赤。朱。赫。緋。赤光。
何より目立つその男の髪の色。
それは燃える炎を想起させる赤だ。
悠々自適、天下無双。
まるで、この世の全てが自分の為に回っているかの表情を浮かべている。
何より目立つその男の髪の色。
それは燃える炎を想起させる赤だ。
悠々自適、天下無双。
まるで、この世の全てが自分の為に回っているかの表情を浮かべている。
「俺を引き当てたこと、光栄に思うといい。お前、今最高にツイているぞ」
両手を大きく広げ、唄うように声を紡ぐその男はまさしく世界に愛されていた。
それは確信であり、不変であり、絶対。
どんな客観的事実だろうとも捻じ曲げてみせよう、その男がそう在れと願うならば。
それは確信であり、不変であり、絶対。
どんな客観的事実だろうとも捻じ曲げてみせよう、その男がそう在れと願うならば。
「名乗ろう。アサシンの座にて推参したサーヴァント――クレア・スタンフィールド。
いや、レイルトレーサーと名乗るべきか、それともフェリックス・ウォーケン?
まあ名前などどうでもいい。名前が変わろうとも、俺が俺であることに何の変わりもないのだからな」
いや、レイルトレーサーと名乗るべきか、それともフェリックス・ウォーケン?
まあ名前などどうでもいい。名前が変わろうとも、俺が俺であることに何の変わりもないのだからな」
男、クレアを呼び出した少年は呆然とする他なかった。
壮絶なまでの圧倒的な空気。爛々と輝く双眸に埋め込まれた意志。
どれを取っても、少年とは違い存在感がある。
壮絶なまでの圧倒的な空気。爛々と輝く双眸に埋め込まれた意志。
どれを取っても、少年とは違い存在感がある。
「それで、お前の名前は? 一応、聞いておくのが筋というものだろう。何、挨拶は大事だ。万国共通、礼儀は大事にしとけと習ったものだ」
「え、えっと……りゅ、竜ヶ峰、帝人です」
「え、えっと……りゅ、竜ヶ峰、帝人です」
「そうか。まあ、いい。名前にさしたる重要性は秘められていない。大事なのは、俺から見たお前の姿だ」
「……は、はぁ」
「ん? どうした、怯えているのか。怯えなくてもいいぞ。この俺が呼ばれたんだ、お前の命運は太陽の日差しよりも眩しい輝きに照らされている。
何せ、世界の中心である俺が傍にいるんだ、不安がる必要性は全くもってない」
「……は、はぁ」
「ん? どうした、怯えているのか。怯えなくてもいいぞ。この俺が呼ばれたんだ、お前の命運は太陽の日差しよりも眩しい輝きに照らされている。
何せ、世界の中心である俺が傍にいるんだ、不安がる必要性は全くもってない」
人選間違えたかなあ。帝人は顔にこそ出さなかったが、眼前のサーヴァントに対して、一抹の不安を抱かざるをえなかった。
此処に呼び寄せられる前、池袋にいた時もとびっきりに変人な面々と付き合いがあったけれど、このクレアという青年もある意味とびっきりだ。
外見こそ、如何にも陽気な外国人といった風貌だが、口から放たれる言動はエキセントリック過ぎてついていけない。
此処に呼び寄せられる前、池袋にいた時もとびっきりに変人な面々と付き合いがあったけれど、このクレアという青年もある意味とびっきりだ。
外見こそ、如何にも陽気な外国人といった風貌だが、口から放たれる言動はエキセントリック過ぎてついていけない。
「そ、そうですか。とりあえず、呼び名はどうしましょうか? クレアさん、でいいですか」
「ふむ。俺としてはフェリックスと呼んでほしいが、後々真名がバレると面倒なことも起こり得るかもしれん。
無論、俺ならどんな窮地であっても切り抜けるが、時間がかかりすぎてどうしようもないといった状況も否定はできない。
なので、ここはアサシン、で頼もうか。何、それぐらいの情報ならばバレた所でどうともならないだろう」
「ふむ。俺としてはフェリックスと呼んでほしいが、後々真名がバレると面倒なことも起こり得るかもしれん。
無論、俺ならどんな窮地であっても切り抜けるが、時間がかかりすぎてどうしようもないといった状況も否定はできない。
なので、ここはアサシン、で頼もうか。何、それぐらいの情報ならばバレた所でどうともならないだろう」
だが、全く話が通用しないという訳ではない。それだけでも、帝人にとっては大助かりだ。
平和島静雄みたいに些細な事でブチギレ暴力直行コースだったり、折原臨也みたいに煙に巻く発言もない。
できれば、門田京平のように、理路整然とした実直青年がよかった、なんて思ったりもするけれど。
平和島静雄みたいに些細な事でブチギレ暴力直行コースだったり、折原臨也みたいに煙に巻く発言もない。
できれば、門田京平のように、理路整然とした実直青年がよかった、なんて思ったりもするけれど。
「しかし、聖杯戦争と呼ばれる馬鹿騒ぎ、実に不快だ。聖杯を欲するなら、終幕までは踊り続けなければならない。
決められた舞台、カチコチに固められた演目、俺には相応しいと思えん」
決められた舞台、カチコチに固められた演目、俺には相応しいと思えん」
顔をしかめ、唸りながら考え込むクレアを前に、帝人は何も言えなかった。
下手に機嫌を損ねると、その矛先が自分に向くかもしれない。
出会ったばかりの彼は何が地雷なのか。
拙い観察眼と頭で見極めてからでないと、思うような言葉は紡げない。
マスターとサーヴァント。彼の行動を制限する令呪こそ掌に刻まれているが、そんなの何の安心にもならない。
彼が一度動けば、令呪を掲げる前に、自分の身体など分割バラバラ雨霰だ。
下手に機嫌を損ねると、その矛先が自分に向くかもしれない。
出会ったばかりの彼は何が地雷なのか。
拙い観察眼と頭で見極めてからでないと、思うような言葉は紡げない。
マスターとサーヴァント。彼の行動を制限する令呪こそ掌に刻まれているが、そんなの何の安心にもならない。
彼が一度動けば、令呪を掲げる前に、自分の身体など分割バラバラ雨霰だ。
「だが、一度請け負った仕事は全うするのがポリシーだ。ある種、お前は俺に勝利を依頼した雇い主だ。
可能な限り、お前が望むように動こう。もっとも、意見具申程度のことはするがな」
「それで大丈夫です! こちらこそ、よろしくお願いしますっ」
「固くならなくてもいい。何度も言うが、お前は最高にツイているんだ。もっと自信を持て。
自分こそが選ばれたのだと大袈裟にでも笑え」
「あは、はは……さすがにそこまでは、ちょっと」
可能な限り、お前が望むように動こう。もっとも、意見具申程度のことはするがな」
「それで大丈夫です! こちらこそ、よろしくお願いしますっ」
「固くならなくてもいい。何度も言うが、お前は最高にツイているんだ。もっと自信を持て。
自分こそが選ばれたのだと大袈裟にでも笑え」
「あは、はは……さすがにそこまでは、ちょっと」
故に、帝人の表情から緊張が抜け落ちることはなかった。
超常の存在が、今は自分に従っているが、これから先もずっと従ってくれるとは限らない。
なればこそ、出来る限り、彼の言うことに逆らわない方がいい。
今は平凡な男子高校生である竜ヶ峰帝人として振る舞おう。
超常の存在が、今は自分に従っているが、これから先もずっと従ってくれるとは限らない。
なればこそ、出来る限り、彼の言うことに逆らわない方がいい。
今は平凡な男子高校生である竜ヶ峰帝人として振る舞おう。
故に、帝人の表情から緊張が抜け落ちることはなかった。
超常の存在が、今は自分に従っているが、これから先もずっと従ってくれるとは限らない。
なればこそ、出来る限り、彼の言うことに逆らわない方がいい。
今は平凡な男子高校生である竜ヶ峰帝人として振る舞おう。
超常の存在が、今は自分に従っているが、これから先もずっと従ってくれるとは限らない。
なればこそ、出来る限り、彼の言うことに逆らわない方がいい。
今は平凡な男子高校生である竜ヶ峰帝人として振る舞おう。
「ともかく、呼ばれたからには聖杯を取る。それだけだ」
「やっぱり、アサシンさんも叶えたい願いがあるんですね」
「……いや、正確には俺が叶えたい願いではない。そもそも、願いなど俺が叶えたいと願えば、すぐに叶う。
聖杯などに頼らずとも、俺は独力で大丈夫だ。それだけの力量を兼ね備えているのだからな」
「やっぱり、アサシンさんも叶えたい願いがあるんですね」
「……いや、正確には俺が叶えたい願いではない。そもそも、願いなど俺が叶えたいと願えば、すぐに叶う。
聖杯などに頼らずとも、俺は独力で大丈夫だ。それだけの力量を兼ね備えているのだからな」
相も変わらず不遜な発言をする彼に対して、帝人は頬を掻きながら曖昧に笑う。
宙を見ながら、脳内でイメージトレーニングをしているのだろうか。
クレア・スタンフィールドは依然として絶好調だ。
宙を見ながら、脳内でイメージトレーニングをしているのだろうか。
クレア・スタンフィールドは依然として絶好調だ。
「願うというよりは、手に入れるということだな。シャーネに聖杯を捧げる為にも、俺は最後まで戦う」
「シャーネって人は……彼女、ですか?」
「ああ。俺が世界で一番愛している女だ。いや、世界という枠組みは狭すぎたな、宇宙一、いや銀河の果てまでひっくるめても、一番だ」
「僕にはイマイチピンと来ないんですが、ともかく……聖杯をプレゼントしたいってことであってますか?」
「そういうことになるな。さて、俺の呼ばれた理由は話した、次はお前の番だ。お前は、何を望んでこの戦場に降り立ったか。
サーヴァントとして、お前に勝利を届ける者として、俺には聞く権利がある」
「シャーネって人は……彼女、ですか?」
「ああ。俺が世界で一番愛している女だ。いや、世界という枠組みは狭すぎたな、宇宙一、いや銀河の果てまでひっくるめても、一番だ」
「僕にはイマイチピンと来ないんですが、ともかく……聖杯をプレゼントしたいってことであってますか?」
「そういうことになるな。さて、俺の呼ばれた理由は話した、次はお前の番だ。お前は、何を望んでこの戦場に降り立ったか。
サーヴァントとして、お前に勝利を届ける者として、俺には聞く権利がある」
次いで、クレアの双眸が帝人へと向けられる。
何を望み、何が欲しいか。
問いかけは単純なもので、躊躇なく答えられるはずだ。
何を望み、何が欲しいか。
問いかけは単純なもので、躊躇なく答えられるはずだ。
「僕は――」
思い浮かべるのは池袋で過ごした日常。
隣には紀田正臣がいて、少し後ろには園原杏里がいて。
騒がしくもどこか穏やかな日常が、何よりも大切だった。
隣には紀田正臣がいて、少し後ろには園原杏里がいて。
騒がしくもどこか穏やかな日常が、何よりも大切だった。
「僕は――!」
けれど、今は何処にもない。
正臣は何処かへと消えて、残った帝人達も茫洋と日常を続けるしかなかった。
正臣は何処かへと消えて、残った帝人達も茫洋と日常を続けるしかなかった。
「もう一度、正臣や園原さんと日常を過ごしたい!」
「それが、お前の抱える願いか?」
「ええ。僕はやり直したい、三人でまた――遊びたい。
それが、僕の願いです。きっと、そうだ」
「それが、お前の抱える願いか?」
「ええ。僕はやり直したい、三人でまた――遊びたい。
それが、僕の願いです。きっと、そうだ」
首を縦に振り、帝人は叫び返した。
その表情には悲痛が色濃く描かれているだろう、と感じながら。
彼らがいる日常を、喪った日常を、取り戻したいと思うのはきっと本心であると思うから。
その表情には悲痛が色濃く描かれているだろう、と感じながら。
彼らがいる日常を、喪った日常を、取り戻したいと思うのはきっと本心であると思うから。
「でも、こんな聖杯戦争に巻き込まれるなんて考えてもいなかったし、困ります。
死にたくもないし、戦いたくもない。僕は、こんな舞台に上がることを、望んでいなかった!」
「…………本当に、そうなのか?」
死にたくもないし、戦いたくもない。僕は、こんな舞台に上がることを、望んでいなかった!」
「…………本当に、そうなのか?」
目に見えぬ何かが足りないと叫んでいる心臓など無視してしまえ。
「お前の表情からして、どうも腑に落ちないんだがな……。まあいい、どちらにせよ、勝利を目指すことに変わりはない」
釣り上がる口元などきっとまやかしだ。
――――あぁ、笑ってるのか、僕は。
池袋のチンケな非日常とは違う、本物の非日常が帝人を迎えに来たのだ。
これを興奮せずして何を興奮すればいい。
帝人の運命は、本来辿るはずだったレールから外れ、与り知らぬ所で変わっていく。
そして、非日常が、日常へと堕ちていく終ぞの時まで――笑い続けるのだろう。
これを興奮せずして何を興奮すればいい。
帝人の運命は、本来辿るはずだったレールから外れ、与り知らぬ所で変わっていく。
そして、非日常が、日常へと堕ちていく終ぞの時まで――笑い続けるのだろう。
【クラス】
アサシン
アサシン
【真名】
クレア・スタンフィールド@バッカーノ!
クレア・スタンフィールド@バッカーノ!
【パラメーター】
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運A 宝具D
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運A 宝具D
【属性】
中立・善
中立・善
【クラススキル】
気配遮断 C
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。
気配遮断 C
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。
【保有スキル】
心眼(真):C
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
無窮の武練:A
一つの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。
才能に傲ることなく、弛まぬ努力を続けた結果、彼は類まれなる身体能力を身に付けた。
一つの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。
才能に傲ることなく、弛まぬ努力を続けた結果、彼は類まれなる身体能力を身に付けた。
【宝具】
『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1
彼が繰り広げた逸話が元になっている宝具。
どんなことがあろうとも、自分を見失うことなく、【線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)】で在り続ける。
世界はクレア・スタンフィールドの見ている夢だから。故に、心技体は常に十全である。
この宝具は常時発動型であり、バッドステータス系列の効能を無効にする。
『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1
彼が繰り広げた逸話が元になっている宝具。
どんなことがあろうとも、自分を見失うことなく、【線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)】で在り続ける。
世界はクレア・スタンフィールドの見ている夢だから。故に、心技体は常に十全である。
この宝具は常時発動型であり、バッドステータス系列の効能を無効にする。
【weapon】
なし。
なし。
【人物背景】
アメリカ全土にその名を轟かす最強の殺し屋。
殺し屋として働く一方、車掌としての顔も持っており、その職業を利用して各地で殺し屋として活動している。
性格は傲岸不遜。世界は俺の物とはっきり言い切れるまでのジャイアニズムな考え持つ自信家。
アメリカ全土にその名を轟かす最強の殺し屋。
殺し屋として働く一方、車掌としての顔も持っており、その職業を利用して各地で殺し屋として活動している。
性格は傲岸不遜。世界は俺の物とはっきり言い切れるまでのジャイアニズムな考え持つ自信家。
【マスター】
竜ヶ峰帝人@デュラララ!!
竜ヶ峰帝人@デュラララ!!
【マスターとしての願い】
もう一度、日常をやり直す。/聖杯戦争という池袋の非日常を超える非日常に呼ばれたかった?
もう一度、日常をやり直す。/聖杯戦争という池袋の非日常を超える非日常に呼ばれたかった?
【能力・技能】
なし。
なし。
【人物背景】
非日常を求めて池袋に引っ越してきたごくごく平凡な高校生だった。
しかし、池袋の裏に触れるに連れて、徐々にその内面に変化が現れる。
夢にまで見た非日常が帝人を蝕んでいく。
非日常を求めて池袋に引っ越してきたごくごく平凡な高校生だった。
しかし、池袋の裏に触れるに連れて、徐々にその内面に変化が現れる。
夢にまで見た非日常が帝人を蝕んでいく。
【方針】
とりあえず、死ぬことは避けたい。/非日常を楽しむ?
とりあえず、死ぬことは避けたい。/非日常を楽しむ?
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アサシン(クレア・スタンフィールド) |