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コンスタンツェのお名前考察と既婚説

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lunanovares

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コンスタンツェ・アマーリエ・フォン・ブラウンシュバンク=アルブレヒツベルガー。

やたら長い名前だが、改めてその名前の意味を考えてみる。

真っ先に目が行くのは「フォン」だろう。貴族を指す言葉のイメージが強い。じゃあコンスタンツェはダイアナと同じく貴族なのか。

中世ドイツでのお名前事情

残念ながら現代ドイツには貴族階級というものは存在しない。よって、残念ながらコンスタンツェは貴族ではない。


一旦、中世ドイツの事情を紐解いてみる。

日本国内のネット通説(2022年時点)を見る限り、中世ドイツでは、フォン(von)は英語で言う「of」を示すものとして、貴族がvonの後に自分の領地や出自を名乗っていたという。

貴族の名前の構造的は以下。

名前 + 爵位 + von + 領地や出自由来の姓

爵位っていうのは地位を示すもの。ドイツだと侯爵(フュルスト)、辺境伯(マルクグラーフ)、伯爵(グラーフ)、男爵(フライヘル)とか。日本でも明治時代に爵位の制度があり、公爵、侯爵、伯爵、子爵があった。ただし、華族の存在が消滅すると同時に無くなっている。今それに相対するとしたら位階(正一位とか従八位とか)かな。位階も1,400年近く歴史がある制度だけど。


例えば、清水出身の貴族、次郎長さんがいたとして、伯爵だったとする。
となると、「次郎長・伯爵・von・清水」、になる訳。

カタカナにすると「ジロチョー・グラーフ・フォン・シミズ」。カッコいいな。

まあ、博打打ちに爵位なんてトンデモな例えだが。


ただし、中世ドイツには「準貴族」(地主貴族や騎士など)という階級があった。これは貴族とは明確に階級が異なる(更に「準々貴族」とか「準々々貴族」とかもあるらしい…)。
準貴族の場合は、領地や出自といった意味も無く、ただ貴族感を出すため(?)に名前に「von」を追加してたらしいので、vonが付くからといって必ずしも後ろに続くのは領地や出自由来の姓とは限らないし、貴族とも限らない。


準貴族の「次郎長・von・清水」がいたとしたら、「清水」が指すのは土地ではなく、元々の名前が「清水次郎長」さんってことになる。
次郎長の本名は山本長五郎なんだけどね。


現代ドイツでは

現代ドイツでは前述の通り、貴族階級はない。「von」が付いているから「すげえ!」ってことにもならない。
祖先の名残でフォンが付いているケースもあれば、勝手にフォンを名乗ってるケースもあるらしい。

それでも「祖先が貴族だった可能性が強いのでは!!?」って思うかもしれないが、それ言い出したら「俺だって性は「清和源氏」ルーツなんだが?」って話。日本の場合は、農民でさえ明治維新の勢いで適当に姓を名乗ったりしてるから本当に清和源氏の血筋なのかも怪しい。更に爺さんが役所への届け出のときに間違ってたとかそういう理由で特殊漢字になっちゃってるケースとかもあるし、そういう適当な感じになってるって意味ではドイツも似たようなもんじゃないかと思う。

ドイツでもバーで「俺の名前はvonがあるから貴族がルーツっぽいんだよね~」「へえ~」みたいなどうでもいい会話が繰り広げられてると思うと胸が熱くなる。

名前に「von」が入っているとロマン味があるが、実態はそうでもない、という話。


さてコンスタンツェ

本題に入ろう。コンスタンツェの本名は以下の通り。


コンスタンツェ・アマーリエ・フォン・ブラウンシュバンク=アルブレヒツベルガー


ここでまず注目したいのはフォンの前にある「アマーリエ」だ。

「アマーリエ」は当然爵位ではなく、女性名に使われる言葉。フランス語圏だと映画で有名な「アメリ」とかスペインやオランダだと「アメリア」に相当。すなわち、「コンスタンツェ・アマーリエ」が名に当たる部分ということが分かる。


このアマーリエはファーストネームなのかセカンドネームなのか。というのもドイツではファーストネームは3つ、セカンドネームは2つまでつけることができるらしい。(ミドルネームという概念はなく、あくまでファーストネームの1つ目、2つ目という概念なのだ、みたいな記事もあった…よく分からん…)

一般論で言えば、やはりファーストネーム+セカンドネームの組み合わせが多い。また、セカンドネームには聖人名や母・祖母・曾祖母のファーストネームを持ってくるケースもある。調べる限り、アマーリエという名前に該当する聖人や名前につけるほどの著名人も見当たらない。セカンドネームで親類の名前を持ってきた、という設定なのだろうか。

コンスタンツェもアマーリエも中世の王妃や貴族の妃に出てくる名前なので、割と古風な名前なのだろう。

日本で例えたら愛子・雅子、とか?(不敬罪)


「=」の存在

この「=」はなんなんだろう。

調べてみたら、ドイツに限らず、文字の連結の際に「=」をつけるそうだ。用途としてはハイフンと同じで、読みも実は「イコール」ではなく「ダブルハイフン」なんだそう。正確に使おうと思うと文字コードも異なるっぽい。

というか、そもそも英語表記だとダブルハイフンを使わずにハイフンで記述している。あくまで日本語圏の文化として、中黒(「・」)との混同を防いだり、連結を意味することを強調するために使っているっぽい。
実際、リトアカの海外ファンサイトを見てもBraunschbank-Albrechtsbergerで記載されている。

フラクトゥール(ドイツ文字)ではハイフンが「=」と表記されるらしく、この日本独自のローカル文化は恐らくこのフラクトゥールがルーツなんではなかろうか。近代日本はドイツに学んで成立した訳だし。

ブラウンシュバンクとアルブレヒツベルガー

この「=」で結ばれている2つの単語。

ブラウンシュバンクを元に色々調べてみると、中世ドイツに、「ブラウンシュヴァイク」地域と「リューネブルク」地域で構成された「ブラウンシュヴァイク=リューネブルク公国」というものが出てくる。ここを神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世から与えられたのがヴェルフ家であり、土地をふまえて「ブラウンシュヴァイク=リューネブルク家」「ブラウンシュヴァイク=リューネブルク候」とも呼ばれた。

ブラウンシュヴァイクは分割相続を繰り返し、「ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル」家、「ブラウンシュヴァイク=グルベンハーゲン」家、「ブラウンシュヴァイク=ベーヴェルン」家、「ブラウンシュヴァイク=ゲッティンゲン」家、「ブラウンシュヴァイク=カレンベルク」家・・・などが登場する。いずれもブラウンシュヴァイクに属する土地(貴族)、という意味で「=」が使われているのだろう。当然、内戦やら土地交換やらもあって、むちゃくちゃ複雑。ただ分割されて増えていった、という単純な話ではなさそう。

ブラウンシュヴァイクの土地自体は徐々にハノーファーに支配されるようになり、政治の中心からも外れる。それでも土地がある程度栄えたのはハノーファー家が選帝侯になった影響だそうな。このハノーファー家も結局ブラウンシュヴァイク家の血筋。
その後はブラウンシュヴァイク公国として独立。プロイセン下の領邦として存続後、ドイツ国のブラウンシュヴァイク自由州となり、第二次世界大戦後にハノーファーとともにニーダーザクセン州の一部都市となり今に至る。


…と、こんな感じらしい。日本には馴染みが無いが「ブラウンシュヴァイク」家というのはドイツの名門貴族であることは間違いない。日本で例えたら北条家とか足利家みたいなもんか?

有名作・銀河英雄伝説でも主要人物(貴族)に「オットー・フォン・ブラウンシュバイク」なんてキャラが登場する訳で、ある程度ドイツに詳しい人だと「貴族にあるあるネーム」として定着しているのかもしれない。他の創作だとハイスクール・フリートに「ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルク」というキャラが登場するが、こちらは別に貴族ではない。


ブラウンシュヴァイク家界隈の登場人物を見ると、アルブレヒト1世だったり、アンナ・アマーリア・フォン・ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテルだったり、割とコンスタンツェに通じる単語が頻出している。

アルブレヒツベルガーについては特に情報無し。ヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガーなどは出てくるが、特に関連性もないだろう。それっぽい単語として選定されたものと思われる。


コンスタンツェ貴族の末裔説

コンスタンツェは魔法仕掛けのパレードにおいては「コンスタンツェ・ブラウンシュバンク・アルブレヒツベルガー」と称されていたが、TV版では「アマーリエ」に加えて、「フォン」と「=」が加わっている。そのことから、「フォン」の意味合い、「ブラウンシュバンク」と「アルブレヒツベルガー」の関係性、それらを明確にする思惑があったことは間違いない。

すなわち、「フォン・ブラウンシュバンク=アルブレヒツベルガー」は、「ブラウンシュバンク(家の系統の)アルブレヒツベルガー」候の末裔、という意味合いで設定されたものだと考えるのが普通だろう。


やったぜコンス。貴族ではないけど貴族の末裔だ。


ただし、「ブラウンシュヴァイク」ではなく「ブラウンシュバンク」となっているため、注意が必要。読み方の問題かもしれないし、あくまでパロディの域(架空の家系)、という意味なのかもしれない。うかつにあの「ブラウンシュヴァイク」家の末裔、とか騒ぐとアレかもしれない。

コンスタンツェの名前まとめ

上記をまとめると、以下のようになる。

コンスタンツェ(名1) ・ アマーリエ(名2) ・ フォン(von) ・ ブラウンシュバンク=アルブレヒツベルガー(貴族の名残の姓)

ブラウンシュバンク=アルブレヒツベルガー家の末裔なコンスタンツェ・アマーリエちゃん!という解釈で良いのかな。


アマーリエの由来の考察

「アマーリエ」。聖人にも著名人にも見当たらないんで、親族のファーストネームかな?という話を前述した。

ここで、ふと思い立ったことが1つ。それは例として触れたフランス映画「アメリ」の存在。

未視聴ではあるのだが、Wikipediaのあらすじから引用する。
「アメリは母親を事故で亡くし、孤独の中で想像力の豊かな、しかし周囲と満足なコミュニケーションがとれない不器用な少女に育っていった。」

うーん、母親の事故は抜きにして、これってコンスタンツェそのものじゃないか??

青年に対して心を開いていく、というストーリーらしいし。コンスの笑顔事件とか最終話で声を出すとか、あらすじだけ読むとめちゃめちゃ通じる気がするのだが。

そして、この「アマーリエ」もTV版で追加された言葉。TV版の展開(設定)を踏まえて付けられたと思うとしっくりもくる。


ということで、コンスタンツェのモデルは「アメリ」で、セカンドネームは「アメリ」由来、という仮設を提唱したい。


アメリ見てないので、なんともだけど。そのうちに見てみよう。


コンスタンツェ既婚説

さて、上記では貴族の末裔説を挙げたが、現代ドイツでは「姓のダブルネーム」を行う時に「=」(ドイツ語表記だと単なるハイフン)を使うのが一般的らしい。

日本でも議論されている夫婦別姓の発展系のようで、夫と妻の2つの姓を名乗ることが許されている。

こちらをベースに考えると、単にブラウンシュバンクさんとアルブレヒツベルガーさんの子供という意味な可能性が浮上する。(この場合の「フォン」は名残で付いているだけで出自が曖昧という代物)


しかしながら、姓のダブルネームについて、1994年に施行された氏名法によると「ダブルネームを名乗ることができるのは夫婦のどちらか一方のみ」であり、「子供は必ずどちらかの姓にする必要がある」とのことだ。

つまり、原則は一つの姓に統合するが、配偶者だけは不利益を受けないように旧姓を連結して名乗ることができる、という制度。更に、自分の旧姓を後ろにつけるのがルール、ということらしい。


あれ!?ってことは、コンスタンツェがダブルネームを名乗ってるってことは…

既婚者だったってコト!?


旦那は…ブラウンシュバンクさん?!!?


コンスタンツェ・アマーリエ(名) ・ フォン(名残) ・ ブラウンシュバンク(夫の姓)=アルブレヒツベルガー(自分の旧姓)



※ちなみに、ドイツ国内での施行時はダブルネームブームだったらしいが、今はそこまで流行ってないらしい。(旅券手配の時にハイフンが使えなかったり、長すぎてWebサイト等で入力できなくて生活に支障が出るとかも多かった、だとか)。


ちなみに

2015年10月9日のマチアソビトークショーにてコンスタンツェの名前の由来が語られていたそうで。現役か末裔かはさておき貴族をイメージした名前で、しかもお金持ち、という設定とのこと。

コンスタンツェの非常に長い名前は脚本の島田満さんが名付けたもので、ドイツの貴族をイメージしています。
作中では明確に語られていませんが、魔女学校はお嬢様学校なので、
通っている生徒たちはみんなお金持ちという設定があり、不良っぽく見えるアマンダも家は資産家だとか。



あれ、てことはアッコも金持ちなのか…?(海外単身留学許すくらいだからそこそこ裕福だとは思うが…)

Wikipedia以外の参考サイト


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