ライジングゲーム ◆0gyFSm2QyM
一人の少女がある場所を歩いている。
そしてその後ろをこっそりと付いて回る一匹の白猫。
時と場合によればこの光景もきっと微笑ましいものになるに違いない。
ただし、それは歩いている場所が工場ではなくて、更に少女と白猫が普通であればの話ではあるが。
そしてその後ろをこっそりと付いて回る一匹の白猫。
時と場合によればこの光景もきっと微笑ましいものになるに違いない。
ただし、それは歩いている場所が工場ではなくて、更に少女と白猫が普通であればの話ではあるが。
歩いている少女の名は高町なのは。彼女は今にも倒れそうになりながら工場の中を歩いていた。
今はただ休みたいと、工場の中で休める場所を探している途中である。
付いてきている白猫の名は白レン。
今は当面の目標――高町なのはを"手駒"に加えようとチャンスを伺いつつ追跡を行っている所である。
今はただ休みたいと、工場の中で休める場所を探している途中である。
付いてきている白猫の名は白レン。
今は当面の目標――高町なのはを"手駒"に加えようとチャンスを伺いつつ追跡を行っている所である。
なのはは付いてきている白レンに対して最低限の警戒はしている。
だが、それ以上の事は出来ない。ミニ八卦炉を使いすぎた影響で既に魔力は枯渇している。
仮に白レンが危害を及ぼす者だとしても攻撃も防御も殆ど出来ない。
結局今の時点では警戒以上の事がしようが無いのだ。
だが、それ以上の事は出来ない。ミニ八卦炉を使いすぎた影響で既に魔力は枯渇している。
仮に白レンが危害を及ぼす者だとしても攻撃も防御も殆ど出来ない。
結局今の時点では警戒以上の事がしようが無いのだ。
対する白レンも自分からまだ仕掛けることはしない。
白レン自身はなのはが魔力を枯渇しかけていることにも気が付いているし、
仮になのはが攻撃を仕掛けてきたところでまず返り討ちにすることが出来ると考えている。
しかし、あくまで白レンの目的はなのはを殺すことではない。
今はなのはを自分の操り人形にするのが第一の目的であり、今はまだその機ではない。
故に――白レンも自分から仕掛けることは出来ない。
白レン自身はなのはが魔力を枯渇しかけていることにも気が付いているし、
仮になのはが攻撃を仕掛けてきたところでまず返り討ちにすることが出来ると考えている。
しかし、あくまで白レンの目的はなのはを殺すことではない。
今はなのはを自分の操り人形にするのが第一の目的であり、今はまだその機ではない。
故に――白レンも自分から仕掛けることは出来ない。
結局両者の思惑が絡み合って一種の膠着状態を形成しているのだ。
その膠着状態になってしばらく、どこからともなく声が流れはじめた――放送が始まったのだ
『――では、次の放送は午前六時の予定だ。その時にまた会う事にしよう。
これにて放送を終了する。』
これにて放送を終了する。』
男の声が止み、工場に再び静寂が訪れる。
そして――無二の親友であったフェイト・テスタロッサ、八神はやての名前も。
(………………)
幾度と無く示された事実。既に受け入れたはずだというのに、
改めて突きつけられた事実は鋭利な牙と化して少女の心にまた新たな傷を作る。
ヴィータ含め他に山小屋にいた人間やアリサの名前は呼ばれなかったものの、
それは彼女の心の癒えには決してなりはしない。
先の事がある限り、この放送が彼女の心に僅かな癒しでさえも与えることは無かったであろう。
改めて突きつけられた事実は鋭利な牙と化して少女の心にまた新たな傷を作る。
ヴィータ含め他に山小屋にいた人間やアリサの名前は呼ばれなかったものの、
それは彼女の心の癒えには決してなりはしない。
先の事がある限り、この放送が彼女の心に僅かな癒しでさえも与えることは無かったであろう。
――そして、消耗しきった体と心を振り絞るように、また彼女は歩き始めていた。
その壊れかけた体と心を休めるために。束の間の安息の場所を求めて。
その壊れかけた体と心を休めるために。束の間の安息の場所を求めて。
(……レンは死んだのね)
放送を聴いていた白レンの耳にも、聞き覚えのある名前が聞こえた。
もう一人の"自分"――いや、彼女がオリジナルではあるのだが――の事だ
もう一人の"自分"――いや、彼女がオリジナルではあるのだが――の事だ
(……馬鹿みたい。こんな所で命を散らして。志貴が泣くわよ)
レンが慕っていた少年、遠野志貴。
真祖の姫や埋葬期間の代行者でさえ心酔している少年の事を思い出して、ふと思う。
レンが死んだと知れば、彼はきっと悲しむに違いない――
――私が死んだら、彼は悲しんでくれるだろうか?
真祖の姫や埋葬期間の代行者でさえ心酔している少年の事を思い出して、ふと思う。
レンが死んだと知れば、彼はきっと悲しむに違いない――
――私が死んだら、彼は悲しんでくれるだろうか?
(……いけない、私は生き残って志貴を私のものにすると決めていたはずなのに)
ふと考えてしまった余計なことを頭の中から駆逐する。
後の事は後で考えなければ、今はあの少女を如何にしてでも手駒にしなければならない。
そう考え、再び動き出した少女の後をこっそりと付いていく――が、
彼女の動きはすぐに止まることとなった。
後の事は後で考えなければ、今はあの少女を如何にしてでも手駒にしなければならない。
そう考え、再び動き出した少女の後をこっそりと付いていく――が、
彼女の動きはすぐに止まることとなった。
何しろ目の前の高町なのはが、奇妙なモノと遭遇していたからだ。
『……タカマチナノハダナ』
今なのはの目の前に現れたのは女の顔をした奇妙な蜂。
最初のときにもいた、ジェダの僕、QBだ。
その手には一つの真新しいランドセルを持っている。
最初のときにもいた、ジェダの僕、QBだ。
その手には一つの真新しいランドセルを持っている。
「……何なの?」
警戒心を露にしながらただ一言返す。
今の自分の所にQBが来る理由が思い当たらないからだ。
唯一あるとすればご褒美の受け渡しだが、それも有り得ないはず。
最初のご褒美は小狼くんの傷を治すのに既に使ってしまっているし、その後に遭った人々ははやてちゃんを除いては……
はやてちゃんを殺してしまった分だけでは次のご褒美の分には足りない……はずなのに。
今の自分の所にQBが来る理由が思い当たらないからだ。
唯一あるとすればご褒美の受け渡しだが、それも有り得ないはず。
最初のご褒美は小狼くんの傷を治すのに既に使ってしまっているし、その後に遭った人々ははやてちゃんを除いては……
はやてちゃんを殺してしまった分だけでは次のご褒美の分には足りない……はずなのに。
『ゴホウビヲワタシニキタ』
目の前の蜂は奇妙なことを云う。
自分が殺してしまった人数は"4人"の筈なのに。
自分が殺してしまった人数は"4人"の筈なのに。
「人間違いじゃないかな……私には権利は無い筈だよ」
『イイヤ、オマエハ、ゴホウビヲウケトレル』
「だから違う――」
『イイヤ、オマエハ、ゴホウビヲウケトレル』
「だから違う――」
『ダッテオマエハ、"6ニン"モコロシテイルジャナイカ』
有り得ない言葉を聞かされて思考が止まった。
目の前の蜂の言う事が本当ならば、わたしは知らない間に更に2人も殺してしまって――
目の前の蜂の言う事が本当ならば、わたしは知らない間に更に2人も殺してしまって――
『サア、ゴホウビヲウケトレ。 キズナオス、ドウグモラウ、ソレトモシリタイコトアルカ?』
頭が混乱して、目の前の言ってる声もよく分からない。
結局わたしは、言われるままにランドセルを指差し――それを受け取った。
ランドセルを渡した蜂が近場の窓からどこかへ飛び去ると同時に、逃げ去るようにその場を走り出す。
さっさとこの場を去りたかった。もうこれ以上傷つきたくなかった。そんな深層意識の表れだったのかもしれない。
結局わたしは、言われるままにランドセルを指差し――それを受け取った。
ランドセルを渡した蜂が近場の窓からどこかへ飛び去ると同時に、逃げ去るようにその場を走り出す。
さっさとこの場を去りたかった。もうこれ以上傷つきたくなかった。そんな深層意識の表れだったのかもしれない。
ただ走り出したわたしは工場の奥のほうへと入り込んでいった。
そして目的の場所を――見つけた。『仮眠室』と書かれたプレートが張ってある扉。
扉を開けてみると簡素なベッドが幾つかあった。休むには十分だ。
中に入り近くのベッドに腰掛け、手に持った真新しいランドセルを見る。
わたしが――6人もの命を奪ってしまった証の。
はやてちゃんの他に、誰か知らない間に二人も命を奪ってしまった。
――わたしは、本当に何をやってるんだろう。
そして目的の場所を――見つけた。『仮眠室』と書かれたプレートが張ってある扉。
扉を開けてみると簡素なベッドが幾つかあった。休むには十分だ。
中に入り近くのベッドに腰掛け、手に持った真新しいランドセルを見る。
わたしが――6人もの命を奪ってしまった証の。
はやてちゃんの他に、誰か知らない間に二人も命を奪ってしまった。
――わたしは、本当に何をやってるんだろう。
もう幾度繰り返したか分からない自責の念を抱きながらランドセルを開いた。
せめてこれからの為に何か役に立つアイテムは無いかと、少しでもそう思いながら。
手に掴んだのは一つの瓶。脇には注意書きがついていた。
「これは……」
せめてこれからの為に何か役に立つアイテムは無いかと、少しでもそう思いながら。
手に掴んだのは一つの瓶。脇には注意書きがついていた。
「これは……」
――奇妙な蜂が飛び立つと共に、突然高町なのはが走り出してしまった。
物陰から見ていた私は意表を付かれてしまい、急いで追いかける。
何やら一悶着あったようだが、どうやらご褒美としてランドセルを受け取っていたようだ。
ご褒美で傷を治さなかったのは私にとっても幸運だ。魔力が回復したとしたら操るときに都合が悪い。
まぁその支給品は私の操り人形にした時にでも有効活用させてもらおう、と思いながら白猫の姿で後を追う。
物陰から見ていた私は意表を付かれてしまい、急いで追いかける。
何やら一悶着あったようだが、どうやらご褒美としてランドセルを受け取っていたようだ。
ご褒美で傷を治さなかったのは私にとっても幸運だ。魔力が回復したとしたら操るときに都合が悪い。
まぁその支給品は私の操り人形にした時にでも有効活用させてもらおう、と思いながら白猫の姿で後を追う。
もう体力も枯れ果てているはずなのに、意外と相手の足は速く、少し離されてしまった。
見失いそうになりながらも後を追って辿り着いたのはとある部屋。扉には『仮眠室』と書かれている。
中をこっそり覗いてみると……いた。高町なのはがベッドの上で佇んでいる。
どうやら支給品を確認していたようだ。既に終わったみたいではあるが……
見失いそうになりながらも後を追って辿り着いたのはとある部屋。扉には『仮眠室』と書かれている。
中をこっそり覗いてみると……いた。高町なのはがベッドの上で佇んでいる。
どうやら支給品を確認していたようだ。既に終わったみたいではあるが……
(……!! 横になるみたいね、これは機会が巡ってきたわ)
そのまま中に入り他のベッドの陰からこっそり見ていると、彼女はランドセルをベッドの横に置き、今まで座っていたベッドを整え始めた。
どうやら高町なのははこれから休息の体制に入るみたいだ。
これは絶好のチャンス、眠りに付きさえすれば後は夢魔である私の世界に誘える。
でもすぐ行ったら気が付かれてしまう、今はまだ少し様子を見なければ……
そう考えながら、じっと物陰で待つ事にする。
どうやら高町なのははこれから休息の体制に入るみたいだ。
これは絶好のチャンス、眠りに付きさえすれば後は夢魔である私の世界に誘える。
でもすぐ行ったら気が付かれてしまう、今はまだ少し様子を見なければ……
そう考えながら、じっと物陰で待つ事にする。
高町なのはが横になって半刻程度経ち、私は行動に移すことにした。
今まで隠れていた物陰から彼女の眠るベッドへ、猫の姿のまま彼女に近づく。
万が一起きられては困る。ならばより物音の出ない姿のほうがいい。この姿でも力の行使は出来るのだし。
今まで隠れていた物陰から彼女の眠るベッドへ、猫の姿のまま彼女に近づく。
万が一起きられては困る。ならばより物音の出ない姿のほうがいい。この姿でも力の行使は出来るのだし。
近くから見るとちゃんと寝息を立てている。寝息と共に規則正しくシーツが上下している。
これなら十分夢に干渉出来る事だろう。深く眠っているし、あれだけ疲労しているのなら万が一も起きるまい。
十分眠っている事を確認し、ベッドの横に。彼女との間、僅か数十センチ。
これなら十分夢に干渉出来る事だろう。深く眠っているし、あれだけ疲労しているのなら万が一も起きるまい。
十分眠っている事を確認し、ベッドの横に。彼女との間、僅か数十センチ。
夢に干渉し、彼女を"調教"する――あの男、イシドロと同じように。
次に彼女が起きるときは私の従順な僕に成り果てているに違いない。
次に彼女が起きるときは私の従順な僕に成り果てているに違いない。
(さぁ、私の"モノ"になりなさい――高町なのは!)
そして能力を行使しようとした刹那――私の体を突然襲った感覚。
確かに、確かに眠っていたはずの――高町なのはの左手が、私の首を掴んでいた。
「……何しようとしてたの? 白猫さん」
馬鹿な、確かに眠っていたはず。寝息すら立てていたというのに。
あんな疲労した状態で横になったら普通の子供なら起きていられないはず……
――まさか、あの状態で寝ている振りをするだけの気力があるなんて――
あんな疲労した状態で横になったら普通の子供なら起きていられないはず……
――まさか、あの状態で寝ている振りをするだけの気力があるなんて――
「その首輪」
言われて最初に着けられた首輪を思い出す。自分からは見えないが、確かに首に着けられている。
首輪があれば参加者だって分かりそうなものを――思えば警戒されているんだから既に気が付かれていたのか、
完全に失念していた――!!
首輪があれば参加者だって分かりそうなものを――思えば警戒されているんだから既に気が付かれていたのか、
完全に失念していた――!!
「貴方もこの殺し合いに参加してるんだ、ねぇ……寝ている筈のわたしに何をしようとしてたの?」
何てこと、本当ならさっさと夢に干渉して私の僕に――そう、今の疲労しきった高町なのはなら簡単に出来るはずなのに!
油断していたにも程があるわ。魔力は切れかけだし、体力的にも精神的にも絶対的優位だと私は自惚れていた――
不味い、これは不味いわ、何とかここから逃げなければ……今の状態じゃ勝てない!
油断していたにも程があるわ。魔力は切れかけだし、体力的にも精神的にも絶対的優位だと私は自惚れていた――
不味い、これは不味いわ、何とかここから逃げなければ……今の状態じゃ勝てない!
既に白レンの心は焦りと不安に満ちていた。
絶対的なはずの優位を一瞬にして崩され、自らの命は相手に握られている状態。
人は窮地に陥ったとき正常な判断が出来なくなることが稀にある。今の白レンは正にその状態に陥っている。
そして予想をことごとく外された得体の知れない相手にいつもの強気は陰を潜め、
最後の手段として人の姿に変化するといった事も頭から忘却してしまっている。
更に追い討ちを掛けるように、なのはの右手が白レンの顔の前に差し掛かる。
絶対的なはずの優位を一瞬にして崩され、自らの命は相手に握られている状態。
人は窮地に陥ったとき正常な判断が出来なくなることが稀にある。今の白レンは正にその状態に陥っている。
そして予想をことごとく外された得体の知れない相手にいつもの強気は陰を潜め、
最後の手段として人の姿に変化するといった事も頭から忘却してしまっている。
更に追い討ちを掛けるように、なのはの右手が白レンの顔の前に差し掛かる。
「ひっ……」
思わず声が出る。何をされるか分からない、何もする事も出来ない、
今の状況はまさに猫に袋小路に追い詰められた鼠――!
今の状況はまさに猫に袋小路に追い詰められた鼠――!
「あなたが何をしようとしたかは分からないけど、寝ているわたしに行うことなんてまず良いことじゃないよね」
なのはの右手に魔力が収束されていく。
魔力は既に枯れているはず、なのに何故魔力がまだあるのか、あんな短時間で回復出来るはずが無いのに……!
白レンがそう思っている間にも魔力の収束は進んでいく。
魔力は既に枯れているはず、なのに何故魔力がまだあるのか、あんな短時間で回復出来るはずが無いのに……!
白レンがそう思っている間にも魔力の収束は進んでいく。
「――ごめんね」
そうなのはが呟くと、その手の平から魔法が撃ち出された。
ディバインシューター。なのはがデバイス無しでも扱える数少ない魔法。
なのはの魔力が既に切れかけているし、更にディンバインシューター自体は威力が低い射撃魔法ではある。が、
解き放たれたそれは、白レンの顔に当たると共に小規模の爆発を引き起こす。
至近距離で撃たれた砲撃は、普段より抵抗力が劣る猫状態の白レンの頭を爆発と共に吹き飛ばし、
頭を吹き飛ばされた白い猫の体は、わずかに痙攣を起こしたかと思うとそのまま――動かなくなった。
ディバインシューター。なのはがデバイス無しでも扱える数少ない魔法。
なのはの魔力が既に切れかけているし、更にディンバインシューター自体は威力が低い射撃魔法ではある。が、
解き放たれたそれは、白レンの顔に当たると共に小規模の爆発を引き起こす。
至近距離で撃たれた砲撃は、普段より抵抗力が劣る猫状態の白レンの頭を爆発と共に吹き飛ばし、
頭を吹き飛ばされた白い猫の体は、わずかに痙攣を起こしたかと思うとそのまま――動かなくなった。
なのはは白レンが参加者であると気が付いておきながらあえて泳がした訳。
それは至って単純な理由だった。
それは至って単純な理由だった。
参加者であるならば、何らかのアクションを起こしてくるはず
そのアクションを起こすまであえて泳がしておいただけだ。
殺し合いに乗っているなら積極的に戦闘を仕掛けてくるか、または無防備な所を狙って付け込む筈。
協力関係を望むならば、何かしら友好的な行動を起こすだろう。
なのはが白レンを"黒"だと判断したのはただ一つ。
『白レンがずっと自分の後を、しかも時たま隠れるように追ってきていた』
ただそれだけの事。友好的な態度を起こすなら、そんな何かを探るような感じで付いてはこない、と。
そして確かめる為にベッドの所でなにか仕掛けてくるのを、寝てる振りをしてじっと待っていたのだ。
まるで白レンを試すかのように。
そのアクションを起こすまであえて泳がしておいただけだ。
殺し合いに乗っているなら積極的に戦闘を仕掛けてくるか、または無防備な所を狙って付け込む筈。
協力関係を望むならば、何かしら友好的な行動を起こすだろう。
なのはが白レンを"黒"だと判断したのはただ一つ。
『白レンがずっと自分の後を、しかも時たま隠れるように追ってきていた』
ただそれだけの事。友好的な態度を起こすなら、そんな何かを探るような感じで付いてはこない、と。
そして確かめる為にベッドの所でなにか仕掛けてくるのを、寝てる振りをしてじっと待っていたのだ。
まるで白レンを試すかのように。
そして万が一の場合に、ご褒美でもらったあるアイテムを少し使っておいた。
エルフの一族に伝わる秘薬、その名も『エルフの飲み薬』。
道具の説明には一瓶飲み干せば魔力を大きく回復出来ると記されていた。
もし白レンが敵対的行動を起こしたときに備え、
中身を少々飲み魔力を僅かながら回復させていたのだ。
エルフの一族に伝わる秘薬、その名も『エルフの飲み薬』。
道具の説明には一瓶飲み干せば魔力を大きく回復出来ると記されていた。
もし白レンが敵対的行動を起こしたときに備え、
中身を少々飲み魔力を僅かながら回復させていたのだ。
しかしこれは異常なまでの理性とそれに潜む狂気を孕んでいる"今"の高町なのはだからこそ行える芸当であるだろう。
普通の人間は自分の命を賭けてまで相手を試さない。
冷静すぎる判断、半ば命を捨てている判断。ハイリスク・ローリターン。手としては悪手にも程があるだろう。
だが高町なのははその賭けに勝ったのだ。――得たものは一時の安全以外は無いに等しいが。
普通の人間は自分の命を賭けてまで相手を試さない。
冷静すぎる判断、半ば命を捨てている判断。ハイリスク・ローリターン。手としては悪手にも程があるだろう。
だが高町なのははその賭けに勝ったのだ。――得たものは一時の安全以外は無いに等しいが。
「……………………」
また殺してしまった。半ば相手から仕掛けてきたとはいえあまり気分のいいものでは無い。
わたしの手はどこまで血に染まれば気が済むのだろうか。
わたしはどこまで…………
最早、わたし自身にすらわたしがどうなのか分からない。
……落ち着くために少し横になって休もう。
わたしの手はどこまで血に染まれば気が済むのだろうか。
わたしはどこまで…………
最早、わたし自身にすらわたしがどうなのか分からない。
……落ち着くために少し横になって休もう。
白猫の血にまみれたベットから別のベッドに移動する。
そしてさっきランドセルを探って見つけた――もう一つのものを取り出す。
紅と黒の丸薬が数十粒入った瓶。 説明には『楽しい夢が見れる薬です』とのみ記されている。
そしてさっきランドセルを探って見つけた――もう一つのものを取り出す。
紅と黒の丸薬が数十粒入った瓶。 説明には『楽しい夢が見れる薬です』とのみ記されている。
……夢は叶わないから夢なのかもしれない。
もうこれが夢なんかじゃないなんて事は分かってる。
もうこれが夢なんかじゃないなんて事は分かってる。
――けれど、
――願うなら、この一連の事が夢であってほしい。
起きたら何事も無くて、また何時ものようにフェイトちゃんやはやてちゃん、アリサちゃんとすずかちゃん
それにユーノ君やクロノ君達と過ごす日常であってほしいと。
そして皆で笑って、騒いで、たまには喧嘩したりして、楽しく……過ごしたいな。
もう叶わない願いだけど……
起きたら何事も無くて、また何時ものようにフェイトちゃんやはやてちゃん、アリサちゃんとすずかちゃん
それにユーノ君やクロノ君達と過ごす日常であってほしいと。
そして皆で笑って、騒いで、たまには喧嘩したりして、楽しく……過ごしたいな。
もう叶わない願いだけど……
だから……せめて夢の中だけは。
そう思いながら数粒掴んで、そのまま飲み干す。
そして薬を飲んだことと、当面の障害を排除したことで気分が少し楽になったのか、
ついに限界が来た体と精神につられ、そのままベッドの中へと倒れこむ。
疲れた体はすぐさま寝息を立て始め、高町なのはは何時さめるかも分からない夢の世界へと旅立っていった。
ついに限界が来た体と精神につられ、そのままベッドの中へと倒れこむ。
疲れた体はすぐさま寝息を立て始め、高町なのはは何時さめるかも分からない夢の世界へと旅立っていった。
高町なのはは知らない。
確かに彼女が飲んだ薬は夢を見せるものではあるものではあるが、普通は同じ色の薬を飲むものであると言う事を。
紅色の薬はその名の通り楽しい夢を見せるものであり、そして黒色の薬も夢を楽しむものである。これに関して偽りは無い。
・ ・ ・ ・ ・ ・
ただし黒色の薬はスリリングな夢、悪夢を楽しむものであるという事、それだけが紅と黒の違いである。
・ ・ ・ ・ ・ ・
ただし黒色の薬はスリリングな夢、悪夢を楽しむものであるという事、それだけが紅と黒の違いである。
両方効果が違うそれを混ぜて飲んだ場合の効果は、試してみなければ分からない。
さて、彼女は果たしてどんな夢を見るのだろうか。
楽しい夢だろうか、悪夢だろうか。それとも――――
楽しい夢だろうか、悪夢だろうか。それとも――――
【白レン@MELTY BLOOD 死亡】
【A-3/工場/1日目/夜】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力枯渇寸前、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、
孤独感、全てに対する絶望、理性と狂気? 睡眠中
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら
[道具]: 胡蝶夢丸セット@東方Project エルフの飲み薬×1(1/4程消費)@ドラゴンクエストⅤ、不明追加支給品×1(本人確認済)ご褒美ランドセル
[思考]:――――
第一行動方針:睡眠と休息を取る
基本行動方針:ジェダを倒して生き残りで脱出?
[状態]:魔力枯渇寸前、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、
孤独感、全てに対する絶望、理性と狂気? 睡眠中
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら
[道具]: 胡蝶夢丸セット@東方Project エルフの飲み薬×1(1/4程消費)@ドラゴンクエストⅤ、不明追加支給品×1(本人確認済)ご褒美ランドセル
[思考]:――――
第一行動方針:睡眠と休息を取る
基本行動方針:ジェダを倒して生き残りで脱出?
備考:胡蝶夢丸を服用しました。
夢の内容は次以降の書き手さんにお任せします
白レンの支給品(エーテライト×3@MELTY BLOOD 、支給品一式、ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3) )は仮眠室の床に放置してあります
夢の内容は次以降の書き手さんにお任せします
白レンの支給品(エーテライト×3@MELTY BLOOD 、支給品一式、ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3) )は仮眠室の床に放置してあります
【エルフの飲み薬@ドラゴンクエストⅤ】
その名の通りエルフの秘薬。
一本飲み干せば魔力を全回復させる事が出来る。
その名の通りエルフの秘薬。
一本飲み干せば魔力を全回復させる事が出来る。
【胡蝶夢丸セット@東方Project】
永遠亭の薬師、八意永琳謹製の薬、胡蝶夢丸とそのナイトメアタイプが詰め込まれた瓶
紅色の丸薬は数粒呑めば楽しい夢を見ることが出来る
黒色の丸薬(胡蝶夢丸ナイトメアタイプ)は数粒服用すればスリリングな夢や純粋な悪夢を見ることが出来る。
それぞれ単体を複数服用するものなのだが、この瓶では雑多に混ぜられている。
複数服用する場合の効果は保証されていない上に、
効果説明もただただ『楽しい夢が見れる』としか書いていないので結構危険だったりする。
永遠亭の薬師、八意永琳謹製の薬、胡蝶夢丸とそのナイトメアタイプが詰め込まれた瓶
紅色の丸薬は数粒呑めば楽しい夢を見ることが出来る
黒色の丸薬(胡蝶夢丸ナイトメアタイプ)は数粒服用すればスリリングな夢や純粋な悪夢を見ることが出来る。
それぞれ単体を複数服用するものなのだが、この瓶では雑多に混ぜられている。
複数服用する場合の効果は保証されていない上に、
効果説明もただただ『楽しい夢が見れる』としか書いていないので結構危険だったりする。
≪177:電話越しの希望、放送越しの絶望 | 時系列順に読む | 179:ファンブル≫ |
≪177:電話越しの希望、放送越しの絶望 | 投下順に読む | 179:ファンブル≫ |
≪171:大した事じゃない(前編) ≪175:第一回定時放送 |
白レンの登場SSを読む | GAME OVER |
なのはの登場SSを読む | 193:カモフラージュ≫ |