大学受験 by(≡ω≡.)神奈川


by (≡ω≡.)神奈川



喪黒「私の名は喪黒福造、人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。」
喪黒「ただのセールスマンじゃございません。私の取り扱う品物は心、人間の心でございます。」
喪黒「ホーホッホッホ…… 」

喪黒「この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかり。」
喪黒「そんなみなさんの『ココロのスキマをお埋めします』。」
喪黒「いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。」
喪黒「さて今日のお客様は…… 」

つかさ「あった! あったよ~ 私の番号。ねぇ、こなちゃん!」
「そ、そう…… (≡ω≡.;)」
かがみ「おめでとう! つかさ。」
みwiki「つかささん。おめでとうございます。」
つかさ「ありがとう。これで私も春から大学生だよ! 」
「…… (≡皿≡.#)」

泉 こなた(18) 高校生

大学受験

つかさ「こなちゃん、番号あった? 」
「いや、無かったよ。補欠の所にあるかもしれないから行ってくるね。 Σ(≡ω≡.;)」
つかさ「そう…… あると良いね。」
「ここで待ってて。すぐ見てくるよ。 Σ(≡ω≡.;)」
かがみ「いってらっしゃい~ 」
かがみ「…… プッ! あるわけないじゃん! こなた如きが受かるような大学じゃないのよ。ココ。」
みwiki「いい加減、身の程を知って欲しいですね。そうそう、泉さんの年末学内模試、何位だったか知ってます? 」
つかさ「何位、何位? 」
みwiki「うふふ、学年最下位。黒井先生からの情報ですから確かです。」
かがみ「うっそ! 超バカじゃん。こなた。」
みwiki「泉さんお得意の一夜漬けも、範囲が分からなければ無意味なんですね。」
かがみ「そいえば、こなた。ここで何回目だっけ? 落ちたの。」
つかさ「確か、12回目じゃなかったかな? 滑り止めが一校あって、そこが明日発表とか言ってたよ。」
かがみ「ふ~ん。なんて大学? 滑り止めは。」
つかさ「えっと…… 糟日部総合文化大学とか言ってたよ。」
みwiki「聞いたことありませんね。そのような大学。」
かがみ「どうせFランでしょ? こなたでも受かりそうなんだし。」
つかさ「だろうね~ きっと問題も北海道を塗りつぶさせるとか、そんなレベルじゃない? 」
かがみ「ウケる~ どこの野球部よ! でも、こなたならそれすら間違えそう。」
みwiki「『北海道? どこ? ヴァナ・ディールの地理には詳しいよ、私。』とか言いそうですね。」
かがみ「アハハ…… って、アイツいつまで見てるのよ? どうせ無いんだからさっさと帰ってくれば良いのに。」
つかさ「お姉ちゃん、疲れたよ。どこか喫茶店にでも行こうよ~ 」
みwiki「確か来る途中にスタバがありましたよ。」
つかさ「良いね~ 行こうよ、お姉ちゃん。」
かがみ「そうね…… 行こうか。」

「いや~ 補欠にも無かったよ。こりゃ、明日の発表に…… (≡ω≡.)ゞ」
「かがみん? つかさ? みゆきさん? どこだろ? (≡ω≡.)?」
「…… どこにも居ないな。電話してみよ。 (≡ω≡.)」

プルル プルル プルル
「あっ、かがみん? 今どこ? ヽ(≡ω≡.)ノ」
プー プー プー
「…… (≡ω≡.;)」


翌日
「(結局、かがみん達には連絡付かなかったから、一人で合格発表か。) (≡ω≡.)」
「(行きたかったな~ 同じ大学。まぁ、大学生になれば新しい友達も出来て、高校より楽しい生活が…… ) ヽ(≡ω≡.)ノ」
「(生活が…… ) (≡ω≡.;)」
「…… 無い。 (TωT.)」

「どうしよう…… 大学に受からなかったよ。 (≡ω≡.;)」
「浪人しようかな? 浪人して、来年つかさ達と同じ大学に入れば良いか! Σ(≡ω≡.)!」
「でも、家にそんなお金あるかな…… 最近、父さんの本も余り売れてないみたいだし…… (≡ω≡.;)」
「そもそも、なんで受かって無いんだよ! 畜生!! (≡皿≡.#)」
喪黒「もしもし、お嬢さん。」
「何!? (≡皿≡.#)」
喪黒「お~ 怖い。」
喪黒「いや、先程掲示板の前であなたがコレを落としていたので、届けてさしあげたのですが。」
「んんっ? なんだ受験票か。要らないよ。どうせ落ちたんだし。 (≡ω≡.)」
喪黒「おやっ! それは申し訳ございません。ショックの所を傷つけてしまったみたいで。」
喪黒「どうです? 近くに行きつけの店があるのですが、お詫びに何か奢らせてくれませんか? 」
「何? ナンパ? (≡ω≡.)?」
喪黒「ホ~ホッホッホッ さすがにこの顔ではナンパは無理ですよ。申し遅れました。私、こういう者でございます。」
「『ココロのスキマ、お埋めします。喪黒福造。』 (≡ω≡.)」
喪黒「しがないセールスマンですよ。」

マスター「…… 」
「高そうなお店だね。バーって奴? (≡ω≡.)」
喪黒「『魔の巣』と言います。普通は夜に営業するんですが、最近は昼に喫茶店としても営業しているんですよ。」
「そうなんだ~ 苦労してるんだね~ (≡ω≡.)」
マスター「…… 」
喪黒「それで、泉さんでしたっけ? まだ何処か結果待ちの大学はあるのですか? 」
「あそこで最後。全部落ちちゃったよ。 (≡ω≡.)」
喪黒「それはそれは。」
「それで浪人か、どこか専門学校にでも行こうか迷ってるんだ。私アニメとか好きだし、声も良いから声優目指そうかな~って。 (≡ω≡.)♪」
喪黒「ほぉ、それは結構なお考えですね。」
「でも、実際はそう上手くいかないし、できれば学校の友達と同じ大学に行きたかったんだよね…… (≡ω≡.;)」
喪黒「それでは浪人を? 」
「でも、家にはそんなお金無いし…… (≡ω≡.;)」
喪黒「学校のお友達はどこの大学に行かれたのですか? 」
「S大学だよ。 (≡ω≡.)」
喪黒「ほうほう。S大学ですか。おや? S大学はまだ試験が残っているではありませんか。」
「えっ? そんな話聞いてないけど。 (≡ω≡.)?」
喪黒「受験生なんですから新聞は読んだ方が良いですよ? 合格辞退者が多かったので緊急で追加試験を行うと、今日の朝刊に載っておりましたが。」
「本当? ……でもいいや。どうせ受からないし。 (≡ω≡.;)」
喪黒「いけませんね。やる前から諦めていては。」
「だって、私学校の成績も下から数えた方が早いし、この前の模試でもD判定だったんだよ? いつ試験か分からないけど、頑張ったって無理無理。 (≡ω≡.;)」
喪黒「それでは、1週間で学力が大幅に上がるグッズがあるとしたらどうです? 」
「アハハ。そんなインチキな物あるわけないじゃん。あったら皆使っているよ。 '`,、(≡∀≡.)'`,、」
喪黒「それが、まだ世間には出回ってないんですよ…… 」
喪黒「コレ。なんですがね。」
「何これ? カチューシャ? (≡ω≡.)?」
喪黒「ある大企業の開発機関が発明した、人間の脳を活性化する機械です。これを付けて勉強する事で、著しい学力上昇が見込まれるそうですよ? 」
「へ~ それで? 幾ら? 高いんでしょ? セールスマンだし、こうやって売りつける気でしょ? m9(≡Д≡.)」
喪黒「ホ~ホッホッホッ そんな事はいたしません。実は現在テスターを募集してるんですが、なかなか見つからなくて。」
喪黒「泉さん? よろしかったら使ってみては? 」
「嫌だよ。なんか怖いし…… (≡ω≡.;)」
喪黒「いいや! あなたはこれを使う。そしてS大学を受けるのです! 」
喪黒「あなたはS大学に行きたい! 友達と一緒の大学に行きたい! 違いますか? 」
「そうだけど…… それは来年…… (≡ω≡.;)」
喪黒「なら、使う以外選択肢はないでしょう! 使うのです! そして勉強するのです! いいですね!! 」

ド━━━━━━m9(゚∀゚)━━━━━━ン!!

「ウヒャ━━━━━━ヽ(≡Д≡.)ノ━━━━━━ !!!!!」

「結局持ってきちゃったけど、なんか安っぽいカチューシャだな~ 本当にこんなのが効くのかな? (≡ω≡.)?」
「えっと、付いてた説明書には…… (≡ω≡.)」
「『カチューシャを頭に着けたらまず、深呼吸をしてリラックスしましょう。そして、頭を真っ白にして、両手を挙げて叫びましょう。』 (≡ω≡.)」
「『スイーツ(笑) と。』って、ふざけてるな~ アハハ! (≡∀≡.)、」
「一回だけ、試してみようかな。どうせ効かないだろうしね。 (≡ω≡.)」
「ス~~ ハ~~ ス~~ ハ~~ ヽ(≡ε≡.)ノ」
「…… (≡ω≡.)」

「スイーツ(笑) ヽ(≡ω≡.)ノ」

「…… (≡ω≡.)」
「やっぱし、何にも変わら…… (≡ω≡.)」

1週間後
喪黒「どうです? あの機械の効果は。」
「最高だよ、モグロン! もう、凄い集中力でバンバン勉強できちゃうよ。 ヽ(≡ω≡.)ノ」
喪黒「そうですか、それは良かった。」
「でね、モグロン。もう少しコレ、貸してもらえないかな? (≡ω≡.)?」
喪黒「貸すも何も、その機械は泉さん、あなたに差し上げますよ。」
「えっ!? 良いの? (≡ω≡.)?」
喪黒「もちろんですよ。これからもそれを使ってどんどん勉強してください。」
「うん、この機械があれば来週の試験、合格間違い無しだよ! d(≡ω≡.)!」
喪黒「ほぉ~ ただし、これだけは守ってください。」
喪黒「どんな事があろうと、受験日まで使い続けること。継続こそが力なのです。」
「大丈夫だよ。春からは大学生だ! オー!! ヽ(≡ω≡.)ノ」
喪黒「…… 」

そうじろう「こなた。試験明日だな。どうだい?調子は。」
「ばっちりだよ! 昨日やった赤本の過去問も全部満点だし、こりゃ春からは女子大生だよ! お父さん。 (≡ω≡.)♪」
そうじろう「そうか。一時はどうなるか心配だったが、最近は勉強ちゃんとしているようだしな。」
そうじろう「でも、気を抜いてゲームとかするんじゃないぞ? 」
「心配しないでよ。 (≡ω≡.)」
そうじろう「ははは。それじゃ、お父さんパーティで大阪に行ってくるからな。明日はちゃっと試験に行くんだぞ? 」
「は~い。いってらっしゃ~い。 (≡ω≡.)」
「ふ~ 前日か。なんか落ちる気がしないよ。カチューシャのおかげで頭が冴えまくってるしね。 (≡ω≡.)」
「試験前日だし、今日は勉強休んで明日に備えて早く寝よ。でも、その前に…… (≡ω≡.)」
「ネトゲでもしますか。頑張った自分へのご褒美! (≡ω≡.)♪」
「うふふ~ (≡ω≡.)♪」
「なんか、忘れてる気が…… (≡ω≡.)?」

「Zzz(≡ω≡.)」
「…… ううん。 (ノω≡.)?」
「あれれ? いつの間にか寝ちゃった。何時だろ、今。 (ノω≡.)?」
「13時ちょい過ぎか。ふあ~あ、お腹空いたな。なんか食べよ。 (≡ω≡.)」
「って13時!? 試験始まってるじゃん! ギャ~~~~! Σ(≡皿≡.)!」

試験官「はぁ、親が病気でね~ そういう時はこちらに連絡入れるのが常識でしょ。」
「今朝急に倒れて…… 父子家庭でもうパニクっちゃって…… グスッ ・゚・(つД≡.)・゚・」
試験官「そう…… 一応、聞いてみるね。」
「お願いします…… キャハッ! v(≡ω≡.)v 」

試験官「泉さん。特例で認めるそうよ。次の英語を受けた後、残りの教科を受けてもらうということで。」
「本当!? ありがとうございます。 Σ(≡ω≡.)!」
試験官「あくまで特例だからね。さっ、席に着きなさい。」
「はい! (≡ω≡.)」
「(良かった~ 試験さえ受けてしまえばこちらのもんだ。なにせ、カチューシャの力で私は天才だからね! ) (≡ω≡.)♪」
試験官「それでは、試験ハジメ! 」
「(英語か。どれどれ…… ) (≡ω≡.)?」
「(あれ? え~~っと) (≡ω≡.)??」
「(Appleってなんだっけ? コンピュータ? ) ?(@ω@.)?」

「(全然駄目だった。折角のチャンスだったのに。) (≡ω≡.lll)」
「(全部『ウ』をマークしてみたけど、駄目だろうな…… 記述式もほとんど白紙だし。) (≡ω≡.lll)」
「(なんでいきなり勉強できなくなったんだろう? ) (≡ω≡.;)?」
喪黒「それは、あなたが勉強をサボったからですよ。」
「うひゃ! モグロン!? Σ(≡ω≡.)!」
喪黒「泉さん。私言いましたよね? サボらず毎日続けるように。と。」
「い、言ったっけ? 聞いてないな~ (≡ε≡.)?」
喪黒「いいえ、確かに言いました。 なのに、あなた昨日ずっとゲームしてましたね? それに試験に遅れて嘘までついて。」
「すいません! つい気を抜いちゃって…… でも、あのカチューシャがあれば来年にはもっと良い大学に…… (≡ω≡.;)」
喪黒「それは、無理ですね。」
「なんで! (≡ω≡.)!」
喪黒「あれは欠陥品だったんですよ。確かに頭は良くなりますが、一日でも使わないと途端に効力が無くなり、逆に脳細胞が死んでいくという恐ろしい欠陥が。」
「そんな! なんで教えてくれなかったの! 酷いよ! このデブ!! Σ(≡皿≡.)!」
喪黒「直す機器を今日は持ってきたんですけどね~ でも、もう遅いようです。」
「嫌だよ! 直してよ! そもそもこうなったのはモグロンの責任でしょ! 訴えるよ! 訴えて謝罪と賠償を要求するよ! Σ(≡皿≡.)!」
喪黒「はぁ~ 分かりました。 では、この大学に入れてあげます。それでよろしいですか? 」
「本当? 入れて! 入れてよ! Σ(≡ω≡.)!」
喪黒「本当に? どうなっても知りませんよ? 」
「お願い! 大学に行きたいの~~ ヽ(≡ω≡.)ノ」
喪黒「では、泉さん。あなたはこの大学に通うことが出来る! それが例え、どんな形でも!! 」

ド━━━━━━m9(゚∀゚)━━━━━━ン!!

「ヒギャ━━━━━━ヽ(≡Д≡.)ノ━━━━━━ !!!!!」

かがみ「それで、こなたはどうなったの? 」
つかさ「さぁ? こなちゃんのお父さんが帰ってきたときには家のどこにも居なかったんだって。」
つかさ「警察にも捜索届出したんだけど、手がかり一つ見つかってないらしいよ? 」
かがみ「まぁ、折角の追試が不合格じゃ、ショックで逃げ出したくなるか。」
つかさ「そうだよね~ 案外樹海にでも行って…… 」
かがみ「キャッ!」
つかさ「うわっ! …… ちょっとオバサン! どこ見てるのよ! コップ倒れちゃったじゃない!」
「ご、ごめ…… ごめ…… (≡ω≡.)」
つかさ「はぁ? 何言ってるの? 聞こえな~い。 」
かがみ「つかさ、止めな。その掃除のオバサン、なんかアッチがイカレちゃってるみたいよ? 」
「つか…… かが…… (≡ω≡.)」
つかさ「本当だ。なら仕方がないか。お姉ちゃん、そろそろ行こう? 」
かがみ「そうね。それじゃオバサン、これからは気をつけてね。」
「つか…… かが…… (TωT.)」

つかさ「さっきの掃除のオバサンなんか苛つくな~ 」
かがみ「そうね~ なんかココロの奥底でムカツくって言うか…… 」
つかさ「そう! そうだ! 」
かがみ「どうしたの? 」
つかさ「こなちゃんだよ。あのオバサンこなちゃんに似ているんだよ。あの病気みたいな口とか特に。」
かがみ「確かに気持ち悪い口にボサボサの髪、あと背の高さも同じくらいね。」
つかさ「まぁ、歳は全然違うけどね。 こなちゃんも将来、ああなるんじゃない? 」
かがみ「こなたはこんな仕事にも就けずに駅前でホームレスでもしてるでしょ。アイツ努力とか好きじゃないし。」
つかさ「あり得る~ そうなってたら絶対蹴り飛ばしてやるよ。アハハハ…… 」


「(つかさもかがみんも気づいてくれなかった。) (≡ω≡.)」
「(気づいたらこんなオバサンになって宿無し生活。どうにかこの大学の清掃員になったけど、これからどうなるんだろう?) (≡ω≡.)」
「(それに気のせいか、言葉も忘れてきた気が…… 私の名前はこなた。いずみこなた。) (≡ω≡.)」
「(…… いずみって漢字でどう書くんだっけ?) (≡ω≡.)?」

喪黒「泉さんも道具に頼らず勉強していれば、もしかしたらこの大学に受かっていたかもしれないのに、残念です。」
喪黒「でも、こうやって友達と同じ大学に行くことは出来たのですから幸せなのかもしれませんね。」
喪黒「皆さんも楽な道を選ばずに真面目に勉強していれば、希望の進路に進めるかもしれませんよ? まぁ、駄目な時はどうやっても駄目ですけどね。ホーホッホッホッ…… 」

(終)
最終更新:2024年04月22日 20:12