マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

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匿名ユーザー

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130 名無しさん@ピンキー sage 2008/08/08(金) 20:38:10 ID:mGiHbIpA
投下します。
オズマ×キャシー、アルト×シェリル、ミハエル×クラン。
ただしエロ無し。
最終回後の設定。かなり長いです。


131 :ウェディングブーケ:2008/08/08(金) 20:39:07 ID:mGiHbIpA
それは小さな教会だった。
街から外れた小高い丘の中腹に建てられた、小さなチャペル。
その鐘の音の下で、いま神の名のもとに一組の夫婦が誕生するのを、シェリルは見る。
新郎の名をオズマ・リー、新婦の名をキャサリン・グラス。
ふたりを見守るのは、シェリルだけではない。SMSの隊員一同が顔を揃えている。
が、それ以外の人間はごくわずかだ。シェリルと、ナナセ、あと数人…
大統領息女の結婚式にしては、予想外に質素な式だった。
いや、正しくは前大統領息女、か。
バジュラとの激しい戦いが終結してまだ間もないが、フロンティアは様々な面で大きく移り変わったことがある。
大統領府首席補佐官レオン三島が携わった事件の数々は、キャサリンの父ハワードにも余波が及んだ。
ハワードは部下の管理不届きを負う形で政権の座から降りた。
新婦の関係者の立会いが少ないのを、シェリルは複雑な心境で見る。
(私がフロンティアを訪れてまだ1年もたっていないのに…)
その長くない日々の中で、うねりのように巻き起こった様々な出来事を思い返すと、まだ胸が重い…
「シェリル?」
傍らのアルトの声に、シェリルは現実に戻る。
二三度まばたきして、シェリルは、祝いの歌を新郎新婦に捧げるためににこやかに立ち上がった。


「実に素晴らしい歌だったぞ」
教会の庭で弾んだ笑顔で、シェリルに飛びついてきたのは、クランだ。
今日はもちろんマイクローンサイズだが、ドレスアップのせいかいつもよりかなり大人びて見える。
「ありがとう、クラン」
この心優しい友人に、シェリルは微笑みを浮かべる。
シェリルのもとに、この式の招待状を届けてくれたのは、クランだった。
「キャシーもぜひ出席してほしいと言っていたぞ」
そう差し出された白い封筒を前に、でも…、と、声を落としたシェリル。
ギャラクシーの人間である自分が、おいそれと出席していいものか迷ったのだ。
「何をいう?おまえもキャシーの友人だろう?」
…あの時、あの言葉が、シェリルをどれだけ勇気づけてくれたか。
扉が開き、教会の中から腕を組んだ新郎新婦が出てくる。
「花嫁は文句なしだが、…隊長ってつくづくタキシードが似合わない男だねぇ」
「やはり基本が演歌だからな」
「いやロックでしょう」
口の悪い批評家と化す部下約3名を、じろりと睨みつけるオズマだが、傍らの花嫁がひじを軽くこづいて、
参列者に笑顔を振りまくことを命じた。


おめでとうと拍手と口笛が陽気にハーモニーを奏でる中で、両脇からライスシャワーが盛大に降りそそぎ、
今日の主役を取り囲む。

「お幸せに、おふたりさん」
「泣かせるなよ、色男っ」
「おめでとうございますっ」
口々に祝いを告げる。
シェリルも夢中で拍手をおくったが、
「さぁ、行くぞ、シェリルっ!!」
いきなりクランに袖を引っ張っられた。
「行くって…どこへ?」
「今日のメインイベントに決まっておろう!!出遅れるわけにはいかない」
クランだけではない。
ナナセやモニカ、ラム、ミーナら若い女の子達が一ヶ所に集まり始めている。
彼女たちのお目当ては、花嫁が投げるブーケだった。
受け取った幸運な女性は次なる花嫁を約束されるという地球時代からの言い伝え。
式のラストにふさわしいセレモニー。
「キャシー先輩、こっちに投げてくださいね♪」
「ダメです、こっちにください」
「やだ、私のです、そうですよね、キャシー」
はしゃぐなかにも微妙に火花が散っている気もしたが、シェリルもクランの隣に立った。
「なんだかすごくわくわくするな♪」
クランはぴょんぴょんその場を跳びながら、覇気を高めている。


シェリルは、花嫁を見やった。
シンプルな真っ白のベールとドレスに身を包んだキャシーは、本当に幸せそうだった。
あんな幸せが、私にも訪れる日がくるのだろうか…
ギャラクシーにいた頃、デザインの仕事を頼まれて、ウェディングドレスを作った時も、あいまいな気持ちで
同じように思っていた。
いつかはね…
そうどこか信じきれないでいる自分を、胸の奥に感じていた。
ふと、視界の隅にアルトを見つけて、…視線を合わせそうになって慌ててうつむいた。
「シェリル」
クランが名を呼んだ。
「うつむいてては幸運はつかめないぞ?」
シェリルは顔を上げた。キャシーが背中を向け、大きくブーケを持つ手を天高く掲げる。
いち、に、の、さんっ。
大きなリズムに乗って、ブーケが宙を舞う。
高く高く弧を描きながら。
ブーケは、フロンティアの青空に輝き、一瞬、陽の光と一体化した。
眩しさに、シェリルは目を細める。
伸ばした手の向こうで、ブーケを見失う。
「あ…」
とん。
ふいに背中をゆっくり押された。
シェリルは惰性で数歩前によろける。
次の瞬間、自分の両手の上にぱさり落ちてくるものを感じた。
赤とピンクの薔薇と白いかすみ草で作られたブーケはシェリルの手にあった。
どっと歓声が沸き起こる。


「あーん、私がとりたかったのにぃ〜」
くやしがるモニカだが、その目は柔らかかった。他の女の子達も。
そして、シェリルの前に歩み寄ってきたキャシーも。
「次はあなたの番ね、シェリルさん」
「キャシー…さん」
「11年…11年も諦めきれないでいた恋を叶えてくれたブーケよ。あなたの幸せも叶えてくれるわ」
初めてフロンティアを訪れた日のことが蘇る。
あの日、キャシーは自分の案内役であり世話係を務めてくれた。
あの日、あの場所にいた顔ぶれも、幾人かはもうここにはいない。
だけど。
キャシーの向こうで、仲間に意味ありげにどつかれて頬を染めているアルトが見えた。
なんだろう、胸が熱くなる…
シェリルは、たまらずブーケを抱きしめて、微笑返した。



「クラン、おまえ、いいのか?」
式も終わり、二次会会場に向かって歩く小さな背中に、ミハエルは尋ねた。
「何をだ?」
「おまえ、あんなにブーケ欲しがっていたくせに…」


ミハエルは見ていた。ブーケが落ちてくる場所を見計らって、シェリルの背中を優しく押した幼なじみの姿を。
「見事なものだろう、私の予測計算の正確さは♪」
「…そうじゃなくてね。……………ったく、おかげでこっちの計画が台無しになったじゃないか」
ため息。
俺は今日のために、わざわざ指輪まで用意していたというのに。
計画まるごとアルトの野郎に奪われたようなもんじゃないか。
「何、落ち込んでいる?今日はめでたい日だというのに」
クランは上機嫌に鼻歌まで口ずさんでいる。
「それにな、ミシェル」
と、クランは足を止めて振り返った。
「ブーケは、シェリルからもらえばいいんだ♪」
「なるほどね」
ミハエルは両肩をすくめた。計画はほんの少し延期になっただけか。
ただし、俺もあまり気が長いほうじゃないから、アルトの尻を蹴っ飛ばして、急がせねばなるまい。
俺が見たい花嫁姿は、このちっこい幼なじみだけだから。
「ほら、ぼやぼやすると遅刻だぞ」
「はいはい」
クランに腕を引っ張られながら、ミハエルは微笑んだ。

〈了〉
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