白き盾のフェニーチェ  ◆HoYWWMFJdI


「もう……」
「あはは、ごめんごめん。もうしないから」
「約束だよ……」

コワモテかかしで驚かされて逃げたマサオを捕まえ、ようやく宥めたビアンカ。
特に明確な目的地もなく、誰かに会えるだろうとD-2エリアへと入ってきた。

「でも大分遠回りしちゃったわね。街の一番南まで行っちゃったし」
「うぅ、それって僕のせいだって言いたいの?」
「そんなこと言ってないでしょ。さ、もう少し歩きましょ」
(アベルと同じくらいの子よね。
 もうちょっとしっかりして欲しいけど。
 ……アベルが生意気にもしっかりしすぎてたのかしら)

右手でマサオを引いて歩き出すビアンカ。
レヌール城へお化け退治に行った時のようだと、アベルを思い出しながら歩く。

「……アベルも、ちゃんと歩いているかしらね」
空を見上げて。

「アベルって、さっき言ってた友達の?」
「そう。6歳のくせにめげない頑張り屋で。優しそうな顔して、意外と負けず嫌いなのよ」
「僕のひとつ上なんだ。そっか、早く会えるといいね」
「うん、ありがとう……きっと無事よね」
すると、ビアンカの左手の蒼と翠のリングが光る。

「ん……?」
「わわっ!な、なに!?」
不思議そうに指輪を眺めるビアンカと、吃驚してうろたえるマサオ。

「もしかして……私のこと慰めてくれてるの?」
ぴかぴかと光る指輪。

「ふふ、あなた、私の言葉が分かるのね。ありがとう。
 えっと……クラールヴィント、だったわよね。これからよろしくね」
「ビ、ビアンカちゃん。な、なんなのその指輪……」
「クラールヴィントって言う名前らしいの。
 魔力が籠ってるみたいだけど、妖精の持ち物だったりするのかしら?」
「ま、まりょく?ようせい?な、何を言ってるの……?」
「あら。知らないってことは、もしかしてマサオ君は田舎から連れてこられたの?」
「田舎って……カスカベは結構都会だと思うけど……サトーココノカドーだってあるし……」
「ふーん?聞いたことない町ね。
 私の家は宿屋だから、旅人さんから色々な情報を聞けるのよ。それにほら」

ビアンカが指先から小さな炎を出す。

「これが魔法よ」


「ひっ!?な、なな、なにそれ!?マジック!?」
「うん、そうとも言うわね。素質がない人は、大人になっても全く使えないみたいだけど」
「そ、そうなんだ……」
「クラールヴィントが魔法の道具なら、いろいろ助けてくれるかもしれないわね。
 ……そういえば、マサオくんの道具はカカシ以外に何があったかしら」
「ビアンカちゃんが僕の道具見てたのに、途中で驚かしたりするからじゃないか……えっとね」

ごそごそとランドセルを探して。

「……なんだろう?鉄の筒?
 メモが入ってるけど……漢字だ。風間くんなら読めそうなのに」
「貸して、私、宿帳整理のお手伝いとかしてるから、字の読み書きできるわよ」

バッとメモをひったくり。

「『空気砲』ですって。腕に嵌めて『ドカン』って合言葉を言うと、圧縮した空気が発射されます、だって。
 アベルのバギみたいなものかしら?はい、ちょっとやってみて」
「え、ええ~!?」
「ほら早く。あの壁に向かってでいいわ」

ビアンカに促され、しぶしぶ鉄の筒を右腕に嵌めるマサオ。
へっぴり腰で、コンクリートの壁に向かって右腕を向ける。

「ど……ど……」
「ドカン!」
「わあ!」

びっくりして飛びあがるマサオ。

「もう!脅かさないって約束したのに!」
「あはは、ごめんごめん。
 でもそのまま撃ったら危ないわ。空気の呪文が出る道具なら、反動が後ろに来るはずよ。
 もっとこう、腰を落として構えて、右腕を左腕で支えて」
「え?あ、う、うん。こう?」
「そうそう、そんな感じ」


ビアンカに触って教えられて、ちょっとドギマギとする。
今度はしっかりと腰を落とし、右腕に左腕を添えて構え直す。

「さ、今度こそどうぞ。後ろで支えてあげるから」
「う、うん。ありがとう。じゃ……ど、『ドカン』!」

マサオの右腕から圧縮された空気が前に飛びだし、数メートル先の壁を打ち砕く。
反動で尻もちをつきそうなところを、ビアンカが後ろから支える。

「ひぃぃぃぃ、なにこれ」
「すごいわね、それ……」

空気砲の威力に茫然とする二人。

「うわーん!こ、こんな怖い道具使えないよ!」
腕から空気砲を外して、逃げだそうとするマサオをむんずと掴まえ。

「だめよ。あのポーキーって人にぎゃふんと言わせないと。
 その道具、ちゃんと使えるようにした方がいいわ」
「ぎゃふんなんて言わないんじゃないかな……」
「言わせるの!で、練習するの?しないの?」
「は、はい!します!!」
怖い顔で凄まれて、条件反射的に承諾してしまう。

(うぅ、ネネちゃんといい、ビアンカちゃんといい、なんで女の子ってこんなに怖いんだろう……)

「はい、じゃあしっかり構えて!今度は私が支えなくても撃てるようにね」
「は、はい!」

何度も空気砲の練習をする二人。
夜の時が流れていく。

■■■


「―――ぶっ飛ばすぜ!Baby!!『ドカン』!!」

咥えた葉っぱをプッと吹き。
右腕を伸ばし左腕で支え、腰を落として空気を解き放つ。
その空気の塊によって、壁の上に置いた空き缶が拉げ、吹き飛ばされる。

「フッ、俺の腕ならザッとこんなモンだぜ!」

空気砲の銃口をフーっと吹き。
後頭部をパコーンと叩かれると、マサオは我に返る。

「いたー!?……あ、ビアンカちゃん」
「調子に乗らないの。でもいい感じね」
「そ、そう?良かった~」
「お疲れ様。その辺りの家で休憩しましょ。
 水分とって、トイレも済ませておかないと」
「その辺りって、他人の……あっ」

止める間もなく、適当な民家のドアをガチャっと開け、
ずかずかと入っていくおさげの少女。

「大丈夫、誰もいないわよー!使わせてもらいましょ」
「も、もうー!」

きょろきょろと辺りを窺って、こそこそと中に入っていく。

■■■


「ふう、落ち着くわね……」
「お、落ち着かないよ。家の人が帰ってきたらどうするの」
「帰って来るわけないじゃない。むしろ帰ってきて欲しいくらいだわ」

ビアンカは家にあったお煎餅をバリバリと食べ。
マサオもそれに倣って食べている時に。

ズズーンと、東の方向から轟音が轟く。

「わぁぁぁぁぁぁ!!??」
「な、なに?」

窓を開け空を確認するビアンカ。
マサオは机の下に隠れている。

「雨……は降ってない、わよね……。
 雷が落ちたような音だったけど……」
(私が使える、メラやギラのような規模の音じゃない……)
ごくり、と思わず唾を飲み込む。

マサオが机の下からのそのそ出てきて、恐る恐る外を覗く。

「に、逃げようよ、ビアンカちゃん……」
「うん……悔しいけど、逃げましょう」
「えっ!?」

当然見に行こう、と言い出すと思っていたマサオは吃驚する。
ビアンカを見ると、真面目な顔をして、悔しそうに拳を握っている。

(これだけ勝気なビアンカちゃんが、こんな顔するなんて)
ぶるぶると震えが来た。

「忘れ物はないわね?行きましょう」
「う、うん」

マサオの手を引いて、音のした逆方向へと走り出す。

■■■


―――栗色の髪の少女を背負う、白き髪の少女。

響は、『一度通った道』を使い、正確に西へと引き返している。
船にとって、一度切り開いた航路というのはとても重要である。
地形の安全性などが保証され、不慮の事故が発生する可能性を下げることができる。

(目的地は『鎮守府』。真逆だけれど。
 あの轟音を聞いて、向かってくる危険人物と鉢合わせする可能性が高い。
 今通ってきた道なら、西の先が海である以上、
 危険人物に出会う可能性は少し下がるし、土地勘も少しだけある。
 ドルベを失い、桜も消耗した今、連戦して生き残ることができる確率は低い)

慎重な響は賭けを嫌い、すぐに鎮守府に向かうのではなく一度西へ戻って、
アメストリス軍中央司令部付近を迂回する方針を取ったのだ。

「的確に指示を出してくれる司令官も。
 私に道を示してくれたドルベも。

 ―――もう、ここにはいない。

 桜に、その重荷を背負わせるわけにもいかない。
 ……私が、自分自身で考えないといけないんだ」

今までは兵器だと割り切り、自分自身で道を作ることはしてこなかった。
しかしもう、他人にすべてを預けることが、できないのだ。

ずり落ちそうになった桜を抱え直す。

(ドルベの『光天使』、桜の『盾』などのカード。
 戦力として、どう見ても私が一番劣っていた。
 やはり、12.7cm連装砲や10cm連装高角砲などが欲しい。せめて、機銃でもいい。
 こんなおもちゃでは、さっきの仮面のような異能力の者とは渡り合えない)

基本艤装だけは荷物に入っている。
だがこれのみでは海を進むことができるだけで、武器を取り付けなければ戦力は変わらない。

鎮守府ならば、もしも響の知っている構造と同じであるならば、響用のドックに専用装備がある可能性がある。
問題は、どうやって鎮守府に辿りつくか、だ。

「海……海、か」

桜一人だけならば、抱えていくことで海上を移動することができる。
片手で端末を取り出し、地図を確認する。

―――D-2北西の湾岸から海に出て、沿岸を進んでいけば、遠回りでも鎮守府へ辿りつける。
A-5の海峡が狭そうだが、あえて待ち伏せされていない限りは、問題なく突破できるだろう。

「よし、桜。まずは湾岸に行こう」

気を失っている僚友に一声かけ、歩き始める。

■■■


街の中で一番遠くに逃げるため、海岸沿いへと向かっているビアンカとマサオ。

「で、でもそこまで行ってからどうするの?」
「考えてないわ」
「えぇ~!?」

不安そうな表情になるおにぎり少年。

仕方ないでしょ。でもそうね……信頼できる相手とパーティーを組みたいわね」
「パーティー?お祝いをするの?」
「違うわ!一緒に戦う仲間、力を合わせる仲間のことよ。
 レヌール城のおばけの親玉も、私一人ではきっと勝てなかったけど、
 アベルと連携したことで倒すことができたの」
「そうなんだ。僕達がバスの運転手をみんなで交代して、オトナ帝国に乗り込んだようなものかな……?」

話していると、左斜め前方に海岸線が見えてくる。

「わー、海が見えてきたね。この後はどうしよう?」
「そうね、この後は……っ!誰か来る!」
「え?ええ?」
「下がって、マサオ君!」

右手側、東の方向からの人影を発見する。
轟音がした方向からだ。
刃紋のついたサーベルを抜き、マサオを背後に隠す。

「……こちらに敵意はないよ。見ての通り、倒れている人間もいるのでね」
「おばけの親分も、そうやって相手を油断させたものよ」

油断なく白い髪の少女に構えるビアンカ。

「すまないが、通してくれないか。……見たところ、君達からは悪意を感じない。
 こちらがやる気なら、そもそも彼女を担いだまま来ないよ」
「む」
「ビアンカちゃん、この人達、悪い人じゃなさそうだよ……」
「……そうね。……あの魔物が持っていたような悪意は、感じないわね」

マサオに頷いて、サーベルを鞘にパチン、といれる。

「ありがとう、勇気ある少女。私は響。こっちは桜だ」
「……ビアンカよ」
「佐藤マサオ、です……」

■■■


湾岸のレストハウスのベッドで桜を休ませ、
金髪おさげの少女と、いがぐり頭の少年に、東の轟音の正体について話す。

「……私達のリーダーも、その仮面の男に殺されてしまった」
「そう……許せないわね」
「ひぃぃぃぃぃ!!」

泣きそうになるマサオと、拳を握り義憤に駆られるビアンカ。

「私達も協力するわ!私一人じゃ勝てないかもしれないけど、みんなで力を合わせれば」
「え、えええええ!?」
「一緒に艦隊を組むということか……」

目を瞑り、考える。
桜よりも更に幼い二人、明らかに足手纏いだ。
連れていけば危険が増す可能性がある。

(だが、ドルベなら、どうしただろう……)
きっと、ひとしきり悩んだ後で、押し切られる形で連れて行くことにしただろう。
少しだけ、響が笑ったような表情になる。

「……分かった。一緒に協力してくれるかい?」
「ええ!もちろんよ!」
「ええ!?は、はい……」

どん、と胸を叩くビアンカと、不安そうに頷くマサオ。

「君達の道具は何が支給されただろうか?」
「私はこの剣と、クラールヴィントっていう魔法の指輪。
 あ、それとは別にメラ、マヌーサ、ルカナン、ギラの呪文は使えるわよ」
「呪文、か……その方面は疎くてね。
 桜がそっちは得意だから、起きてきたら一緒に教えてくれるかい?」
「ええ、いいわよ。あとは……あ!この本。よく意味が分からないんだけど、見てくれる?」
「なんだい……?」
ビアンカから渡された薄い本をめくり、表情を変えないままパタンと閉じる。

「こういうのは、あまり見ない方がいい。後、桜には見せなくていいから」
「そう……?なんなのかしらね?」
たしなめる響の耳が少し赤くなっていることにビアンカは気がつかず。
響は視線をマサオに向ける。

「君のは?」
「は、はい!えっと、この人を驚かせるかかしと、空気砲っていう武器です」
「威力見せてあげたら?」
「うーん、そうだね」
おどおどしていた少年が、急に自信を取り戻したかのように背筋を伸ばす。

「オラオラ!目ん玉かっぽじってよく見やがれ!!これが俺の空気砲だああ!!!」

レストハウスの扉を開け、舗装された道に向かって空気砲を放つと、
空気の塊が地面に炸裂し、コンクリートが抉られたように穴を開ける。

「ま、ざっとこんなもんだぜ!!……いたー!?な、なにするのビアンカちゃん」
「……とまあ、こんな感じよ」
「そうか……ありがとう」

思ったより戦力になりそうであるが、これらを有機的に組み合わせないといけない。
司令官なら的確に配置するのだろうけど、それが自分にできるだろうか。


「ん……ここは……」
「気がついたか、桜」

二人の道具についての説明を聞き終わった頃。
桜が目を開き、ベッドから身を起こす。

「そっか……ここまで運んできてくれたんだ。……ありがとう、響ちゃん」
花のような笑顔が似合う少女が、暗い顔をしている。
ぽむ、と頭に手を置く。

「ドルベは、きっと桜に感謝しているよ。
 あの誇らしげに説明していた光天使が、桜のおかげで最期まで力を発揮できたんだ。
 あれはきっと、白き盾の誇りの象徴なんだろう」
「うん……」
「それにしても。仲間の死というのは、何度経験しても、慣れないな……」

涙を流し始める桜を、ぽむぽむと背中を叩いて抱き締める。
事情を聞いていたビアンカとマサオは、心配そうにその様子を見ている。


■■■


しばらく泣いて落ちついた後、ビアンカとマサオに自己紹介を済ませた桜。
二人には、参加者が『時空の垣根を超えて集められている』という、ドルベの残した仮説を伝えていた。

「呪文、か……。あの仮面の人も、道具を使わずに雷の魔法を使ってたよね」

敬語が取れ、響へ親しい雰囲気を出し始めた桜。

「ああ、叫んだだけで手から効果を出していたな」
「あの仮面の人も、ビアンカちゃんの呪文と同じような感じかもしれないね」
「そう……あの音だけで判断すると、ギラの最上級の呪文を使えるのかもしれない」

―――今いるメンバーで、敵と戦う際の戦術を組み立てる響。

桜とビアンカを見て、二人の魔法とやらについて考える。
桜のカード魔法は強力だが、カードから発動させるためどうしてもワンテンポ遅く、必ず相手に先制を許してしまう。
ビアンカのメラやギラなら初動が早く、威力は低くても牽制にはなるだろう。
二人を組み合わせることで、上手く機能させることができるかもしれない。

あの少年については、幼すぎる。あの砲撃をたまにしてくれるだけで御の字くらいだろう。


「それで、これからどうするの?」

戦術を考えている響に、話を聞いてもちんぷんかんぷんだったマサオが問いかける。

「あ、ああ。海から、C-4『鎮守府』を目指そうと思う。
 そこで私の専用武装と、首輪解除に使える道具などが見つかるかもしれない。
 ……とりあえず、湾岸を見に行ってみようか」

レストハウスを出て、全員で港へと向かう。

(桜一人なら、背負って行くつもりだったんだが……)
流石に3人抱えるのは無理そうである。

「わー、たくさん船があるね」
「私、まだ船に乗ったことないのよね」

港にはヨットやクルージングボート、フィッシングボートなどがいくつか係留されている。

「ふむ……これに皆を乗せて、私が曳航していけばいいか」
「え……?響ちゃん、どういうこと?」

基本艤装を取り出し、背部に装着する響。
(暁や雷なら、久々の海ではしゃいだりするんだろうが……)

海の上に立ち、水飛沫を上げながら、スケートのように海上を進んでいく響。

「すごーい!」
「かっこいい~!」

きゃっきゃとはしゃぐビアンカとマサオ。
桜は首を傾げ。

「響ちゃーん!ちょっと戻ってきて!!」
「……なんだい?桜」
何か少し高揚しているように見える響。

「響ちゃん、船の運転はできないの?」
「は……?」
鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情を見せる響。

「私が……?」
「うん」
「船を……?」
「うん」
「……考えたこともなかったな……」


手頃な大きさの、10人乗り用クルージングボートを調べてみる。
燃料は満タン入っている。
小さいがブリッジがあり、子供4人なら十分、全員中に入れるだろう。
コックピットには舵代わりの車のようなハンドル、シフトレバーなどがあるだけの簡易操作仕様。
広めの海域に出れば、操舵を桜に任せ、自分が海上哨戒に当たることも可能そうだ。

放送まで残り2時間を切っている。
そこで進路上が禁止エリアとなった場合、そこから1時間で通行できなくなる。
放送次第だが、午前7時までには、鎮守府に到着する速さで航行しなければならない。

「な、なにあれ!!」

ブリッジの外に出ているマサオが南の空を指す。
外に出て指す方向を見ると、巨大な光の線が南の空を貫いている。

霧の艦隊と呼ばれる連中と戦ったことがある。
あれらが使っていた武装、レーザーのようにも見える。

「桜、ビアンカ、どうした?」
驚いた顔をして光を見る二人。

「なんて魔力……」
「あんな呪文、見たことないわ……」
「ひいいいいい!」
茫然としている二人と、デッキで蹲っているおにぎり少年。

「あれも魔法とやらなのかい?
 位置的に空中から撃ってるんだろうか……魔法で空も飛べるのかい?」
「うん……って前も説明したよ?響ちゃん」
「あ、ああ、すまない。あまり理解していなかったんだ。
 ……戦力の把握は、司令塔に任せておけばいい、と判断していたんだ」
「……そっか」
「ええ!?空飛べるの!?」
「ええ!!??」

食い気味に桜に詰め寄るビアンカと、純粋に驚いているマサオ。

「そうか……海上だけじゃなく、空中も警戒しないといけないな」

響が戦っている相手、深海棲艦も空中戦力は持っている。
つまり、いつもと同じように警戒すれば良い、ということだ。

「そろそろ出港する。みんなブリッジに入ってくれ」
「「「はーい」」」

操舵輪であるステアリングを握り、エンジンを始動させる。


『―――響、みんなを頼む』


そんな、ドルベの声が聴こえたような気がした。


「了解。白き鋼―――いや。

 白き盾、響。出撃する」


――― 一隻の船が、海上へと出撃していく。


【D-1/湾岸(海上)/一日目 早朝】

【響@艦隊これくしょん】
[状態]:疲労(小)、白き盾の名を継ぐ
[装備]:基本艤装@艦隊これくしょん、水平二連式散弾銃@Fate/Apocrypha
[道具]:基本支給品一式、通常弾×4、魔弾@Fate/Apocrypha×2
     クルージングボート@現実
[思考・行動]
基本方針:殺し合いの打破。一人でも多くを生きて帰す
1:戦力を整える。仲間を守る。
2:首輪の解析、解除を行う方法を探す。
3:鎮守府に行き、響専用ドックで武装の調達、及び首輪の解析・解除に役立ちそうなものを探す。
4:航行中、海上及び空中も警戒。
5:雷、電と合流を目指す。
6:ベクターなる人物には注意。
7:暁がいないのは……ちょっと安心、かな。
※参加者達が時空の垣根を超えて集められているという仮説を聞きました。
※ドルベ、木之本桜のカード能力について知りました。
※ビアンカの呪文について知りました。

【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:疲労(中)
[装備]:星の杖@カードキャプターさくら
[道具]:基本支給品一式、さくらカード(14枚)(『風』『盾』『幻』1時間使用不可)、ランダム支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いはしない。一人でも多く死なせずに帰りたい。
1:首輪の解析、解除を行う方法を探す。
2:鎮守府に行き、首輪の解析・解除に役立ちそうなものを探す。
3:小狼くんと合流したい。
4:残りのさくらカードを探したい。
※参加者達が時空の垣根を超えて集められているという仮説を聞きました。
※ドルベのカード能力について理解しました。
※ビアンカの呪文について理解しました。
※No.102 光天使グローリアス・ヘイローをさくらカード化させましたが制限はDMカード通り使用不可です。
※さくらカード化は一度の使用で気絶するほどの魔力を消費します。

【ビアンカ@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:さやかの剣@魔法少女まどか☆マギカシリーズ、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、桂美々著の同人誌セット@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ
[思考・行動]
基本方針:アベルと一緒に家に帰る。殺し合いには乗らない
1:アベルを探す
2:マサオ、響、桜と共に行動
3:他の人に会ったら、この本の意味を聞いてみたい
※少なくともギラまでの呪文を習得しています。
※参加者達が時空の垣根を超えて集められているという仮説を聞きました。

【佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:空気砲@ドラえもん
[道具]:基本支給品一式、コワモテかかし@DQ5
[思考・行動]
基本方針:皆を探して合流。殺し合いには乗らない
1:しんちゃんと風間君を探す
2:ビアンカ、響、桜と共に行動
3:あの本って何だろう……?
※空気砲の扱いについて自信を持ちました。
※参加者達が時空の垣根を超えて集められているという仮説を聞きました。


【空気砲@ドラえもん】
佐藤マサオに支給。ドラえもんの秘密道具における主力兵装。
大砲の砲口部を模した筒状で、手にはめて「ドカン」と言うと空気の衝撃波が発射される。
数百キログラムのロボット兵器を吹き飛ばす威力がある。空気砲で岩山を砕きながらトンネルを掘った実績もある。

【基本艤装@艦隊これくしょん】
響に支給。艦娘が海上で戦うための基本兵装。
背部推進ユニットを装備することで、艦娘は海上に浮かぶことができる。
なお、武装はすべて取り外されている。

【クルージングボート@現実】
全長8m、定員10名のクルージング用ボート。
ブリッジ内にはコックピットと、4人が座れるラウンジシートがついている。
また、大人2人が横になれるバウバースと、トイレもついているセレブマシン。
湾内だけでなく、沿海での航行が可能。

≪050:大切な人 時系列順に読む 052:ZAP!ZAP!ZAP!
≪050:大切な人 投下順に読む 052:ZAP!ZAP!ZAP!
≪034:さくらとドルベと仮面の男 木之本桜の登場SSを読む
の登場SSを読む
≪042:旅は道連れ 佐藤マサオの登場SSを読む
ビアンカの登場SSを読む

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年03月28日 18:13