ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ
何処へ行くの、あの日
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何処へ行くの、あの日 ◆MjBTB/MO3I
伊里野加奈は人間だ。
だから、腹くらいはへる。
だから、腹くらいはへる。
◇ ◇ ◇
胃が音を発した事で、ようやく彼女は"自分が働き詰めであった"という事に気付いた。
自分の体調を人一倍気を使わねばならない、そんな人間であるはずだというのに。
こんなことでは次は鼻血や視力では済まされない。しっかりしなければ。
といった事を考えながら、歩く。
自分の体調を人一倍気を使わねばならない、そんな人間であるはずだというのに。
こんなことでは次は鼻血や視力では済まされない。しっかりしなければ。
といった事を考えながら、歩く。
目指すは病院。
突発的に起こる視力の急激な衰えなどに対処する為、善処する為、向かわなければならない。
だが腹は、正確に言えば胃は変わらず音を立て続けている。空腹のサインは止みそうに無い。
これは病院に行く前にどうにかした方が良さそうだ。ついでに休憩しよう。
突発的に起こる視力の急激な衰えなどに対処する為、善処する為、向かわなければならない。
だが腹は、正確に言えば胃は変わらず音を立て続けている。空腹のサインは止みそうに無い。
これは病院に行く前にどうにかした方が良さそうだ。ついでに休憩しよう。
目の前に、小さなコンビニエンスストアが見えた。
ついでに言うと無人だった。なので躊躇いなく入る。
ついでに言うと無人だった。なので躊躇いなく入る。
理由は単純。盗みを働く、ただそれだけの為。
◇ ◇ ◇
流石にコンビニの建物内部で食すというのも節操の無い話だったので、既に民家へと場を移していた。
鍵はかかっていなかった。コンビニ同様、住人も皆無。
あったのは使い古された家具一式と、テーブルに僅かに残るお茶菓子。
醤油味で甘辛く仕上げられたそれら。その中に一枚だけ不自然に欠けたものが混じっている。
それはまるで、というより確実に齧った跡であり、妙な生活感を醸し出していた。
誰もいないというのに。
鍵はかかっていなかった。コンビニ同様、住人も皆無。
あったのは使い古された家具一式と、テーブルに僅かに残るお茶菓子。
醤油味で甘辛く仕上げられたそれら。その中に一枚だけ不自然に欠けたものが混じっている。
それはまるで、というより確実に齧った跡であり、妙な生活感を醸し出していた。
誰もいないというのに。
とりあえず居間らしき部屋、そこにあった椅子に腰掛けた。そしてテーブルに"戦利品"を置く。
"戦利品"はコンビニのカウンターから拝借したビニール袋の中。極めて乱雑に、まとめて入っている。
気になる中身はこれまた乱雑、というより統一感の無いものが揃っている。
"戦利品"はコンビニのカウンターから拝借したビニール袋の中。極めて乱雑に、まとめて入っている。
気になる中身はこれまた乱雑、というより統一感の無いものが揃っている。
ハムとレタスと卵とチーズが挟まれたサンドウィッチ。
海老天が中に仕込まれている大きめのおにぎり。
レンジで加熱されたことで更に旨みを増した棒状ピザ。
中身を苺ジャムとクリームとチョコレートで構成する三色パン。
冬のお供、コーンポタージュのカップスープ。
海老天が中に仕込まれている大きめのおにぎり。
レンジで加熱されたことで更に旨みを増した棒状ピザ。
中身を苺ジャムとクリームとチョコレートで構成する三色パン。
冬のお供、コーンポタージュのカップスープ。
以上。少しボリュームがあるようだが問題はない。
伊里野はあの鉄人定食にすらチャレンジしたのだから、たかがこれくらいは。
伊里野はあの鉄人定食にすらチャレンジしたのだから、たかがこれくらいは。
伊里野加奈は人間だ。
だから、少しくらい贅沢はしたくなる。
だから、少しくらい贅沢はしたくなる。
◇ ◇ ◇
味気ない、と思わざるを得なかった。
こんなにも統一感の無い、それ故に濃い味のものも十分に集まった食卓であるというのに。
こんなにも統一感の無い、それ故に濃い味のものも十分に集まった食卓であるというのに。
熱々のピザを食べた。美味しい。
続いて三色パン。美味しい。
カップスープにも手をつける。美味しい。
そこそこにして今度はおにぎりに。美味しい。
同時進行でサンドウィッチも。美味しい。
両方とも食べ終わったので、残ったスープにとどめを。美味しい。
続いて三色パン。美味しい。
カップスープにも手をつける。美味しい。
そこそこにして今度はおにぎりに。美味しい。
同時進行でサンドウィッチも。美味しい。
両方とも食べ終わったので、残ったスープにとどめを。美味しい。
そうだ。こうして並べてみても味に問題はなかった。それに、腹を丁度満たす量にもなっていた。
別に巨大な餃子や巨大なラーメンを食したわけでもないので、苦しくも無い。
それなのに、何が満たされていないのだろう。だが、だと言うのにこの溢れ出る違和感は何だ。
たった一度、こうして一人で食事をしただけで寂しさを感じてしまうのだろうか。
伊里野はただただ、目の前のそんな現実に一寸悩み、そしてすぐに悟った。
別に巨大な餃子や巨大なラーメンを食したわけでもないので、苦しくも無い。
それなのに、何が満たされていないのだろう。だが、だと言うのにこの溢れ出る違和感は何だ。
たった一度、こうして一人で食事をしただけで寂しさを感じてしまうのだろうか。
伊里野はただただ、目の前のそんな現実に一寸悩み、そしてすぐに悟った。
答えは単純。今の自分が"孤独だから"だ。
彼女がこの"椅子取りゲーム"が始まって以来、何もかもを捨てて"浅羽"という名の少年を優先したからだ。
ただ、彼が生き残れば良いと思った。初めて好きになった男の子の命さえ散らせなければ良いと思った。
だから行動に移したのだ。だから殺したのだ。あの榎本をこの手で、直接、あっさりと。
そして水前寺達も殺せば良いと思って、そうやって、孤独になる道ばかりを選んだ。
その決意は、あの優しい浅羽直之の心を傷つけるであろう事も解っていた上で。
彼女がこの"椅子取りゲーム"が始まって以来、何もかもを捨てて"浅羽"という名の少年を優先したからだ。
ただ、彼が生き残れば良いと思った。初めて好きになった男の子の命さえ散らせなければ良いと思った。
だから行動に移したのだ。だから殺したのだ。あの榎本をこの手で、直接、あっさりと。
そして水前寺達も殺せば良いと思って、そうやって、孤独になる道ばかりを選んだ。
その決意は、あの優しい浅羽直之の心を傷つけるであろう事も解っていた上で。
だからこそ、あの事件が起きた。
浅羽にどういうわけか激しく拒絶された。あの出来事だ。
浅羽にどういうわけか激しく拒絶された。あの出来事だ。
拒絶されること自体は、当然だと思った。自分がそれ相応の行動を起こしている事など、一目瞭然だ。
完全に覚悟が出来ていたとは言いがたいが、それでも"一応は"理解していたからこそ、伊里野は再び歩き出すことが出来たのだ。
それに、それ以前に、自分は浅羽を生かす為に、最後に死ななくてはならないのだ。
情など不要、未練など不要。孤独など望むところ、と日頃から言い聞かせなくてはならない立場であるはずだったのだ。
完全に覚悟が出来ていたとは言いがたいが、それでも"一応は"理解していたからこそ、伊里野は再び歩き出すことが出来たのだ。
それに、それ以前に、自分は浅羽を生かす為に、最後に死ななくてはならないのだ。
情など不要、未練など不要。孤独など望むところ、と日頃から言い聞かせなくてはならない立場であるはずだったのだ。
"一人"とは即ち"独り"である。
一人になるということは、周りに誰もいないということ。
飛行訓練等で次々と消えていく昔の仲間達を思い出す。
同時に、"遂にパイロットが一人になってしまったあの日"をも。
一人になるということは、周りに誰もいないということ。
飛行訓練等で次々と消えていく昔の仲間達を思い出す。
同時に、"遂にパイロットが一人になってしまったあの日"をも。
けれど、それでもやり遂げなければならないのだ。
吐いてしまいたいのだが、弱音というものは一度吐いてしまえばずるずると続いてしまうものだ。
そもそも榎本を殺した自分が、そんな事を出来る資格があるものか。
人間の価値を天秤にかけた。軽かった方を殺した。それだけで、自分は重罪なはずなのだ。
けれど、しかし、それでも、そのおかげで浅羽が助かるのならば。
結局自分が今ここに存在して、行動を起こしている理由は、ただ一つだけ。
最後の出撃、浅羽との最後の別れの後死ぬはずだった、そんな自分の生きる理由は、浅羽だ。
だから"どんなことが起こっても、動き続けなくてはならない"のだ。
そのはずなのだ。だが、今現に浅羽はそんな自分を、殴って、逃げて、そして、
吐いてしまいたいのだが、弱音というものは一度吐いてしまえばずるずると続いてしまうものだ。
そもそも榎本を殺した自分が、そんな事を出来る資格があるものか。
人間の価値を天秤にかけた。軽かった方を殺した。それだけで、自分は重罪なはずなのだ。
けれど、しかし、それでも、そのおかげで浅羽が助かるのならば。
結局自分が今ここに存在して、行動を起こしている理由は、ただ一つだけ。
最後の出撃、浅羽との最後の別れの後死ぬはずだった、そんな自分の生きる理由は、浅羽だ。
だから"どんなことが起こっても、動き続けなくてはならない"のだ。
そのはずなのだ。だが、今現に浅羽はそんな自分を、殴って、逃げて、そして、
もう、これ以上は考えたくない。
伊里野は逃避するように机に突っ伏した。
まるで授業中に学生が居眠りする、そんな姿のようだ。
すると、自分の体が擦り傷や土で酷く汚れていることに気付いた。まるで遊び盛りの子どものようだ。
儚げな伊里野の姿には似つかわしくないその汚れが生まれたのは、地面でひたすらに格闘した所為だった。
そう、浅羽との謎の格闘。わけのわからないままに自分を否定された、あの時に生まれたもの。
まるで授業中に学生が居眠りする、そんな姿のようだ。
すると、自分の体が擦り傷や土で酷く汚れていることに気付いた。まるで遊び盛りの子どものようだ。
儚げな伊里野の姿には似つかわしくないその汚れが生まれたのは、地面でひたすらに格闘した所為だった。
そう、浅羽との謎の格闘。わけのわからないままに自分を否定された、あの時に生まれたもの。
この傷や汚れは、ある種"この生き残りをかけたゲームで自分が頑張っているんだ"という証にもなるだろう。
だが同時にその"証"を見る度に、伊里野は浅羽のあの表情と言葉を思い出してしまい、どうしようもなく辛い。
だが同時にその"証"を見る度に、伊里野は浅羽のあの表情と言葉を思い出してしまい、どうしようもなく辛い。
だから、"全部洗い落とそう"と考えるのにそう時間はかからなかった。
◇ ◇ ◇
浴室前の小さな行為スペースで制服一式を脱ぎ、適当な場所に放置。
自分の体と同じように傷ついて土埃が付着したそれを一瞥し、下着も同じく外していく。
そうして一糸纏わぬ姿になると浴室へと侵入していった。
全ては、暖かな湯に綺麗にしてもらう為だ。
自分の体と同じように傷ついて土埃が付着したそれを一瞥し、下着も同じく外していく。
そうして一糸纏わぬ姿になると浴室へと侵入していった。
全ては、暖かな湯に綺麗にしてもらう為だ。
どうやら温度調節が出来る便利な類らしい。確認すると目当ての温度へと数字を合わせ、シャワーヘッドから湯を放射させた。
コルクを捻って数秒、ガスの通りは然程悪くは無かったのか水はすぐさま暖かくなった。
少し熱いくらいだったので微妙に温度調節を施し、完了。まずは洗髪に移行する。
コルクを捻って数秒、ガスの通りは然程悪くは無かったのか水はすぐさま暖かくなった。
少し熱いくらいだったので微妙に温度調節を施し、完了。まずは洗髪に移行する。
白い短い髪。ある日を境にすっかり傷んでしまったそれを、伊里野は手に取ったシャンプーで優しく洗い始めた。
柔らかな白い泡が、清潔感漂う香りを生み出しながら広がっていく。頭を包み込む感覚がとても心地良い。
ゆっくりと、しかし念入りに指を這わせていく。しばらく続けた後、泡を洗い流した。
続いてトリートメント、と行きたかったが切らしていたのか中身が無かった。残念だった。
柔らかな白い泡が、清潔感漂う香りを生み出しながら広がっていく。頭を包み込む感覚がとても心地良い。
ゆっくりと、しかし念入りに指を這わせていく。しばらく続けた後、泡を洗い流した。
続いてトリートメント、と行きたかったが切らしていたのか中身が無かった。残念だった。
ボディスポンジを手に取り、石鹸で泡を立てる。牛乳石鹸の香りがこれまた実に良い。
泡を顔に近づけて堪能し、満足するとそのまま体中を洗い始めた。
気持ちが良い。だが時々違和感を覚える。ぴりぴりとしたような、痛みが染みる感覚。
ここで伊里野は、自分が小さな怪我をしていた事を思い出した。
白く細い腕や脚の擦り傷までは石鹸では洗い落とせない。我慢するしかないのだろう。
それでも、返り血や土や砂は除く事が出来るのだ。時折襲う小さな痛みに顔を顰めながらも、続ける。
そうして泡だらけになった自分の体に、再びシャワーを放射した。
雲の様な羽毛の様な泡が溶けて排水溝へと姿を消していく。残ったのは、細い伊里野の体だけだ。
それ以外は何も無い。何も起こらないし、誰もいない。故に、とても静か。
泡を顔に近づけて堪能し、満足するとそのまま体中を洗い始めた。
気持ちが良い。だが時々違和感を覚える。ぴりぴりとしたような、痛みが染みる感覚。
ここで伊里野は、自分が小さな怪我をしていた事を思い出した。
白く細い腕や脚の擦り傷までは石鹸では洗い落とせない。我慢するしかないのだろう。
それでも、返り血や土や砂は除く事が出来るのだ。時折襲う小さな痛みに顔を顰めながらも、続ける。
そうして泡だらけになった自分の体に、再びシャワーを放射した。
雲の様な羽毛の様な泡が溶けて排水溝へと姿を消していく。残ったのは、細い伊里野の体だけだ。
それ以外は何も無い。何も起こらないし、誰もいない。故に、とても静か。
シャワー以外の音の無い浴場で、一寸の間が生まれる。
静寂の中、まるで自分がこの世界に一人で取り残されたような錯覚を覚えた。
静寂の中、まるで自分がこの世界に一人で取り残されたような錯覚を覚えた。
「……っ」
それがいけなかったのだろう。
伊里野は食事のときに味わった孤独感を、再び呼び覚ましてしまった。
酷く怖くなって、脚が力を失った。すると偶然にも割座の姿勢で座り込む形となる。
頭上から降ってくる湯が髪を、顔を、体を、満遍なく濡らし始めた。
伊里野は食事のときに味わった孤独感を、再び呼び覚ましてしまった。
酷く怖くなって、脚が力を失った。すると偶然にも割座の姿勢で座り込む形となる。
頭上から降ってくる湯が髪を、顔を、体を、満遍なく濡らし始めた。
「からだ、洗ったのに……」
伊里野の体は、今はとても清潔であると言える。
体に残る少々の擦り傷と顔に残る殴られた痕はあれど、一度泡に包まれた体は綺麗になっている。
体に残る少々の擦り傷と顔に残る殴られた痕はあれど、一度泡に包まれた体は綺麗になっている。
けれど、それはもはや無意味だ。
そんな綺麗になった姿ももう、浅羽は褒めてくれはしない。
全部洗い流して、石鹸の良い香りが漂って、綺麗になったのに、浅羽はきっともうそれを見ない。
もう嫌われてしまったから、いつか次に会うことがあっても、もうこんな事をしても、きっと、意味など皆無。
全部洗い流して、石鹸の良い香りが漂って、綺麗になったのに、浅羽はきっともうそれを見ない。
もう嫌われてしまったから、いつか次に会うことがあっても、もうこんな事をしても、きっと、意味など皆無。
そんな単純な事実を、今更ながら実感してしまった。
やはり、受け止めなければならないのだろう。
浅羽に、浅羽直之に、大好きな浅羽に、拒絶されてしまった事実を。
けれどそれは、ちっとも容易くない。
やはり、受け止めなければならないのだろう。
浅羽に、浅羽直之に、大好きな浅羽に、拒絶されてしまった事実を。
けれどそれは、ちっとも容易くない。
受け止めたつもりだった。少なくとも殴られてしばらく、食事をする前までは人形のように疑問や不満を持たないまま振舞えた。
けれどそれは、"仕方なかったのだ"と必死に考えていただけ。事実を完全に受け止めようとせず、思考を停止させただけだったのだ。
現にこうして思考を巡らせるようになった自分は今、独りで何かをするだけで、それだけでこんなにも浅羽を求めてしまう。
嫌われてしまったのに、それでも好きでいてしまって、けれど浅羽がもう自分を見てくれないことが明白だから、辛い。
何故ここに来たばかりの自分が、あんなに高揚感を抱いていたのかさえも解らなくなりそうだ。
あの"初心"は一体、なんだったのだろう。
けれどそれは、"仕方なかったのだ"と必死に考えていただけ。事実を完全に受け止めようとせず、思考を停止させただけだったのだ。
現にこうして思考を巡らせるようになった自分は今、独りで何かをするだけで、それだけでこんなにも浅羽を求めてしまう。
嫌われてしまったのに、それでも好きでいてしまって、けれど浅羽がもう自分を見てくれないことが明白だから、辛い。
何故ここに来たばかりの自分が、あんなに高揚感を抱いていたのかさえも解らなくなりそうだ。
あの"初心"は一体、なんだったのだろう。
あの日プールで出会った頃に戻れなくなっても、構わない。
わたしはそれでも構わないから、この銃と刃物で浅羽を最後の一人にしてみせる。
そうじゃないと、そうしないと今のわたしの命の意味が消えてしまうから。
だから「解って」とは言わない。「許して」とも言わない。
わたしはそれでも構わないから、この銃と刃物で浅羽を最後の一人にしてみせる。
そうじゃないと、そうしないと今のわたしの命の意味が消えてしまうから。
だから「解って」とは言わない。「許して」とも言わない。
灯台で、こんな事を考えていた自分。
あの時は、今この時の事をきちんと考えていなかったのだろう。
あれだけ決意を固めても、結局は実際に浅羽に拒絶されたら、酷く哀しい。
あの時は、今この時の事をきちんと考えていなかったのだろう。
あれだけ決意を固めても、結局は実際に浅羽に拒絶されたら、酷く哀しい。
「やっぱり……辛い、よ…………」
今こっそりと涙を流しても、雨のように注がれる湯に紛れてくれるだろうか。
感情を全てぶちまけてしまえば、この気分もすっきりと晴れてくれるだろうか。
数秒、数分、数時間後の自分が、答えを定めてくれるだろうか。
感情を全てぶちまけてしまえば、この気分もすっきりと晴れてくれるだろうか。
数秒、数分、数時間後の自分が、答えを定めてくれるだろうか。
そんな事をふと考えてしまったその瞬間、彼女は声を上げて泣いた。
◇ ◇ ◇
伊里野加奈は人間だ。
だから、涙くらいは流す。
だから、涙くらいは流す。
けれど、その感情の奔流の先には何があるのだろうか。
彼女の物語の続きは、一体どんなシナリオなのだろうか。
彼女の物語の続きは、一体どんなシナリオなのだろうか。
再び殺人者としての覚悟を固めるのか。
それとも?
どちらにしろ、伊里野の愛した"浅羽とのあの日々"への道は、既に消え去っているのだけれど。
【B-5/ある民家の浴室/一日目・昼】
【伊里野加奈@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]:顔に殴打の痕。体に軽い擦り傷など。たまに視力障害。号泣。
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式×2、トカレフTT-33(8/8)、トカレフの予備弾倉×4、
べレッタの予備マガジン×4、ポテトマッシャー@現実×3、10人名簿@オリジナル
ベレッタ M92(13/15)、『無銘』@戯言シリーズ、北高のセーラー服@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
基本:浅羽以外皆殺し。浅羽を最後の一人にした後自害する。はずだが、果たして?
1:???
[備考]
不定期に視力障害をおこすようです。今のところ一過性のもので、すぐに視力は回復します。
『殴られた』ショックのせいで記憶に多少の混乱があります。そのせいで浅羽直之を襲撃した事実に「気がついていません」
[状態]:顔に殴打の痕。体に軽い擦り傷など。たまに視力障害。号泣。
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式×2、トカレフTT-33(8/8)、トカレフの予備弾倉×4、
べレッタの予備マガジン×4、ポテトマッシャー@現実×3、10人名簿@オリジナル
ベレッタ M92(13/15)、『無銘』@戯言シリーズ、北高のセーラー服@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
基本:浅羽以外皆殺し。浅羽を最後の一人にした後自害する。はずだが、果たして?
1:???
[備考]
不定期に視力障害をおこすようです。今のところ一過性のもので、すぐに視力は回復します。
『殴られた』ショックのせいで記憶に多少の混乱があります。そのせいで浅羽直之を襲撃した事実に「気がついていません」
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| 前:最後の道 | 伊里野加奈 | 次:街角にて ― Alternative ― |