ゆとり教育だとか、学力低下だとか言うけれど、
それでも、俺は週休二日にしたやつにノーベル賞でも送ってやりたい気分だ。
平日はハルヒに振り回され、土曜は不思議探索のパターンで、唯一休めるのが日曜日だ。
これが休みが日曜だけだったらと思うと、寒気がするね。
とまあ、唯一悠々自適な時間を過ごせる日曜日だったのだが、最近ではそれすらも叶わなくなっている。
その元凶は、商店街を歩く俺の後ろでさっきから騒いでいる。
「だから、キョンくんに協力してもらわないと困るのです」
ツインテールを揺らし、必死にまとわりついてくる橘。
お前もよく飽きないよな、まったく。
「だって、キョンくんを説得するまで諦めるわけにはいかないのです」
こうきたものだ。
さっきから俺の後ろにくっついてまわり、しきりに佐々木を神にすることの利点やらを説いてくる。
宗教の勧誘やらインターネットの勧誘やらなら無視して通り過ぎれば終わるのだが、
イソギンチャクの周りをふわふわ飛び回るクマノミのように、橘は俺の周りを離れない。
あ~、これじゃ、おちおち買い物もできん。
街角にあるアイスクリーム屋を見つけて、俺はすこし、ひらめいた。
「なぁ、アイスでも食うか?」
びくっ、と反応する橘。
「む、む~、ごまかされませんよ。アイスで釣って、おとなしくさせようとか考えてません?」
そんな橘の挙動は怪しげだ。横目でちらちらとアイスクリーム屋を見る橘。
そりゃ、さっきからあれだけ喋っていたら喉も渇くだろう。
橘の心の中では、機関の仕事とアイスクリームとが、ものすごい葛藤を繰り広げているに違いない。
「ほら、アイスを食べながらのんびり話すことで相手の気を緩ませるというのも立派な戦略の一つだぞ」
「む~、ま、まぁ、キョンくんがどうしてもって言うなら、しかたないです」
ツインテールを犬の尻尾のように揺らしてアイスクリーム屋へ駆け出す橘。
自動ドアが開くのももどかしく、並んでいるアイスを覗き込む。
「えーっと、いちごみるく……あ、でもラブポーションもおいしそうだし、
ん?今月のお勧めのトリプルチョコレートパッション? う~、これもおいしそう……」
目をキラキラさせながら覗き込む橘。無論、後ろを顧みる余裕などありはしない。
この隙に、こっそりと……
「う~、チェリーブラッサムにバーガンディチェリー……どれもおいしそうだよぉ……
そうだ、キョンくん。半分こしません……ってあれ? キョンく~ん……」
それでも、俺は週休二日にしたやつにノーベル賞でも送ってやりたい気分だ。
平日はハルヒに振り回され、土曜は不思議探索のパターンで、唯一休めるのが日曜日だ。
これが休みが日曜だけだったらと思うと、寒気がするね。
とまあ、唯一悠々自適な時間を過ごせる日曜日だったのだが、最近ではそれすらも叶わなくなっている。
その元凶は、商店街を歩く俺の後ろでさっきから騒いでいる。
「だから、キョンくんに協力してもらわないと困るのです」
ツインテールを揺らし、必死にまとわりついてくる橘。
お前もよく飽きないよな、まったく。
「だって、キョンくんを説得するまで諦めるわけにはいかないのです」
こうきたものだ。
さっきから俺の後ろにくっついてまわり、しきりに佐々木を神にすることの利点やらを説いてくる。
宗教の勧誘やらインターネットの勧誘やらなら無視して通り過ぎれば終わるのだが、
イソギンチャクの周りをふわふわ飛び回るクマノミのように、橘は俺の周りを離れない。
あ~、これじゃ、おちおち買い物もできん。
街角にあるアイスクリーム屋を見つけて、俺はすこし、ひらめいた。
「なぁ、アイスでも食うか?」
びくっ、と反応する橘。
「む、む~、ごまかされませんよ。アイスで釣って、おとなしくさせようとか考えてません?」
そんな橘の挙動は怪しげだ。横目でちらちらとアイスクリーム屋を見る橘。
そりゃ、さっきからあれだけ喋っていたら喉も渇くだろう。
橘の心の中では、機関の仕事とアイスクリームとが、ものすごい葛藤を繰り広げているに違いない。
「ほら、アイスを食べながらのんびり話すことで相手の気を緩ませるというのも立派な戦略の一つだぞ」
「む~、ま、まぁ、キョンくんがどうしてもって言うなら、しかたないです」
ツインテールを犬の尻尾のように揺らしてアイスクリーム屋へ駆け出す橘。
自動ドアが開くのももどかしく、並んでいるアイスを覗き込む。
「えーっと、いちごみるく……あ、でもラブポーションもおいしそうだし、
ん?今月のお勧めのトリプルチョコレートパッション? う~、これもおいしそう……」
目をキラキラさせながら覗き込む橘。無論、後ろを顧みる余裕などありはしない。
この隙に、こっそりと……
「う~、チェリーブラッサムにバーガンディチェリー……どれもおいしそうだよぉ……
そうだ、キョンくん。半分こしません……ってあれ? キョンく~ん……」
さて、やっと開放されたって感じだ。
桜舞う祝川公園でイスに座ってぼんやりと空を眺める。
そう、俺はこんな平凡のどかな春の一日を満喫したかったのだ!!
誰にも邪魔されず、のんびりとできる休日が!!
「もぅ~、ひどいです、キョンくん」
ざんねん のどかなきゅうじつは ここで おわってしまった
両手に三段重ねのアイスを持った橘は怒り顔だ。
しかし、よく分かったな
「私たちの組織をなめちゃいけません……って、なんとなくキョンくんならここあたりででゴロゴロしてるんじゃないかと思って」
なんということだ、完全に行動読まれてるぞ、俺。
はい、と橘は片方のアイスを差し出してくれる。
もらっていいのか? これ。
「大丈夫です。ちゃんと領収書もらってきたから経費で落とせるのです。あ、でも半分こづつですからね。全部食べちゃダメですよ」
アイスを経費で落とせる組織とは便利なものだ。
ありがたくいただいとこうかね。
隣の橘はいかにも幸せといった感じでアイスにかぶりついている。
「ん~、暖かい春の日に、桜を眺めながらアイスを食べる。風流ですね~」
アイスって時点で風流じゃないと思うのだがな。
「む~、キョンくん、ノリが悪い。あ、いちごみるく半分ください~」
横から俺のアイスにかぷっとかぶりつく橘。
こら、お行儀悪いことしない。
「う~ん、こっちもおいしい。あ、代わりに私のも食べます? これ、私のおすすめですよ」
橘が差し出したアイスには、小さな歯型。
あれ……これってよく考えれば……ってよく考えなくても間接キスじゃないのか?
アイスを差し出している橘は小首をかしげている。もしかして、気づいていない?
いやいや、俺は別にやましい事しているわけじゃないからな。
せっかくの橘の好意を無駄にするのも悪かろう。
意を決して俺は橘のアイスにかぶりつく。
風味豊かなチェリーのアイスクリームに、ふわふわのマシュマロの感触。
「ね、おいしいでしょ?」
橘の笑みに同意する。そうだな、さすがはお前のお勧めだ。
「これが本当のチェリーキス……なんて」
ぶーっ!!
「わわっ、キョンくん。汚いですよ」
ちょっと待て、今お前、なんて言った?
「ふふふ、言わなくても分かってますよね。あはは~、キョンくんと間接キスしちゃった」
くそっ、気づいていて狙ったって訳か。
そうだ、何のどかにこいつと一緒にアイス食べてるんだ、俺は。
こいつは朝比奈さんを誘拐しようとした奴なんだぞ。
何が狙いだ。ハルヒにばらして世界を変革させる気か? それともそれをネタに脅して協力を迫る気か?
「別に、そんなことはしませんけれど……」
橘はふふっと笑い、
「色落としも、立派な戦略の一つですよ♪」
桜舞う祝川公園でイスに座ってぼんやりと空を眺める。
そう、俺はこんな平凡のどかな春の一日を満喫したかったのだ!!
誰にも邪魔されず、のんびりとできる休日が!!
「もぅ~、ひどいです、キョンくん」
ざんねん のどかなきゅうじつは ここで おわってしまった
両手に三段重ねのアイスを持った橘は怒り顔だ。
しかし、よく分かったな
「私たちの組織をなめちゃいけません……って、なんとなくキョンくんならここあたりででゴロゴロしてるんじゃないかと思って」
なんということだ、完全に行動読まれてるぞ、俺。
はい、と橘は片方のアイスを差し出してくれる。
もらっていいのか? これ。
「大丈夫です。ちゃんと領収書もらってきたから経費で落とせるのです。あ、でも半分こづつですからね。全部食べちゃダメですよ」
アイスを経費で落とせる組織とは便利なものだ。
ありがたくいただいとこうかね。
隣の橘はいかにも幸せといった感じでアイスにかぶりついている。
「ん~、暖かい春の日に、桜を眺めながらアイスを食べる。風流ですね~」
アイスって時点で風流じゃないと思うのだがな。
「む~、キョンくん、ノリが悪い。あ、いちごみるく半分ください~」
横から俺のアイスにかぷっとかぶりつく橘。
こら、お行儀悪いことしない。
「う~ん、こっちもおいしい。あ、代わりに私のも食べます? これ、私のおすすめですよ」
橘が差し出したアイスには、小さな歯型。
あれ……これってよく考えれば……ってよく考えなくても間接キスじゃないのか?
アイスを差し出している橘は小首をかしげている。もしかして、気づいていない?
いやいや、俺は別にやましい事しているわけじゃないからな。
せっかくの橘の好意を無駄にするのも悪かろう。
意を決して俺は橘のアイスにかぶりつく。
風味豊かなチェリーのアイスクリームに、ふわふわのマシュマロの感触。
「ね、おいしいでしょ?」
橘の笑みに同意する。そうだな、さすがはお前のお勧めだ。
「これが本当のチェリーキス……なんて」
ぶーっ!!
「わわっ、キョンくん。汚いですよ」
ちょっと待て、今お前、なんて言った?
「ふふふ、言わなくても分かってますよね。あはは~、キョンくんと間接キスしちゃった」
くそっ、気づいていて狙ったって訳か。
そうだ、何のどかにこいつと一緒にアイス食べてるんだ、俺は。
こいつは朝比奈さんを誘拐しようとした奴なんだぞ。
何が狙いだ。ハルヒにばらして世界を変革させる気か? それともそれをネタに脅して協力を迫る気か?
「別に、そんなことはしませんけれど……」
橘はふふっと笑い、
「色落としも、立派な戦略の一つですよ♪」
オマケ
「え、アイスクリーム、経費で落ちないんですか!? だって、あれはキョンくんを説得するための……
えう……た、確かに私も食べてましたけれど、あ、ちょ、ちょっと待ってください~」
「え、アイスクリーム、経費で落ちないんですか!? だって、あれはキョンくんを説得するための……
えう……た、確かに私も食べてましたけれど、あ、ちょ、ちょっと待ってください~」