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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 真実は煙に紛れて(1)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

真実は煙に紛れて(1)

最終更新:2007年12月08日 17:00

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だれでも歓迎! 編集

真実は煙に紛れて (1)発火点  ◆3k3x1UI5IA


真実はいつもひとつ! と探偵は言う。けれど、本当にそうだろうか?


         *       *       *


「それでは、武器を捨てて頂きましょうか」

――梨花たちにとって、状況は最悪だった。
いったい何をされたのか、抵抗もできずに倒れているリンク。
同じく、縛られてもいないのに立ち上がれないらしい、見知らぬ少年。
よく見ればリンクの太腿には傷があり、もう1人の少年も腹部を血に染めている。
少年たちは荷物を持っておらず、よく見れば彼らの手の届かないところに集めて積み上げられている。
部屋の中からは刺激臭の混じった煙が廊下に向かって溢れ出し、場の異様さを引き立てている。

そして、場を支配しているのは、恐るべき変態男。
勇者の拳の直撃を受け、4階から叩き落されても死なず、目立った傷すらなく、逃げ出しもせず。
頭に被ったブルマが消えたかと思えば、その下から現れたのは額に十字に張られた絆創膏。
存在自体が理解不能な小坊主が、ガラスの破片を片手に握り、倒れたリンクの上に陣取っている。

狙っているのがリンクの「眼球」、というのも陰湿だ。
これが例えば首筋などを狙っていたなら、脅す側も簡単には掻き切れないだろう、と判断できる。
人質が死んでしまっては、人質としての価値が無くなってしまうからだ。
しかし人間、目を潰された程度では死んだりしない。取り返しのつかない傷ではあるが、死ぬことはない。
さらに、片目を突いても、目はもう1つある。同様の状況を続けられる。
つまり――人質を取られた時の常套手段である、「交渉を引き延ばして好機を待つ」ことすらできないのだ。
時間稼ぎをしようとしている、と悟られた時点で、脅迫者は躊躇い無く片目を抉り出すだろう。
脅迫者が本気であることを示し、交渉を有利に迅速に進める手段として。

古手梨花は、ほんの一瞬でそこまで思考を巡らせる。
見かけによらず「黒い」彼女だからこそ、そんな外道な交渉心理まで読めてしまう。
チラリと横にいる灰原哀の顔色を窺う。梨花の視線に気付いたか、哀は青い顔で小さく頷く。
哀もまた気付いているのだ。
梨花とは違う意味で「見かけ通りではない」哀である。梨花と同じ結論に辿り着くのは、難しいことではない。
どうすればいいのか? 互いに視線で問い合う2人に、一休は悠然とした態度を崩さず言葉を続ける。

「そうですね、背負っているその『らんどせる』という鞄を、こちらに投げ渡してもらいましょうか。
 その間、特にそちらの梨花さんとやら。あの『拳が大きくなる術』は使わないようにお願いしますよ。
 そうですね、お2人には、しばらく両手を頭上に上げておいて貰いましょうか」
「…………!」

一休の何気ない言葉、しかし梨花も哀も聞き逃さない。目に光が戻る。
敵の事実誤認、そして状況打開の可能性を読み取って、素早く目配せをする。

(この変態小坊主……もしかして、『勇者の拳』が『支給品』だって、気付いてない……!?)
(なら、まだ諦めたものではないわね……!)

最初に「武器を捨てろ」と言われた時には、こちらの手の内が全てバレてるのかと思った。
なにしろ梨花も哀も、見た目だけなら「武器」に相当するようなものなど、何も持っていないのだから。
そして、今の2人が『勇者の拳』を手放したら、もう勝ち目はない。

けれど――思い返せば、一休は『勇者の拳』について極めて限られた知識しか持ってないのだ。
目撃したのは4階で殴り飛ばされた時と、つい先ほどの空振りの2回のみ。
説明書も読んでいないし、哀が使用した場面も目撃していない。
最初に使った時だって、哀からの受け渡しは後ろ手で、つまり一休からは死角に当たる位置で行った。
そして何より、待機状態の『勇者の拳』は、パッと見、綺麗なアクセサリーにしか見えない……!

もう間違いない。
一休は『拳が大きくなる術』を、梨花個人が使用できる魔法か何かのように勘違いしている。
そして、ランドセルに入ってるかもしれない、別の武器の存在を恐れている。
ならば――上手くこのブレスレッドを温存し、隙を見て哀に渡すことができれば……!
梨花は『拳が大きくなる術』の使い手として警戒されているが、哀なら不意を打てるかもしれない……!

「……いいわ。言う通りにしましょう。だから、リンクには手を出さないで」
「素直で助かります。……はい、確かに」

梨花たちは一休の指示に従い、背負っていたランドセルを順番に彼の方に投げ渡す。
隙ができるか、と一瞬期待したが、一休は片手にガラス片を持ったまま、器用に片手でキャッチ。
傍らに積み上げられた少年たちのランドセルの上に置くと、落ち着いた態度を崩すことなく、次の指示を出した。

「では、部屋の中に入ってきて貰いましょうか。あ、そうそう、ちゃんと扉は閉めて貰いますよ」

         *       *       *

(梨花ちゃん、逃げて……! そっちの君も……!)

一休にのしかかられたまま、リンクは声にならない呻きを上げる。
梨花たちの存在が確認できたのはひとまず安心だったが、状況はどう見ても最悪だ。
見れば梨花も無傷ではない。身体のあちこちには痛々しい打ち身が見られ、表情にも辛そうな色が混じり。
身体に力が入らないのか、もう1人の少女――手錠をかけておいたあの少女だ――に支えられている。
その傷全てが一休にやられたもののように思えて、改めて怒りが込み上げる。

けれど、この状況ではどうすることもできない。
目の前にはガラス片。身体は傷と毒ガスのせいで思うように動かず、小狼も同じようなもので――
そこまで考えて、リンクはふと気が付く。

(――あれ? そういえば、さっきよりも――)

恐る恐る、上にのしかかる一休から死角にあたる拳を、握り締めてみる。
……僅かながら、力が戻ってきていた。
普段通りとまでは行かないし、まだ吐き気も残っていたが、全く動けない程ではない。
目線だけを横に向けてみれば、同じく小狼が拳を握ったり開いたりした後、リンクの方を見て頷いてきた。
小狼もまた、自分の身体に力が戻りつつあることを確認したのだ。

『ネコンの香煙』――
それは本来、このような閉鎖空間での使用を前提としたものではない。
そしてまた、完全に動けなくなるほど効果が強いものではない。
戦場のような解放的な空間で使用して、それでも意味のある種類の焚薬。
同時に、吸い込んだ相手の「完全無力化」ではなく、「能力低下」を意図した焚薬。

それが何故、ここまで強烈に効いてしまったかと言えば、それは保健室の扉が閉ざされていたからだ。
煙が拡散せず濃度が濃かった分、大量に吸ってしまったためだ。
となれば当然、梨花たちが戸を開けたことによって、煙は外に流れ出るわけで――
空気中の密度が下がれば、自然と影響は軽微になっていくわけで――

一旦体内に取り込まれた毒素は、そう簡単には抜けない。万全には程遠い。
けれど、動くことはできる。気合を入れれば立ち上がり、動き回れる程度には回復してきている。
自分の体調を確認し、改めて小狼と目配せする。

(けれど――今はまだ我慢、だね)
(アイツはまだ『俺たちが動けない』と思っているはずだ。
 反撃のチャンスは大事にしたい――もう少し、様子を見たい)

言葉には出せないが、視線だけで互いの考えが伝わる。
阿吽の呼吸で、言葉に出さずとも通じ合う。
ヘンゼルという強敵を前に共闘した経験が、2人の少年の間に確かな繋がりを生んでいたのだ。

梨花たちが、悔しそうな表情のままランドセルを投げる。一休が受け取る。
これで梨花たちには、支給品を使うこともできない。戦う能力のない彼女たちは、これで無力。
少年2人がなんとかしなければならない――そこまで考えて、リンクはふと気が付く。

(でも、あれ?
 そういえば、さっき梨花ちゃんが使ったあの『手が大きくなる技』は、何だったんだろう?)

梨花がああいう技を使えたのなら、リンクは彼女をこれほど心配することはなかったわけで――
でも、少なくとも4階で別れた時には、彼女は「隠れているしかできない」と言っていたわけで――
リンクの疑問に答えは出ず、一休の穏やかな声が思考を中断させる。

「では、部屋の中に入ってきて貰いましょうか。あ、そうそう、ちゃんと扉は閉めて貰いますよ」

         *       *       *

……このまま何事もなく進んで行けば、きっと一休は4人に叩きのめされていたことだろう。
一見すれば一休側が状況を支配しているように見えるが、何しろ人数が違う。
『ネコンの香煙』が抜けつつあった少年2人が機を見て飛び起き、リンクが人質状態を脱出して。
その隙に梨花が哀にブレスレッドを渡し、『勇者の拳』が不届きな小坊主を叩き潰していただろう。

だが実際には、そうはならなかった。そんな単純な幕引きは、訪れなかった。
さて、話を進める前に、この時点では「まだ誰も気づいてなかった事実」を指摘しておかねばならない。
冷静になって、思い出して頂きたい。

一休は、リンクと小狼の2人を無力化するために、『ネコンの香煙』という道具を使用した。
それはその名の通り、炎を上げることなく、じわじわと燃えて煙を吐き続ける「お香」のようなもの。
一休は保健室で見つけた100円ライターを用い、それに火をつけている。

さて保健室の扉が開かれたことで、空気の通り道が出来、煙の濃度は下がった。
『ネコンの香煙』も、もう掠れかかった薄い煙を吐くばかり。
確実な効果を発揮できるほどの煙は、もはや室内にはない――

――だが、ちょっと待って欲しい。
その『ネコンの香煙』の『燃えカス』、未だ僅かに燻っている火種は、今どこにあるのか?

それは一休の油断だった。
いや彼を責めるのは酷というものだろうか? ここまで事態が急転の連続だと、誰しも注意力は疎かになる。
リンクと小狼を武装解除する最中、火のついた香は一旦床に置かれ、それきり存在を忘れられ、そして……
梨花の放った『勇者の拳』の余波が、棚を破壊した。
ガラスが砕ける。薬品がブチまけられる。何本もの瓶が割れ、割れずに済んだ瓶もあたりに転がる。
それらに混じり、医療用のガーゼが、空気を適度に含んで実に燃えやすいガーゼが、ふわりと落ちて……!

一休の指示に従い、哀が後ろ手に保健室の戸を閉めた頃。
誰からも忘れられていた炎は、ようやくその赤い舌を延ばし、ガーゼの侵食を始めた。
ここは保健室。
ベッドやカーテン、包帯や可燃性の薬品など、炎にとっては大好物なものばかりが集められた部屋である。

         *       *       *

――「それ」に最初に気付いたのは、灰原哀だった。
命ぜられるままに素直にランドセルを投げ渡し、命ぜられるままに部屋に入り。
後ろ手に保健室の戸を閉めた所で、ふと、視界の隅に揺れる赤いモノに気が付いた。

「ッ……! 燃えてるっ……!?」
「!!」

哀の喉から漏れた小さな呻きに、残る4人が一斉に彼女に注目し、ついでその視線の先を追う。
哀が見つけてしまったのは、チロチロと燃え始めた医療用のガーゼの山。
その近くには包帯の入った箱やら、割れた薬瓶やら、「健康診断のお知らせ」のプリントやら……
まだそれは吹けば消えそうな小さな火であったが、誰がどう見ても、危険な状態である。

「なっ……! なんで火なんか!?」
「ちょっ、消火器、消火器!」
「水! どっかに水ない!? 水道!」

不意打ちを狙っていたことも忘れて、リンクが悲鳴を上げる。小狼が身体を起こす。
梨花は水道の蛇口を求めて辺りを見回し、哀は廊下の消火器を取りに出ようと扉に手をかける。
そんな中、残る1人は――

「――動かないで下さい!」

穏やかな、落ち着いた、しかし有無を言わせぬ迫力の一喝で、4人を制する。
思わず金縛りになる彼らの前で、一休は落ち着いた様子を崩さず、穏やかに告げる。
リンクにガラス片を突きつけた、その姿勢のままで。

「あわてない、あわてない。あんまり慌てて、今の状況を忘れてもらっては困ります。
 あわてても何ひとついいことなんてありませんからねぇ」

         *       *       *

「あわてない、あわてない。あんまり慌てて、今の状況を忘れてもらっては困ります。
 あわてても何ひとついいことなんてありませんからねぇ」

一休はマスクの下で微笑む。
状況は全然良くなっておらず、事態は悪化の一途を辿っていたが、それでもなお微笑む。
誰もが浮き足立っているこういう時こそ、まずは自分が落ち着かねばならない。

(あれは『ネコンの香煙』の残り火でしょうか。
 いやぁ、失敗、失敗。わたしもまだまだ未熟なようです。火の不始末なんて笑い話にもなりません)

ともあれ、火が小さいうちに消さなければ、5人とも煙に巻かれてしまう。
しかし、火災の危険が迫っているからといって、彼ら4人に好き勝手に動かれたらどうなるか。
どうやら少年2人は『ネコンの香煙』の効果が薄れ始めているようだし、少女2人は自由に動ける状態だ。
火が消えた後、一休はそのまま誤解を解く間もなく殺されてしまうだろう。
人質によって4人を制しているこの状況は、まだ崩したくはない。

(『といれ』とかいう水場までは、あまりに遠過ぎます。小さな手桶で水を汲んできても、間に合うかどうか。
 この場にあるもので何とかしなければなりませんね)

実はちょっと部屋を出れば消火器があり消火栓もあるのだが、室町時代出身の一休には知る由もない。
けれど、周囲を素早く見回した一休は、すぐさま得意のとんちで解決策を見つけ出す。
水を汲んでくる時間も惜しいなら、すぐそこにある水を使えばいい。簡単な話だ。
ただ何をするにも、リンクを押さえ込んだ今の態勢では難しいわけで――
一喝に凍りついた4人を見渡しながら、ゆっくりと身を起こす。

「これからこの手を離しますが、みなさん、まだ動かないようお願いします。
 唐突ですが、実はこの一休、『斜院征伐(しゃいんせいば)』という法術を習得しております。
 霊験あらたかな『さもないと石』の力を借り、明王たちの武具法具を天から降らせて敵を討つ技です。
 範囲は、そうですね、この部屋の中くらいなら満遍なく仏罰を下せるでしょうか?
 その名の通り寺1つを傾ける程の力を持つこの法術、手加減が効かないので、できれば使いたくないですが……
 下手に抵抗されると、私もこれに頼らざるを得ません。お分かり頂けますね?」

もっともらしいことを言いながら、チラリと『シャインセイバー』の『サモナイト石』を示してみせる。
法術だとか明王だとか、『院』を『傾ける』から『斜院』だとか、その辺は説得力を持たせるためのブラフ。
効果範囲だって、まだ1回も使ったことが無いのだから、一休自身にも正確な広さは分からない。
でも、それで誰も血を流すことなく事が収まるのなら、この程度の嘘、御仏も笑ってお許し下さるだろう。
「嘘も方便」という言葉も、元を辿れば仏教用語なのだ。
困惑なのか恐怖なのか、4人が口を開けたまま動かないのを確認すると、一休は立ち上がる。

そうこうしている間にも、火は少しずつ大きくなっている。
一休は足元に転がっていた瓶を1つ、手に取る。
『勇者の拳』に打ち砕かれた棚から落下して、けれど偶然にも割れることなく床に転がった、薬瓶の1つ。
厚手のガラスで出来た大口の瓶の中には、透明な液体がたっぷりと入っている。

「そうですね……これで足りるでしょうか」

蓋を開けマスクをズラし、液体の匂いを嗅ぐ。刺激臭はするが、「恐れていた匂い」はない。
どんな効能を持った霊薬か知らないし、勿体無いと思わないでもなかったが、今は何より火を消すのが先だ。
息を飲む4人の前で、一休はその液体を炎の上に、…………、…………!

         *       *       *

「この法術、手加減が効かないので、できれば使いたくないですが……
 下手に抵抗されると、私もこれに頼らざるを得ません。お分かり頂けますね?」

未知の魔法『斜院征伐』(しゃいんせいばつ?)の存在を誇示して4人を脅す一休。
立ち上がりかけた格好のまま、小狼は混乱する。

(ハッタリか? それとも――本当?
 でもあの石、確かにただの石じゃなさそうだし、何よりこいつの余裕と自信は……!)

一休が嘘をついてないとすれば、おそらく『斜院征伐』はかなりの威力を持つ広範囲殲滅魔法なのだろう。
クロウカードの魔法とは対極に位置するような、応用性も発展性もない、ただ全てを破壊するだけの魔法。
そんな手の内を平気で晒すのは、知っていたとしても対策の立てようが無い魔法だからではないか。
開けた空間にいればともかく、こんな狭い室内では逃げる場所も無いし――
なまじ魔法の知識があるだけに、小狼の考えは悪い方向にばかり働いてしまう。

(でもそんな技を持ってるなら、何故使わない? 俺たちを殺す気じゃないのか?
 いや――あるいは消耗が激しいのか。俺たち程度じゃ、大技は温存しておきたいとでも……!?)

小狼が結論を出せずにいる間に、一休は悠々とリンクの所から離れ、炎の側に歩み寄る。
いつの間に拾ったのか、その手には1つの薬瓶。
瓶の蓋を開け、マスクをズラして匂いを嗅ぎ、中身を確認している。

「そうですね……これで足りるでしょうか」
「…………!」

その落ち着いた声に、小狼はギョッとする。
何しろ、一休が手にしていた薬瓶のラベルに書かれていた文字は……

  『消毒用アルコール』

それはエタノール濃度80%~95%、揮発性に富み殺菌作用に優れた保健室の常備品。
もちろん、注意書きには大きく「可燃性」「火気に近い所には置かないで下さい」などの文字……!
わざわざ蓋を開けて中身を確かめた一休は、

そして迷うことなく、炎に振りかけた。

―― ボ ッ ! !

一際大きな炎が上がる。
文字通り火に油を注いだ状態。炎は一気に勢いを増し、その範囲を広げ、煙も上がり始めている。
着物の裾を炎で炙られた一休が、パタパタと裾を叩きながら「おおっと失敗失敗!」などと笑っている。
顔を覆うマスク越しにも、笑っているのがはっきりと分かるような声。小狼は確信する。

(こいつ……! やっぱり俺たちを殺す気だ! 間違いない!)

室内の全員を皆殺しにできる術を持っているというのに、わざわざ炎と煙に巻いて殺そうとする陰湿さ。
小狼は怒りにまかせて立ち上がろうとして――

(――あれ?)

次の瞬間、目に映る世界全てが、グニャリ、と曲がった。

         *       *       *

「おおっと、失敗失敗!
 ……いやはや、『燃える水』とはなんとも奇妙な霊薬です」

慌てて裾に燃え移った火を叩いて消しながら、一休は小さく呟く。
彼が言う「失敗」とは、裾が燃えたことではない。間違って火に油を注いでしまったことについてだ。
念には念を入れて、油でないことを臭いで確かめたはずなのに……まさか水が燃えるとは。
この世には自分の知識の及ばないことがまだまだあるのだなぁ、と呑気にも感心する。
こんなことならば、ラベルの注意書きをよく確認しておくのだった。

実のところ、一休は取り上げた誰かのランドセルを漁って、ペットボトルを取り出せば良かったのだ。
そうすれば、簡単に火を消すことができただろう。
けれども、開始早々に荷物を奪われた彼は、すっかり「ペットボトル」の存在自体を忘れてて――

「しかし迂闊に水もかけられないとなると、一体どうやって消せばいいのでしょう。
 何か妙案は……おや?」

腕を組んで頭を捻ろうとした一休は、その拍子にふと、あることに気が付いた。
その手が炎に炙られた自らの袖を探る。

「おやおや……これは、まずいかもしれませんね」

一休は改めて燃え盛る炎の方に目を向ける。
可燃性のエタノールをたっぷりかけられ、ちょっとした焚き火ほどの火勢となったガーゼの山。
そこから立ち昇る、なにやら怪しげな煙――!
一休は、慌ててマスクをかけなおす。

「あわてない、あわてない。いやしかし、どうしたものですかね」

火は消えていない。状況は悪化するばかり。
そして、保健室内の他の4人は、…………、…………。
とんち自慢の一休にとっても、この『大混乱』を丸く収めるのは容易なことではないようだった。


≪140:Far lightning/遠雷 時系列順に読む 141:真実は煙に紛れて(2)≫
≪140:Far lightning/遠雷 投下順に読む 141:真実は煙に紛れて(2)≫
≪138:壱Qフィールド 一休さんの登場SSを読む 141:真実は煙に紛れて(3)≫
≪138:壱Qフィールド リンクの登場SSを読む 141:真実は煙に紛れて(3)≫
≪138:壱Qフィールド 小狼?の登場SSを読む 141:真実は煙に紛れて(3)≫
≪138:壱Qフィールド 古手梨花の登場SSを読む 141:真実は煙に紛れて(2)≫
≪138:壱Qフィールド 灰原哀の登場SSを読む 141:真実は煙に紛れて(2)≫

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