「……なんてことだ、生き物に
マガイモノ成分を加え入れた上でメイドウィン化?リスクが高すぎて僕なら実行なんてあり得ない、犯罪者だった頃でも躊躇うぞ!」
「そんなに危険なものなのね、貴方の成分は……」
「当然だ、過去の事例だとマガイモノ成分は生き物にかかったら溶けて死ぬところしか知らない、それに適合してマガイモノ化するなんて……人工以外ですら例がないぞ!?」
たくっちスノーはデータを取りながらはるかの話をまとめる、研究者の性なのか安全性のためなのか……とにかく
マガイジンの情報が時空から漏洩してこういった形で作らされてしまったことに対しては大問題だ。
小夜ははるかを改造した『ともだち』について考察していた所だった。
「本当にあれは黒影じゃないの?」
「うん、似てるけど全然違う……友達っていうのは間違いないんじゃないかな、なんというかそれよりもっと恐ろしかった」
「黒影の友達なんて聞いたことないな……仮面を被って似たような髪型で……そいつはA級
時空犯罪者として指定して即座に指名手配する」
そして薫子は当然……はるかを元の人間に戻す方法はないのか模索していたが、先ほどたくっちスノーも言ったようにそもそも生き物を後天的にマガイモノにする実験など非人道的かつ非効率的で思いついたこともないので直す方法なんて今考えている段階である。
こんな状況でなければ最悪と言われた時空犯罪者なのにここまでしなかったのかと皮肉を言いたいところだが……。
「そもそもさ、あたしってあたしなのかな?あのベーゼの時みたいに偽物ってこともあるかもしれないし、それを見つけたほうが……」
「二人に気を遣うのもいいが……残念なことに君にはDNAがしっかりある、人としての証明となる記号……それに混じった
はじまりの書のデータ化したものと……うげ、マジでディアブロスのDNAだ」
マガイモノとはそもそも全く異なる生物や性質が混ざって掛け合わされた世界や作品を超えたキメラである。
ただし混ぜればいいという簡単な話でもなく『設定』と呼称された物体を黒いドロドロの成分になるまで混ぜてようやく肉体を形成させる。
モンスターハンターに存在する従来の力を超えた生物『二つ名級』……この生物を単体で混ぜることでマガイジンのエネルギーを簡略化させる、口で言うのは簡単だが優れたテクニックを持って作られている。
……ここまでの技術を持つ存在に心当たりがある。
「……マガイモノを作れるのは僕だけだ、でもその僕を作った奴が必ず何処かにいるはずだ、ともだちとソイツは同じだろう」
ある意味たくっちスノーとはるかは兄妹になってしまったのかもしれない、不本意な形だが……。
だがはるかにとってはともだちの正体や自分が元に戻れるかどうかよりもよほど大事なことがあった、自分の中に存在するモンスターの正体……ポチからたくっちスノーは全ての設定から生まれたマガイモノなので聞けば何でも知っていると聞かされている。
「あたしの中にある存在について教えてくれますか?」
「……『鏖魔』ディアブロスか、殺戮兵器にならないようにするには説明書を読むことってのは理に適ってるね、君の予想している通り怒りのままに全てを殲滅する二本の角が生えた怪物だよ、特技としては地中旋回、力任せの突進……まあファンシーな君には合わないね」
鏖魔ディアブロスの特徴は怒り……というよりは精神的な興奮状態に達した時に血流が異常活性して赤く浮かび上がり暴れ狂う暴走形態が存在すること、無論戦闘力も残虐性も倍に跳ね上がるが、問題は鏖魔にはより上の激怒状態、巷では狂暴走状態と呼ばれているものがある。
こうなるとまさに恐れていた通り敵味方の判断もなしに見境なく全てを滅ぼす悪魔と化す。
体温は異常増加、体液は増加して沸騰し水蒸気となり攻撃の最中に強烈な水蒸気爆発を起こすことがある……と
いうところで小夜が閃いた。
「水蒸気爆発って……確か貴方達の成分は100%液体……」
「ああそういうことか、ほぼ水がそれっぽい形をしているマガイモノでもし仮に狂暴走状態になったら……考えるより試したほうが早い!!ちょっと失礼!!」
たくっちスノーは
時空の渦に乗って移動した後にテレビが突然起動して砂漠に到着し、たくっちスノーが変身を行う姿が映される。
角が生えて赤黒いゴツゴツとした姿……これが鏖魔ディアブロス、ディアブロスは叫び声を上げると血管が浮かび上がり瞬く間に煙に包まれる……これが体液が高温で水蒸気になる姿であり一分もせず爆発……爆発によって身体が粉々に吹っ飛び砂漠に巨大な風穴を開け、たくっちスノーは即座に再生して状況を理解して……テレビから貞子みたいに帰還してきてビビったので薫子にぶん殴られる。
「趣味悪い出方すんな!!」
「ごめん!!……実際にやってみたが鏖魔ディアブロスに変身したら水蒸気爆発の規模と速さは本物の倍以上、マガイモノは水分の量が多い分威力も桁違いになっているんだ……」
「やっぱり……はるか、貴方を殺戮兵器に変えたって暴走させて敵味方区別なく倒すことじゃなくて、貴方自身を強力な爆弾に変えるつもりよ、そして貴方はマガイモノと違うから……爆発したら無事で済むかどうか」
「理論上はどれくらいや」
「多分魔力とかその他諸々と合わせると街丸ごと……」
周りの全て消し飛ばす大戦犯、
正義の味方から一転して世界の敵となる時空犯罪者マジアマゼンタ……黒影の新しい筋書きはこんなところだろうという。
いくらなんでも悪く捉え過ぎではないかと思うかもしれないがそうでもない、たくっちスノーの顔を見れば分かる。
「さっき分身から情報を得て分かった……黒影のやつ時空各地に飛び回って
オブリビオンや時空犯罪者を襲い、自分の凄さをアピールしてる……いやなんでこうなった?g-lokシステムの履歴もある」
つまり……黒影は監理局と自分の凄さをアピールするために誰もやりたがらないオブリビオンや時空犯罪者の退治をしていたが世界を探して潰すのでは効率が悪いと……自分でオブリビオンや時空犯罪者を作り出したのだろう、それがパラレルのマジアベーゼと二つ名になったクオンやはるか……、
ふざけている、ふざけている、反吐が出る。
はるかより先に小夜と薫子の方が激怒して血管が切れそうになっていた。
「……ちっ、まだ公表ができない、他のたくっちスノーの分身共を回収して改めて情報共有しないと……いやそれ以上にマゼンタちゃんを元に戻す方法だろ!うう……どうすれば」
「話は聞かせてもらったよたくっちスノー!!」
「ポチ公!!」
ここまでのマジ騒動となるとポチもシリアスモードで現場に駆けつけ
時空監理局のお仕事モードでちゃぶ台を囲む。
マガイジンから人間に戻す術は思いつかないので現状は怒りによる水蒸気爆発並びに暴走を抑え込む方法を考えることにする。
身体が水分である以上爆発したら止められないので体温を下げる方向性……理性にしても人としての一線を越える激怒なんてものを抑えられるのかという課題が襲う。
精神的に怒りを抑え込みなおかつ肉体的にも調子を整える、そんなもの薬でも使わないとどうしようもないと朝まで議論を重ねようとするが夜は忙しいので一旦寝なくても問題ないはるかだけが残り、家に代わりの人形を置いてもらい念の為吠に妹の世話を依頼するように頼んだ。
改めて3人になつた時、思い立ったようにはるかが口を開く。
みち子が覗いていたのを見て……申し訳なさそうな顔をしていた。
「あの……イミタシオの正体ってみち子さんなんですよね?」
「ぶっ!!」
ビックリしたあまりみち子はコントみたいに襖をひっくり返してポチに激突する、さりげなくポチはπタッチしようとしたが金的のカウンターで悶絶する。
たくっちスノーも絶対にバレないと思っていたので大焦りだがはるかはバラすようには見えないので冷静に答える。
「ど、どうして分かった……まさかマガイジンの」
「はい、この身体になってから認識阻害をすり抜けるようになっちゃって……実は私、見えちゃったの、変身前」
「早く言え!!お前から見れば私だいぶ無様に見えるぞ!軽めの尊厳破壊だ!」
「まあその濃さで♡はちょっとねぇ年を考えてべるぜるがっ!!」
「私はまだ二十歳だ!!」
みち子はマウントポジションでポチに殴りかかるがそれはほっといて肝心なことを聞く、あの時マジアマゼンタはマジアベーゼと戦っていた、つまり正体を……。
あの時あの悪夢でベーゼから聞き馴染みの声がしたのはそういうことだろう。
「……敢えてぼかすように聞くが、その正体の人は君にとって他人か?」
「ううん……とても馴染み深い人だった」
「そうか……そりゃまあ、殺したくないわな……じゃあ魔法少女として絶対に心にしまっておきなよ、イミタシオの分までね」
「本当にだぞ♡」
「キッツぅ……俺の首が……」
改めてみち子はふて寝しながらもたくっちスノー、ポチ、はるかの3人が会議しようとしてきた時……はるかは1つ危険だが賭けてみたいことがあるという。
愛の心に溺れて怒りを見失い、強制的に身体を矯正出来るかもしれない力が存在していたことを思い出し……たくっちスノーとポチも気付く。
そう、本来のはじまりの書の歴史でマゼンタが得ることになる暗黒真化『フォールンメディック』に変身することだった。
「た……確かにナースっぽい姿だから薬とかでなんとか出来るかもしれないけど、その……見た目!」
「た、確かにちょっとエッチだけど……その、背に腹は代えられないって感じであたしは受け入れてるから!」
「……自分はそれとは別の理由で反対的だ、フォールンメディックは元々不慮の事故で覚える間違った闇の真化、それを意図的に得るなんてリスクが高い……そもそもだ、本の通りにするならこの姿になるにはマジアベーゼの闇の魔力を必要とする!」
「彼女、敵と味方が仲良くするのはNGってスタンスだからねー、どんな状況でも力を貸すってことはあり得ないと思う……そもそも魔力ってどうやって手に入れるの?」
キルロードの燃料に消えた為に従来通りマジアベーゼを暴走させることは出来ない、かといってたくっちスノーも魔力を奪う発明品なんてものを作るのは時間がかかるが……。
「事情を説明してパラレルトレスマジアの力を借りるのは?」
「あっごめん……他のあたし達にはゴジュウジャーの皆と一緒にガリュードをなんとかしてほしいってもう頼んでて」
「ああそうだガリュードもマガイジンなんだった……話によるとそっちは『金雷公』ジンオウガか……後で吠達にジンオウガの資料送っておかないと……。」
ジンオウガとは電気を発生させる狼に近い竜、まさに吠に執着しているガリュードには似た雰囲気の怪物であり、背中に電気を発生させる虫を共生させることで膨大な電撃を発せられる……ガリュードの場合それが精神力にも表れているようで電力を活性化させて帯電させてないとナーバスになるようである。
金雷公は電力がより強化されて常に帯電し、黄金に輝く稲妻を鎧のように身にまとうとか。
ゴジュウジャーやパラレルトレスマジアで勝てるか不安になるが、吠は久光がそばにいることもあり引くことはないという。
「あ……あーその、あたし、ポチさんの他世界の本から色々知識を得たんだけど……魔力を受け渡しする方法……」
「あーうん!嫌な予感するけどちょっとリハーサルしようか!ヤバい光景になりそうな気がしたんだよね!」
たくっちスノーは試しにマジアベーゼに変身してみるが、はるかは唾を呑み決心したように近付いて……。
「いや待て待て待て待て待て!!!」
事の重大さに気がついたことで咄嗟に変身を解除してドル引きで離れるたくっちスノー、はるかも結構無理してたらしく赤面して悶えてしまう。
魔力を手に入れる方法……それはキスして口から直接魔力を吸い取るという典型的なエナジードレインだった。
……やってる側が
逆だったかもしれねェ。
「ほ、ほ、本気かお前!?魔法少女が悪の組織にそれやっちゃうのは色々とまずい気がしないか!?」
「あたしだって本当はダメだと思ってるし恥ずかしいよぉ!で、でも皆に迷惑をかけたくないから……」
「大丈夫だよたくっちスノー、この世界の人々の性癖は鍛えられてるから」
「全然大丈夫の説得力が見当たらないんだが?」
「おいお前ら……そろそろマジの近所迷惑になる時間だ……キレたりツッコむのはやめろ」
「あっごめんミッチー」
みち子の苦情によって場はお開きとなり、もう言ってしまったためそういう方向性で行くしかないと後戻り出来なくなったはるか及びマジアマゼンタは何回もイメージトレーニングを重ねたり心を落ち着かせたりしていた、この件で興奮して水蒸気爆発を起こしたら元も子もない。
そして早朝、はるかが様子を見に行くと吠が朝早くから弁当を作って作り置きしていた。
「吠さん……」
「お前か、そっちの方は……その、なんだ大丈夫なのか?」
「う、う〜ん…………ちょ、ちょっと自信ないかなぁ」
「正直だなお前は、まあ俺も……すっかり変わったと思うが、誰ともつるめない採用も才能もない一匹狼、いつまでもハグレモノのまま終わると思っていたが、世界が変われば気分も一変……か」
「吠さん……あ、あのっ、もしよければなんですけど!このまま元の世界に帰らなくても……家が無いなら、あたしの家でずっと家事代行をしても……」
「それは出来ねえ、お前だって姉ちゃんなんだろ、だったらずっとコイツらのそばにいるべきなのは赤の他人の俺よりお前だろうが……だから死ぬな、俺と違ってお前は心配するやつがいる、俺の兄ちゃんなんてあんな結果だからな……お前は生きろ、なんとしても生きろ、お前はマジアマゼンタである前に花菱はるかだ、それを忘れるな」
「……ありがとうございます、吠さん!お互い頑張ろう!」
はるかは決意した、また花菱はるかとして妹達に会いに行くために確実にこのマガイジンの力を抑制すると……その為にはなんとしてもマジアベーゼの魔力を手に入れなくてはならない。
マジアマゼンタに変身して空を飛び上がりマジアベーゼを探す、正直本番になるほど心臓の高鳴りが抑えきれない。
「ま、ま、マジアベーゼ!どこ!時間が無いから早急に出てきて!すぐに終わらせ……いたぁ!」
「えっちょっと何!?ま、マジアマゼンターー!?」
超スピードでディアブロスの突進並の勢いで突っ込んできたのでマジアベーゼも対処しきれず激突、そのままの勢いで押し倒される形になり素が出た状態で慌ててしまうし、マゼンタも改めて本番をするとなると緊張して息が荒くなるが暴走しないように頑張って我慢する。
「な、な、な、なんのつもりですかマゼンタ!力強っ!」
「ま、マジアベーゼ……お願い!!何も聞かずにあたしにチューされて!!」
「どういうこと!?いやっやめなさい!私達は本来そういった事をする仲ではんむううううっ!?」
色んな意味で抵抗するベーゼに名前通りの強烈なベーゼを叩き込む、だいぶディープな感じで舌も入り絡め取られるように魔力を吸い取られていく。
「むーっ!?むっんむっーっ!!」
(ご……ごめんうてなちゃん……でも街を守るためにはこれしかないの!今度鞭打ちでもいくらでもしていいから!)
「てめぇこら……うちのベーゼちゃんに何してくれんだこの薄汚い泥棒猫……じゃない雌豚が……」
こんな珍事態にはレオパルトも血相変えてブチギレて銃を突きつける、自分は平気だが誤射は避けたいマゼンタは急いで唇を離して避難する。
闇の魔力が身体を侵して変化させていくのを感じる、頭が魔力のせい、あくまで魔力のせいでぼうっとしてしまうが上手くいったように感じる。
「ベーゼちゃん大丈夫!?貞操はアタシがもう奪ったけど通り魔的にやってきたなあの野郎!」
「は……はわ……し、舌まで入れられちゃったってそれどころじゃない!マゼンタが私の魔力を3割くらい吸収していきました!」
「は!?あの野郎ベーゼちゃんの純情どころか精力まで奪う気かよ許せねえ!」
「そうです!私が責任持ってマゼンタにしゃぶらせてマジアベーゼ様の魔力間接キスを……」
「レオちゃんキスマークの股間をドリルミサイルで粉砕して!」
「あいよ!」
「すみません調子乗りすぎましたほげええええ!!!」
◇
「はあ……はあ……こ、これでいけるはず!!真化!!」
覚悟を決めて暗黒真化を行うマゼンタ、鏡を見て褐色肌になり見た目も大きく変わったことから無事にフォールンメディックに変身することが出来たようだ……だが。
「や……やっぱり恥ずかしいよこの格好!出来れば見られないようにしておこう……」
本来の歴史と違い理性がばっちり残っていたので露出の多さに恥じらいが出来てしまう。
……その姿を追いかけていたマジアベーゼも見ていたのでバグって生まれたての子鹿のようになってしまう、正義の魔法少女が自分から清純さを捨ててあのような姿になるのは彼女から見れば自分のせいで目覚めてしまったようにしか見えない。
「真化?マゼンタの真化がアレ?しかも私の魔力奪って意図的に?何故?何故?あばばばば……」
「ベーゼちゃんがぶっ壊れたぁ!!」
「よ……よし!後はナースっぽく抑制剤を魔法で作って……出来た!えい!」
はるかは成分を注射器から絞り出して魔法で血清に作り変えて注入、ディアブロスの設定を抑制させるとようやく少し落ち着いた。
最終更新:2025年05月11日 07:12