魔人と姫勇者 中

(投稿者:マーク)


「はあ・・・・」
ローラは窓辺に肘をついてため息をついてフロレンツの海景色を見上げていた
彼女は連合軍司令部から一週間の休暇をもらい自分の素体だった女性の故郷であるここフロレンツの自宅(これまた素体のものだが)の一室に観光を兼ねて
同じく休暇をもらったリューマと帰ってきていた

だが彼女は朝からずっとこの調子である

事の発端は昨日に遡る・・・・





「部隊を抜ける!?いつ!?」
ローラの突拍子もない声がフロレンツのカフェテリアに響き、周りにいた客が何事かとふりかえり、ローラは気まずそうにジュースを一口すする

「一週間後だな、EARTHがこれから新設する部隊の隊長が俺の古い知り合いでよ、・・・俺の力が必要だって言われてな」
そんな周りの視線も気にせずリューマは自前の水筒から楼蘭酒をあおる、ローラもつられてコップに注がれたジュースをのむ

「いっ一週間・・・・・なんでもっと早くに言ってくれないんスかー!!」
ローラは不満げに言いながらコップに半分以上残っていたジュースを一気に飲む

「しょうがねえだろっ話が来たのだって三日前なんだよ」

「だからってーあたしとリュー君の仲じゃないっすかー」
ふてくされたように空になったコップに新たにジュースを注ぎふとたずねる

「そいやEARTHの新設部隊って部隊名は?」

「・・・・・セブンカーディナルシンズだ」

「七つの大罪って・・・・なんか嫌なネーミング」

「エスケープキラーだからな、最近増えてきたコア喰いメードもそうだし、最近ここらでコソコソやってる”軍事正常化委員会”の掃除も兼ねてる」

「・・・・要するに監視者ってことっスね 最近活発だからねぇー あの”ファンクラブ”も」

 -”軍事正常化委員会”一ヶ月前にエントリヒでクーデターを起こした組織で元々は国軍の参謀本部であった
グレートウォール戦線の各地に現われては各地で名の知れたメードをだまし討ちにしている
クーデターを起こす以前もエントリヒのジークと同期のメードを襲撃し一部を抹殺、
最近では他国のメードが襲撃されるケースも増えておりクロッセル連合国が誇る最強メードであるヘルを皮切りに次々と襲撃を受けたが幸い被害は出てはいない

ヘルは戦闘後の消耗しきったところを襲撃されたのだが偶然その場に居合わせたローラとリューマの助太刀もあり(それでもほとんどヘルの独壇場であったが)全て返り討ちにしたのだ-

「あーでもリュー君いなくなるのかー・・・・さびしくなるなー」
ローラは空を見上げさびしそうにつぶやく、その様子を見たリューマは咳払いをしてつぶやく

「・・・・・・に・・・・か・・・」
ボソリと

「え?なに?」
その声あまりに小さな声はローラには聞こえなかった

「いや、なんでもねえ」

「えー!!気になるよ!!言いたいことあるんだったらちゃんと言ってよ!!」
ローラはテーブルにバンッと手を身を乗り出しリューマに詰め寄る
リューマは覚悟を決めたようにため息をつき酒をぐいっと飲み干すと一言


















「おれと結婚してくれ」


「ほえ?」
















その瞬間空気が止まった、ローラだけではない、周りの客もウェイトレスも







全てが・・・とまり











「え・・ええ!?」
ローラは顔を真っ赤にする

「戦友としても一人の女としても一緒にいてほしいんだ」
涼しい顔で恥ずかしい台詞をはくリューマ・・・・微妙に顔は赤い

「返事はギリギリまで待つからな・・・・・考えといてくれ」
”おれは真剣だからな”そう最後にいい残しリューマはテーブルをたって二人分の金を支払い去っていった

一人残されたローラもさすがに周囲の視線に耐えられずジュースを飲み干すと光の速さで去っていった
今日ほど浴衣という目立つ姿をしていたことに後悔したことはない、むしろ初めてだ

ローラは部屋に戻るとそのままベッドに倒れこみ、火照った顔を冷やすように枕に顔をうずめた

”おれは真剣だからな”

先ほどのリューマの言葉が頭の中で繰り返される

メードである自分はそういったこととは無縁のものだと思っていた、しかし憧れがなかったわけではない

”どうしよう・・・・・”

あれこれ考えているうちにローラは夢へと引き込まれていき、現在に至るわけである


to be continued・・・






最終更新:2009年02月12日 22:33
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