夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

番場真夜&エクストラクラス・リヴェンジャー

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『そうか……だとすれば、確かに私を呼び出せるだろう』

  沈みゆく月を眺めながら、異形のバケモノと少女が並んで喋る。
  それは、少女についてのいくつかのこと。
  少女の生い立ち、少女の傷の意味、少女ともう一人の少女について。
  そうして話を進めていくうちに、バケモノは一つの事実に辿り着いた。
  マスターである少女もまた、『人間』ではない。

「なんかわかったのか?」

『ああ。お前は人間ではない。もっと単純でもっと複雑なものだ』

  バケモノはテレパシーで隣に佇む少女に語りかける。
  少女も、バケモノと境遇を同じくした『モノ』であると。
  生物の形をして、生物のように振舞っている『モノ』。
  その実態は完全な人間ではなく、表出した人格の一つ。

  二重人格。
  一つの体に二つの人格が宿っている。
  主の人格が何らかの問題に直面した時に生み出される、
  逃げ場のない『現実』。
  それでもなんとか逃げるため、別人格によって表の人格はふさぎ込み、逃避する。
  裏の人格は都合のいい身代わり。嫌なこと、気持ち悪いことを表の人格の代わりに行う都合のいい存在。

  彼女は、その『裏の人格』だった。
  体もない。顔もない。あるのは人格だけ、という単純な存在。
  世界にその存在を認められず、それでもそこに今生きている複雑な存在。

「バケモノ扱いか、言ってくれるねぇ」

  隣に座って缶コーヒーを飲んでいた『裏人格』の少女が答える。

「ま、オレがバケモノだから真昼はひとまず幸せになれたんだ。バケモノってのも捨てたもんじゃないよ」

  ひひひ、と笑う少女。
  闇夜によく映える真っ白な髪と、同じくらいに真っ白な肌。
  そして左目の上から下まで縦に真っ直ぐ伸びた傷跡が目を引く少女。

  番場真夜。そして番場真昼。
  夜が真夜で昼が真昼。
  今は真夜だが、そのうち真昼になる。
  少女は自身が呼び出したバケモノに対してそう名乗った。

「でも、実際さー」

  真夜は缶コーヒーを傾けて自嘲気味に笑う。
  その瞳はとても悲しげで、切なげで。

「オレが居るってのが、もう、『不幸』なんだろうな。きっと、真昼にとってはさ」

  彼女は、『自分の生まれてきた意味』を知っている。
  辛い現実から逃げるために、番場真昼が心を切り離した。そうして生まれたのが『番場真夜』だ。
  真昼の世界を踏みにじった者を殺し。
  真昼の空っぽな心を埋めるために殺し。
  決して本当の幸せにはたどり着けない、作り物の幸せを集め続ける。
  幸せになりたいのに、決して幸せになれないという感情が作り上げたのが『番場真夜』だった。

「なあ、リヴェンジャー」

  真夜が、そのクラス名を口にする。
  リヴェンジャー。
  アヴェンジャーのような『世界への復讐者』ではなく、もっと深く、もっと黒い、絶対的な『何者かへの逆襲者』。

「オレが生まれたのは、その昔、真昼を救ってくれる誰かが居なかったからなんだ」

  少女の過去。
  焚かれ続けるフラッシュ。
  出口のない密室。
  ちらつく刃物の影。
  暴力を振るう大人。
  助けを呼ぶ声は誰にも届かず、虫カゴの中の虫けらのように少しずつ少しずつ弱っていく番場真昼。

「オレが居ないと真昼は壊れてた。でも、オレが居る限り、真昼は救われない」

  番場真夜は、その時生まれた。
  大人が死に、フラッシュが止み、切り裂かれた顔の傷が埋まり、あの密室から抜け出し。
  自由を手に入れた。
  それでも、真昼は救われなかった。真夜の存在を望み続けた。
  真夜が居るということは、真昼にとってその忌まわしい事件のトラウマが残っているということ。
  救われない。
  番場真昼は救われていない。
  番場真夜が居る限り、番場真昼は前を向けない。背負った傷を赦せない。

「だからオレは、真昼に、オレが生まれるきっかけになった事件をやり直させたい。そうして、『誰か』の勝手で狂った真昼の人生の歯車を戻したい」

  誰かの勝手が番場真夜を生んだ。
  その『誰かの勝手』を修正する。

「この願いが届けば、オレは消える」

  自身の存在の否定。

「それでもオレは、真昼に、幸せになってほしい」

  その身に宿された願い。

「きっとオレは、そのために生まれてきたんだ」

  そして、生まれた理由への回答。
  その一言は、もしかしたらリヴェンジャーが求め続けていたものかもしれない。


  『私は何者だ』

  『なんで私は生まれたんだ』


  リヴェンジャーが、何度も何度も繰り返し続けた問い。
  誰かの勝手で生み出された生命の意味への問い。
  その問いに、彼女は彼女としての『答え』を導き出した。
  その答えを信じて願いを叶えれば、『番場真夜』の存在は消えてなくなる。
  自殺にも似た願い。
  だとしても、誰にも否定することはできない。
  何故ならばそれこそが、番場真夜の生まれてきた理由なのだから。

『いいのか』

「いいさ。オレは最初から居ないほうが良かったんだ。だから『もとに戻るだけ』だよ」

  飲み干した缶コーヒーの缶を放り投げる。
  べ、と苦そうに舌を突き出して、そのまま傍にあったキャンディに手を伸ばした。
  少し舐めたあと、噛み砕き、甘さに頬をほころばせる。
  その姿は歳相応の少女のようで。

  いつかは消える『人格』でしかない少女、番場真夜。
  それでも、生きている。
  今は生きている。
  そんな生を否定してでも、ただ、生まれた意味に至るために、戦う。

  その姿は。
  鏡に写ったリヴェンジャー自身のようで。

「オレが言いたいことはそんだけだ」
「そのうち朝日が登る。アイツとも仲良くしてくれよな」

『……ああ、分かった』

  それ以上の会話は必要なかった。
  たった数分の会話、それだけで一人と一体の心は確かに繋がったのだから。

  朝日が登るであろう場所を、二人で並んで見つめる。
  白い髪、白い肌。白い躯、紫の尻尾。
  眩い光が一筋伸び、白にまみれた二人を照らす。

「じゃ、おやすみ」

『ああ』

  短い言葉のやりとりを終え、番場真夜が目を閉じる。
  空はもう白みだしている。
  次に出会えるのは、半日後。

  すやすやと寝息をたてる『昼』の少女の中に戻った『夜』の少女の笑顔を思い出す。
  リヴェンジャーが不確かな自分を埋めるように伸ばした手の先で、番場真夜と出会った。
  人間のエゴによって生み出された一人と一体。
  彼女の存在が、リヴェンジャーの『逆襲』に一つの形を与えた。

  願ったのは共に『生まれた意味に至る』こと。
  願いの果てに居たのは一人の救われなかった少女。

  番場真昼。

  彼女を救う人間はどこにも居なかった。
  誰も、誰も、誰も、誰も。
  生まれてから今まで、彼女を救おうとする人間なんて誰もいなかった。
  それでも。
  彼女を救いたいと願う『一人』が生まれた。
  そこに生まれた意味があると知って、ずっと彼女の味方であろうとする『一人』が居た。
  その願いを聞き届けたやり直しの願望機は『一人』を掬い上げ、願いを同じくする『一体』と出会わせた。
  それがこの物語の始まり。



  誰かが言った。
  世界は赦しに満ちている、と。
  ならば、彼女たちも。
  番場真夜の負った咎も、番場真昼の負った傷も、赦されてしかるべきだ。

  だから、戦う。
  人間ならざる一人と一体だけでも。
  ちっぽけな少女一人くらいは救えると、世界の赦しを得ることができるのだと、彼らを生み出した『人間』に教えてやるために。
  そこにこそ、彼らの『存在の証明』があるのだと知るために。
  そして全ては、世界に見捨てられていた少女・番場真昼を救うために。

  遠く、遠く、放り投げられた空き缶のその向こう。
  水平線の向こうから、太陽が昇り始める。
  リヴェンジャーの視線が一際鋭くなり、世界を睨みつける。
  再現された街の中に溢れかえる『人間たち』を睨みつける。


  そうして、人間たちへと、届かぬ声で語りかける。


  彼女が生まれた事実に逆らうならば、私は彼女に力を貸そう。
  彼女たちが救いを求めるならば、私は、彼女たちのために全ての願いを踏みにじろう。
  貴様ら全てが見捨てた少女のために。
  貴様らに生み出された私達の力で。
  それが私の祈り。
  それが私の願い。
  それが私の望み。
  それが私の生まれた意味。
  少なくとも、この場では。

  だからこれは。
  攻撃でもなく。
  宣戦布告でもなく。
  私を。
  いや。
  私達を生み出したお前たちへの。

『逆襲だ』

  三本指の拳を顔をのぞかせ始めた太陽に向かってつきだして、『逆襲者(リヴェンジャー)』のサーヴァント・ミュウツーはこう唱えた。

  世界よ赦しに満ちていろ。
  逆襲するは、我らにあり。

【クラス】
リヴェンジャー

【真名】
ミュウツー@劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 完全版

【パラメーター】
筋力:E++ 耐力:B++ 敏捷:C+ 魔力:A+ 幸運:C 宝具:E

【属性】
渾沌・悪

【クラススキル】
逆襲者:A
無差別的に世界に対して復讐するものではなく、己を生み出した『何か』に逆襲するもの。
アヴェンジャーとの違いはこのクラススキルを持っているかどうか。
このスキルを持つものは自身の怨敵である『何か』との戦闘の際に筋力・耐力・敏捷が一段階ずつ上昇する。
リヴェンジャーの場合、『人間』と戦う場合このスキルの効果が適用される。

なお、判断基準は『人外ではないもの=人間』となるため、厳密に言えば人間ではない神と人間のハーフや人の意識の集合体も人間の姿をしていれば人間と定める。
逆に元々が人間であったとしてもその姿が人外であればこのスキルは働かない。

【保有スキル】
陣地作成:E
ミュウツー城とその地下に存在していた『ポケモンコピーマシーン』を作成できる。
この陣地の作成を続けることによって彼は宝具『理由を知らない生命たち』を発動できる。

人外:-
リヴェンジャーは見た目で分かる通り人外の生物である。
NPCにも、他のマスター・サーヴァントにも一目で『人間ではない』とばれ、他参加者には一発でリヴェンジャーが参加者であるとばれてしまう。
容姿変更の宝具などを用いない限りこのスキルは外れない。

こうかはばつぐんだ!:-
戦う相手がかくとうタイプ、もしくはどくタイプだった場合、魔力と耐力と筋力が一段階向上する。
なお、出典段階であくタイプやはがねタイプが居なかったため、こうかがない相手が存在しないのが強み。

超能力生物:A
エスパー能力が使える生物。ランクAともなればマスターに寄らない優秀な魔力回路を自前で持ち、Aランク相当の魔術と同じ威力の念動力(エスパーわざ)を使える。
生まれながらに持った力であるためこのスキルは外せない。

テレパシー:A
自身の意思を言葉ではなく念波として脳に直接伝えることが出来る。
訓練しだいで使えるようになる口語とは違い、人工ポケモンであるリヴェンジャーのみが使える超能力。
Aランクともなれば範囲内に存在する生物全てに語りかけることが可能。人間かそうでないかは問わない。

【宝具】
『理由を知らない生命たち(ポケットモンスターズ・コピー)』
ランク:E 種別:召喚 レンジ:1 最大捕捉:1
陣地のコピーマシーンからリヴェンジャーが生み出したコピーポケモンを再現することが出来る。
陣地の作成具合によって召喚できるモンスターが増えていき、ミュウツー城が完成すればあの夜コピーしたモンスターの全てを召喚できるようになる。
原則として一種類につき一匹ずつしか召喚できないが、召喚している一匹がひんしになった場合その一匹をコピーマシーンまで戻して別の一匹を出せる。

ちなみに、召喚可能なポケモンは以下のとおりである。(下に行くほど召喚が難しく、陣地の工作が進んでいる必要がある)
ピカチュウ・ニャース・フシギダネ・ゼニガメ
ロコン・ヒトデマン・コダック・サワムラー
シードラ・プクリン・サイホーン・ストライク
ドククラゲ・サンドパン・シャワーズ・ゴルダック
キュウコン・ラフレシア・ギャロップ・ジュゴン
ギャラドス・ニドクイン・ピジョット
リザードン・フシギバナ・カメックス・カイリュー

それぞれミュウツー以下の火力だが、それぞれが神秘をその身に宿した宝具であるため他の英霊とも戦える。
独特のまだら模様からミュウツーのコピーモンスターだと気づかれる可能性がある。
そして、下記の宝具『遺伝子の揺り籠』によって捕えたサーヴァントのコピーも生成できる。
ただし、サーヴァントのコピーは陣地が完璧に完成している必要がある。
サーヴァントのコピーは全てのパラメータが元の英霊を上回るが、宝具は使用できない。

『遺伝子の揺り籠(ツー・ボール)』
ランク:E 種別:捕縛 レンジ:1 最大捕捉:1
リヴェンジャーの開発した目玉模様のモンスターボールを投げる。
サーヴァントに当たればそのサーヴァントを一時的に捕らえることができる。
原作と違い、この宝具の発動前後は一切のエスパー能力が使えず、レンジ1の超至近距離でしか発動が出来ない。
同時に発動できるボールも一個のみであるため使用にはタイミングを図る必要がある。
これを陣地に持ち帰ることでサーヴァントをコピーできる。

『アイの格率(アイ・ツー)』
ランク:- 種別:- レンジ:- 最大捕捉:-
リヴェンジャーの存在の根幹にある『とある少女』の幻影。
リヴェンジャー自身も記憶の彼方に置いてきたものであるためその存在は誰も感知できない。
この宝具は『宝具』という分類ではあるが魔力の消費などは一切なく、世界に及ぼす影響力もない。
ただ、リヴェンジャーに対して問いかけ続ける。
『私は誰だ』『ここはどこなんだ』『誰が産めと頼んだ』『私はなんのために生まれたんだ』と。


【weapon】
エスパータイプの技。肉弾戦も少々。
防御用にバリアを張ることもできる。
そして、マスターの魔力を用いればねんりきで気象操作も可能である。

【人物背景】
説明するとつまらなくなるので割愛。
名作だから見て、どうぞ。
オススメはミュウツーの逆襲の前日譚も入った完全版。

【マスター】
番場真夜@悪魔のリドル(アニメ版)

【マスターとしての願い】
番場真昼の過去をやり直す。

【能力・技能】
リミッター解除。
彼女は日没から日の出までの間、番場真夜として活動できる。
その際、筋力のリミッターを外して戦うことが可能になる。
大きなハンマーを振り回し、壁を軽々と砕くほどの戦力を有する。
ただし長い間戦闘することには向かず、少し戦うとしばらく休憩する必要がある。
その上平衡感覚がおかしくなるらしく、一撃振るうと足取りがおぼつかなかったり、重心を移動させる攻撃でバランスを崩したりする。

番場真昼。
彼女の主人格。
貧弱で根暗。決して他人には言わないが、耐え難い殺人衝動を抱えている。
そして、自身の存在を肯定するために殺す相手の所持品を『聖遺物』として求める癖がある。
その衝動を理解して解消するのが番場真夜の主な仕事である。
番場真昼の思考が真夜に通じる場面は多々あるが、逆はそんなにない。

光。
特にフラッシュのような強い光にトラウマがあるため、それを向けられると錯乱してしまう。

【人物背景】
ちぐはぐニーソちゃん(裏)。
白い髪と大きな傷がトレードマーク。
様々な願いを持った黒組生徒の中でも珍しくこれといった願いがない。
というよりも真昼に学生生活をさせて人と触れ合わせるのが願いだったのかもしれない。

参戦時期は黒組入学前。
聖杯にやり直しを願うまでもなく、その後番場真昼が救われていたということを彼女は知らない。

【方針】
リヴェンジャーの陣地が整うまでは表立った交戦は控える。
真昼状態で発見されるとほぼ為す術なしなのでお昼は気をつける(行動しない、とは言ってない)。
真昼が聖遺物を手に入れてしまった場合、やむなく殺人に挑む。

夜しか動けないという欠点を補うため、リヴェンジャー・真昼/真夜共に敵の拠点を探すように動く。
勝てそうな相手を探して襲撃後、『遺伝子の揺り籠』で捕らえて戦力にする。
そうして力を蓄えて、夜に一気に敵を撃つという作戦が基本となる。

なお、彼女の願いが叶った場合、番場真夜の人格はこの世界から消えてしまう。
そのことに番場真昼が気づいているのかどうかは不明である。

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