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macrossf-eparo

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810 名無しさん@ピンキー sage 2008/06/03(火) 19:21:26 ID:HsEDDTpB
ミハクラがとても気に入ったので一本書いた
寸止めですがどうぞ


811 おいかけっこ sage 2008/06/03(火) 19:23:09 ID:HsEDDTpB
 おいかけっこ


 狙撃の自信を取り戻せた俺は、SMSでの訓練にも身が入り、毎日が充実していた。
学校と訓練の繰り返しがこれほど楽しく感じられるのは、俺がSMSに入社仕立ての頃以来だ。あの頃は、クランと一緒によくしぼられたっけ。
 俺が銃を持つようになった理由は姉さんの事があったからだけど、クランには理由は無い。あえて理由を探すなら、多分、俺についてきただけだ。
我ながら傲慢チキな思考だとは思うけど、本当にこれしか理由が思い当たらない。クランとは幼馴染で、小さな頃の俺はクランの後ろを付いて歩いていた。だからか知らないけど、クランは俺の世話をみるのが当たり前になっていた。
 SMSに入社する事を打ち明けた時のクランの言葉は今でも覚えている。俺はてっきり反対されるかと思ったが、彼女はすんなり認めてくれた。そればかりか、クランは自分も入社すると言い出した。
当然、俺は理由を聞いた。そうしたら何て言ったと思う?
「私がいないとミシェルが寂しがるだろ」だとさ。そんな理由で命を落とすかもしれない職業に就けるかっての。俺は大反対してやったけど、クランを止める事はできなかった。
今となっては、俺より昇進してしまったから、仕事中は頭も上がらないけどね。

「よし、今日はあがるぞ」
 クラン大尉殿が訓練の終わりを告げる。汗ばんだ体をすっきりしようとシャワー室に向かおうとした時、腹の底に響く巨人の声に引き止められた。
「ミシェル、ちょっと残れ」
「なんだよクラン、特訓でもするのか」
「ま、まあ、そんなところだ」
 クランにしては珍しく歯切れの悪い返事だ。仕事中の彼女はいつでも軍人モードだ。ゼントラーディの血がそうさせるのだろう。
 こんなのでもとりあえず上司の命令だ。水浴びをするのは少しお預けにした。

 みんながシャワー室に引き上げて二人きりになっても、クランのやつはそっぽを向いて黙りこくっていた。特訓するんじゃなかったのかよ。
「で、何をやるんだ。射撃か、それとも格闘か」
「そ、そうだな……」
 オーダーを催促してやったら、今度は鼻の頭を指でさすりながら思案顔になりやがった。こいつ、なにも考えてなかったな。
 俺が小さく溜め息を吐くと、クランはやっとトレーニングの課題を出してくれた。
「駆け引きだ」
 だが、これがどんな特訓なのか全く見当が付かない。駆け引き? 戦闘に駆け引きは付き物だ。だけど、どんな状況でもそれはありすぎて、どんな訓練なのかは分からない。俺を馬鹿にしている可能性大だ。ちょっと反撃しておこう。
「駆け引きで俺に勝とうなんて百億光年早いんじゃないの」
「うるさい! それでも私はお前と戦わねばならないのだ」
 挑発してやったら、訳の分からないことを言い出した。なんか、話が変な方向に行っているような気が……。まさかとは思うけど、様子見に牽制してみるか。
「男と女の駆け引きでもするってか? やめとけ、それこそ百戦錬磨の俺に敵うはずが無いってもんだ」
「戦わずして負けるよりましだ」
 そう言ったクランは俺を真っ直ぐに見ていた。俺の軽口は止まり、呼吸をするのも忘れていた。クランは本気だ。
 ついに来た――というのがこの時の感想だ。俺もそこまで鈍感じゃない。クランの好意はいつも感じていた。
そして、そんな一途な彼女を試すように、俺はいい女を見つけては声をかけた。愛想を尽かして俺を忘れてしまうならそれでいい。深く愛し合ってから離れ離れになるのはもう御免だ。
 俺は恋に臆病になっていた。多分、大好きだった姉さんの事を引きずっているんだろう。それと、そんな俺をいつまでも見ていてくれるクランに甘えていたんだろうな。
 俺が半ばパニックになっていると、クランが駆け引きを開始した。もう戻れないようだ。
「夜、眠れてるか?」
 その言葉は胸にズシリときた。アルトを誤射で死なせかけた日、慰めに来たクランに俺はひどいことを言った。彼女の想いを知りながら、夜の相手をふざけて頼んだ。しかも、彼女の特異体質を馬鹿にしてだ。行き過ぎた悪ふざけだ。
 俺は後でそのことを痛烈に悔いた。でも、まだ謝っていない。これも彼女への甘えだ。今が謝る機会でもあるんだけど、そうは簡単にいかない。だって、そんなことをすれば確実に主導権を取られる。
 俺は逃げ道を探した。今のままの生温い関係を捨てたくなかった。クランにだけは嫌われたくなかった。
「バジュラが現れてから仕事がハードになったからね。おかげで熟睡できてるよ」
「そうか……。私は眠れない夜がつづいているんだがな」
 クランが物憂げに目をそらした。確実に俺を誘っている。でも、俺にその一線を越える勇気が無いんだ。だからごめん、またキミを傷つけることにするよ。
「お子様は遊び疲れれば爆睡するもんだ。ちっちゃくなって寝ればいいじゃないか」
「それはもうやった。でも、眠れないんだ。私にも、寂しい時はある……」
 怒って話が終わる目論見がはずれた。それとともに、ますます引き返せない事態に陥った。今日のクランは相当の覚悟できてるな。
 困って何も言えないでいると、クランの大きな目が揺れ始めた。まずい、不安になってきたようだ。
「そうだ、クマのぬいぐるみを買ってあげよう! こーんな大きなやつ」
「子供の姿になるからって馬鹿にするな! あれでも女なんだぞ」
 怒鳴ったクランの瞳から大粒の涙がこぼれ落ち、床を叩いた。
 涙を見せるなんて反則だろ。そんなことをされたら、もう意地悪ができないじゃないか……。俺も覚悟を決める時がきたようだ。
「悪かった。大通りの時計台で待ってる。本当にいいなら来てくれ」
「……うん」
 俺の態度が一変したのに驚いたのか、クランは素で頷いた。


 俺はシャワーを浴びて着替えると、夜の街に繰り出した。でも、俺はクランが待ち合わせ場所に来ないことも覚悟している。
なんせ、待ち合わせ場所はゼントラーディモールではない。クランはマイクローン化した子供の姿でくることになる。そんな幼い体で大人の男を受け入れるなんて恐怖以外の何者でもない。
 これは、俺が最後に作った障壁だ。ここでクランが退いてくれるなら、まだ曖昧な関係をつづけられるかもしれない。

 時計台を背にしていくらか待つ。俺は彼女が来ることと来ないことの両方に期待し、また両方に不安を持った。もう自分の感情がどうなってるのかも分からない。
 5分経ったのか1時間経ったのか分からないような精神状態で待つ。不安定な心情のせいか、大通りの人の波がスローモーションで動いているようにさえ見える。そして、クランは来た。
「すまん、待たせたか?」
 いつになくしおらしい子供姿のクラン。恐る恐るという感じで俺の顔を窺った。やはり、彼女は不安なんだろう。
 そして、俺も不安だった。嬉しいのと同じくらい不安だった。彼女のこんなに大きな愛を、俺は受け止めてあげられるのだろうか。
「いや、ついさっき来たところだ」
 クランを前にありきたりな言葉しか言えない俺。女の前ではクールな俺はどこへ行ったんだよ……。認めたくないけど、デートで完全にあがっているようだ。
「で、ミシェル、これからどうするんだ」
 モジモジしながらこれからの行動を尋ねるクラン。これだけで、俺の調子は狂いまくりだ。俺ってこんなにプレッシャーに弱かったのか?
「まずメシにしないか。訓練で腹ペコなんだ」
「うん、私もだ」
 無難に食事に誘い、俺たちは人ごみの中を歩く。途中、クランが手を握ってきた。これはデートなのだと再確認する。俺も手を握り返す。クランの手は小さくて温かかった。

 デートということで、食事はフランス料理が出るような店で取った。クランはがっつくことはせず、言葉数少なく料理を口に運んだ。緊張しているのだろう。
そう言う俺も、食事中は彼女と目を合わせることもできなかったんだけどね……。俺とクランがこんなに初々しいカップルになるとは思いもしなかったよ。

 食事後は、腹ごなしに街を適当にぶらついた。手をつないで歩く俺とクランは、周りからは仲のいい兄妹にしか見えないだろう。
だけど、俺は顔が火照るのを抑えられなかった。この小さな恋人と一夜を過ごすと考えるだけで、心臓が高鳴った。こんな兄がいたら変態だ。
俺も変態なのかもしれないが、この気持ちは相手がクランだからだと思っている。普段は子供を見て欲情したりはしない。俺の好みはグラマーなお姉さんなんだ。大きい時のクランのようなね。

「まだ歩くのか?」
 1時間も歩いた頃、クランが俺を見上げて言った。早くやることをやれってことだろう。心の準備ができてないのは俺の方だった。
 女にここまで言われてしまうのは男として情けなさすぎる。強がりでもいいので女をリードしたい。俺は勇気を振り絞った。
「そろそろホテルに行こうか」
 クランは顔をそらせて頷いた。オッケーのサインだ。俺は本当にクランを抱くことができるんだ。


 ホテルで部屋を借り、俺は先にシャワーを浴びた。バスローブをはおってベッドに腰掛ける。今はクランがシャワーで体をきれいにしているところだ。
目の前のバスルームでクランが体の隅々の汗を洗い流しているという事実だけですこぶる興奮した。クランは俺のために体の汚れを落としてくれているのだ。

 バスルームのドアが開き、バスローブ姿のクランが出てきた。一歩、また一歩とベッドにいる俺に近づいてくる。心臓がバクバクと音を立てているのが分かった。
 クランは隣に腰を下ろすと、小さく言った。
「……いいよ」
 俺はエサを前におあずけをされている犬の状態だった。その許しの言葉を聞くや否や、クランの小粒な唇を奪いにかかる。
 キスをしようと彼女の肩に手を置いた途端、天にも昇る勢いだった興奮は谷底へと突き落とされた。クランは震えていた。彼女の小さな肩は、わずかにだけど震えていた。

 俺はクランのおでこに髪越しにキスをして、両腕で全身を包むように抱きしめた。彼女の小さすぎる体は、強く抱きしめるだけで壊れそうなほど華奢だった。
こんなに幼い体で男を受け入れられるはずが無い。考えれば当たり前のことだ。俺はまた彼女に最低な行いをしたのだ。今度こそ、俺は謝らずにはいられなかった。
「ごめん、無理させて」
「なっ……、無理などしてない!」
 一瞬呆けたクランは、言葉の意味を理解して声を荒げた。ここにきて女として扱わなかったことに怒ったんだろう。
 クランが腕を振り払おうともがく。でも、力が全然及ばない。やはり体は子供なんだ。余計に俺の非道が悲しくなって、泣きそうになる。
「いいからやれ! 男だろ」
「できないよ」
「なぜだ」
「クランが傷つく」
「私は大丈夫だ!」
「大丈夫じゃない。そうなったらクランは俺を嫌う。それだけは嫌なんだ」
 勢いのまま、俺は口走っていた。クランには聞かせたくない本当の気持ちだった。俺はとうの昔からクランに惚れていた。
 一度決壊したダムの濁流は止まらない。俺は隠してきたクランへの想いをぶちまける。
「クランにいなくなってほしくないんだ。ずっと俺を見ていて欲しいんだ。だから、もうできないよ」
 クランを抱きしめて全てを吐露してしまった俺は、妙な安心感に満たされていた。多分、本心は彼女に気持ちを伝えたかったのだろう。
 いつの間にか、腕の中のクランはおとなしくなっていた。抱いていた腕から力が抜け、自然に目と目が合う。クランは自由になった腕を上げて俺の頭を撫でると、ふっと笑った。
「いつまでたってもミシェルは泣き虫だな」
 俺はとっさに頬に指を滑らせた。濡れてない。
「泣いてない」
「泣いてるさ。私には見える。そんなんだから、私も目が離せないんだぞ」
「悪かったな」
「しょうがないから、私がずっと見ててやるよ」
 クランはそう言うと、呆然としている俺の唇を軽いキスで奪った。俺は嬉しいやら何やら、どうにも言い表せない感情で胸がいっぱいになった。
 唇を離したクランは、こう付け足した。
「その代わり、ミシェルも私をずっと見てないとダメだからな」
 二人の夜は、本当に添い寝だけで終わった。


 あの夜に想いが通じ合った俺とクランだけど、今日も俺は彼女に追い掛け回されていた。
「待てえええ、ミシェルうううううっ!」
「へっへーん、できるものなら捕まえてみな」
「プリン返せええええ」
 クランのプリンを奪って逃げる俺。言っておくが、悪いのはあいつだからな。先に俺のプリンを食ったのは向こうだ。
 ぶつかりそうになったアルトとルカが呆れ顔で道を開ける。
「またやってるのか」
「ええ、よく飽きないですね」
 ルカはこう言ったけど、飽きるはずがない。逃げ続けるかぎり、クランが追いかけて来てくれるんだ。
 でも、あまりうまく逃げて捕まらないと、クランが拗ねちゃうんだけどね。
「つかまえた!」
 背中から飛びついたクランが両手足で俺を羽交い絞めにする。
「ほーら観念しろ」
「観念するわけないだろ」
「なんだとー!」
 捕まっても俺は笑っていた。


 終
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