107 :愛の狩人 ぶれら・すたーん1 :2009/01/06(火) 01:50:26 ID:wMxU0Aog
「会いたいよ…」
ここはフロンティア船団が辿り着いた新天地。さらにその中にあるランカ・リーの住まい
あの一連の出来事を経てアルトと想いを通わせる事ができたランカだったが、それでも常に想い人の傍に居られる訳ではない
先の戦乱を通じてエースパイロットにまで成長した早乙女アルト中尉。統合軍も彼ほどの手練を遊ばせておく筈も無く、新たなる指令を下していた
未確認地域の空域調査。1週間の期間を予定している調査にルカ・アンジェローニと共に旅立ったのは2日前の事だった
「…アルトくん。会いたい…」
先ほどと同じく、零れ落ちた独り言。いくら呟いたところでアルトの帰還が早まる訳でもない
だが、ここに彼女の願いを聞き取った一人の男がいた
「…任せろ」
ブレラ・スターン少佐。血を分けた彼女の兄である
「え?お兄ちゃん!?」
一言残し、颯爽と立ち去っていくブレラ。…妙に自信満々な姿に、ランカは一抹の不安を押し殺せなかった
ここはフロンティア船団が辿り着いた新天地。さらにその中にあるランカ・リーの住まい
あの一連の出来事を経てアルトと想いを通わせる事ができたランカだったが、それでも常に想い人の傍に居られる訳ではない
先の戦乱を通じてエースパイロットにまで成長した早乙女アルト中尉。統合軍も彼ほどの手練を遊ばせておく筈も無く、新たなる指令を下していた
未確認地域の空域調査。1週間の期間を予定している調査にルカ・アンジェローニと共に旅立ったのは2日前の事だった
「…アルトくん。会いたい…」
先ほどと同じく、零れ落ちた独り言。いくら呟いたところでアルトの帰還が早まる訳でもない
だが、ここに彼女の願いを聞き取った一人の男がいた
「…任せろ」
ブレラ・スターン少佐。血を分けた彼女の兄である
「え?お兄ちゃん!?」
一言残し、颯爽と立ち去っていくブレラ。…妙に自信満々な姿に、ランカは一抹の不安を押し殺せなかった
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一方、探索隊のスカル小隊二機。バジュラとの紛争もなくなった、平和な空を彼らは飛んでいた
…そんな平穏を乱す、一機の機影
「アルト先輩!未確認機です…ってこのパターン!!VF-27です!!」
「な、なんでアイツがココに居るんだよ!?」
青い空に一点の紅。どんどん点が大きくなり、更に紅い光が伸びてきている
大気中なので宇宙空間と比べて出力は低下しているだろうが、それでも直撃すれば撃墜は避けられないだろう
ルカ機は電子戦機であり、戦闘機ではない。自分一人で引き受けるしかない…そう判断してアルトは指示を出す
「下がれルカ!!アイツは俺が引き受ける!!」
「イヤです!!僕だって、ブレラさんに借りが有ります!!ってうわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ルカー!!!」
紅いビームがルカ機を掠める。直撃こそ免れたものの、左尾翼が半分ほど吹き飛ばされている
「くっ!!尾翼をやられました!下がりますが、アルト先輩も気をつけて下さい!!」
「…………ああ!!」
…そんな平穏を乱す、一機の機影
「アルト先輩!未確認機です…ってこのパターン!!VF-27です!!」
「な、なんでアイツがココに居るんだよ!?」
青い空に一点の紅。どんどん点が大きくなり、更に紅い光が伸びてきている
大気中なので宇宙空間と比べて出力は低下しているだろうが、それでも直撃すれば撃墜は避けられないだろう
ルカ機は電子戦機であり、戦闘機ではない。自分一人で引き受けるしかない…そう判断してアルトは指示を出す
「下がれルカ!!アイツは俺が引き受ける!!」
「イヤです!!僕だって、ブレラさんに借りが有ります!!ってうわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ルカー!!!」
紅いビームがルカ機を掠める。直撃こそ免れたものの、左尾翼が半分ほど吹き飛ばされている
「くっ!!尾翼をやられました!下がりますが、アルト先輩も気をつけて下さい!!」
「…………ああ!!」
ただし、アルトとて勝算がある訳ではない
調査任務だったため、武装も自衛目的の軽装備。スーパーパックもない以上、火力ではルシファーに到底及ばない
ビームを掻い潜ってドッグファイトに持ち込むしかないだろうが、強化が施されているブレラに対して生身のアルトでは耐G能力に差がありすぎる
調査任務だったため、武装も自衛目的の軽装備。スーパーパックもない以上、火力ではルシファーに到底及ばない
ビームを掻い潜ってドッグファイトに持ち込むしかないだろうが、強化が施されているブレラに対して生身のアルトでは耐G能力に差がありすぎる
絶望的な戦闘が始まり、20分。一条のレーザーがアルト機の主翼を捉え、引きちぎる
機体を捨てるほか無いと判断しベイルアウトしたアルトだったが、さらにルシファーのマニピュレータが彼の身体を捉える
止めを刺されるかと身を強張らせたアルトとは対照的に、ブレラは大変ご機嫌だった
『……作戦目的完了だな。…確かこんな時は、こう叫ぶ筈』
最近、とある少年兵から借りたメディアファイルにあったバラエティ番組で、ある芸人がこう叫んでいた気がする
「…獲ったど~」
「な、何なんだよ、一体!?」
間の抜けた雄たけびを上げるブレラに思わず突っ込むアルト
しかし彼は俎上の鯉であり、己の意思とは関係なくドナドナされるしか無かった
機体を捨てるほか無いと判断しベイルアウトしたアルトだったが、さらにルシファーのマニピュレータが彼の身体を捉える
止めを刺されるかと身を強張らせたアルトとは対照的に、ブレラは大変ご機嫌だった
『……作戦目的完了だな。…確かこんな時は、こう叫ぶ筈』
最近、とある少年兵から借りたメディアファイルにあったバラエティ番組で、ある芸人がこう叫んでいた気がする
「…獲ったど~」
「な、何なんだよ、一体!?」
間の抜けた雄たけびを上げるブレラに思わず突っ込むアルト
しかし彼は俎上の鯉であり、己の意思とは関係なくドナドナされるしか無かった
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「…戻ったぞ、ランカ」
「………………おかえり、お兄ちゃん」
誰であれ、この光景には唖然とするしかないだろう。なんせ、自分の兄が自分の想い人を簀巻きにした上、担いで部屋まで運んできたのだから
とりあえず、苦しそうにしていたので猿轡をはずしておく
「お、お兄ちゃん?い、一体どうしたのかな?」
「全くだ!!おい、ブレラ!!何の真似だ!?」
ランカの困惑した声と、アルトの怒号。これらをぶつけられた当のブレラはアルトを一瞥した後、ランカに向き直る
「…会いたかったのだろう?だから連れてきた。要らないなら捨ててくる」
「す、捨てるって何だ!?ふざけるな!!」
アルトの抗議を完全にスルー、ランカに対して言葉を続けるブレラ
「要るなら好きにしろ。あと避妊薬は戸棚の中にある」
この一言にグラグラ揺さぶられる乙女心。アルトと戸棚に交互に視線を向けた後、ランカの出した結論は…
「え~と?…うん、頂きます」
「ちょっ!?ま、待て落ち着けランカ~~~」
「………………おかえり、お兄ちゃん」
誰であれ、この光景には唖然とするしかないだろう。なんせ、自分の兄が自分の想い人を簀巻きにした上、担いで部屋まで運んできたのだから
とりあえず、苦しそうにしていたので猿轡をはずしておく
「お、お兄ちゃん?い、一体どうしたのかな?」
「全くだ!!おい、ブレラ!!何の真似だ!?」
ランカの困惑した声と、アルトの怒号。これらをぶつけられた当のブレラはアルトを一瞥した後、ランカに向き直る
「…会いたかったのだろう?だから連れてきた。要らないなら捨ててくる」
「す、捨てるって何だ!?ふざけるな!!」
アルトの抗議を完全にスルー、ランカに対して言葉を続けるブレラ
「要るなら好きにしろ。あと避妊薬は戸棚の中にある」
この一言にグラグラ揺さぶられる乙女心。アルトと戸棚に交互に視線を向けた後、ランカの出した結論は…
「え~と?…うん、頂きます」
「ちょっ!?ま、待て落ち着けランカ~~~」
なおこの後、ルカから通報を受けたオズマとシェリルが駆け付け、盛大な修羅場になったとか
一方、ルカの方は検査入院した病室に想い人の少女が見舞いに来たとかで、ご満悦だったそうである
一方、ルカの方は検査入院した病室に想い人の少女が見舞いに来たとかで、ご満悦だったそうである
<了>