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匿名ユーザー

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506 :夢に惑う:2008/12/25(木) 01:01:24 ID:H0Frw9/j
流れぶった切って申し訳ないんだけど、ミハクラ。(クラミハ?)
糖分は少ないから、ご了承のほど。
ミシェルが生きてる時間で書いても良かったんだけど、あえてそのままにしてみた。


死ぬのが怖くて、恋ができるか。だと?
できるはずがないな。そんなことを気にかける暇があるなら、全力で相手を愛してやるべきだ。
だが、死ぬのは怖くないが。死なれるのは、どうしてこんなに。錆びたナイフのように心を抉るんだ。

 ~夢に惑う~

不思議と、涙が溢れ出したのは後になってからだった。
まったく。これじゃあいつもと立場が逆じゃないか。私がいないからと泣きじゃくるのがあいつ、そういうポジションだったじゃないか。
最後の最後であんなことをいうとは。目の前にいたら一発頬を叩いてやらなければ気がすまない。それから、抱きしめてやりたい。
こんなに小さい私だけどな。お前を愛する気持ちだったら負けないつもりだった。愛した時間も、誰にも負けないさ。

「もっと早く、好きだといえれば。お前は今私の傍にいてくれたか、ミシェル……」

結局お前が残したのは、ヴァルキリーとひび割れたメガネと、この気持ちだけだ。
いや、もう一つだけ。お前は確かに、愛してると、言ってくれたな。こんな、マイクローン化したら子供にしか見えない私に。
いつも思ってたさ。どうして私だけこうなのだと。あいつと一緒に年をとっていけないのだと、全力で叫びたいときもあった。
時には、お前がゼントラン化できないことに八つ当たりしたりもした。馬鹿だな、私は。

遠ざかって行くあいつは、どんな顔をしていた。思い出せるさ。
あの景色は、血の一滴、出せない声で何かを伝えようとするあいつの声も、何一つ失くすことなく心に焼き付いてる。
痛むんだ。心臓が一つ脈打つたびに、あの時だけお前を守れなかった私が情けなくて。
けど、私を身体を張って守ってくれたお前に、嬉しさを覚えてしまったから。痛むんだ。

「忘れることができない。なら、この痛みは、きっとおまえ自身だな……」

愛してた、なんて言葉は詭弁だ。『愛している』んだ、ミシェル。
なら私はいつか、この痛みさえ愛することができるのだろうか。

「馬鹿……だ」

ミシェル。私はきっと、恋はしなかったぞ。最初から、愛を感じていたんだ。
我侭を、言おう。こんな月さえ見ていない夜だ。こんなときくらい、我侭を言ったって、罰は当たらないな。

会いたい。あいたい。

「逢いたいんだ……ミシェル。こんなに…こんなに……」

夜の空へ、堕ちることができたら。お前の傍にたどり着けるか?
足が沈んで抜け出せない闇。そんな中、一人で眠るのは、お前か。それとも、私か。

「クラン……」

何万回も聴いたかもしれない言葉。
痛む。そんな声で私を呼ぶな。痛みすら、イトシクナルカラ。

そんな泣きそうな声で、私を呼ぶな。抱きしめたくなるから。
そんな辛そうな声で、私を呼ぶな。泣きたくなるから。

目が覚めると、そこは私の部屋だった。
眠った時間は五時間。まだ朝日が昇り始めたころだ。

「傍にいれないくせに! キスも、愛を囁くこともできないくせに! 夢に見るほどに未練なのか!? ゼントランの女が、恥を…恥を……」

八つ当たりしたベッドとシーツはぐしゃぐしゃ。
けど、どうでもいい。恋しいに、決まってるじゃないか。愛しているんだ。愛しているから、こんなにも恋しいんだ。
こぼれてくる涙が熱い。シーツに滲むそれが、一瞬あいつの血に見えて、ぞっとした。

一週間たった。ミシェルが、私の名前だけを呼んで覚める夢を見始めて。
いつものオープンカフェ。カプチーノ。景色。よく口が回る、あいつがいないだけ。

「クラン……」
「クラン大尉だ、馬鹿者が……」

振り向きもせずに答える。声の主からして、アルトだろう。
ミシェルの死に際に、私と同じくらい近くにいたこいつは、私と同じように引き摺っている様に見えていたが。
今はもう、振り切ったような。落ち着いた顔をしている。

「ここ、いいですか?」
「――っ。ああ……」

一瞬、そこはミシェルの場所だと怒鳴りそうになった。
けど、あいつはもういないんだ。だったら、意味も無い。
何も会話が無い時間は三十分ほどだっただろうか。一時間だったかもしれない。不思議と、なんの重みもなく夢の話が口から出た。

「滑稽だろう。素直になれなかった罰が当たったんだ。一週間も、あいつのことを夢に見るなど……未練たらたらだな」
「……そうとは、限らないと思ぅ…います」
「よせ。下手なことを言うな」
「ならこれは、独り言だ。俺の家計、日本の血筋なんだけど、その国には古事記とか和歌集って言う詩を集めた本があって」

勝手に話し始めたそいつを横目に、カプチーノを一口。
苦い。砂糖を入れてくれるあいつがいないからだ。やけになって三袋を一気に投入する。

「夢にかかれた詩も数多くあるんだが、その中でも多いのは、夢に想い人出るのは自分が想ってるわけじゃなく、相手が自分のことを想ってるからだっていう詩だ」
「……! なにが、言いたい」
「つまり、あの馬鹿…。ミシェルも、クラン大尉のことを想い続けてるんじゃないかってことで」

「クラン……」

相変わらず泣きそうな声だな。
お前は、私がいないといつもそうだ。私が見えないからと、いつも泣く。男なら、強く胸を張っていろ。
だが、今日くらいそれも許してやる。

「ミシェル、私は、今でも、お前を愛してるからな。安心しろ」

抱きしめてやる。ありえない話だ。私とミシェルが同じ体格など。
だがこれは夢だから。あいつに会える、夢だからな。

「クラン…。クラ、ンッ…!」
「泣くな馬鹿者がっ……。こういうとき、泣いていいのは、女だけだ……っ」

気づいたよ、ミシェル。
だから、安らかに眠っていればいい。私だけは、永遠のときが過ぎてもお前を忘れない。
優しい微笑みも、寂しさを隠した瞳も。私だけは忘れないでいてやる。夢の中で目覚めたら、きっとまた会えるから。
見守っててやる。お前が、この夢を覚ますまで。だから、私の腕の中で眠ればいい。

「クラン…。オレも忘れないぜ。笑った顔も泣いた顔も、怒った顔だって……」
「当然だ。いつまでも忘れるなよ、ミシェル」

お前は確かに私の傍にいた。いつだってすぐ横で笑っていた。
気づいたよ、ミシェル。あいつからの初めての口付けは、どこか苦く、熱かった。
その感触が消えるのと目が覚めるのはほぼ同時で。

代わり映えしない、私の部屋だ。

「……なんだ、また泣いてるのか。仕方の無い奴だな、お前は」

あいつの眼鏡を、いつものように胸にしまいこむ。
窓際に置いたせいで結露したそれは冷たかったが、私の体温が移っていくこの感じは、嫌いじゃない。
雫が一滴、眼鏡から零れ落ちる。

「愛は、囁けるな。傍にいなくても、愛し続けることもできる。私はゼントランだからな。私の愛は長いぞ、覚悟しておけ」

雫は、もう残っていない。
あいつにも、私にも。

 ...end


駄文で失礼しました。ちょっとした気の迷いなんです…。
なんとなく私はミシェルが攻めのミハクラを妄想できないというか……。 ]
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