「だるい……」
時間が経ったことを告げる単調な機械音を合図に脇の下から体温計を取り出す。37.5℃。下がってはいるがまだキツイな。
いつもの三倍ほど重い頭を引きずりながらベッドで寝返りを打ち、長門ならこんな風邪一発で治せるんじゃないか、いっそのこと頼んでみようか――なんてことを考えてみるが、
そんなことを考えれば考えるほど頭痛になる上時間の無駄なので、俺は大人しく布団を頭まで被った。
今日は朝からこんな様子だ。妹のフライングアタックも酷い頭痛と耳鳴りに比べればまだかわいいものだと知ったし、団長涼宮ハルヒが病人に登校を強制する人間だということも解った。
風邪だとメールしたのに「来ないと罰金!」ってどういうことだよ。
現在時刻は昼を少し過ぎた辺り。母親はパートの仕事で出てるし、妹も当然学校、もちろんSOS団団員が学校を抜け出してまで俺の見舞いには来ないだろうし、
ハルヒはきっと俺のことなんて忘れて学食のテーブルをおいしく食べているだろう。長門が風邪のときは過保護になるくせに。贔屓だ。
布団の中でそんなことを考えれば考えるほど頭痛と、ついでに空腹感も押し寄せてきた。くそ、二重苦とはまさにこのことか。頭痛と空腹のダブルパンチは亀一家の長男のボディブローより効くぜ
。そんなもの貰ったこと無いし貰う気も無いが。
うーうー唸ってはみるもののそんなもので何かが解決するわけがなく、不毛なことはやめて寝てしまおう、と思ったまさにその時。
時間が経ったことを告げる単調な機械音を合図に脇の下から体温計を取り出す。37.5℃。下がってはいるがまだキツイな。
いつもの三倍ほど重い頭を引きずりながらベッドで寝返りを打ち、長門ならこんな風邪一発で治せるんじゃないか、いっそのこと頼んでみようか――なんてことを考えてみるが、
そんなことを考えれば考えるほど頭痛になる上時間の無駄なので、俺は大人しく布団を頭まで被った。
今日は朝からこんな様子だ。妹のフライングアタックも酷い頭痛と耳鳴りに比べればまだかわいいものだと知ったし、団長涼宮ハルヒが病人に登校を強制する人間だということも解った。
風邪だとメールしたのに「来ないと罰金!」ってどういうことだよ。
現在時刻は昼を少し過ぎた辺り。母親はパートの仕事で出てるし、妹も当然学校、もちろんSOS団団員が学校を抜け出してまで俺の見舞いには来ないだろうし、
ハルヒはきっと俺のことなんて忘れて学食のテーブルをおいしく食べているだろう。長門が風邪のときは過保護になるくせに。贔屓だ。
布団の中でそんなことを考えれば考えるほど頭痛と、ついでに空腹感も押し寄せてきた。くそ、二重苦とはまさにこのことか。頭痛と空腹のダブルパンチは亀一家の長男のボディブローより効くぜ
。そんなもの貰ったこと無いし貰う気も無いが。
うーうー唸ってはみるもののそんなもので何かが解決するわけがなく、不毛なことはやめて寝てしまおう、と思ったまさにその時。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。誰だ。ハルヒか? 朝比奈さんだったらそのまま昇天してしまうかもしれない。長門だったら風邪を治してくれるかもしれない。
古泉は…… きっと機関御用達の医者でも連れてくるかもしれない。いや古泉は嫌だがな。野郎と二人で密室なんて……ええい、忌々しい。
そんな考えをめぐらせるが、当然この状態の俺が玄関に出ることは出来ず、家には俺以外誰もいない為必然的に無反応になる。どうせSOS団の奴らなら勝手に上がってくるだろうし、
郵便や勧誘だったらこのままシカトすればいい。鍵開いてたっけな。まぁいいか。
そうしてベッドに横たわったまま音を聞き逃さないようにしていると、案の定扉が開く音がした。やけにゆっくりだが…… まさか朝比奈さんが一人で来たのか!?
あああの可憐な姿で扉を恐る恐る開く姿が目に浮かぶようだ。うむ。風邪の回復には朝比奈印のお茶が一番だな。
それか可能性としては長門だ。あいつならほとんど物音立てないで人の家に上がることくらいできそうだし。
ハルヒ? あいつはありえん、あいつはドアを蹴飛ばしてぶち破ってから用件を言うような奴だからな。
そうして俺は少し愉快な気持ちになりながら、もしも寝てるフリをしておけば朝比奈さんが血迷って額を合わせてくれるかもしれない、なんてことを考え、布団を深めにかぶってから目を塞いだ。
階段を登る軽い足音が数秒、それから俺の部屋を仕切るドアが軋む音。まるで空き巣がビビりながら……って、空き巣!? 泥棒か!?
それはマズイ! そう思った瞬間俺は布団を押し退けて頭痛なんて気にせず上半身を起こして侵入者を――、
「って……」
頭がぐわんと歪んだ気がした。視界にノイズが走り、ホワイトアウトし、最後は引き寄せられるように意識がブラックアウト――…
古泉は…… きっと機関御用達の医者でも連れてくるかもしれない。いや古泉は嫌だがな。野郎と二人で密室なんて……ええい、忌々しい。
そんな考えをめぐらせるが、当然この状態の俺が玄関に出ることは出来ず、家には俺以外誰もいない為必然的に無反応になる。どうせSOS団の奴らなら勝手に上がってくるだろうし、
郵便や勧誘だったらこのままシカトすればいい。鍵開いてたっけな。まぁいいか。
そうしてベッドに横たわったまま音を聞き逃さないようにしていると、案の定扉が開く音がした。やけにゆっくりだが…… まさか朝比奈さんが一人で来たのか!?
あああの可憐な姿で扉を恐る恐る開く姿が目に浮かぶようだ。うむ。風邪の回復には朝比奈印のお茶が一番だな。
それか可能性としては長門だ。あいつならほとんど物音立てないで人の家に上がることくらいできそうだし。
ハルヒ? あいつはありえん、あいつはドアを蹴飛ばしてぶち破ってから用件を言うような奴だからな。
そうして俺は少し愉快な気持ちになりながら、もしも寝てるフリをしておけば朝比奈さんが血迷って額を合わせてくれるかもしれない、なんてことを考え、布団を深めにかぶってから目を塞いだ。
階段を登る軽い足音が数秒、それから俺の部屋を仕切るドアが軋む音。まるで空き巣がビビりながら……って、空き巣!? 泥棒か!?
それはマズイ! そう思った瞬間俺は布団を押し退けて頭痛なんて気にせず上半身を起こして侵入者を――、
「って……」
頭がぐわんと歪んだ気がした。視界にノイズが走り、ホワイトアウトし、最後は引き寄せられるように意識がブラックアウト――…
ノイズ。
視界に走ったノイズが薄れていく。ぼやけた天井が目に入り、徐々に焦点があっていって、自分が見ているのは天井の蛍光灯ということが認識できた。
「あ。起きました?」
何があったんだっけ。確か朝比奈さんか長門が見舞いに来てくれたような気がして、待機モードになっていたら足音が空き巣とかのソレで…… ッ!
飛び起きようとした俺を何者かが押さえつける。なんだ!? まさか俺は既に空き巣に人質にでもされてるのか!?
「そんなわけないじゃないですか! もうっ! 落ち着いてくださいっ!」
俺を抑えてる人間を確認した時――頭に上った血が一気に冷めた気がした。ちょっと待て。なんでお前がここにいる?
「えーっと…… お見舞い、です」
そう言ったのは綺麗なブラウンの髪を絶妙な位置でツインテールにしている少女、橘京子だった。
お見舞いか。それは解る。んでもってありがたい。だが、俺はお前に俺が風邪だと教えてもいないし、ついでに俺の家も教えてないはずだが。
「んん…… もうっ。あなたはあたしが『機関』に所属してることを忘れてしまったのですか? 古泉さんのところほどじゃないにしろ、あたしたちにだってあなたの動きを知ることはできます。
今日学校に行ってないこともね」
何故か俺にウインクを飛ばす橘京子。俺は風邪気味なんだがな。うつるぞ。
つーことはなんだ、最初に恐る恐る入ってきたのもお前か。てっきり空き巣と勘違いした俺が馬鹿みたいだぜ。
「お見舞いに来てくれたことはありがたいんだが、残念ながらあまりお前と話せるほど余裕は無い。お見舞いとか言ってどうせ佐々木のことで話でもあるんだろ? それだったら今度にしてくれ、今日は無理だ」
「ち、違います! そんな下心じゃなくてそんなことはなくて…… ただ純粋にキョンさんのお見舞いに……えっと…… 心配だったから…… そうだ! お粥作ります!」
そう言うと橘京子は脱兎の如く階段を駆け降りていった。少し顔が赤かった気がするが俺の風邪でもうつったかね。そうなら悪いことしたな。
視界に走ったノイズが薄れていく。ぼやけた天井が目に入り、徐々に焦点があっていって、自分が見ているのは天井の蛍光灯ということが認識できた。
「あ。起きました?」
何があったんだっけ。確か朝比奈さんか長門が見舞いに来てくれたような気がして、待機モードになっていたら足音が空き巣とかのソレで…… ッ!
飛び起きようとした俺を何者かが押さえつける。なんだ!? まさか俺は既に空き巣に人質にでもされてるのか!?
「そんなわけないじゃないですか! もうっ! 落ち着いてくださいっ!」
俺を抑えてる人間を確認した時――頭に上った血が一気に冷めた気がした。ちょっと待て。なんでお前がここにいる?
「えーっと…… お見舞い、です」
そう言ったのは綺麗なブラウンの髪を絶妙な位置でツインテールにしている少女、橘京子だった。
お見舞いか。それは解る。んでもってありがたい。だが、俺はお前に俺が風邪だと教えてもいないし、ついでに俺の家も教えてないはずだが。
「んん…… もうっ。あなたはあたしが『機関』に所属してることを忘れてしまったのですか? 古泉さんのところほどじゃないにしろ、あたしたちにだってあなたの動きを知ることはできます。
今日学校に行ってないこともね」
何故か俺にウインクを飛ばす橘京子。俺は風邪気味なんだがな。うつるぞ。
つーことはなんだ、最初に恐る恐る入ってきたのもお前か。てっきり空き巣と勘違いした俺が馬鹿みたいだぜ。
「お見舞いに来てくれたことはありがたいんだが、残念ながらあまりお前と話せるほど余裕は無い。お見舞いとか言ってどうせ佐々木のことで話でもあるんだろ? それだったら今度にしてくれ、今日は無理だ」
「ち、違います! そんな下心じゃなくてそんなことはなくて…… ただ純粋にキョンさんのお見舞いに……えっと…… 心配だったから…… そうだ! お粥作ります!」
そう言うと橘京子は脱兎の如く階段を駆け降りていった。少し顔が赤かった気がするが俺の風邪でもうつったかね。そうなら悪いことしたな。