──どうして、こんなことになっちゃったんだろう。
壁に凭れ掛りながら、あたしはぼんやりとそんなことを考えた。
きっかけはきっと些細な行き違い。
新しく接触してきた未来人のエージェントの1人が、『組織』の仲間に、あることを告げたのだ。
その場に居合わせたのがあたしだったら、多分こんなことにはならなかったはずだ。
でも、実際にそこにいたのは……間の悪いことに、全員ちょっと頭の固い連中だった。
新しく接触してきた未来人のエージェントの1人が、『組織』の仲間に、あることを告げたのだ。
その場に居合わせたのがあたしだったら、多分こんなことにはならなかったはずだ。
でも、実際にそこにいたのは……間の悪いことに、全員ちょっと頭の固い連中だった。
結果──あたしたち『組織』は、『機関』に勝ち目のない戦いを吹っ掛けてしまった。
話を聞いた藤原さんは「これも既定事項ってことか」と一言だけ残してどこかに去っていってしまった。
貴方たち未来人が煽ったんじゃないの、とは言えなかった。
そのときの彼の顔が、あまりにも悲痛なものだったから。
彼もきっと、間違いを正そうとして……ううん、既定事項に逆らおうとしているんだろう。きっと、任務に就いて初めて。
九曜さんの姿は見えない。彼女の能力ならこんなこと、すぐに「無かったこと」に出来るんだろうけど。
関心がないのかもしれないし、もしかしたら……
やめよう。あたしは九曜さんを信用してたんだもの。自分の状況が悪くなったから疑いだすなんて良くない。
貴方たち未来人が煽ったんじゃないの、とは言えなかった。
そのときの彼の顔が、あまりにも悲痛なものだったから。
彼もきっと、間違いを正そうとして……ううん、既定事項に逆らおうとしているんだろう。きっと、任務に就いて初めて。
九曜さんの姿は見えない。彼女の能力ならこんなこと、すぐに「無かったこと」に出来るんだろうけど。
関心がないのかもしれないし、もしかしたら……
やめよう。あたしは九曜さんを信用してたんだもの。自分の状況が悪くなったから疑いだすなんて良くない。
──おなか、すいたな。
朝から何も食べてない。変な話よね。
ここからほんのちょっと移動すれば、お店なんていくらでもあるのに。
でもあたしはこんな建物の谷間から動けなくて、
ジーパン刑事が「エンピツの芯みてぇなタマ」って言ったやつを発射する武器は手からすり落ちて転がってて、
額の傷から出た血が乾いて痒くて、
お約束みたいに巻いてる包帯には血が滲んでて、
それでも血が止まってくれなくて。
ここからほんのちょっと移動すれば、お店なんていくらでもあるのに。
でもあたしはこんな建物の谷間から動けなくて、
ジーパン刑事が「エンピツの芯みてぇなタマ」って言ったやつを発射する武器は手からすり落ちて転がってて、
額の傷から出た血が乾いて痒くて、
お約束みたいに巻いてる包帯には血が滲んでて、
それでも血が止まってくれなくて。
あー、寒いな。11月だし、しょうがないよね。
あたしが企画してやるはずだったハロウィンのイベントのことをぼんやり思い出す。
あのかぼちゃのお面の中身があったら、ゆっくり時間を掛けて煮込んでやって、美味しくいただくのにな。
でも、一人だけで食べるんじゃないの。もちろん佐々木さんが優先なのです。
でも佐々木さんは小食だから、食べきれないくらい残っちゃう。それを九曜さんとあたしで半分こ。
藤原さんはそんなあたしたちを欠食児童を眺めるGHQの軍人みたいな目で見てるけど、わかってるんだ。
ほんとは自分たちも食べたいんでしょ?
だめです。貴方たちにはあげないの。あ、でも条件付きでならいいですよ。
藤原さんは素直に食べたいって言ったら、九曜さんの分を少し分けて上げます。
キョン君は、佐々木さんに力を移すことに同意したら、あたしの分を上げるのです。でも半分ですよ?
でも、ああ、どうしよう。まだひとりいた。
古泉さん。そんな困った笑い顔しても、貴方に上げる分は残ってないの……
あのかぼちゃのお面の中身があったら、ゆっくり時間を掛けて煮込んでやって、美味しくいただくのにな。
でも、一人だけで食べるんじゃないの。もちろん佐々木さんが優先なのです。
でも佐々木さんは小食だから、食べきれないくらい残っちゃう。それを九曜さんとあたしで半分こ。
藤原さんはそんなあたしたちを欠食児童を眺めるGHQの軍人みたいな目で見てるけど、わかってるんだ。
ほんとは自分たちも食べたいんでしょ?
だめです。貴方たちにはあげないの。あ、でも条件付きでならいいですよ。
藤原さんは素直に食べたいって言ったら、九曜さんの分を少し分けて上げます。
キョン君は、佐々木さんに力を移すことに同意したら、あたしの分を上げるのです。でも半分ですよ?
でも、ああ、どうしよう。まだひとりいた。
古泉さん。そんな困った笑い顔しても、貴方に上げる分は残ってないの……
「……」
そんな顔、しなくてもいいじゃない。また作ったときに上げるから。
「……橘さん?」
すがりついたって駄目。もう空っぽだから。
「聞こえますか?」
聞こえてる。でも、口が上手く動かせない。
「良かった。僕が分かりますね?」
うん。でも、貴方がここにいるってことは……
「抗争は終わりです。佐々木さんも彼も無事ですよ」
そんな顔、しなくてもいいじゃない。また作ったときに上げるから。
「……橘さん?」
すがりついたって駄目。もう空っぽだから。
「聞こえますか?」
聞こえてる。でも、口が上手く動かせない。
「良かった。僕が分かりますね?」
うん。でも、貴方がここにいるってことは……
「抗争は終わりです。佐々木さんも彼も無事ですよ」
──ああ、そうなんだ。終っちゃったんだ……
急に狭くなっていく視界の中に、あたしにとっては初めて見る、笑いの成分を1%も含まない彼の顔だけが見えていた。
悲恋の導入ってこんな感じですか?分かりません! ><