夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

レイ・ザ・バレル&ランサー

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 人が課せられた運命のみに従い生きる、そんな世界であるべきだ。それがレイ・ザ・バレルを支え続けてきた思想であった。
 創れるから創ってみたい、などという冒涜的な欲望を切欠として産み落とされた欠陥品の生命を嘆き、ゆえにその生命の全てを不必要な欲望に溢れた世界の変革に使おうという決意。
 ある意味において、レイの在り方は世界の破滅のためだけに自らの生命を費やした同胞と表裏一体だったのだろう。
 その悲願は、父とも呼ぶべき男に導かれ、友となった少年と共に歩み、遂に実を結ぶはずだった。

――でも違う!
――生命は、何にだって一つだ。だからその生命は君だ、彼じゃない!

 宿敵と言うべき存在に訴えかけられた言葉は、間違いなくレイの心を揺さぶった。
 幾重にも連なる砲撃を受けて自機が大破していく衝撃の中、レイの頭はただ混乱していた。
 持てる全てを世界という舞台に捧げた彼のように生きてきた。それは、正しいのではなかったのか。
 己の生涯の土台となった信念を、なぜ今更になって自分は疑ったのか。
 レイが最後の決着を見届けようと思ったのは、自分の本心を改めて確認したいという想いゆえだったのかもしれない。
 既に勝敗の決した戦場を駆け、理想を叶えられない敗者となったレイは父と宿敵の対峙する場面へと辿り着いた。

 父は、理想を諦めていなかった。そしてレイが理想を諦めていないとも信じていた。
 逆転など無理だと誰の目にも明らかでありながら、未だに父は縋りついていた。
 きっと彼は、この先の日々も自らの理想を達成するためだけに生き続けるつもりだったのだろう。
 不必要となった生命を切り捨て、大地と宇宙に亡骸の山を築き上げたこの過程を、彼は何度でも繰り返すつもりなのだ。
 争いは、形を変えながら果て無く続く。父は邁進し続ける。レイは、友はその手に銃を握り続ける。
 一切の脇目も振らず、弱音の一つも許されずに、人々は運命に従う。
 何故なら他の生き方を知らない、知ろうともしないのだから。

 あれほど焦がれたレイの理想は、視界の中で父に纏わりつく呪いへと変質していた。

 この世界の変革を望んだ父は、いつ自らの使命から解放されるのか?
 誰よりも平和を願った友は、いつまで守護者で在り続けなければならないのか?
 憎悪の果てに討ち死にした同胞は、本当にたった一つの可能性さえ与えられなかったのか?
 一度過酷な宿命に縛られてしまった生命は、どれほどの時を経ても救われることなど赦されないというのか?

 結局、憧れた世界は恒久の幸福など齎さない。
 全てが、虚しくなった。
 もう、服従するのに疲れ果てていたんだ。

 気が付いたら、レイは父を撃っていた。
 ようやく自らの願いの本質を見据え、そしてレイは過ちと見なした。
 自分達を培い、突き動かし、蝕み続けた運命は、こうして終わりを迎えたのだ。
 しかし、自由を得たはずのレイの身体はまるで動かなかった。
 敵も味方も幾度となく傷付け、その道程すら父ごと切り捨てた自分に、今更何が出来るというのだろう。
 残り少ない生命で光を求めて、そのために死に往く父を孤独の中に置き去りにしたところで、果たして幸福感など得られるだろうか。
 それくらいならば、最後まで父と寄り添う方が幾らか満足出来そうに思えた。

――でも、僕達はそれを知っている。分かっていけることも、変わっていけることも。
――だから明日が欲しいんだ! どんなに苦しくても、変わらない世界は嫌なんだ!

 嗚呼、変われるなら、変わりたかった。
 しかし新たな明日を掴み取るには、既に時が遅かった。
 もっと早く望まなければならなかったと気付くことさえ、遅過ぎたのだ。


 槍兵の名を冠する男の眼は、どうしようもなく似ている気がした。
 嘆きと憎しみと悲しみと、負の感情をないまぜにしながらも決して消えない光を宿している。
 このサーヴァントはまるで自分達のようだと、レイはそんな感傷に浸っていた。

「何に替えても成し遂げたい使命……と言ったな」
「そうだ。俺には失くなったものだ。お前は持っているのか、ランサー?」
「ああ。ラダムを全て倒す。俺の生命は、全て奴等を消し去るためだけのものだった。それを果たすためなら、俺は何とだって戦う」

 明るさなど微塵も無い、重々しくも力強い返答。
 その声色さえ、一心に使命感に駆られていた自分自身を思わせた。

「だが英霊になったと言うことは、お前の戦いはもう終わったんだろう。お前は勝てずに死んだということか?」
「……覚えてないんだ」
「覚えて……?」
「戦う度に、記憶が無くなっていくんだ。確かにこの世界に生きていたはずの人達の顔も名前も、俺だけが分からなくなった。これが、俺の得た力の代償だ」
「英霊としての自分の生涯の記憶を、お前は聖杯から与えられなかったのか?」
「ああ。もしかしたら聖杯は『歴史』ではなく『思い出』だけしか俺に与えなかったのもしれない。もしそうなら、ラダムとの決着が俺の記憶に無いのも、その時の俺が何かを覚えられる状態ではなくなっていたからだ」
「自分の生涯を俯瞰出来ない……か。なら、もしもお前の人生が、そのラダムという敵に敗れて終わったのだと解ったら……」
「その時は、俺も聖杯を求めたい。その力で、俺は今度こそラダムを世界から消し去ることを願う」
「……そこまでして、お前は勝ちたいのか」
「勝ちたいんじゃない。勝たなければならないんだ」

 彼の語る言葉の根底にあるのは、言うなれば運命の受容だ。
 どれほど狂った運命だとしても、彼は背負うと心に決めている。
 そこにあるのは、既に彼個人の願望ではない。
 他者に押し付けられ、強いられた道と知りながら、それでもランサーは戦うのだ。
 軋んで悲鳴を上げているはずの本心を、無理矢理に抑え込んで。

「……聖杯の力で、過去をやり直そうとは思わないのか? お前の運命が捻じ曲げられる前に帰りたいとは、思わなかったのか」

 投げ掛けた疑問は明確な反発心に基づくものではなく、つい口を突いて出たに過ぎない。
 聞いたランサーは、そのままただ呆気に取られたような表情を浮かべていた。
 何かを胸の内で処理したかったのだろう。ただレイを見つめ返すだけの静かな時間が数秒置かれ、ランサーの答えが示された。

「そういえば、そんなこと…………考えようとも思わなかったな」

 呟いたランサーは、遠い何処かをぼんやりと見つめていた。
 その姿を、レイは哀れだと思った。
 苛烈な運命に呑み込まれ、ランサーは何もかも忘却していく。
 家族や友だけでなく、自らが個としての幸福を願う権利を持つことさえ、既に思い出せなくなりつつある彼は。
 何を失い、最後に何を得られたのだろうか。

「……マスター。お前の望みは、」
「少なくとも、お前のようにはなれそうにない」

 哀しい哉、希望的観測は出来そうになかった。
 当の本人が忘却の彼方に置いてきたという「テッカマンブレードの最期」がいかなるものであったか想像するのは、あまりにも容易かったから。
 彼の逞しい肉体は、どこか儚げに映し出されていた。


 何の因果か、全ての束縛から解き放たれ、やり直しの機会を与えられた自らの生命。
 その使い道として、目の前の英霊の歩んだ軌跡を往きたくないとだけは強く思えた。

「俺は変わる、生き抜く。運命ではなく、俺自身のために。これで満足か? キラ・ヤマト」

 レイ・ザ・バレルの抱いた願いは、ひどく単純なものであった。



【マスター】
レイ・ザ・バレル@機動戦士ガンダムSEED DESTINY

【マスターとしての願い】
課せられた運命以外のために生きたい。

【能力・技能】
格闘戦、銃器の扱いなど軍人としての一通りのスキルを持つ。

【人物背景】
とある実験を発端として創り出されたクローン人間の少年。
将来に希望など持ちようのなかった境遇から、運命に全てを決められた世界を創り上げるべきという考えを持つ。
戦いの果てに理想を叶える一歩手前まで辿り着くも、最後は自らの手でその理想を捨て去った。

【方針】
生き抜く。



【クラス】
ランサー

【真名】
Dボゥイ(相羽タカヤ)@宇宙の騎士テッカマンブレード

【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:D 魔力:E 幸運:E 宝具:B
※『罪という名の仮面』解放時⇒筋力:B 耐久:B 敏捷:B+ 魔力:B 幸運:E
※『永遠の孤独』解放時   ⇒筋力:A 耐久:A 敏捷:A+ 魔力:A 幸運:E-

【属性】
秩序・中立

【クラススキル】
  • 対魔力:E(→C→B)
魔術を無効化する。通常時、『罪という名の仮面』解放時、『永遠の孤独』解放時と段階に応じてランクが上昇する。

【保有スキル】
  • 自己改造:B
自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。
このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。

  • 戦闘続行:B
名称通り戦闘を続行する為の能力。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。

  • 単独行動:C
頼れるマスターを失い、たった独りになってしまっても戦い続けるためのスキル。
Cランクならば単体で一日の現界が可能。

【宝具】
  • 『罪という名の仮面(テッカマンブレード)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:-
侵略生物ラダムが人間の肉体を改造することで創り出した、生体兵器テッカマン。
相羽タカヤという青年が変身(テックセット)した強襲突撃型テッカマンの名はブレードと呼ばれており、その時の彼の姿が宝具と化した。
ランサーは後述する宝具と併用することでこの宝具を解放し、白き騎士へと肉体を変質させて戦場に赴く。
主な武装は近接戦用の槍・テックランサーと、テックランサーを回収するための鋼線・テックワイヤー。
その他クリスタルフィールドを纏っての突撃技・クラッシュイントルード、そして体内の反物質フェルミオンを破壊光線の如く放出する必殺技・ボルテッカを攻撃手段とする。
宝具解放時は高い性能を誇るが、その代償として三十分の変身制限時間が課せられている。
制限時間を経過して尚テッカマンへの変身を解除していなかった場合、意識が闘争本能に支配され暴走状態となる。一度暴走状態となった場合、原則として再度の正常化は不可能。
なお、暴走の際はスキルに「狂化:C」が付与される。

  • 『光創りたる鉄人(ペガス)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大補足:5
全長約三メートルの人型ロボット。ランサーのサポートロボとして機能する。
テッカマンが変身(テックセット)する際はテッククリスタルと呼ばれる結晶体の展開が必要とされるが、テッカマンブレードの場合はこの宝具にクリスタルを内蔵している。
そのため、ランサーが『罪という名の仮面』を解放するにはまずこの宝具を召喚し、内部にランサー自身の肉体を収納、収束させた光によるフィールド形成によって変身を完了させるというプロセスが必要となる。
この宝具もまた内部に反物質フェルミオンを搭載しており、ランサーのボルテッカと合わせて放出することで強化必殺技・ハイコートボルテッカが発動される。
また単体でも戦闘できるよう通常兵器も搭載されているが、総合的な性能は一般的なサーヴァントに数枚劣る。その点も踏まえてか、宝具としてのランクは低い。

  • 『永遠の孤独(ブラスターテッカマンブレード)』
ランク:A+ 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:-
予期せぬ状況に適応するため、テッカマンが第二段階の進化・ブラスター化を成し遂げた姿。
『罪と言う名の仮面』の強化形態であり、テッカマンの能力の更なる飛躍的な向上として幸運以外のパラメータが上昇する。
その他テックランサーの先端から通常時のボルテッカに匹敵する反物質砲を放つことが出来るようになり、ボルテッカは正面方向のみならず全方位に向けて発射することが可能となる。
ただしランサーの遂げたブラスター化は不完全なものであり、肉体の急速な崩壊が伴う事となる。ランサーの場合は全身ではなく脳神経核へと悪影響が一極集中しており、ブラスター化の度にランサーは過去の記憶を失っていく。
記憶喪失の果てに待つ自我の崩壊、そこから繋がる暴走の危険性、またマスターに強いられるバーサーカーに匹敵する魔力消費量も合わせて、解放の際は限度の見極めが強く要求される。

【weapon】
特に無し。

【人物背景】
侵略生物ラダムによって肉体をテッカマンへと変えられた青年。
家族と仲間を奪ったラダムへの憎しみに身を焦がしながら、彼は幾度となく傷付いていく。
かつての大切な人間を自らの手で討つ苦しみ、力の代償として未来も過去も失う哀しみを背負いながら、それでも彼は戦い続けた。
その戦いの果てに迎えた結末がいかなるものであったのか、彼には分からない。Dボゥイという人間は、その時既に壊れていたのだから。

【サーヴァントとしての願い】
全てのラダムを倒す。

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