大切な人 ◆c92qFeyVpE
―――パチリ、と。
歩を進めるシュテルの左手からスパークが生じる。
「……まだ、完全には馴染みませんか」
レヴィの魔力がシュテルの躯体から溢れようとしているのだ。
元より、シュテル達の体は他者の魔力を丸々一人分取り込むことなど想定されてはいない。
事実、システムU-Dとの戦いの最中にシュテルとレヴィの魔力を取り込むこととなったディアーチェは、
その魔力量に躯体の強度が持たず、その身が崩壊しかねないところであった。
(今の状態へ習熟する時間も、もう少し必要となりますか)
無駄な時間を扱えるような状態ではないが、レヴィの力はそれ以上に有用だ。
レヴィは力任せに撃ちこむ事が殆どであったが、雷撃の持つ応用力はとても高い。
シュテルの目的はあくまでもディアーチェの敵となる者の殲滅。
例えば、高町なのはのようなディアーチェ側から危害を加えさえしなければ、
間違いなく安全だという相手ならば――そしてそれを確認する術があれば――無理に殺す必要はないと言えよう。
そういった相手と交戦になった場合には、元より持っていた炎熱の魔法よりも、雷による麻痺を狙った方が有効だ。
(王の敵とならない者……ですか。やはり、矛盾していますね。私は)
先程相まみえたあの少年。
彼は間違いなくディアーチェの味方となるだろう、そうと確信していなければ、すぐ側でディアーチェ自身を消耗させる真似などしない。
それでも、次に出会うこととなれば必ずあの少年を殺すと、そうシュテルは決意を固めている。
ポーキーを打倒する策がないからか? 何の力も持たない子供が側にいてはディアーチェの足手まといとなるからか?
(いいえ、きっと、私は―――)
―――パチリ。
二度目の放電現象。
自らの左手に視線を向け、苦笑混じりの表情を浮かべる。
「心配いりませんよ、レヴィ。私のやるべきことに、迷いはありません」
今やるべきことは、ただ一つ。
敵の焼滅、その役目を貫くのみ。
【B-2/早朝】
【星光の殲滅者@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:健康、レヴィの魔力を引き継ぎ
[装備]:ルシフェリオン@魔法少女リリカルなのはシリーズ、決闘盤(遊馬)&D・ゲイザー@遊戯王ZEAL、デッキ(遊馬)@遊戯王ZEAL
[道具]:基本支給品一式×4、ランダム支給品3~7
[思考・行動]
基本方針:ディアーチェを守るため、殺し合いに乗る
1:参加者は見つけ次第、燃滅
2:ディアーチェは……
3:少年(光彦)は次会えば絶対に殺す。
※A’s PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-のSEQUENCE10、消滅後からの参戦です
※レヴィの魔力を引き継ぎました
詳細は不明ですが、雷の魔力変換を行えるようになったかもしれません
「……サファイア、あの子」
『はい、美遊様。この顔、高町なのはで間違いないかと』
シュテルとは大分離れた岩陰から、美遊はサファイアを介してその姿を捉えていた。
髪型や衣装が大きく変わっているため、最初は気づくことができなかったが、
サファイアから「この顔に覚えがある」と言われようやく思い出す。
かつてイリヤと共に異空間で出会い、共に戦った少女。
圧倒的な高出力の魔法と、その純真さにイリヤと共に驚きを隠せなかった。
(あの子も、ここに……)
名簿に名前はなかったはず、だとすればポーキーの言っていた『特別ゲスト』とやらなのかもしれない。
『ですが美遊様、わざわざ殺し合いに否定的になるであろう人間を――』
「良かった……」
『美遊様?』
『高町なのは』と共にいた時間は極僅かだ、彼女の人間性の全てを見れたわけではない。
ならばポーキーが特別扱いしていることも考慮すると、『高町なのは』が殺し合いに乗っている可能性もあるのではないか。
そう考えたサファイアだったが、美遊の様子に首を(杖の先端を)傾げる。
「あの子なら、きっとイリヤの力になってくれる……」
『……そうですね。必ずイリヤ様を助けてくださるはずです』
美遊の口元にまで持って来られていなければ、聞き逃していたであろう程に小さな声での呟きに、サファイアは口を閉ざす。
平時の美遊であれば、サファイアと同じように考え、『高町なのは』を無条件に信頼することは無かったはずだ。
だが、今の彼女はそこまでの余裕が無い。
むしろそういった考えを自ら排除していると言ってもいいだろう。
大罪を犯し、頼れる相手もいない過酷な状況。
彼女の心は、無意識の内に縋ることのできるモノを求めていた。
その事を察したサファイアも、自らの内に湧いた疑惑を伏せて美遊の意に賛同する。
ここで『高町なのは』を避けることがプラスになるかは分からない。
せめてどのような方針で動いているかだけでも探りたいところだ。
だが、それで万が一にでも彼女が殺し合いに積極的だと知ってしまえば。
美遊はまた人を殺めることとなる、既に崩れつつある心を無理矢理に封じ込め、その手を血に染めることに。
(美遊様に大罪を負わせた私が、願う資格などありはしないのは承知の上です。
ですが、どうかお願いします、『高町なのは』。
どうかイリヤ様を……そして、美遊様をお救いください―――)
彼女達がシュテルを高町なのはだと勘違いしていたのは、誰よりも美遊本人にとって幸運なことであった。
サファイアが危惧していた通り、実際に出会っていれば否が応でも解らされていたはずだから。
彼女が人々を守る魔法少女ではなく、王の敵を殲滅する破壊者(ディストラクター)であることに。
【B-3 /早朝】
【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(小)、全身に軽い切り傷(回復中)、精神的疲労(大)
[装備]:マジカルサファイア@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ、燦然と輝く王剣(クラレント)@Fate/Apocrypha
[道具]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本方針:イリヤを生きて帰す。
1:首輪の解除が終わるまで、ポーキーが殺し合いの中断(首輪の爆破)をしないよう殺し合いを進め上手く立ち回る。
2:イリヤに害を為す危険人物や弱者の排除。有用な参加者は殺さずポーキーに気付かれぬよう補助。
3:今は休息を取り心を落ち着かせる
※参戦時期は少なくともイリヤ、クロエの和解以降。
※アベル、愛莉、ジャイアン、永沢達からの情報を得ました
※星光の殲滅者を高町なのはだと思っています。
最終更新:2014年03月27日 22:58