臓を押さえながら、こうして
なんとか上条に約束を取り付けることが出来た。そしてもう、美琴のは明日の事
以外どうでも良くなって来た。興奮しまくりで自分を抑えられない。ど
の自分がこんなにも上条が好きなのかもわからない。どの
ようにしたらこの気持ちが治まるのかもわからない
。こんなに一人で悶えて馬鹿だなと美琴は思う。
「好きって伝えられればなあ。こんなにも想ってるんだったら……
きっと私は結果が怖いんだ。もしかしてって思ちゃって、前に進めないんだ
。」
だから、とここで言葉が止まってしまう。
簡単なことなのに。素直になればいいだけなのに。美琴は上条のことを良くは知
らない。けれど、一緒にいたい。感情を
わかち合いたい。
ただそれだけだ。
したがって、本当にそう言う関係になるためには恋人同士になればいい。こ
の気持ちを上条にぶつけて。
「ここまでは、素直じゃなかった美琴さんだけどこれからは、ある程度素直な美琴さんを目指そう。うん。
とりあえずは明日、アタックしてみよう。
もしも、いつか素直になりきれたら………本当の気持ちを伝えよう」
好きの一言が言えない。だけどいつか
きっと言える日が来るだろう。自分がこんな
にも上条を好きなことを伝えよう。だけど
なにも直ぐに素直になる必要はない。でも、い
つかきっと。二人で笑い合える未来を目指し
て。