『盲目なる生贄達は、既知に塗れた牢獄にて夢を追う』
道化師【グリム=グリム】は総てを見下ろせる高みにて、ただ笑う。
悔恨、喰種、海色、道化、空、守護。
生贄達の散り様を、彼は俯瞰するだけ。
行く末を楽しむ舞台装置にできることは、今は、ない。
悔恨、喰種、海色、道化、空、守護。
生贄達の散り様を、彼は俯瞰するだけ。
行く末を楽しむ舞台装置にできることは、今は、ない。
『第二の夜を盲目の生贄達が踊り狂う。遍く願いよ、輝くが良い。
これこそが、聖杯戦争の根源である』
これこそが、聖杯戦争の根源である』
生き残った参加者達に届くメッセージ。
聖杯戦争は続いている。
やり直しの過去は予定調和の域をまだ出ない。
聖杯戦争は続いている。
やり直しの過去は予定調和の域をまだ出ない。
『現在時刻を記録しよう。午前0時――カウント・ダウンは今も続いている』
時計の針が動く。
カチカチ、カチカチ、カチカチ。
煩いぐらいに耳に入る針の音など関係なしに、道化師の声は依然として続いている。
カチカチ、カチカチ、カチカチ。
煩いぐらいに耳に入る針の音など関係なしに、道化師の声は依然として続いている。
『世界が望んだ【願い】だ、【想い】よ、震えるがよい』
願いが潰え、明日への道は粉々になって砕け散った。
強いられる世界、箱庭に閉じ込められた生贄達は受け入れる他ない。
未来に焦がれた英雄が黄金螺旋階段を登り切るまで、聖杯戦争は終わらない。
強いられる世界、箱庭に閉じ込められた生贄達は受け入れる他ない。
未来に焦がれた英雄が黄金螺旋階段を登り切るまで、聖杯戦争は終わらない。
『聴こえるはずだ、生贄達よ。聖杯戦争は止められない、遍く総てを【諦める】まで、終わらない』
盲目で浅ましい英雄達は、夢を捨てられない愚者達は、目指す他ないのだ。
螺旋の果てにある願いを求めて。
螺旋の果てにある願いを求めて。
『さて。今宵の恐怖劇の幕開けだ。黄金螺旋階段の果てに、きみたちの願いはある』
喝采無き戦場で、今日もまた、聖杯戦争が繰り返される。
■
これはいつかの記録である。
《過去》か、《今》か。それとも、《未来》か。
物語には何の影響もない些末な話だ。
黄金螺旋階段が織りなす聖杯への道。
その、途中。黄金で出来た受け皿のようなもの。
そこには彼/彼女がいた。
どこか物悲しい表情を浮かべ、彼/彼女は天高き所から下界を見下ろした。
眼下の雲は、薄くふんわりと膨らんでいて、軟らかそうだ。
甘そうに、そして優しそうに動かない。
数秒間、じっと雲を見つめる。
すると、雲の端がちぎれ落ち、黒の空へと溶け出していく。
やはり、つまらない。風景を茫洋と見つめて何が楽しいのか。
胸に沸き立つ苛立ちをなくそうと、上を見上げるも、気分はますます悪くなる一方だ。
星空が煩い。宇宙みたいに真っ暗な空に星々が散りばめられている。
天空にいながら見える空というのは、不思議なものだ。
けれど、彼/彼女の意にはそぐわなかったようで、顔の歪みはますます酷さを強めていく。
《過去》か、《今》か。それとも、《未来》か。
物語には何の影響もない些末な話だ。
黄金螺旋階段が織りなす聖杯への道。
その、途中。黄金で出来た受け皿のようなもの。
そこには彼/彼女がいた。
どこか物悲しい表情を浮かべ、彼/彼女は天高き所から下界を見下ろした。
眼下の雲は、薄くふんわりと膨らんでいて、軟らかそうだ。
甘そうに、そして優しそうに動かない。
数秒間、じっと雲を見つめる。
すると、雲の端がちぎれ落ち、黒の空へと溶け出していく。
やはり、つまらない。風景を茫洋と見つめて何が楽しいのか。
胸に沸き立つ苛立ちをなくそうと、上を見上げるも、気分はますます悪くなる一方だ。
星空が煩い。宇宙みたいに真っ暗な空に星々が散りばめられている。
天空にいながら見える空というのは、不思議なものだ。
けれど、彼/彼女の意にはそぐわなかったようで、顔の歪みはますます酷さを強めていく。
「――何度だって、やり直し続ける」
吐き捨てるように。彼/彼女は憎々しげに言葉を紡ぐ。
ありとあらゆる絶望を見ても、諦めない。その思考は捩じ曲がり、不屈に浸っている。
奏でる声には夢と希望しかない。
届いたはずの栄光だって、いつかは取り戻せる。
彼/彼女は、進み続ける。
ありとあらゆる絶望を見ても、諦めない。その思考は捩じ曲がり、不屈に浸っている。
奏でる声には夢と希望しかない。
届いたはずの栄光だって、いつかは取り戻せる。
彼/彼女は、進み続ける。
「何度だって、何度だって、何度だって」
彼/彼女は諦めないことを固く決意する。
迷わない、と。
黄金の奇跡こそが幸せへの道標だということを、疑わない。
迷わない、と。
黄金の奇跡こそが幸せへの道標だということを、疑わない。
――待て、しかして希望せよ。
さあ、聖杯戦争を繰り返そう。
そのひたむきな気持ちと不屈の精神こそが、きっと世界を救うと信じて。
そのひたむきな気持ちと不屈の精神こそが、きっと世界を救うと信じて。
BACK | NEXT | |
050:それは終わりの円舞曲 | 投下順 | |
050:それは終わりの円舞曲 | 時系列順 |