その悲しみを乗り越えて
「それで?何でアンタはいつもいつもいつもいつも当然のように遅れてくんのよ?」
「すまん美琴!この通りだ!」
「こんな所で土下座すんじゃない!全く…言い訳は後で聞くから、とりあえず行くわよ」
「すまん美琴!この通りだ!」
「こんな所で土下座すんじゃない!全く…言い訳は後で聞くから、とりあえず行くわよ」
時刻は午前9:10分、待ち合わせの時間を10分オーバーして現れた当麻は土下座をする。
美琴の方はいつもの事なので既に諦め顔だ。当麻を立たせると、右手を掴み引っ張るようにしてその場を後にする。
少し歩いた場所にある喫茶店へと入り、店の奥のテーブルに座ると遅刻についての尋問が始まる。
美琴の方はいつもの事なので既に諦め顔だ。当麻を立たせると、右手を掴み引っ張るようにしてその場を後にする。
少し歩いた場所にある喫茶店へと入り、店の奥のテーブルに座ると遅刻についての尋問が始まる。
「それで?今日は何で遅れたのかしら?」
「それが…実はですね、目覚まし時計が壊れてしまいまして…、起きたら既に時間ギリギリだったんですよ」
「何よそれ!?今までで一番酷い言い訳じゃない!」
「すまん!申し訳ない!!」
「そっかー、当麻は私とデートするの楽しみじゃないんだ…、私は毎回早く起きて、準備して、当麻が来るの楽しみに待ってるのに…」
「そんな顔しないで!?本当にごめん!」
「それに電話一つしてこないんだもん…、こっちは待ってる間心配してるってのに」
「それもすまん。携帯が壊れたっぽくて、電源が入らなかったんだ」
「寝坊はともかく、当麻の不幸は相変わらずね。はぁ~まあいいわ、いつもので許してあげる」
「不幸だ…」
「ほほぉ~ぅ、当麻は不服だと?そういうわけね?」
「いえいえ!滅相も御座いません!いつもいつも寛大な措置に感謝してますよ!?」
「だったら私の前で不幸とか言わない!!」
「はい…」
「それじゃ、今日は10分だから2回私の言う事を何でも聞くように。わかったわね?」
「はい…」
「ん、よろしい。んじゃ今日は何しよっか?」
「それが…実はですね、目覚まし時計が壊れてしまいまして…、起きたら既に時間ギリギリだったんですよ」
「何よそれ!?今までで一番酷い言い訳じゃない!」
「すまん!申し訳ない!!」
「そっかー、当麻は私とデートするの楽しみじゃないんだ…、私は毎回早く起きて、準備して、当麻が来るの楽しみに待ってるのに…」
「そんな顔しないで!?本当にごめん!」
「それに電話一つしてこないんだもん…、こっちは待ってる間心配してるってのに」
「それもすまん。携帯が壊れたっぽくて、電源が入らなかったんだ」
「寝坊はともかく、当麻の不幸は相変わらずね。はぁ~まあいいわ、いつもので許してあげる」
「不幸だ…」
「ほほぉ~ぅ、当麻は不服だと?そういうわけね?」
「いえいえ!滅相も御座いません!いつもいつも寛大な措置に感謝してますよ!?」
「だったら私の前で不幸とか言わない!!」
「はい…」
「それじゃ、今日は10分だから2回私の言う事を何でも聞くように。わかったわね?」
「はい…」
「ん、よろしい。んじゃ今日は何しよっか?」
遅れてきた理由は酷かったが、いつもに比べれば早く来た方なので、早々に尋問を終え、罰が確定する。
そして本日のデートの行き先を考える事にする。
そして本日のデートの行き先を考える事にする。
「そうだな、とりあえず携帯を直したいな。美琴は何処行きたい?」
「へ?うーん、あんまり考えて無かったわね。当麻の携帯直してる間にその辺フラフラして、午後から当麻の部屋でのんびりでいいわよ?」
「それでいいのか?」
「うん。他に行きたい所出来たらその時に決めればいいでしょ」
「了解っと、んじゃ早速行きますか?」
「へ?うーん、あんまり考えて無かったわね。当麻の携帯直してる間にその辺フラフラして、午後から当麻の部屋でのんびりでいいわよ?」
「それでいいのか?」
「うん。他に行きたい所出来たらその時に決めればいいでしょ」
「了解っと、んじゃ早速行きますか?」
そう言うと喫茶店を後にする二人。仲良く手を繋いで携帯ショップへ向かう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「――――――――――充電切れですか?」
以前ペア契約した携帯ショップに到着し早速壊れた携帯を見てもらうと思いもしない答えが返ってきた。
「そのよう…ですね、こちらのバッテリーでは正常に動きますので、恐らくは…」
「ちょっとー!アンタ本当に何やってんのよ!?わざわざ恥をかきに来ただけじゃない!」
「まてまて!確かに昨日充電器に挿しておいたんだ!そんな筈は…」
「それでしたら充電器の方に問題があるかもしれませんね。もしくはバッテリーパックの寿命か」
「それなら両方買っていけばいいでしょ?」
「美琴サン?私は苦学生なのですよ?そんなお金はありません」
「そのくらい私が出してあげるから安心なさい」
「まてまて、女の子にお金を出させるのは気が引ける。買うのは壊れてるかどうか調べてからにしようぜ」
「じゃあ手っ取り早く調べる?」
「は?どうやって?」
「こうやって」
「ちょっとー!アンタ本当に何やってんのよ!?わざわざ恥をかきに来ただけじゃない!」
「まてまて!確かに昨日充電器に挿しておいたんだ!そんな筈は…」
「それでしたら充電器の方に問題があるかもしれませんね。もしくはバッテリーパックの寿命か」
「それなら両方買っていけばいいでしょ?」
「美琴サン?私は苦学生なのですよ?そんなお金はありません」
「そのくらい私が出してあげるから安心なさい」
「まてまて、女の子にお金を出させるのは気が引ける。買うのは壊れてるかどうか調べてからにしようぜ」
「じゃあ手っ取り早く調べる?」
「は?どうやって?」
「こうやって」
当麻の携帯からバッテリーパックを取り出すと、パチっと電気を発生させて流し込む。
「ちょ、おま、何やってるんだよ!?」
「何って充電よ、充電。お~こりゃ駄目ね、バッテリーパック死んでるわ。画面真っ暗」
「っておい!それ絶対今ので死んだよな!?」
「こりゃ新品買わなきゃ駄目ね」
「聞いてますか!?ふ、不幸だ…」
「こら当麻!不幸って言うな!」
「何って充電よ、充電。お~こりゃ駄目ね、バッテリーパック死んでるわ。画面真っ暗」
「っておい!それ絶対今ので死んだよな!?」
「こりゃ新品買わなきゃ駄目ね」
「聞いてますか!?ふ、不幸だ…」
「こら当麻!不幸って言うな!」
結局壊れた(壊した?)バッテリーパックを買う事にした当麻。
「仲が良いですね」と店員に冷やかされつつ店を出た二人に見知った顔が話しかけてきた。
「仲が良いですね」と店員に冷やかされつつ店を出た二人に見知った顔が話しかけてきた。
「よォ、三下と超電磁砲じゃねェか、何やってンだァ?こンな所で」
「こんにちわー!ってミサカはミサカは元気良く挨拶してみたりー」
「こんにちわー!ってミサカはミサカは元気良く挨拶してみたりー」
買い物袋をぶら下げた一方通行と、アホ毛をひょこひょこ動かしながら手をぶんぶん振る打ち止めだ。
「おー、一方通行に打ち止めじゃねぇか、お前等こそ何やってるんだ?」
「見て分かンねェのかァ?コーヒー買いに行ってたンだよ」
「ふーん、アンタと会う時っていつもその子連れてるけど…そういう事?」
「ンだァ?どういう事だァ?」
「デートだよ、ってミサカはミサカはデートって事をアピールてみたり!」
「見て分かンねェのかァ?コーヒー買いに行ってたンだよ」
「ふーん、アンタと会う時っていつもその子連れてるけど…そういう事?」
「ンだァ?どういう事だァ?」
「デートだよ、ってミサカはミサカはデートって事をアピールてみたり!」
高らかに宣言した打ち止めは一方通行に抱きつく。「離れろクソガキィ!」という一方通行は若干嬉しそうだ。
それを見た当麻は薄く笑い、美琴はニヤニヤしながら言葉をかける。
それを見た当麻は薄く笑い、美琴はニヤニヤしながら言葉をかける。
「やっぱりデートなの!?あの子達が言ってたロリコンて本当だったのね!」
「誰がロリコンだってンだァ!?テメエ、喧嘩売ってンのかァ?」
「学園都市第一位が実はロリコンなんて…学園都市ももう駄目かもね」
「ハッ!レベル0の三下と付き合ってるテメエに言われたくねェなァ」
「…今のは聞き捨てならないわね、私の彼氏を馬鹿にするなんて…覚悟はいいかしら?」
「ヒャハ!第三位のテメエじゃ俺には何回挑んでも勝てねェンだよ」
「誰がロリコンだってンだァ!?テメエ、喧嘩売ってンのかァ?」
「学園都市第一位が実はロリコンなんて…学園都市ももう駄目かもね」
「ハッ!レベル0の三下と付き合ってるテメエに言われたくねェなァ」
「…今のは聞き捨てならないわね、私の彼氏を馬鹿にするなんて…覚悟はいいかしら?」
「ヒャハ!第三位のテメエじゃ俺には何回挑んでも勝てねェンだよ」
クスクスと笑う美琴に噛み付く一方通行、売り言葉に買い言葉と言った感じでどんどん会話がエスカレートしていく。
「言ってくれるわね、アンタが第一位を名乗ってられるのもここまでよ!」
「ヒャハ、無力なテメエは三下に泣きついてればいいンだよ」
「この…、私を舐めんなぁ―――!!」
「ヒャハ、無力なテメエは三下に泣きついてればいいンだよ」
「この…、私を舐めんなぁ―――!!」
バチバチィ!一方通行より沸点の低かった美琴が電撃を放つが、ベクトル操作によってその方向を逸らされる。
反射して自分に攻撃しない余裕の一方通行に対して美琴の怒りは更に加速する。
反射して自分に攻撃しない余裕の一方通行に対して美琴の怒りは更に加速する。
「この!なんで当たらないのよ!?本当にむかつくわねその能力!」
「テメエの攻撃なンてなァ、寝てても当たンねェンだよ」
「この!この!」
「お前等街中で能力使うのやめろ――――!!」
「ストーップ!ってミサカはミサカは戦う二人を止めに入ってみたり―――!!」
「「うっさい!(うっせェ!)」」
「テメエの攻撃なンてなァ、寝てても当たンねェンだよ」
「この!この!」
「お前等街中で能力使うのやめろ――――!!」
「ストーップ!ってミサカはミサカは戦う二人を止めに入ってみたり―――!!」
「「うっさい!(うっせェ!)」」
二人を制止しようとした二人に怒鳴る。当麻はやれやれと肩をすくめ、打ち止めはビクッとすると涙目になった。
「あ~よしよし、あんなのはもう無視してクレープでも食うか?」
涙目になりアホ毛がしおしおになった打ち止めに声を掛ける当麻。
するとしおれていたアホ毛が途端に元気になり、目をキラキラと輝かせる。
するとしおれていたアホ毛が途端に元気になり、目をキラキラと輝かせる。
「食べる食べる!ってミサカはミサカは突然の提案に喜んでみる!」
「おま、復活早いな…」
「だって魅力的なお誘いなんだものー、ってミサカはミサカは食べ物に釣られてみる!
あ、いちごクレープ1つ、ってミサカはミサカは既に注文してみたり!!」
「早っ!!えーっとチョコバナナも1つお願いします」
「おま、復活早いな…」
「だって魅力的なお誘いなんだものー、ってミサカはミサカは食べ物に釣られてみる!
あ、いちごクレープ1つ、ってミサカはミサカは既に注文してみたり!!」
「早っ!!えーっとチョコバナナも1つお願いします」
言うが早いか、打ち止めはダッシュでクレープ屋まで走り既に注文をしていた。
注文を済ませクレープを受け取ると近くのベンチに座る二人、少し離れたところでは相変わらず第一位と第三位がどっかんどっかんやっている。
注文を済ませクレープを受け取ると近くのベンチに座る二人、少し離れたところでは相変わらず第一位と第三位がどっかんどっかんやっている。
「ったくあいつ等は…もうちょっと他人の迷惑を考えられないのか?」
「あの人が上手い事電撃を…ムグムグ…逸らしてるから大丈夫、ってミヒャカはミヒャカ…ムグムグ…ってみたりー」
「そういう問題じゃないけどな…」
「いざとなったら代理演算切っちゃうから安心して、ってミサカはミサカは最終兵器について口に出してみたり!
それよりそっちのも美味しそう…ってミサカはミサカは他人のものに興味を示してみる!」
「なんだ?こっちのが食べたいのか?ほれ」
「あの人が上手い事電撃を…ムグムグ…逸らしてるから大丈夫、ってミヒャカはミヒャカ…ムグムグ…ってみたりー」
「そういう問題じゃないけどな…」
「いざとなったら代理演算切っちゃうから安心して、ってミサカはミサカは最終兵器について口に出してみたり!
それよりそっちのも美味しそう…ってミサカはミサカは他人のものに興味を示してみる!」
「なんだ?こっちのが食べたいのか?ほれ」
差し出されたチョコバナナクレープをぱくりと食べる打ち止め。『おいし~』と言うその表情は綻び、癒しのオーラを出している。
「それじゃあお礼にこっちのもどーぞ、ってミサカはミサカはいちごクレープをお義兄様に差し出してみる」
「いいのか?それじゃ遠慮なく」
「あ~ん、ってミサカはミサカは一度やってみたかった事をしてみたり!」
「いいのか?それじゃ遠慮なく」
「あ~ん、ってミサカはミサカは一度やってみたかった事をしてみたり!」
今度は当麻が差し出されたクレープを一口、あ~んという言葉にちょっと照れる。
そんな反応を見て打ち止めもなんだか嬉しい気分になり、心なしかアホ毛が楽しそうに揺らいでいる。
第一位VS第三位という珍しいバトルを見ながらクレープを頬張る二人。
当麻のほうをちらりと見た打ち止めはある物に気付き目を光らせる。
そんな反応を見て打ち止めもなんだか嬉しい気分になり、心なしかアホ毛が楽しそうに揺らいでいる。
第一位VS第三位という珍しいバトルを見ながらクレープを頬張る二人。
当麻のほうをちらりと見た打ち止めはある物に気付き目を光らせる。
「口元にクリームが付いてるよ、ってミサカはミサカは指摘してみる」
「ん?どこだ?」
「ダメー!取ってあげるね、ってミサカはミサカはミサカネットワークで仕入れた知識を試してみたり!」
「ん?どこだ?」
「ダメー!取ってあげるね、ってミサカはミサカはミサカネットワークで仕入れた知識を試してみたり!」
そう言うと、当麻の口元に付いたクリームを指で掬い、そのままペロッと舐める。
えへへーと笑う打ち止めにややドキドキした当麻。そこは既にほのぼの空間が出来上がっていた。
その光景は、端から見れば仲のよい兄妹がクレープを食べている様に見える。
…あの二人以外は。
えへへーと笑う打ち止めにややドキドキした当麻。そこは既にほのぼの空間が出来上がっていた。
その光景は、端から見れば仲のよい兄妹がクレープを食べている様に見える。
…あの二人以外は。
「当麻、アンタ一体何やってるわけ?」
「三下ァ…テメエ死にてェらしいなァ…」
「ちょろっと目を離した隙に目の前でいちゃいちゃいちゃいちゃ…」
「覚悟はいいなァ?三下ァ」
「三下ァ…テメエ死にてェらしいなァ…」
「ちょろっと目を離した隙に目の前でいちゃいちゃいちゃいちゃ…」
「覚悟はいいなァ?三下ァ」
バチバチと帯電する美琴にゆらゆらと近づいてくる一方通行。
当麻はそんな二人を見て死を覚悟する。そこに助けを出す小さい天使が現れる。というか隣にいた。
当麻はそんな二人を見て死を覚悟する。そこに助けを出す小さい天使が現れる。というか隣にいた。
「お義兄様とミサカを無視してた二人が一体今更何の用?ってミサカはミサカは邪魔された事に憤慨してみる!」
「なン…だとォ…?」
「ちょっと!邪魔ってどういうことよ!?それにそこは私の席なのよ!?」
「なン…だとォ…?」
「ちょっと!邪魔ってどういうことよ!?それにそこは私の席なのよ!?」
打ち止めの冷たい声にたじろぐ一方通行。美琴のほうは指定席(当麻の隣)を指差し抗議する。
そんな二人の事を無視して打ち止めは更に続ける。
そんな二人の事を無視して打ち止めは更に続ける。
「大体あなたたちは他人に迷惑をかけたんだから、まずはその人たちに頭を下げてきなさい!
ってミサカはミサカはあそこで迷惑そうな顔をしている人たちを指差してみる!」
ってミサカはミサカはあそこで迷惑そうな顔をしている人たちを指差してみる!」
ビシィ!と打ち止めが指差すとズバァ!と視線を逸らす人々。
「ンだァ?誰もこっち見てねェじゃねェか?」
「そうね、別に迷惑は掛けてないみたいよ?」
「あれれ?なんで向こう向いちゃうの?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
「そりゃああんなの見た後で視線なんか合わせられないだろ…」
「ンじゃ死ンどけ、三下ァ」
「そうね、別に迷惑は掛けてないみたいよ?」
「あれれ?なんで向こう向いちゃうの?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
「そりゃああんなの見た後で視線なんか合わせられないだろ…」
「ンじゃ死ンどけ、三下ァ」
その言葉と共に当麻に襲い掛かる一方通行、だがあと一歩というところでガクンっと体が崩れ落ちる。
代理演算の停止、それだけで彼の体は自由を無くす。
代理演算の停止、それだけで彼の体は自由を無くす。
「アナタはそこでミサカがいいって言うまで反省しててね、ってミサカはミサカは冷たく言ってみる。
お姉様も!この人が電撃を逃がしてなかったら街はどうなってたの?ってミサカはミサカは真剣な顔で問い詰めてみる」
「う…それは…」
「分かっているなら早く皆に謝ってきてね、ってミサカはミサカはにっこり微笑んでみる」
「…わかったわよぅ…なんで私が…」
お姉様も!この人が電撃を逃がしてなかったら街はどうなってたの?ってミサカはミサカは真剣な顔で問い詰めてみる」
「う…それは…」
「分かっているなら早く皆に謝ってきてね、ってミサカはミサカはにっこり微笑んでみる」
「…わかったわよぅ…なんで私が…」
強制的に無力化され目の前で当麻にあ~んされる打ち止めを見るという拷問を受ける第一位、
正論に負け渋々通行人に謝りに行く第三位。…学園都市の最強が誕生した瞬間だった。
正論に負け渋々通行人に謝りに行く第三位。…学園都市の最強が誕生した瞬間だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「むー」
「お~い、美琴さーん何時まで拗ねてるんですかね?」
「お~い、美琴さーん何時まで拗ねてるんですかね?」
あの後、通行人に謝り終えた美琴に「意地悪してごめんなさい」と丁寧に謝った打ち止めは、拷問を受けて、
憔悴しきった一方通行と共に帰っていった。その場に残された二人だが、美琴は少しむくれていた。
憔悴しきった一方通行と共に帰っていった。その場に残された二人だが、美琴は少しむくれていた。
「何よ、アンタは私よりあの子の方が可愛いんでしょ」
「妹、しかもまだ子供の打ち止めに嫉妬すんなよ…」
「む!その言い方はあの子が傷つくわよ!それに、食べ比べなんて…私だって…あんまりした事ないのに…」
「なんだ?羨ましかったのか?」
「…そーよ、悪い?」
「そっか、悪かったな、ちょっと配慮が足りなかった」
「…今回はあの子だったから許すけど、もうあんなことしないでよ?当麻は私のなんだから…」
「ああ、分かった」
「よし、ならお詫びとして一緒にクレープ食べなさい!」
「えーと、私は先ほど既に食べていますのでもういいです…はい」
「アンタねぇ…空気読みなさいよ…わかった、朝の罰一回目はこれで…」
「妹、しかもまだ子供の打ち止めに嫉妬すんなよ…」
「む!その言い方はあの子が傷つくわよ!それに、食べ比べなんて…私だって…あんまりした事ないのに…」
「なんだ?羨ましかったのか?」
「…そーよ、悪い?」
「そっか、悪かったな、ちょっと配慮が足りなかった」
「…今回はあの子だったから許すけど、もうあんなことしないでよ?当麻は私のなんだから…」
「ああ、分かった」
「よし、ならお詫びとして一緒にクレープ食べなさい!」
「えーと、私は先ほど既に食べていますのでもういいです…はい」
「アンタねぇ…空気読みなさいよ…わかった、朝の罰一回目はこれで…」
相手が打ち止めということもあり、今回は特別に許しを出す。そして自分も同じ事がしたくて提案をするが断られてしまう。
遅刻の罰を使おうとした美琴だが突然横から声を掛けられ、その言葉は遮られる。
遅刻の罰を使おうとした美琴だが突然横から声を掛けられ、その言葉は遮られる。
「こんにちわ、とミサカは唐突に会話に割り込みつつ挨拶します」
「ちょっといきなり割り込んでこないでよ!」
「お~す、御坂妹、こないだは世話になったな…ん?ネックレスが無い?」
「このミサカは10039号です、とミサカは個体番号を告げあのミサカではない事を説明します」
「…なんか用?私達デート中なんだけど」
「何をそんなに苛立っているのですか?とミサカは理由を知りつつも問いかけます」
「アンタ、おちょくってんの?」
「その短気な性格は早めに直したほうがいいですよ、とミサカはカルシウム不足であろうお姉さまにアドバイスを送ります」
「御坂妹、あんまりからかわないでやってくれるか?美琴の奴今苛立ってるから」
「お義兄様がそれを言いますか、とミサカは苛立たせた張本人の言葉に呆れ果てます。
それはいいとして、本題なのですが、ここに映画と水族館のチケットがあります、とミサカはポケットから三枚のチケットを取り出します」
「なになに?『とあるゲコ太の日常』だって?なんじゃそりゃ?」
「ゲコ太!?」
「ちょっといきなり割り込んでこないでよ!」
「お~す、御坂妹、こないだは世話になったな…ん?ネックレスが無い?」
「このミサカは10039号です、とミサカは個体番号を告げあのミサカではない事を説明します」
「…なんか用?私達デート中なんだけど」
「何をそんなに苛立っているのですか?とミサカは理由を知りつつも問いかけます」
「アンタ、おちょくってんの?」
「その短気な性格は早めに直したほうがいいですよ、とミサカはカルシウム不足であろうお姉さまにアドバイスを送ります」
「御坂妹、あんまりからかわないでやってくれるか?美琴の奴今苛立ってるから」
「お義兄様がそれを言いますか、とミサカは苛立たせた張本人の言葉に呆れ果てます。
それはいいとして、本題なのですが、ここに映画と水族館のチケットがあります、とミサカはポケットから三枚のチケットを取り出します」
「なになに?『とあるゲコ太の日常』だって?なんじゃそりゃ?」
「ゲコ太!?」
ゲコ太という単語に敏感に反応する美琴。目をキラキラさせチケットを見る。すると…
「流石はお姉様、とミサカは予想通りの反応にほくそ笑みます。しかし映画のチケットは一枚しかありません、とミサカは報告します。
どちらも今日までですので、お二人に譲ろうと思ったのですが、どうしますか?とミサカは問いかけます」
どちらも今日までですので、お二人に譲ろうと思ったのですが、どうしますか?とミサカは問いかけます」
その言葉に美琴は気付く、自分がゲコ太を選べば当麻と妹は水族館、水族館を選べば公開最終日のゲコ太は見れない。
当麻かゲコ太。どちらか選べという事だ。当然選ばないという手段もある。
当麻かゲコ太。どちらか選べという事だ。当然選ばないという手段もある。
「クッ!卑怯よアンタ!こんな残酷な選択を迫るなんて!!」
「はて?何のことですか?とミサカは内心ニヤニヤしつつ、しれっと言ってのけます」
「はて?何のことですか?とミサカは内心ニヤニヤしつつ、しれっと言ってのけます」
当麻と一緒に居たい、でもゲコ太見たい一緒に居たい見たい居たい見たい居たい…
そんな風にブツブツと呟く彼女を見た当麻はため息を付く。
そんな風にブツブツと呟く彼女を見た当麻はため息を付く。
「はぁ…俺はゲコ太と同列なのか…不幸だ…」
「!?」
「!?」
その言葉にハッと我に返る美琴。その瞳から迷いは消えていた。
「わかったわ、水族館のチケット貰っていい?」
「…勿論ですよ、とミサカはお義兄様の言葉を恨みつつ了承します」
「え?俺ですか!?」
「…勿論ですよ、とミサカはお義兄様の言葉を恨みつつ了承します」
「え?俺ですか!?」
美琴が手を伸ばし、10039号からチケットを取ろうとした瞬間、スッと動かされ映画のチケットを掴まされる。
「ちょっと!何すんのよ!?」
「これでお姉様は映画ですね、とミサカは己の策士っぷりを自画自賛してみます。
ちなみに返品は受け付けません、とミサカは暗に行ってこいと告げます。
ではお義兄様、あまり時間も無いのでミサカと一緒に水族館へ行きましょう、とミサカは急かします」
「まてまて、わりーけど美琴を置いては行けねーよ、だからなんだ、すまん」
「当麻…」
「即答かよ!とミサカはツッコミを入れつつも内心で喜びます」
「これでお姉様は映画ですね、とミサカは己の策士っぷりを自画自賛してみます。
ちなみに返品は受け付けません、とミサカは暗に行ってこいと告げます。
ではお義兄様、あまり時間も無いのでミサカと一緒に水族館へ行きましょう、とミサカは急かします」
「まてまて、わりーけど美琴を置いては行けねーよ、だからなんだ、すまん」
「当麻…」
「即答かよ!とミサカはツッコミを入れつつも内心で喜びます」
10039号のお誘いを即断る当麻、10039号は表情を少しだけ緩めると、もう一度ポケットに手を入れ、紙切れを出すと当麻に渡す。
「これは?」
「おっと、これはうっかりしていました、とミサカはわざとらしく二枚目のチケットを渡します」
「アンタ…どういうことよ?」
「実は初めから二枚持っていました。更に水族館のチケットはただの紙切れです、とミサカはぶっちゃけます
お二人がどのような反応をするか見たかっただけです、とミサカは悪戯の全容を語ります。
お義兄様は完璧ですがお姉様は…まだまだですね、とミサカはお姉様の愛の足りなさに嘆息します」
「人の愛を試すような事すんな!いいじゃない!ゲコ太好きなんだから!!」
「おっと、これはうっかりしていました、とミサカはわざとらしく二枚目のチケットを渡します」
「アンタ…どういうことよ?」
「実は初めから二枚持っていました。更に水族館のチケットはただの紙切れです、とミサカはぶっちゃけます
お二人がどのような反応をするか見たかっただけです、とミサカは悪戯の全容を語ります。
お義兄様は完璧ですがお姉様は…まだまだですね、とミサカはお姉様の愛の足りなさに嘆息します」
「人の愛を試すような事すんな!いいじゃない!ゲコ太好きなんだから!!」
ため息を付き、首を左右に振る10039号。その仕草を見た美琴は顔を少し赤くして10039号に噛み付く。
それをしれっとした顔で受け流す10039号は近くの時計を見ると言葉を発する。
それをしれっとした顔で受け流す10039号は近くの時計を見ると言葉を発する。
「そんな事はいいですから、早く移動した方が良いですよ、とミサカは映画館に行くように促します」
「いいのか?タダで貰っちまって?」
「構いませんよ、とミサカは先ほどのお姉様の迷いっぷりをミサカネットワークに流しつつ頷きます」
「ちょ、こら!勝手に人の様子を広めないでよ!?」
「これが代金だと思ってくれれば良いです、とミサカはプライスレスの秘蔵映像の入手に満足します…フフ、フフフ…」
「いいのか?タダで貰っちまって?」
「構いませんよ、とミサカは先ほどのお姉様の迷いっぷりをミサカネットワークに流しつつ頷きます」
「ちょ、こら!勝手に人の様子を広めないでよ!?」
「これが代金だと思ってくれれば良いです、とミサカはプライスレスの秘蔵映像の入手に満足します…フフ、フフフ…」
美琴の言葉を無視して、では、と軽くお辞儀をして歩き去る10039号。あの思い出したかのように浮かべる笑みは健在だ。
「…なんだかあの子の将来がすごく心配だわ…」
「ん、ん~、そう…だな?」
「ふー、まあ折角だし行きましょ?多分あの子の事だから世話を焼きに来たと思うの」
「お?もうそんな風に考えれるようになったのか?感心感心」
「このチケットをあの子が私達に用意してくれたなら、思いっきり楽しんでこそあの子の為なのよ!」
「とか言いつつ本当はゲコ太」「うっさい!早く行くわよ!」
「ん、ん~、そう…だな?」
「ふー、まあ折角だし行きましょ?多分あの子の事だから世話を焼きに来たと思うの」
「お?もうそんな風に考えれるようになったのか?感心感心」
「このチケットをあの子が私達に用意してくれたなら、思いっきり楽しんでこそあの子の為なのよ!」
「とか言いつつ本当はゲコ太」「うっさい!早く行くわよ!」
当麻の的を射た発言に思わず声を上げる美琴。腕を掴み、引きずるようにして映画館に向かって歩いていく。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あ~!面白かったわね!」
「あ、ああ…良いんじゃないか?たまにはこういうのんびりした映画も」
「なんか引っかかる言い方だけどまあいいわ。さてさてゲコ太グッズを見てきましょうかね、あの子のお土産も見たいし」
(美琴の一喜一憂する姿に見とれてて全く見てなかったなんて言えねぇな…)
「あ、ああ…良いんじゃないか?たまにはこういうのんびりした映画も」
「なんか引っかかる言い方だけどまあいいわ。さてさてゲコ太グッズを見てきましょうかね、あの子のお土産も見たいし」
(美琴の一喜一憂する姿に見とれてて全く見てなかったなんて言えねぇな…)
そう言うと売店に向かっていく美琴。その瞳は既に獲物を狙う狩人のようになっていた。
『ふんふんふ~ん♪』っと鼻歌混じりにグッズを見て回る美琴。暫く見た所でその動きがピタリと止まる。
『ふんふんふ~ん♪』っと鼻歌混じりにグッズを見て回る美琴。暫く見た所でその動きがピタリと止まる。
「…」
「ん?どうした美琴?」
「…」
「ん?どうした美琴?」
「…」
突然黙り込んだ美琴が心配になり声を掛ける当麻。しかし、考え込むようにしてる彼女からの為返事はない。
難しいような、それでいてどこか悲しそうな表情を浮かべる美琴は、手を伸ばしては引っ込める、という事を繰り返している。
当麻が美琴の左手を何も言わずに握ると、一瞬ビクッとする。そして少しの間を置き、それを手に取る。
難しいような、それでいてどこか悲しそうな表情を浮かべる美琴は、手を伸ばしては引っ込める、という事を繰り返している。
当麻が美琴の左手を何も言わずに握ると、一瞬ビクッとする。そして少しの間を置き、それを手に取る。
「ごめん、この後あの子の所に行きたいんだけど、一緒に来てくれないかな?」
「ああ、いいぜ」
「ありがと」
「ああ、いいぜ」
「ありがと」
彼女の問いかけに頷き、繋いだ手を少しだけ強く握る。美琴は少しだけ安心したようにその表情を緩めると、お土産を買う。
映画館を後にした二人は病院に向かって歩いているが、会話はない。美琴は少し俯き、紙袋を大事そうに右手で抱え込むようにしている。
当麻はそんな彼女の左手をしっかりと握り、言葉を待つ。
映画館を後にした二人は病院に向かって歩いているが、会話はない。美琴は少し俯き、紙袋を大事そうに右手で抱え込むようにしている。
当麻はそんな彼女の左手をしっかりと握り、言葉を待つ。
「…当麻、聞いて欲しいことがあるの」
病院が見えてきた所で急に立ち止まり声を発する美琴。当麻はああ、っと短く返事をすると美琴は語り出す。
過去の事、そして今から自分がやろうとしている事を。当麻は黙ってその言葉を聞く。そして全てを聞き終えると口を開く。
過去の事、そして今から自分がやろうとしている事を。当麻は黙ってその言葉を聞く。そして全てを聞き終えると口を開く。
「大丈夫なのか?」
「…わかんない、もしこれを付き返されたらと思うと…でも私はあの日の言葉を信じたから…あの子達は私の心の闇に立ち向かってくれた。
だから私も自分の過去に向き合う」
「そっか、…力になれないかもしれないけど、俺は美琴の側にずっといるからな」
「うん、ありがとう。じゃあ行きましょ」
「…わかんない、もしこれを付き返されたらと思うと…でも私はあの日の言葉を信じたから…あの子達は私の心の闇に立ち向かってくれた。
だから私も自分の過去に向き合う」
「そっか、…力になれないかもしれないけど、俺は美琴の側にずっといるからな」
「うん、ありがとう。じゃあ行きましょ」
しっかりと繋がれた手から感じる僅かな震えを払うように強く握られた手。その温もりを感じながら病院へと入っていく。
そして例の医師にミサカ10039号に会いたい事を告げると、彼女の部屋に案内される。
そして例の医師にミサカ10039号に会いたい事を告げると、彼女の部屋に案内される。
「…」
「おい、本当に大丈夫か?」
「…当麻はここで待ってて、当麻がいると甘えが出てしまうかもしれないから。大丈夫、ちゃんと伝える事を伝えてくるから」
「…分かった、頑張れよ」
「おい、本当に大丈夫か?」
「…当麻はここで待ってて、当麻がいると甘えが出てしまうかもしれないから。大丈夫、ちゃんと伝える事を伝えてくるから」
「…分かった、頑張れよ」
心配する当麻の手を一度だけぎゅっと握った美琴は顔を上げ、10039号のいる部屋へと入る。
部屋の中には常盤台の制服を着て椅子に座り、のんびりとお茶を飲んでいる10039号がいた。
誰かが入室した事に気付き振り向く10039号。美琴だと分かると持っていた湯飲みを置いて、立ち上がる。
部屋の中には常盤台の制服を着て椅子に座り、のんびりとお茶を飲んでいる10039号がいた。
誰かが入室した事に気付き振り向く10039号。美琴だと分かると持っていた湯飲みを置いて、立ち上がる。
「お姉様ではありませんか、とミサカは突然の訪問に驚きます。
…?お義兄様はどうされたのですか?とミサカはお義兄様の姿が見えないことを疑問に思ってみます」
…?お義兄様はどうされたのですか?とミサカはお義兄様の姿が見えないことを疑問に思ってみます」
おかしいですね?と首を傾げる10039号。デートをしている事は知っているので、一緒にいない事を疑問に思っている様だ。
「当麻は部屋の外で待ってるわ、それよりアンタに話があるんだけど…」
「なんでしょうか?とミサカはお姉様の様子がおかしいと思いつつ頷きます。
もしや映画が楽しくなかったとかでしょうか?とミサカは少々不安になりながら問いかけます」
「ううん、映画は楽しかったわよ。ありがとね、わざわざチケットを取ってくれて」
「礼には及びません、あれはミサカが勝手にやった事ですので、とミサカは不安が解消され胸を撫で下ろします」
「それでね、アンタに渡したい物があるの」
「なんでしょうか?とミサカはお姉様の様子がおかしいと思いつつ頷きます。
もしや映画が楽しくなかったとかでしょうか?とミサカは少々不安になりながら問いかけます」
「ううん、映画は楽しかったわよ。ありがとね、わざわざチケットを取ってくれて」
「礼には及びません、あれはミサカが勝手にやった事ですので、とミサカは不安が解消され胸を撫で下ろします」
「それでね、アンタに渡したい物があるの」
真剣な眼差しで10039号を見つめる美琴。顔は強張り、全身に力が入っている。
一度だけ深呼吸をすると両手で大事そうに抱えていた紙袋を10039号の前に差し出す。
一度だけ深呼吸をすると両手で大事そうに抱えていた紙袋を10039号の前に差し出す。
「これ、映画のお礼。喜んでくれるか分からないけど…」
「!?わざわざその為に来てくれたのですか!?とミサカはお姉様の心遣いに感激しつつ紙袋を受け取ります。
早速開けても良いですか?とミサカは今すぐ開けたい衝動を抑えつつお姉様に確認を取ります」
「うん…」
「!?わざわざその為に来てくれたのですか!?とミサカはお姉様の心遣いに感激しつつ紙袋を受け取ります。
早速開けても良いですか?とミサカは今すぐ開けたい衝動を抑えつつお姉様に確認を取ります」
「うん…」
10039号は紙袋を受け取るとそわそわと落ち着かない様子で美琴と紙袋を交互に見つめ、開けて良いのかを聞く。
許可が下りると、待ってましたと言わんばかりに袋を開け、中身を取り出すとそれを手の平に乗せる。
それは…ゲコ太のイラストが描かれたバッジだった。
美琴は10039号の動きを見つめたまま動かない。いや、動けないでいた。
許可が下りると、待ってましたと言わんばかりに袋を開け、中身を取り出すとそれを手の平に乗せる。
それは…ゲコ太のイラストが描かれたバッジだった。
美琴は10039号の動きを見つめたまま動かない。いや、動けないでいた。
「そういうことでしたか、とミサカはお姉様の様子がおかしい理由を悟ります
…何故ミサカにこれを?とミサカはお姉様に問いかけます」
「…映画館でアンタにお土産を選んでた時にそれを見つけたの。そしたらあの子の事を思い出しちゃってね…。
ごめん、アンタがあの子じゃないのは分かってるけど、それを見たときアンタにそれを渡したいと思ったの…」
「お姉様はあのミサカの事をどう思っているのですか?とミサカは心を鬼にしながら質問を続けます」
…何故ミサカにこれを?とミサカはお姉様に問いかけます」
「…映画館でアンタにお土産を選んでた時にそれを見つけたの。そしたらあの子の事を思い出しちゃってね…。
ごめん、アンタがあの子じゃないのは分かってるけど、それを見たときアンタにそれを渡したいと思ったの…」
「お姉様はあのミサカの事をどう思っているのですか?とミサカは心を鬼にしながら質問を続けます」
質問を続ける10039号、過去の記憶に立ち向かっていると感じた彼女は「気にしなくて良い」という言葉を飲み込む。
ここで無用な優しさを掛けてしまっては彼女の為にならないと思ったからだ。
ここで無用な優しさを掛けてしまっては彼女の為にならないと思ったからだ。
「あの子は私が初めて出会った妹達だった、最初は戸惑ったけど、一緒に街を歩いたりアイスを食べたりお茶を飲んだり…
バッジを取り合ったり…本当の姉妹みたいだなと思った。でもあの子は…」
「では、あのミサカとの思い出は辛いものですか?とミサカはお姉様の言葉を遮りつつ次の質問をします」
「…辛いし悲しいけど、でもそれだけじゃない、一緒に過ごした時間はとても楽しい時間だった…」
「ミサカもですよ、とミサカはお姉様と同じ気持ちだという事を伝えます」
「え…」
「ミサカはあのミサカではありませんが、あのミサカの記憶は共有しています、とミサカは説明します
あの時のミサカはまだ感情が希薄だった為、曖昧ではありますが、
お姉様に初めて会ったあの日は楽しい出来事として今も尚、ミサカに残っています、とミサカは当時を思い出しながら目を細めます。
それにお姉様があのミサカの事を忘れずに、またその死を悼んでくれた事を嬉しく思います。とミサカは率直な感想を述べます。」
「アンタはそんな風に思ってくれてたんだ…ありがとね。…私はあの日の事は忘れないわよ…」
バッジを取り合ったり…本当の姉妹みたいだなと思った。でもあの子は…」
「では、あのミサカとの思い出は辛いものですか?とミサカはお姉様の言葉を遮りつつ次の質問をします」
「…辛いし悲しいけど、でもそれだけじゃない、一緒に過ごした時間はとても楽しい時間だった…」
「ミサカもですよ、とミサカはお姉様と同じ気持ちだという事を伝えます」
「え…」
「ミサカはあのミサカではありませんが、あのミサカの記憶は共有しています、とミサカは説明します
あの時のミサカはまだ感情が希薄だった為、曖昧ではありますが、
お姉様に初めて会ったあの日は楽しい出来事として今も尚、ミサカに残っています、とミサカは当時を思い出しながら目を細めます。
それにお姉様があのミサカの事を忘れずに、またその死を悼んでくれた事を嬉しく思います。とミサカは率直な感想を述べます。」
「アンタはそんな風に思ってくれてたんだ…ありがとね。…私はあの日の事は忘れないわよ…」
悲しい記憶はそう簡単に癒える事はない。一週間前の流星の日に伝えた妹達の想い。それでも美琴の心には未だに大きな傷が残ってしまっている。
辛そうに歪む顔を10039号は見ていられなかった。そしてこの状況で自分にできる事を考える。そして
辛そうに歪む顔を10039号は見ていられなかった。そしてこの状況で自分にできる事を考える。そして
「お姉様があのミサカの事を覚えててくれるのは嬉しいのですが、
それがお姉様の足枷になってしまうのはあのミサカ…死んでいった妹達は誰一人望まないでしょう、とミサカは記憶を受け継いだ者として述べてみます」
「…アンタは、本当に優しいわね」
「お姉様の妹ですから。それに妹達の事でこれ以上辛い思いをさせてしまうのは、妹達にとって、とても耐え難い事なのです、
とミサカは辛そうなお姉様の顔を見て心を痛めます」
「…」
「…お姉様はこのバッジにどんな想いを込めましたか?とミサカは真剣な眼差しでお姉様を見つめます」
「…あの出会いをただの悲しい記憶のままにしておきたくなかった。あの子の死を乗り越えて、前に進みたいと思った。
だからそのバッジには死んでいった妹達の分まで幸せになるっていう想いと、今いる妹達を幸せに…今度は絶対に守るっていう想いを込めたの」
「そうですか、とミサカはお姉様の言葉を深く胸に刻み込みます」
それがお姉様の足枷になってしまうのはあのミサカ…死んでいった妹達は誰一人望まないでしょう、とミサカは記憶を受け継いだ者として述べてみます」
「…アンタは、本当に優しいわね」
「お姉様の妹ですから。それに妹達の事でこれ以上辛い思いをさせてしまうのは、妹達にとって、とても耐え難い事なのです、
とミサカは辛そうなお姉様の顔を見て心を痛めます」
「…」
「…お姉様はこのバッジにどんな想いを込めましたか?とミサカは真剣な眼差しでお姉様を見つめます」
「…あの出会いをただの悲しい記憶のままにしておきたくなかった。あの子の死を乗り越えて、前に進みたいと思った。
だからそのバッジには死んでいった妹達の分まで幸せになるっていう想いと、今いる妹達を幸せに…今度は絶対に守るっていう想いを込めたの」
「そうですか、とミサカはお姉様の言葉を深く胸に刻み込みます」
美琴のバッジに込めた想いを聞いた10039号は目を瞑ると手の平に乗せていたバッジを両手で胸に抱き寄せる。
そして目を開くと右手の手の平に乗せたバッジをスッっと美琴の前に差し出しす。
美琴は付き返されたのかと思い一瞬ビクッとするが、そのまま10039号の言葉を待つ。すると…
そして目を開くと右手の手の平に乗せたバッジをスッっと美琴の前に差し出しす。
美琴は付き返されたのかと思い一瞬ビクッとするが、そのまま10039号の言葉を待つ。すると…
「では、このバッジをミサカに付けてください、とミサカはお姉様に催促します」
「…私が付けていいの?それを受け取ってくれるの?」
「勿論です、とミサカは即答します。その上でお姉様に付けていただきたいのですよ、とミサカは再度お姉様に催促します」
「うん、わかった」
「…私が付けていいの?それを受け取ってくれるの?」
「勿論です、とミサカは即答します。その上でお姉様に付けていただきたいのですよ、とミサカは再度お姉様に催促します」
「うん、わかった」
少しだけ震える手で10039号の手の平からバッジを取り、しゃがみ込んでバッジを付ける。…あの時と同じ場所に。
立ち上がり10039号を見る美琴。そこには左手でバッジを撫でながら、その表情を綻ばせている10039号の姿があった。
―――瞬間、美琴はその姿に9982号を見た。そして息を詰まらせ10039号に抱きつく。
立ち上がり10039号を見る美琴。そこには左手でバッジを撫でながら、その表情を綻ばせている10039号の姿があった。
―――瞬間、美琴はその姿に9982号を見た。そして息を詰まらせ10039号に抱きつく。
「ごめん!ごめんね!守ってあげられなくて!辛い目に遭ってるのに気付いてあげられなくて!
アンタ達の分まで幸せになるから!この子達を幸せにするから!だから、だから…ずっと見守っててね…」
アンタ達の分まで幸せになるから!この子達を幸せにするから!だから、だから…ずっと見守っててね…」
堪えきれなくなった感情が堰を切ったように溢れ出す。頬を伝う涙が10039号の制服を濡らしていく。
そんな美琴の姿にやれやれと肩をすくめる10039号。そのまま美琴を抱きしめてよしよしと頭を撫でる。
そんな美琴の姿にやれやれと肩をすくめる10039号。そのまま美琴を抱きしめてよしよしと頭を撫でる。
「全く、これではどちらが姉なのか分かりませんね、とミサカはお姉様の泣き虫っぷりに思わず頭を撫でてみます。
…ではミサカもこのバッジに想いを込めましょう、とミサカは今だ泣き続けるお姉さまに宣言します」
…ではミサカもこのバッジに想いを込めましょう、とミサカは今だ泣き続けるお姉さまに宣言します」
そう言うと抱きしめる力を少し強める10039号。美琴は泣きながらも妹の言葉に耳を傾ける。
「妹達はいつでも、何処でもお姉様の幸せの為にあり続け、死んでいった10031人の妹達の分まで幸せになります、
とミサカはゲコ太のバッジに妹達の想いを込めます」
「…ありがとう、本当にありがとう!」
「さ、もういい加減泣き止んでください、とミサカは制服が濡れてきた事を隠しつつお姉様に告げます」
「もうちょっとだけこのままでいさせて…」
「それは構いませんが、ミサカネットワーク内で重大な問題が発生しました、とミサカは非常事態であることを告げます」
「…え?」
とミサカはゲコ太のバッジに妹達の想いを込めます」
「…ありがとう、本当にありがとう!」
「さ、もういい加減泣き止んでください、とミサカは制服が濡れてきた事を隠しつつお姉様に告げます」
「もうちょっとだけこのままでいさせて…」
「それは構いませんが、ミサカネットワーク内で重大な問題が発生しました、とミサカは非常事態であることを告げます」
「…え?」
10039号の言葉に顔を上る美琴。どうしたのだろうと思っていると、バァン!!と扉が勢い良く開けられ二人の妹達が入ってきた。
御坂妹(10032号)と19090号だ。彼女達は部屋の扉を閉めるとつかつかと歩み寄り、抱き合っている二人を引き剥がす。
その顔は少し怒っているように見える。突然の事態に目を白黒させる美琴だが、彼女を無視して二人は10039号に詰め寄る。
御坂妹(10032号)と19090号だ。彼女達は部屋の扉を閉めるとつかつかと歩み寄り、抱き合っている二人を引き剥がす。
その顔は少し怒っているように見える。突然の事態に目を白黒させる美琴だが、彼女を無視して二人は10039号に詰め寄る。
「抜け駆けとはいい度胸です、とミサカはお姉様のプレゼントを受け取った10039号に詰め寄ります」
「あのチケットは皆でお金を出して買ったものなので、ミサカにも所有する権利があります!とミサカ19090号はバッジを見つめつつ所有権の主張をします」
「これはお姉様がこのミサカの為に買ってきてくれた物です、それにこのバッジにはお姉様の『特別な想い』が込められていますので渡すわけにはいきません、
とミサカ10039号は鉄壁の構えでバッジを死守します。
それにあなた(10032号)にはお義兄様から貰ったネックレスがあるではないですか、とミサカ10039号は先に抜け駆けをした事を指摘します」
「ミサカは何も貰ってません!とミサカ19090号は二人の身に付けたプレゼントを羨望の眼差しで見つめながら憤慨します!」
「「汚い真似(ダイエット)をして抜け駆けしたお前は黙れ!とミサカ10032(10039)号は裏切り者を睨み付けます!」」
「ちょ、ちょっとアンタ達、喧嘩はやめなさいって!アンタ達にも何か買ってあげるから!」
「あのチケットは皆でお金を出して買ったものなので、ミサカにも所有する権利があります!とミサカ19090号はバッジを見つめつつ所有権の主張をします」
「これはお姉様がこのミサカの為に買ってきてくれた物です、それにこのバッジにはお姉様の『特別な想い』が込められていますので渡すわけにはいきません、
とミサカ10039号は鉄壁の構えでバッジを死守します。
それにあなた(10032号)にはお義兄様から貰ったネックレスがあるではないですか、とミサカ10039号は先に抜け駆けをした事を指摘します」
「ミサカは何も貰ってません!とミサカ19090号は二人の身に付けたプレゼントを羨望の眼差しで見つめながら憤慨します!」
「「汚い真似(ダイエット)をして抜け駆けしたお前は黙れ!とミサカ10032(10039)号は裏切り者を睨み付けます!」」
「ちょ、ちょっとアンタ達、喧嘩はやめなさいって!アンタ達にも何か買ってあげるから!」
ぎゃあぎゃあとバッジの奪い合いを始める三人の妹達の姿に驚き戸惑う美琴。
代わりに何か買うという言葉に10032号と19090号が振り返る。
代わりに何か買うという言葉に10032号と19090号が振り返る。
「そういう問題ではありません!このバッジでなければ意味がないのです!
とミサカ10032号はお姉様の想いと妹達の想いが込められたバッジを指差しながら訴えます!」
「で、ではミサカはお義兄様から指輪をいただきたいです!とミサカ19090号はさり気なくとんでもない要求をしてみます」
とミサカ10032号はお姉様の想いと妹達の想いが込められたバッジを指差しながら訴えます!」
「で、ではミサカはお義兄様から指輪をいただきたいです!とミサカ19090号はさり気なくとんでもない要求をしてみます」
想いの詰まった世界に1つのこのバッジが欲しいという10032号。
対して自らの要求に頬を少し赤らめ、モジモジとする19090号。そのさり気ないお願いに三人は敏感に反応する。
中でも美琴の反応は異常なまでに早く、他の二人が口を開く前に叫ぶ。
対して自らの要求に頬を少し赤らめ、モジモジとする19090号。そのさり気ないお願いに三人は敏感に反応する。
中でも美琴の反応は異常なまでに早く、他の二人が口を開く前に叫ぶ。
「それは絶対駄目!当麻から指輪を貰っていいのは私だけなんだから!!」
「「「………」」」
「「「………」」」
美琴の叫びにピタリと動きを止める妹達。そのまま美琴の方を見ると大きくため息を付く。
「はいはいご馳走様、とミサカ10039号はお姉様の主張に嘆息します」
「心配しなくてもお姉様からお義兄様を取ったりしませんよ、とミサカ10032号はお姉様の必死の訴えに呆れ果てます」
「冗談も通じないとは、とミサカ19090号はお姉様の慌てぶりを笑ってみます」
「冗談に聞こえなかったんだけど!?っていうかアンタ達のその呆れたような反応は何!?」
「まあそれはそれとして、お義兄様を待たせたままで良いのですか?とミサカ10039号はずっと待っているであろうお義兄様の事を心配します」
「…あ」
「完全に忘れていたようですね、とミサカ10032号はお姉様の間抜けっぷりをせせら笑います」
「今回ばかりは妹達への愛が上回ったようですね、とミサカ19090号は満足げに微笑みます」
「さ、早くお義兄様の所へ行ってあげてください、とミサカ10032号は促します」
「あ、うん。それじゃあまたね」
「心配しなくてもお姉様からお義兄様を取ったりしませんよ、とミサカ10032号はお姉様の必死の訴えに呆れ果てます」
「冗談も通じないとは、とミサカ19090号はお姉様の慌てぶりを笑ってみます」
「冗談に聞こえなかったんだけど!?っていうかアンタ達のその呆れたような反応は何!?」
「まあそれはそれとして、お義兄様を待たせたままで良いのですか?とミサカ10039号はずっと待っているであろうお義兄様の事を心配します」
「…あ」
「完全に忘れていたようですね、とミサカ10032号はお姉様の間抜けっぷりをせせら笑います」
「今回ばかりは妹達への愛が上回ったようですね、とミサカ19090号は満足げに微笑みます」
「さ、早くお義兄様の所へ行ってあげてください、とミサカ10032号は促します」
「あ、うん。それじゃあまたね」
そう言って部屋を出ようとする美琴。扉に手をかけた所で妹達が声を掛ける。
「お姉様、来てくれてありがとうございました。このバッジは大切にしますね、とミサカ10039号はバッジを撫でながら別れの挨拶をします」
「それと妹達関連で何か不安になることがありましたらいつでもミサカの所へ来てください、
とミサカ10032号はもう少し話したかったのを我慢しつつ述べます」
「まあ、いつでも、何処でも、どのミサカに不安をぶつけても返ってくる答えは今までも、そしてこれからも変わりませんが、
とミサカ19090号はちょっぴり格好良い決め台詞を言ってみます」
「それと妹達関連で何か不安になることがありましたらいつでもミサカの所へ来てください、
とミサカ10032号はもう少し話したかったのを我慢しつつ述べます」
「まあ、いつでも、何処でも、どのミサカに不安をぶつけても返ってくる答えは今までも、そしてこれからも変わりませんが、
とミサカ19090号はちょっぴり格好良い決め台詞を言ってみます」
振り返って妹達の言葉を聞く美琴。その優しさに触れた美琴はその言葉を噛み締めるように目を瞑る。
そして再び目を開けると妹達を真っ直ぐ見つめ、言葉を返す。
そして再び目を開けると妹達を真っ直ぐ見つめ、言葉を返す。
「ありがと、…妹達は最高の妹よ」
悪戯好きで、人の話を聞かなくて、何を考えているのか全く読めない妹。
でも確かに自分の幸せを望み、影から支えてくれる、そんな優しい心を持った妹。そんな彼女達だから―――
でも確かに自分の幸せを望み、影から支えてくれる、そんな優しい心を持った妹。そんな彼女達だから―――
「私はあんた達の事が大好きだからね」
一番伝えたかった事。今まで言いたくて、でも怖くて言えなかった事を口にした美琴。
妹達に笑顔を見せると『またね』と言って部屋を後にする。そして部屋には思わぬ言葉に固まった妹達が残された。
妹達に笑顔を見せると『またね』と言って部屋を後にする。そして部屋には思わぬ言葉に固まった妹達が残された。
「まさかお姉様からあのような事を言っていただけるとは思いませんでした、とミサカ10039号は相変わらずバッジを撫でながら先ほどの言葉を思い出します」
「…」
「…そうですね、とミサカ19090号は完全にフリーズした10032号を見つつ頷きます」
「このバッジは妹達にとっての宝物ですね、とミサカ10039号はこのバッジを守り抜く事を誓います」
「そのバッジを死守するのは良いですが、命を投げ出すような事はしないように、とミサカ19090号は10039号に釘を刺しておきます。
バッジを守ってあなたが命を落とすような事があればきっとお姉様は悲しみますので、
とミサカ19090号はバッジを再度羨望の眼差しで見つめながらも補足します」
「分かっていますよ、とミサカ10039号は他の妹達に優越感を覚えつつ返答します」
「…」
「…そうですね、とミサカ19090号は完全にフリーズした10032号を見つつ頷きます」
「このバッジは妹達にとっての宝物ですね、とミサカ10039号はこのバッジを守り抜く事を誓います」
「そのバッジを死守するのは良いですが、命を投げ出すような事はしないように、とミサカ19090号は10039号に釘を刺しておきます。
バッジを守ってあなたが命を落とすような事があればきっとお姉様は悲しみますので、
とミサカ19090号はバッジを再度羨望の眼差しで見つめながらも補足します」
「分かっていますよ、とミサカ10039号は他の妹達に優越感を覚えつつ返答します」
美琴の言葉に完全に思考停止した10032号を余所に会話を続ける二人。
バッジと共に受け取った想いをしっかりと胸に刻み、これからも受けた恩を返していこうと心に誓うのだった。
バッジと共に受け取った想いをしっかりと胸に刻み、これからも受けた恩を返していこうと心に誓うのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
病院を後にした美琴と当麻は堤防沿いの道を歩いていた。辺りはもう夕焼けに染まっている。
そんな中、二人は手を繋ぎ、先ほどの出来事を話していた。嬉々として語る美琴の言葉に当麻は相槌を打ちながら聞いていた。
そんな中、二人は手を繋ぎ、先ほどの出来事を話していた。嬉々として語る美琴の言葉に当麻は相槌を打ちながら聞いていた。
「それでね、あの子達が目の前でバッジの取り合いを始めちゃって」
「なんか御坂妹が慌てて部屋に入っていったのはそういうことだったのか、部屋に入った方がいいのか迷ったけど外で待ってて良かったぜ」
「ごめんね、心配ばかりかけて」
「気にすんな、それよりその様子だとちゃんと乗り越えれたみたいだな」
「完全に乗り越えられたかは正直分からないけど、多分もう大丈夫よ。私の進む道は決まったから」
「そっか」
「でも、それには当麻が居てくれないと駄目だからずっと側に居てね?」
「ああ、勿論そのつもりだ。美琴の歩く道が俺の歩く道だからな」
「…なになに?それってもしかしてプロポーズ?」
「へ!?いやいやそこまで深い意味は持ってなかったんですよ!?」
「そんな…そんな軽い気持ちで言ったの…?ぐすん…」
「なんか御坂妹が慌てて部屋に入っていったのはそういうことだったのか、部屋に入った方がいいのか迷ったけど外で待ってて良かったぜ」
「ごめんね、心配ばかりかけて」
「気にすんな、それよりその様子だとちゃんと乗り越えれたみたいだな」
「完全に乗り越えられたかは正直分からないけど、多分もう大丈夫よ。私の進む道は決まったから」
「そっか」
「でも、それには当麻が居てくれないと駄目だからずっと側に居てね?」
「ああ、勿論そのつもりだ。美琴の歩く道が俺の歩く道だからな」
「…なになに?それってもしかしてプロポーズ?」
「へ!?いやいやそこまで深い意味は持ってなかったんですよ!?」
「そんな…そんな軽い気持ちで言ったの…?ぐすん…」
当麻の言葉に俯きしょんぼりとする美琴。その仕草を見た当麻は慌てる。
「いやいや、本気ですよ!?ですがプロポーズはちゃんとしたいというか…あ」
「へ!?」
「まてまて!今の無し!!聞かなかったことにしてください!!」
「仕方ないなぁー、もう聞いちゃったけど、その時を楽しみに待っててあげるわよ」
「へ!?」
「まてまて!今の無し!!聞かなかったことにしてください!!」
「仕方ないなぁー、もう聞いちゃったけど、その時を楽しみに待っててあげるわよ」
むふふっと笑うと繋いだ手を外して右腕に抱き付き擦り寄るように体を密着させる美琴。
「さ!罰も二回残ってることだし、デートの続きに行きましょ!」
「げぇ、まだ覚えてたんですか…、何とかなりません?」
「もう!しょうがないなぁ~、今日は気分が良いから許してあげるわよ」
「本当ですか美琴サン!?その優しさに感謝ですよ!」
「感謝ならあの子達にしなさい、ほら行くわよ」
「げぇ、まだ覚えてたんですか…、何とかなりません?」
「もう!しょうがないなぁ~、今日は気分が良いから許してあげるわよ」
「本当ですか美琴サン!?その優しさに感謝ですよ!」
「感謝ならあの子達にしなさい、ほら行くわよ」
そう言ってグイグイと当麻を引きずりながら歩く美琴。妹達との絆をより一層強くした彼女は、
この先新たな問題が起きたとしても、乗り越えていけるだろう。側に居てくれる大切な人達と支え合いながら。
この先新たな問題が起きたとしても、乗り越えていけるだろう。側に居てくれる大切な人達と支え合いながら。