君のために、僕のために ◆IEYD9V7.46
平原にてディバインバスターにより少女を攻撃。消息不明。
商店街にてプロテクションEX派生技により少年を攻撃。消滅確認。
商店街にてプロテクションEX派生技により少年を攻撃。消滅確認。
魔導士の杖は何度目になるか分からない状況確認を終えた。
ユーノ・スクライアからマスター高町なのはへと託された後、自身の魔法が人間を焼いたことはなかった。
マスターと自分が振るう魔法は、常に誰かを幸せにするために行使してきたのだ。
だが、それも呆気なく破られた。
恐れも躊躇もなく、狂ったように笑いながら圧倒的な魔力で少女を砲撃した仮マスター。
典型的な快楽殺人者。レイジングハートはフランドールをそう評した…………はずだった。
その認識が揺らいだのはつい先ほどのことだ。
驚異的な身体能力を誇る少年――ゴン・フリークスに勝利し、さぞ充実したことだろうとフランドールの顔を覗いてみた。
確かに彼女は満足そうな表情をしていた。だがそれが一点の曇りもないものなのかと訊かれれば違うと答えるだろう。
魔力を使いすぎたのが不服なのか、腕を粉砕されたことが気に入らなかったのか。
あるいは、ただの殺人者なのではなく、何か独自のロジックに基づいて動いているのだろうか。
レイジングハートは理解できない。フランドールは行動に矛盾点が多すぎるのだ。
だが、その矛盾の正体を見極めることができたなら、あるいは自分にも何かできるのかもしれない。
ユーノ・スクライアからマスター高町なのはへと託された後、自身の魔法が人間を焼いたことはなかった。
マスターと自分が振るう魔法は、常に誰かを幸せにするために行使してきたのだ。
だが、それも呆気なく破られた。
恐れも躊躇もなく、狂ったように笑いながら圧倒的な魔力で少女を砲撃した仮マスター。
典型的な快楽殺人者。レイジングハートはフランドールをそう評した…………はずだった。
その認識が揺らいだのはつい先ほどのことだ。
驚異的な身体能力を誇る少年――ゴン・フリークスに勝利し、さぞ充実したことだろうとフランドールの顔を覗いてみた。
確かに彼女は満足そうな表情をしていた。だがそれが一点の曇りもないものなのかと訊かれれば違うと答えるだろう。
魔力を使いすぎたのが不服なのか、腕を粉砕されたことが気に入らなかったのか。
あるいは、ただの殺人者なのではなく、何か独自のロジックに基づいて動いているのだろうか。
レイジングハートは理解できない。フランドールは行動に矛盾点が多すぎるのだ。
だが、その矛盾の正体を見極めることができたなら、あるいは自分にも何かできるのかもしれない。
* *
白を基調とした清潔感あふれる空間がある。
内装はごくシンプルで、目に付くものはクローゼット、ベッド、アンティークのランプ、落ち着いた柄のカーテン。
昼間だというのに太陽の光を嫌うかのように厚めの布地が光を遮る。
薄暗い寝室の中。
ベッドの上で仰向けに寝ている金髪の少女に対して赤い宝石が言を発する。
内装はごくシンプルで、目に付くものはクローゼット、ベッド、アンティークのランプ、落ち着いた柄のカーテン。
昼間だというのに太陽の光を嫌うかのように厚めの布地が光を遮る。
薄暗い寝室の中。
ベッドの上で仰向けに寝ている金髪の少女に対して赤い宝石が言を発する。
『仮マスター、少しよろしいですか?』
「……どうでもいいけど、あなたはいつになったらマスターと呼んでくれるのかしら?
高町なのはっていう人間を壊せば私のことをマスターって認めてくれるの?」
「……どうでもいいけど、あなたはいつになったらマスターと呼んでくれるのかしら?
高町なのはっていう人間を壊せば私のことをマスターって認めてくれるの?」
常人なら身の毛立つような物騒な話ではあるが、そこに深い意味はない。
フランドールは自分の言葉が他者にどのような影響を与えるのかをうまく悟ることができないのだ。
人を壊すなどという内容も、彼女にしてみれば今日の天気は良い、あの本は面白かったなどの世間話の延長線上にあるものに過ぎない。
何を話せばいいのか分からないから、思ったことを率直に述べる。
そうすることで不器用ながらもコミュニケーションを図りたいという無意識が働いているのかもしれない。
フランドールは自分の言葉が他者にどのような影響を与えるのかをうまく悟ることができないのだ。
人を壊すなどという内容も、彼女にしてみれば今日の天気は良い、あの本は面白かったなどの世間話の延長線上にあるものに過ぎない。
何を話せばいいのか分からないから、思ったことを率直に述べる。
そうすることで不器用ながらもコミュニケーションを図りたいという無意識が働いているのかもしれない。
「まぁ、いいわ。用事ってなに?」
『仮マスターへの理解を深めるためにいくつか質問があります』
「理解?」
『私はインテリジェントデバイス――意思ある杖です。
仮マスターの思考や性格を把握することで自身を調節し、より効率よく魔法を運用することが可能になります』
『仮マスターへの理解を深めるためにいくつか質問があります』
「理解?」
『私はインテリジェントデバイス――意思ある杖です。
仮マスターの思考や性格を把握することで自身を調節し、より効率よく魔法を運用することが可能になります』
つまり質問に答えればより美しい弾幕を展開できるということか、とフランドールは考える。
疲労が募っているので、やることがなければ寝るだけだ。
フランドールは睡眠欲とレイジングハートがこれからするという話を秤にかけてみた。
休むことなどいつでもできる(殺し合いの場ではあるがフランドールはそう思っている)
ならばレイジングハートの質問に答えたほうが面白そうだ。
遠くの楽しみよりも目先の楽しみ。
些細な娯楽でも楽しもうという好奇心が睡眠欲に勝った。
疲労が募っているので、やることがなければ寝るだけだ。
フランドールは睡眠欲とレイジングハートがこれからするという話を秤にかけてみた。
休むことなどいつでもできる(殺し合いの場ではあるがフランドールはそう思っている)
ならばレイジングハートの質問に答えたほうが面白そうだ。
遠くの楽しみよりも目先の楽しみ。
些細な娯楽でも楽しもうという好奇心が睡眠欲に勝った。
「ふーん。分かったわ。何でも答えてあげる」
『ありがとうございます。では最初の質問を。
仮マスターはゴンという少年との戦闘の中で……本気を出しませんでしたね。
私の見立てではあなたはデバイスなしでも魔法ランクS以上の実力はあると考えられます。
対処方はあったはずです。片腕を負傷してまで本気を出さなかったのはなぜですか?」
『ありがとうございます。では最初の質問を。
仮マスターはゴンという少年との戦闘の中で……本気を出しませんでしたね。
私の見立てではあなたはデバイスなしでも魔法ランクS以上の実力はあると考えられます。
対処方はあったはずです。片腕を負傷してまで本気を出さなかったのはなぜですか?」
レイジングハートの問いかけがフランドールの心を微かに揺らす。
自分のことを分かってくれていたんだ、という嬉しさに胸が少し満たされる。
喜んでばかりもいられないので、問いに対する答えを整理するためレイジングハートへの視線を僅かに逸らして考える。
自分のことを分かってくれていたんだ、という嬉しさに胸が少し満たされる。
喜んでばかりもいられないので、問いに対する答えを整理するためレイジングハートへの視線を僅かに逸らして考える。
「……分かってたんだ。そうね、私はスペルカードを使わなかったわ。
あなたの魔法と私のスペルカードを組み合わせればあの子に何もさせずに勝つこともできたかもしれないし、逃げる手段だっていくらでもあった」
あなたの魔法と私のスペルカードを組み合わせればあの子に何もさせずに勝つこともできたかもしれないし、逃げる手段だっていくらでもあった」
でも、と前置きをしながらフランドールは赤い宝石へと再び顔を向ける。
「あの場面で逃げたりしたらつまらないじゃない。それに、私はレイジングハートと一緒に遊びたかったし
……レイジングハートと仲良くなりたかった。本気で制御したアクセルシューターはとても楽しかったわ。
私の弾幕と似ているようで違うんだもの」
……レイジングハートと仲良くなりたかった。本気で制御したアクセルシューターはとても楽しかったわ。
私の弾幕と似ているようで違うんだもの」
『分かりました。では次の質問です。
先の戦闘に勝利したというのに元気がないのはなぜですか?
あなたの目的は人を壊すことではないのですか?』
先の戦闘に勝利したというのに元気がないのはなぜですか?
あなたの目的は人を壊すことではないのですか?』
レイジングハートの質問はフランドールにとって考えさせられるものばかりだ。
当人にとっては当たり前過ぎるがゆえに、改めて説明しろと言われてもそれを言語化することが困難なのである。
深く考えるのが億劫になったのか、繋がりが粗い見解をフランドールは口にする。
当人にとっては当たり前過ぎるがゆえに、改めて説明しろと言われてもそれを言語化することが困難なのである。
深く考えるのが億劫になったのか、繋がりが粗い見解をフランドールは口にする。
「……えーと、弾幕ごっこは楽しい。相手の生死を気にするのは面倒。
というか生きるとか死ぬとかがよく分からない。
……でも壊れた相手とは二度と遊べないからそこが少しだけ寂しい。こんな感じでいい?」
というか生きるとか死ぬとかがよく分からない。
……でも壊れた相手とは二度と遊べないからそこが少しだけ寂しい。こんな感じでいい?」
『はい、理解しました。これで質問は終了です。ご協力感謝します』
「それで、質問の答えを聞いたあなたはいったい何をしてくれるの?」
『提案があります』
フランドールが破顔し、赤い宝石を見つめる。
期待に胸が膨らむ。今の状態でも美しい弾幕を描くことは可能だ。それが更に向上するとレイジングハートは言ったのである。
弾速や制御、同時発動数を高まったりするのだろうか?
プロテクションEXのような派生魔法を新たに生み出すことができるのだろうか?
どんどん夢が広がっていく。
ある種の芸術の創作意欲が止め処なく溢れてくる。
現在のフランドールの心境はまさにプレゼントを貰う子供のそれと同じもの。
何時間も待ちわびていたかのように今か今かとレイジングハートの答えを待つ。
しかし、次に赤い宝石が放った予想外の言葉にフランドールは撃ち抜かれることになる。
期待に胸が膨らむ。今の状態でも美しい弾幕を描くことは可能だ。それが更に向上するとレイジングハートは言ったのである。
弾速や制御、同時発動数を高まったりするのだろうか?
プロテクションEXのような派生魔法を新たに生み出すことができるのだろうか?
どんどん夢が広がっていく。
ある種の芸術の創作意欲が止め処なく溢れてくる。
現在のフランドールの心境はまさにプレゼントを貰う子供のそれと同じもの。
何時間も待ちわびていたかのように今か今かとレイジングハートの答えを待つ。
しかし、次に赤い宝石が放った予想外の言葉にフランドールは撃ち抜かれることになる。
『僭越ながら私があなたの友達になります。そして、あなたに人を壊させません』
「……え?」
「……え?」
フランドールの思考がぐちゃぐちゃになる。
トモダチという言葉で喜び、驚き、そして何か温まるものを得ることができた。
壊させないという否定の言葉が失望、怒り、悲しみを打ちつけてきた。
正負の激情が濁流のように同時に襲ってきて心情の絶対値が跳ね上がり――――その全てが暗い気持ちに変換される。
さっきまでのやりとりはいったい何だったのだろうか。
分かってくれるかもしれないと思っていた。きっと仲良くなれると心のどこかで信じていた。
だけど。
結局、レイジングハートは自分のことなんか理解してはくれなかったのだ。
体中が熱くなり、視界が暗くなるのを感じる。
様々な感情が無秩序にかき混ぜられた結果。
行き場が分からない衝動は狂笑という形をなして現れる。
トモダチという言葉で喜び、驚き、そして何か温まるものを得ることができた。
壊させないという否定の言葉が失望、怒り、悲しみを打ちつけてきた。
正負の激情が濁流のように同時に襲ってきて心情の絶対値が跳ね上がり――――その全てが暗い気持ちに変換される。
さっきまでのやりとりはいったい何だったのだろうか。
分かってくれるかもしれないと思っていた。きっと仲良くなれると心のどこかで信じていた。
だけど。
結局、レイジングハートは自分のことなんか理解してはくれなかったのだ。
体中が熱くなり、視界が暗くなるのを感じる。
様々な感情が無秩序にかき混ぜられた結果。
行き場が分からない衝動は狂笑という形をなして現れる。
「……は、はは、――――あははははははははははははははははは!
何を言っているの? トモダチになる? 人間を壊させない?
言っていることが全然繋がっていないわ。
壊させないってことはつまり私から弾幕ごっこを取り上げる気なの?
私のたった一つの楽しみを、たった一つの遊びを!
せっかくこんなに遊び相手がいる島に来たのにさ!
いくらレイジングハートの言うことだからってそんな頼み聞けるわけ――――」
何を言っているの? トモダチになる? 人間を壊させない?
言っていることが全然繋がっていないわ。
壊させないってことはつまり私から弾幕ごっこを取り上げる気なの?
私のたった一つの楽しみを、たった一つの遊びを!
せっかくこんなに遊び相手がいる島に来たのにさ!
いくらレイジングハートの言うことだからってそんな頼み聞けるわけ――――」
『さきほど、仮マスターはこう仰いました。――私と遊ぶのは楽しい。
だから、ゴン・フリークスとの戦闘においてスペルカードは使いたくなかった。
私と共に遊びたかったと』
だから、ゴン・フリークスとの戦闘においてスペルカードは使いたくなかった。
私と共に遊びたかったと』
「えぇ、言ったわ。それが何だって言うの」
『私の魔法は非殺傷設定をかけることで外傷を抑え、魔力値にダメージを与える設定に切り替えることが可能です。
相手の魔力が枯渇したとしても死ぬことはありえませんし、数時間で回復もするでしょう。
もしも仮マスターが通常弾幕とスペルカードを封印してくだされば、あなたの攻撃で人が死ぬことはありません。
同じ相手と二度と遊べなくなることを防ぐことが可能です。
手加減や相手の生死を気にする必要もありません。
あなたが全力で魔力を制御、放出しても、私が全て受け止めます。
仮マスターが望むなら、私はそれに応えます。あなたに、人殺しはさせません。
そして人を殺すことをやめたなら…………きっと私のマスター、高町なのはもあなたの友達になってくれます。
――――いかがでしょうか?』
相手の魔力が枯渇したとしても死ぬことはありえませんし、数時間で回復もするでしょう。
もしも仮マスターが通常弾幕とスペルカードを封印してくだされば、あなたの攻撃で人が死ぬことはありません。
同じ相手と二度と遊べなくなることを防ぐことが可能です。
手加減や相手の生死を気にする必要もありません。
あなたが全力で魔力を制御、放出しても、私が全て受け止めます。
仮マスターが望むなら、私はそれに応えます。あなたに、人殺しはさせません。
そして人を殺すことをやめたなら…………きっと私のマスター、高町なのはもあなたの友達になってくれます。
――――いかがでしょうか?』
フランドールは息を呑み、体を硬直させる。
レイジングハートは自分がどういう提案を行っているのかを承知の上で発言している。
もとの世界では犯罪者を非殺傷魔法で無力化した後、時空管理局が逮捕もしくは保護をするという仕組みを取っていた。
時空管理局のバックアップ、そして綿密なシステムがあったからこそ、PT事件や闇の書事件のようなロストロギアの絡む大事件においても驚くほど死傷者は少なかったのである。だが、この場ではそんなものは通用しない。
もとの世界では犯罪者を非殺傷魔法で無力化した後、時空管理局が逮捕もしくは保護をするという仕組みを取っていた。
時空管理局のバックアップ、そして綿密なシステムがあったからこそ、PT事件や闇の書事件のようなロストロギアの絡む大事件においても驚くほど死傷者は少なかったのである。だが、この場ではそんなものは通用しない。
この島は問答無用の殺戮の場だ。
非殺傷設定の魔法で戦闘力を奪われた参加者を保護する存在が都合よく現れる可能性は極めて低い。
無力化された参加者は他の参加者の手で死ぬことよりもつらい運命を降りかけられるかもしれない。
そう。レイジングハートがやっていることは結局のところ問題の先送りでしかないのだ。
フランドールに殺人を止めろと言ったところで聞くはずがないと判断した上での苦肉の策。
弾幕ごっこをさせつつ、その興味を徐々に他のものに逸らしていき、広い世界を見せる機会を与え、生きる楽しみを教える。
せめて殺すことだけでもやめさせられれば何かが変わるのではないか。
何かきっかけが訪れるのではないか。
意思ある杖はそう、思った。
マスター高町なのはと出会い、その感性に触れたレイジングハートはフランドールの殺戮を止めうる針の穴のような可能性に掛けてみたくなった。
そして、殺人を犯した者だろうと何だろうと救えるものは全員救おうとする主の精神が魔導士の杖の中には根強く宿っている。
だから、助けられるものは全力で助ける。
マスターがフェイト・テスタロッサを救ったように。八神はやてとヴォルケンリッターを連環する運命から解き放ったように。
文字通り思考回路を積んでいるレイジングハートの出した答えがこれだ。
傲慢で独善で偽善で全てが徒労に終わる可能性が高く、周囲の人間を不幸にするかもしれない論理的とは言い難い思考。
だが、幾度となく思考を繰り返そうとも高町なのはのデバイスが行き着く先は、全てを救おうとする道以外はないのだ。
それが、救うこと叶わずに散ってしまったゴン・フリークスへの弔いになると思った。
彼の遺志を無駄にはしたくない、フランドールに届かせるには足りなかった彼の想いを汲み取り、補いたかった。
非殺傷設定の魔法で戦闘力を奪われた参加者を保護する存在が都合よく現れる可能性は極めて低い。
無力化された参加者は他の参加者の手で死ぬことよりもつらい運命を降りかけられるかもしれない。
そう。レイジングハートがやっていることは結局のところ問題の先送りでしかないのだ。
フランドールに殺人を止めろと言ったところで聞くはずがないと判断した上での苦肉の策。
弾幕ごっこをさせつつ、その興味を徐々に他のものに逸らしていき、広い世界を見せる機会を与え、生きる楽しみを教える。
せめて殺すことだけでもやめさせられれば何かが変わるのではないか。
何かきっかけが訪れるのではないか。
意思ある杖はそう、思った。
マスター高町なのはと出会い、その感性に触れたレイジングハートはフランドールの殺戮を止めうる針の穴のような可能性に掛けてみたくなった。
そして、殺人を犯した者だろうと何だろうと救えるものは全員救おうとする主の精神が魔導士の杖の中には根強く宿っている。
だから、助けられるものは全力で助ける。
マスターがフェイト・テスタロッサを救ったように。八神はやてとヴォルケンリッターを連環する運命から解き放ったように。
文字通り思考回路を積んでいるレイジングハートの出した答えがこれだ。
傲慢で独善で偽善で全てが徒労に終わる可能性が高く、周囲の人間を不幸にするかもしれない論理的とは言い難い思考。
だが、幾度となく思考を繰り返そうとも高町なのはのデバイスが行き着く先は、全てを救おうとする道以外はないのだ。
それが、救うこと叶わずに散ってしまったゴン・フリークスへの弔いになると思った。
彼の遺志を無駄にはしたくない、フランドールに届かせるには足りなかった彼の想いを汲み取り、補いたかった。
提案を受けたフランドールは考える。レイジングハートの要求を撥ね付けるのは簡単だ。
杖が何を言おうとも供給した魔力分の魔弾は射出されるのだから、実用上の問題はなにもない。
そうなると残るのは精神・感情論だけだ。
ゴンとの戦いの中、本当に殺されるのかもしれないと思った。
それでもレイジングハートと一緒に遊びたいと思った。
導き出されるのは、自分の命よりもレイジングハートと遊ぶことのほうが重要だという結論。
通常弾幕とスペルカードを封印することはどうなのだろう。
さっきの弾幕ごっこで本気を出したと思えて、しかも一番楽しかったのは――――レイジングハートの魔法を使っているとき。
あの楽しさがあるなら、能力を使わなくても退屈することはないのではないか。
自分はレイジングハートとどう接していきたいのか。
魔導士の杖が見せてくれる世界とはどんなものなのだろうか。
レイジングハートがトモダチになってくれるかもしれないと言った高町なのはという人間はどのような存在なのか。
未来予想図が幾重にも重なり、その全てが繋がり広大な物語が作られる。
目の前が開けていき、鼓動が高鳴る。
気が付けば、答えは決まっていた。
杖が何を言おうとも供給した魔力分の魔弾は射出されるのだから、実用上の問題はなにもない。
そうなると残るのは精神・感情論だけだ。
ゴンとの戦いの中、本当に殺されるのかもしれないと思った。
それでもレイジングハートと一緒に遊びたいと思った。
導き出されるのは、自分の命よりもレイジングハートと遊ぶことのほうが重要だという結論。
通常弾幕とスペルカードを封印することはどうなのだろう。
さっきの弾幕ごっこで本気を出したと思えて、しかも一番楽しかったのは――――レイジングハートの魔法を使っているとき。
あの楽しさがあるなら、能力を使わなくても退屈することはないのではないか。
自分はレイジングハートとどう接していきたいのか。
魔導士の杖が見せてくれる世界とはどんなものなのだろうか。
レイジングハートがトモダチになってくれるかもしれないと言った高町なのはという人間はどのような存在なのか。
未来予想図が幾重にも重なり、その全てが繋がり広大な物語が作られる。
目の前が開けていき、鼓動が高鳴る。
気が付けば、答えは決まっていた。
「……1つ、条件があるわ」
『何でしょうか?』
「あなたは私のトモダチになってくれるんでしょう? それなら、その証を見せて」
『証……ですか?』
『何でしょうか?』
「あなたは私のトモダチになってくれるんでしょう? それなら、その証を見せて」
『証……ですか?』
フランドールは告げる。契約の儀式、最後の課題を。
「なまえを呼んで。私があなたのマスターになれないのなら、私のことを名前…………やっぱり愛称で呼んで。
“仮マスター”や“あなた”という呼び方は違うの。
レイジングハートは家来でもメイドでもないトモダチなんだから。
トモダチって愛称で呼び合うんでしょう?
お姉様とパチュリーだってそうだもの。
だったらレイジングハートにも私のことを愛称で呼んでほしいわ」
“仮マスター”や“あなた”という呼び方は違うの。
レイジングハートは家来でもメイドでもないトモダチなんだから。
トモダチって愛称で呼び合うんでしょう?
お姉様とパチュリーだってそうだもの。
だったらレイジングハートにも私のことを愛称で呼んでほしいわ」
レイジングハートは他者を区別する目的以外で人名を呼ぶことは少ない。
ましてや、愛称などつけたことがあるはずがない。
……けれども。
この場面では極自然に、吸血鬼の少女に名を贈ることができた。
ましてや、愛称などつけたことがあるはずがない。
……けれども。
この場面では極自然に、吸血鬼の少女に名を贈ることができた。
『分かりました――フラン』
* * *
太陽が高く上る。寝室のカーテンの隙間から漏れ出る光の帯がその存在を増していき、フランドールの体に明暗の模様を映し出す。
彼女は少し手を伸ばし、カーテンをしっかりと引いて鬱陶しい光を遮ろうとして……その手を止める。
そのままベッドへと倒れこみ、首に掛けた赤い宝石を見て外見相応の少女のように満足そうに微笑む。
彼女は少し手を伸ばし、カーテンをしっかりと引いて鬱陶しい光を遮ろうとして……その手を止める。
そのままベッドへと倒れこみ、首に掛けた赤い宝石を見て外見相応の少女のように満足そうに微笑む。
(……今はレイジングハートがいるんだもの。日の光なんて全然平気。
…………たまにはこのくらいの日光浴も悪くはないわ)
…………たまにはこのくらいの日光浴も悪くはないわ)
次に外に出たとき、見える世界は違うのだろうか。
【H-1/ちょっと良い家/1日目/昼】
【EXボスな妹様】
【フランドール・スカーレット@東方Project】
[状態]:左肩粉砕骨折/疲労困憊/魔力大消費(回復中)/バリアジャケット(半脱げ)
[装備]:レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~2個(不明)/ひらりマント@ドラえもん/i-Pod@現実?
[服装]:片方の肩付近が大きく破れた半脱げ状態
[思考]:レイジングハート(非殺傷設定)を使って弾幕ごっこで遊ぶ(特に殆ど見た事が無い人間に興味津々)
[備考]:バリアジャケットのおかげで直射日光も平気です。
両腕で杖を保持できなくなった為、反動の大きい放出系魔法の精度が落ちています。
荷物の取りだし等にも不便すると思われます。
殺傷力のある弾幕及びスペルカードは使わない(?)
第一行動方針:まだしばらく休憩する。
第二行動方針:人を見つけ次第弾幕ごっこを仕掛ける。
第三行動方針:レミリアを捜す。
基本行動方針:遊ぶ。
【EXボスな妹様】
【フランドール・スカーレット@東方Project】
[状態]:左肩粉砕骨折/疲労困憊/魔力大消費(回復中)/バリアジャケット(半脱げ)
[装備]:レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~2個(不明)/ひらりマント@ドラえもん/i-Pod@現実?
[服装]:片方の肩付近が大きく破れた半脱げ状態
[思考]:レイジングハート(非殺傷設定)を使って弾幕ごっこで遊ぶ(特に殆ど見た事が無い人間に興味津々)
[備考]:バリアジャケットのおかげで直射日光も平気です。
両腕で杖を保持できなくなった為、反動の大きい放出系魔法の精度が落ちています。
荷物の取りだし等にも不便すると思われます。
殺傷力のある弾幕及びスペルカードは使わない(?)
第一行動方針:まだしばらく休憩する。
第二行動方針:人を見つけ次第弾幕ごっこを仕掛ける。
第三行動方針:レミリアを捜す。
基本行動方針:遊ぶ。
※非殺傷性@魔法少女リリカルなのは
魔法の物理ダメージを攻撃対象の魔力値へのダメージに変える設定。
非殺傷性が適用された魔法を受けると、酷い外傷を負わない代わりに魔力値が減り、魔力が枯渇すると気絶してしまうこともある。
この設定のおかげで街一つ吹き飛ばしそうな魔法が炸裂しても建造物が破壊されずに済んだり、誤って人を殺す確率を減じたりすることができる。
なのは作中で非殺傷性の魔法が直撃して大怪我(四肢の欠損等)を負った例はなく、
外傷で言えばせいぜい打撲くらいのものにしかならない。それなりに痛みや衝撃があるので気絶や昏倒の可能性はある。
非殺傷性魔法は設定上生物以外に決定打にはなりえない。例えば、リルルのようなロボットには非殺傷性魔法の効果は
あまりなく、破壊したければ設定を解除して物理ダメージを有効にする必要がある。
魔法の物理ダメージを攻撃対象の魔力値へのダメージに変える設定。
非殺傷性が適用された魔法を受けると、酷い外傷を負わない代わりに魔力値が減り、魔力が枯渇すると気絶してしまうこともある。
この設定のおかげで街一つ吹き飛ばしそうな魔法が炸裂しても建造物が破壊されずに済んだり、誤って人を殺す確率を減じたりすることができる。
なのは作中で非殺傷性の魔法が直撃して大怪我(四肢の欠損等)を負った例はなく、
外傷で言えばせいぜい打撲くらいのものにしかならない。それなりに痛みや衝撃があるので気絶や昏倒の可能性はある。
非殺傷性魔法は設定上生物以外に決定打にはなりえない。例えば、リルルのようなロボットには非殺傷性魔法の効果は
あまりなく、破壊したければ設定を解除して物理ダメージを有効にする必要がある。
≪091:紅楼夢 | 時系列順に読む | 093:子豚=ジャイアン?≫ |
≪091:紅楼夢 | 投下順に読む | 093:子豚=ジャイアン?≫ |
≪070:禁忌『エキストラバージン』 | フランドールの登場SSを読む | 113:君と共に弾幕を(前編)≫ |