とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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だれでも歓迎! 編集

小ネタ 抱き枕



常盤台のエース、御坂美琴はかつてないほどの笑顔だった。
だがしかし、すれ違う人々は彼女を避けている。無論、彼女が電撃を放っているわけでは無い。
彼女が人一人が入りそうな紙袋を抱きしめながらブツブツと独り言を言っているので、近寄りがたいのだ。

なぜこうなったのか――――原因は数分前のある出来事

美琴はその日はとてつもなく暇だった。
黒子と初春さんはジャッジメントの仕事、佐天さんは補習で会えない。
あのツンツン頭の少年は電話にも出ない。
特に目的も無く街を歩いていた矢先、視界の端にありえないものが映った。
「ソレ」は一般人には需要は無いであろう物だ。(一万人程度の女性達を除いて)
だがしかし、美琴にとって「ソレ」は大好きなゲコ太ぬいぐるみよりもほしいものだった。

「あ、あの…アレください!」

――――店先に置かれていた、「上条さん抱き枕~お前の理性ぶち殺しver~」は。

「えへへ…買っちゃった…これからは毎晩一緒だね♪」

無事に寮まで抱き枕を持ち帰った彼女はやはり上機嫌だった。
抱きしめたり、いたる所にキスしたりと、少々暴走気味である。
しかしこういう時はいつもいつも邪魔が入るものだ。

「お姉さまっ!今帰りまし――――ってなんですのそれは!」

お邪魔虫その1、白井黒子が帰ってきた。

「黒子?うん…いいでしょこれ…これから毎晩当麻といっしょなんだよ…ふふふふふふ」

(お、お姉さま…なんということに…いいえ、まだですわ。あの類人猿には負けられませんの!)

「お姉さま!そんなものより黒子を!黒子を愛してくださいましぃぃぃぃぃぃ!!!」

テレポートからの飛びかかり。普段の美琴なら意表を突かれていたはずだった。

――――しかし、今日の彼女は違っていた。

バチバチィ!

「せ、正確にわたくしだけを…お姉さま、腕をあげましたわ、ね…」

そのままツインテールの少女は突っ伏した。
たしかに、いつもの美琴なら抱き枕を巻き込んでいただろう。
しかしこの抱き枕は美琴が想いを寄せる少年があられもない姿でプリントされている。
これが傷つくのは美琴にとっては上条当麻が傷つくことを意味する。
つまり上条当麻への想いが、抱き枕を守ったのである。

「うふふ…とうまぁ…わたしが守ってあげるからね…」


数日後、ツンツン頭の少年にいきなり抱きつく少女が目撃されたらしいが、詳細は不明である。


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