―――とある空港の一角
3番ゲートと書かれた出口から、多くの人が出て来る。
電光掲示板にはイギリス発、学園都市着という表示。
その人の流れに合わせて、視線を左右させている少女がいた。
電光掲示板にはイギリス発、学園都市着という表示。
その人の流れに合わせて、視線を左右させている少女がいた。
5分ほどそうさせていたが、お目当ての人物が見つかったらしく、たたた…と小走りでその場を離れた。
「おかえり!」
「ただいま、1週間ぶりだな」
インデックスを交えた宗教サイドの首脳会議―――という名のパーティで上条は1週間学園都市を離れていた。
「ただいま、1週間ぶりだな」
インデックスを交えた宗教サイドの首脳会議―――という名のパーティで上条は1週間学園都市を離れていた。
「どうだったの、首脳会議は」
「首脳…会議なぁ…」
「首脳…会議なぁ…」
そうやって思い返す上条の脳内ではインデックスが食べ物をねだったり、インデックスが頭に噛み付いたり、インデックスが食べ物を求めてさまよったり、インデックスが頭に噛み付いたり…と、まぁ、美琴には説明しがたい映像がフラッシュバックしていた。
そんな表情を見て、美琴は何かを読み取ったようだ。
そんな表情を見て、美琴は何かを読み取ったようだ。
「まぁ…なんとなく分かった気がするわ」
「う…そこはかとなく馬鹿にされた気がするぞ」
「まったく、そういうとこは敏感なのねー」
「そういうとこ『は』って何だ、っていうかやっぱり馬鹿にされていたのですねカミジョーさんは」
「あ、分かったー?」
「ったく、久し振りに会ったのにこれかよ」
「まぁ、10年ぶりの再会!とかじゃないからね。そうそう変わらないわよ」
「じゃあ、1週間ぶりですがいつもの通りということで、今日のお夕飯は期待してよろしいんでしょうか?」
「ちゃーんと、材料買っておいたわよ。まっかせなさい」
常磐台のエースが胸をどんと叩いた。
さすが7人しかいない学園都市のレベル5、どんなときも頼もしいものだ。
「う…そこはかとなく馬鹿にされた気がするぞ」
「まったく、そういうとこは敏感なのねー」
「そういうとこ『は』って何だ、っていうかやっぱり馬鹿にされていたのですねカミジョーさんは」
「あ、分かったー?」
「ったく、久し振りに会ったのにこれかよ」
「まぁ、10年ぶりの再会!とかじゃないからね。そうそう変わらないわよ」
「じゃあ、1週間ぶりですがいつもの通りということで、今日のお夕飯は期待してよろしいんでしょうか?」
「ちゃーんと、材料買っておいたわよ。まっかせなさい」
常磐台のエースが胸をどんと叩いた。
さすが7人しかいない学園都市のレベル5、どんなときも頼もしいものだ。
―――とある学生寮の一室
ドアを開けると、懐かしい匂いがする。
美琴はああ言っていたが、1週間は短いようで、長い。
よう、久し振りだな、なんて言いたいような気持ちが湧いてくる。
美琴はああ言っていたが、1週間は短いようで、長い。
よう、久し振りだな、なんて言いたいような気持ちが湧いてくる。
「ただいま、っと」
「おかえり~」
「おかえり~」
ひょい、と先に部屋へと上がり、くるりと身をひるがえして美琴が言う。
「俺の家だけどな。あれ、意外と綺麗…もしかして掃除しててくれた?」
「まぁね。家庭的な彼女に感謝しなさい」
「まぁね。家庭的な彼女に感謝しなさい」
ははーお代官様、と頭を下げる上条。
「気持ちこもってないでしょ」
といわゆるジト目をする美琴。
といわゆるジト目をする美琴。
「そんなことないって」
「そうですか~?」
「そうですか~?」
むー、とふくれる美琴にそうですよ、と答えながら、上条は荷物をどんと部屋の床に置いた。
あまり重くはないが、それでも背負い続けると肩に食い込んで負担になっていたようで、思わずふーっとため息が出た。
あまり重くはないが、それでも背負い続けると肩に食い込んで負担になっていたようで、思わずふーっとため息が出た。
そんな一連の動作を終え、ふと美琴を見ると、こちらを見つめるように視線を止めていた。
「ん?」
そんな反応には答えず、美琴はくるくると上条の回りでステップを踏む。
今度は目線が上下している。
どうやら周囲から上条のことを見ているようだ。
今度は目線が上下している。
どうやら周囲から上条のことを見ているようだ。
「どうした?」
服装変ですか、いつもの学生服ですが、と上条は思う。
すると、
すると、
「えへへ」
と、美琴の茶色い髪がぽふっと胸にうずまった。
と、同時に、ふわっとした匂いが上条の鼻をくすぐる。
と、同時に、ふわっとした匂いが上条の鼻をくすぐる。
「当麻がいる~」
そう言って頭をすりつける美琴はリスやハムスター系の小動物のようだ。
「当たり前だろ、帰ってきたんだから」
「ふふっ、だって嬉しいんだもん」
「ふふっ、だって嬉しいんだもん」
照れを隠すようにぶっきらぼうな言い方をした上条は、くしゃくしゃと頭をなでる。
その間も美琴は、頭を上条の胸にうずめ、時折上条の顔を見上げてにっこりと満足気に笑うのであった。
その間も美琴は、頭を上条の胸にうずめ、時折上条の顔を見上げてにっこりと満足気に笑うのであった。
「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
「お粗末さまでした」
二人並んでひょこりと頭を下げる。
久し振りの美琴の手料理を味わった。
いつもの味わいに、あぁ、帰ってきたんだと安心しつつ、段々と自分が美琴の色に染まっていくのを喜ばしく感じる。
久し振りの美琴の手料理を味わった。
いつもの味わいに、あぁ、帰ってきたんだと安心しつつ、段々と自分が美琴の色に染まっていくのを喜ばしく感じる。
「美琴、何時くらいまでいる?門限あるだろ」
時計を見ると、完全下校時刻を過ぎ、門限までもあまり時間がない。
寮の同居人が力を貸してくれるとはいえ、あまり遅くなるのは気が引ける。
それに彼女は、(理由は明白ながら)門限破りの常習犯となりつつある。
寮の同居人が力を貸してくれるとはいえ、あまり遅くなるのは気が引ける。
それに彼女は、(理由は明白ながら)門限破りの常習犯となりつつある。
「うーん…あと1時間くらいかな」
上条の肩に頭をもたれていた美琴は、体を曲げて上条の前に来た。
そして、上条の顔を伏し目がちに見てしゅんとした顔をした。
そして、上条の顔を伏し目がちに見てしゅんとした顔をした。
「…バイバイ」
「ん?あと1時間いるんだろ?」
「うん…そうだけど…」
「ん?あと1時間いるんだろ?」
「うん…そうだけど…」
ほんの少しだけ、上目遣いになる。
「バイバイの練習しなきゃ、本当にバイバイできない」
上条は一瞬、美琴のうるんだ瞳に自分が映っているような気がした。
「ばか、明日も会えるよ」
「知ってる。それでも寂しいの」
「知ってる。それでも寂しいの」
美琴は言い返しながら、当麻は一週間みんなと一緒だったけどさ、なんて思う。
自分も上条がいない間に親友たちと会ったりしたが、それはそれだ。
自分も上条がいない間に親友たちと会ったりしたが、それはそれだ。
「分かってるよ」
上条は、そんな美琴の想いを受け止めたかのように、優しい声で答える。
「分からないでしょー、みんなと一緒だったんだから」
それでもやっぱり寂しい気持ちを伝えたいのだ、と美琴は思う。
会えなかった1週間分のひとり占めには、まだ足りない。
会えなかった1週間分のひとり占めには、まだ足りない。
「分かってるって」
「私はずっと自分の半分が無くなっちゃったみたいで…」
「分かってるよ」
「私はずっと自分の半分が無くなっちゃったみたいで…」
「分かってるよ」
美琴の視界が、めいっぱい近付いた上条でいっぱいになった。
「俺も一緒だったんだから」
「…ずるい」
「…ずるい」
何も言えなくなる。
突然のくちづけの余韻が残る唇を指でそっとなで、身体中が熱を帯びるのを意識する。
突然のくちづけの余韻が残る唇を指でそっとなで、身体中が熱を帯びるのを意識する。
普段は自分の気持ちにちっとも気付かないくせに。
思い通りの恋にならない。
「―――好き」
なのに、離れられない。
きっと。
きっと。
ずっと。
とある少女のういういdays―つづく?―