※ 5-266の続き
359 :胡桃に酒?/アンテナ持って :2009/01/17(土) 01:57:36 ID:l/GWBdBZ
アルト←ランカ風味のアルランです。
俺のランカさんは恋愛脳ですが、一生懸命アルトが好きです。
どうか暖かく見守ってやってください。
※エロなしです、すんません
アルト←ランカ風味のアルランです。
俺のランカさんは恋愛脳ですが、一生懸命アルトが好きです。
どうか暖かく見守ってやってください。
※エロなしです、すんません
ツチノコを見た、とランカはアルトに打ち明けた。
アルトはじろり、とランカを見やり、「ありえねーだろ」と白けた口調で言った。
「ほんとだよ、ほんとに見たんだから!」
興奮した様子でランカはぴょんぴょん飛び跳ねながら、弾んだ声で言う。
「これぐらいの、もうちょっと大きいかな、すばしっこくて一瞬しか分からなかったけど、
黒い眼で、足も短いけど生えてて・・・、緑色っぽいやつが、ざざざぁっって!」
「ちょっと、落ち着け」
どうどう、と手で制してから、通学路で立ち話も何だから、とアルトは
ランカに歩くよううながした。
なんで朝からこんな好奇の眼で見られなきゃならんのだ、とアルトは通学途中の生徒の
視線を感じながら、へきえきした。
アイドル、ランカ・リーの人気はうなぎのぼりで、学園中がその存在を知っている。
二人で一緒にいると自分まで注目されてしまうので、アルトは閉口していた。
しかし当のランカ本人は屈託なく、いつも朝開口一番に、「アルトくん!」と
飛び跳ねるように駆け寄ってくるのだった。
「でね、図書館の文献で調べてみたの。そしたら、ツチノコでどんぴしゃなの!
もう絶対ツチノコだよ」
「ツチノコって、緑色だったかなぁ」
ぼんやりとアルトが言うと、「そこはね・・・ちょっと載ってたことと違うんだけど。
でも、誰もツチノコを捕まえたことがないから、まだ未確認生物なんだよね。
だからあたしが見たのは、新種のツチノコかもしれないよ」
とランカは眼を輝かせた。
あらゆる生物のネットワークが管理されているフロンティアで、今更二百年前の伝説の
ツチノコとかありえない、とアルトは思ったが、ランカは嘘をいうようなタイプの人間ではないので、
大方、ヘビかなんかを見て勘違いしてるんだろう、と適当に頷いた。
「ねえ、朝一緒に登校するの、久しぶりだね」
頬を健康的に赤く染めて、ランカは息を弾ませて言う。
太陽の光を浴びて生命力に溢れたランカが眩しくて、アルトは眼をそらした。
実は、最近わざとランカと登校時間をずらしていた。
アルトはじろり、とランカを見やり、「ありえねーだろ」と白けた口調で言った。
「ほんとだよ、ほんとに見たんだから!」
興奮した様子でランカはぴょんぴょん飛び跳ねながら、弾んだ声で言う。
「これぐらいの、もうちょっと大きいかな、すばしっこくて一瞬しか分からなかったけど、
黒い眼で、足も短いけど生えてて・・・、緑色っぽいやつが、ざざざぁっって!」
「ちょっと、落ち着け」
どうどう、と手で制してから、通学路で立ち話も何だから、とアルトは
ランカに歩くよううながした。
なんで朝からこんな好奇の眼で見られなきゃならんのだ、とアルトは通学途中の生徒の
視線を感じながら、へきえきした。
アイドル、ランカ・リーの人気はうなぎのぼりで、学園中がその存在を知っている。
二人で一緒にいると自分まで注目されてしまうので、アルトは閉口していた。
しかし当のランカ本人は屈託なく、いつも朝開口一番に、「アルトくん!」と
飛び跳ねるように駆け寄ってくるのだった。
「でね、図書館の文献で調べてみたの。そしたら、ツチノコでどんぴしゃなの!
もう絶対ツチノコだよ」
「ツチノコって、緑色だったかなぁ」
ぼんやりとアルトが言うと、「そこはね・・・ちょっと載ってたことと違うんだけど。
でも、誰もツチノコを捕まえたことがないから、まだ未確認生物なんだよね。
だからあたしが見たのは、新種のツチノコかもしれないよ」
とランカは眼を輝かせた。
あらゆる生物のネットワークが管理されているフロンティアで、今更二百年前の伝説の
ツチノコとかありえない、とアルトは思ったが、ランカは嘘をいうようなタイプの人間ではないので、
大方、ヘビかなんかを見て勘違いしてるんだろう、と適当に頷いた。
「ねえ、朝一緒に登校するの、久しぶりだね」
頬を健康的に赤く染めて、ランカは息を弾ませて言う。
太陽の光を浴びて生命力に溢れたランカが眩しくて、アルトは眼をそらした。
実は、最近わざとランカと登校時間をずらしていた。
もう出会った頃のランカとは違う、今じゃシェリルと並ぶくらいのスターだった。
変な噂がたっても事だろうし、なにより、アルト自身、気恥ずかしいのだ。
以前ほどランカのあからさまな好意を、余裕を持って流せられなくなっていた。
それはなぜかと考え出すと、色々面倒くさそうな気がするので、アルトは考えないようにしている。
考えないようにすることは、結構骨が折れる作業だ。
「今日はアルトくんと朝から話せたから、いいことありそう」
ランカは心から嬉しそうな顔をして、スキップしてから振り向いた。
そうやって、ランカはいつも、なんの混じりっけもない真っ直ぐな愛情を、惜しみなくアルトに捧げてくる。
あまのじゃくなところがあるアルトは、そう出られると逆に怖くなり、疑いたくなり、わざと
ランカの愛情にいらぬフィルターをかけた。そうしたほうが、ランカが恋に恋している
少女に見えて、アルトは楽だった。
愛の、恋だのに対して、価値をまだ認めたくないアルトから見れば、
ランカはいつもアルトが超えられない壁を、いとも簡単に乗り越えてくる存在だった。
こいつは、俺の苦労なんかなんも分かっちゃいないんだろうな、と
目の前で機嫌よくふさふさ揺れる若草色の髪をみていると、アルトは小憎らしくなってきた。
「なあ、お前の髪ってさ、どうなってんだ?」
「え、髪?」
自分の身体の一部を、アルトに話題にされたことにびっくりしてランカは聞き返した。
「どうなってるって、こうなってるけど」
犬耳のような両ふさの髪を掴んで、持ち上げて見せた。
「いやいや、なんかさ、なんでそんなにいつも跳ねてるんだろうなーって思ってた」
「うそ、跳ねてる?!」
青い顔をしてランカが髪を押さえた。
変な噂がたっても事だろうし、なにより、アルト自身、気恥ずかしいのだ。
以前ほどランカのあからさまな好意を、余裕を持って流せられなくなっていた。
それはなぜかと考え出すと、色々面倒くさそうな気がするので、アルトは考えないようにしている。
考えないようにすることは、結構骨が折れる作業だ。
「今日はアルトくんと朝から話せたから、いいことありそう」
ランカは心から嬉しそうな顔をして、スキップしてから振り向いた。
そうやって、ランカはいつも、なんの混じりっけもない真っ直ぐな愛情を、惜しみなくアルトに捧げてくる。
あまのじゃくなところがあるアルトは、そう出られると逆に怖くなり、疑いたくなり、わざと
ランカの愛情にいらぬフィルターをかけた。そうしたほうが、ランカが恋に恋している
少女に見えて、アルトは楽だった。
愛の、恋だのに対して、価値をまだ認めたくないアルトから見れば、
ランカはいつもアルトが超えられない壁を、いとも簡単に乗り越えてくる存在だった。
こいつは、俺の苦労なんかなんも分かっちゃいないんだろうな、と
目の前で機嫌よくふさふさ揺れる若草色の髪をみていると、アルトは小憎らしくなってきた。
「なあ、お前の髪ってさ、どうなってんだ?」
「え、髪?」
自分の身体の一部を、アルトに話題にされたことにびっくりしてランカは聞き返した。
「どうなってるって、こうなってるけど」
犬耳のような両ふさの髪を掴んで、持ち上げて見せた。
「いやいや、なんかさ、なんでそんなにいつも跳ねてるんだろうなーって思ってた」
「うそ、跳ねてる?!」
青い顔をしてランカが髪を押さえた。
ああ、こいつの目まぐるしく変わる表情見てるだけでも、面白い。
アルトは吹き出しそうになるのを堪えた。それ見たいからってからかうのは可哀想だよな、
と思うがやめられない。
「お前の意志で動いてるように見えるぞ。アンテナかもなそれきっと」
うむ、と納得したように顎に手を当てて頷いている。
ランカは不安げに自分の髪を撫でつけた。
変なのだろうか、しかし生まれたときから自分はこの髪型なので、どうしようもない。
「へ、へん・・・?」
おそるおそる聞くと、「へんっていうか、面白い」
とアルトがにやにやしながら言った。
がくっと、ランカは肩を落とす。髪型が面白いと言われて喜ぶ女の子がいると思っているのだろうか。
アルトを恨めしく思う。もっとも、アルトの辞書に“女の子の喜ばせ方”など
載ってるはずがないのだが。
そうこうしているうちに、学校に着いてしまった。
もうちょっとアルトくんと、楽しい会話したかったなぁ。ランカはがっかりした。
ランカの予定では、ツチノコの話にアルトが大きな興味を示し、「よし見つけにいくか」と
言ってくれるはずだった。それを髪型を面白いとのたまいアンテナ呼ばわりされ、
この下降したテンションのまま、さよならなんて(どうせ教室で会えるが)。
しかも、数十分前よりアルトが若干機嫌よくなったように見えるのは、気のせいか。
腹立ち紛れに、前を行くアルトの背中に思い切り、いーーっと可愛くない顔をして見せた。
「じゃあな」
ロッカールーム前で、微笑んだアルトが軽く手を上げた。
「うん」
そのしぐさだけで、ランカはもうすべてを許してしまう。
そうだよ、飛び切りポジティブじゃなきゃ、アルトくんに片思いなんてやってられないもんね!
初めてアルトがロッカーで手を振ってくれた時、嬉しくて飛び上がりそうになったことを
ランカは思い出した。一つ嬉しいことがあると、次はもっと嬉しいことが欲しくなる。
好きでいるだけで満足できた頃のほうが、幸せだった?
・・・・ それがわかるには、まだ途方もない道のりに、ランカには思えた。
アルトは吹き出しそうになるのを堪えた。それ見たいからってからかうのは可哀想だよな、
と思うがやめられない。
「お前の意志で動いてるように見えるぞ。アンテナかもなそれきっと」
うむ、と納得したように顎に手を当てて頷いている。
ランカは不安げに自分の髪を撫でつけた。
変なのだろうか、しかし生まれたときから自分はこの髪型なので、どうしようもない。
「へ、へん・・・?」
おそるおそる聞くと、「へんっていうか、面白い」
とアルトがにやにやしながら言った。
がくっと、ランカは肩を落とす。髪型が面白いと言われて喜ぶ女の子がいると思っているのだろうか。
アルトを恨めしく思う。もっとも、アルトの辞書に“女の子の喜ばせ方”など
載ってるはずがないのだが。
そうこうしているうちに、学校に着いてしまった。
もうちょっとアルトくんと、楽しい会話したかったなぁ。ランカはがっかりした。
ランカの予定では、ツチノコの話にアルトが大きな興味を示し、「よし見つけにいくか」と
言ってくれるはずだった。それを髪型を面白いとのたまいアンテナ呼ばわりされ、
この下降したテンションのまま、さよならなんて(どうせ教室で会えるが)。
しかも、数十分前よりアルトが若干機嫌よくなったように見えるのは、気のせいか。
腹立ち紛れに、前を行くアルトの背中に思い切り、いーーっと可愛くない顔をして見せた。
「じゃあな」
ロッカールーム前で、微笑んだアルトが軽く手を上げた。
「うん」
そのしぐさだけで、ランカはもうすべてを許してしまう。
そうだよ、飛び切りポジティブじゃなきゃ、アルトくんに片思いなんてやってられないもんね!
初めてアルトがロッカーで手を振ってくれた時、嬉しくて飛び上がりそうになったことを
ランカは思い出した。一つ嬉しいことがあると、次はもっと嬉しいことが欲しくなる。
好きでいるだけで満足できた頃のほうが、幸せだった?
・・・・ それがわかるには、まだ途方もない道のりに、ランカには思えた。
終わり