あるインタビュー

(投稿者:エアロ)


世暦1940年6月 アルトメリア連邦・メード育成施設にて

それはある初夏の日であった。
私、エディ・アロラインは一人のメードと会談する機会を持った。
彼女の名はジョアンナ。
わが国最初のメードの一人であり、かの悪名だかき303作戦に従軍しながらも生き残った。
各地の戦線を転戦した後、彼女はメードの訓練官として残りのメードとしての時間をすごすとの事だ。


ここ、アルトメリア中部にある通称"メードの巣"の主として。


応接間に通された私は窓から訓練の風景を眺めている。
多種多様なメードが訓練を行っている様子が見える。
射撃、格闘術、剣術、隠密術。
一口にメードの訓練と言っても多種多様だ。
左を見ればガリング・ガントの爆音を響かせている者がいて、右を見れば剣で地面に立てられた棒を細切れにしているものもいる。
別のところでは組み手をしている、といった具合だ。

どのメードもここにしろ他の施設でにしろ、基本的な軍事訓練を受けたあと、"師匠"となるべき人物を探す。
この原稿を書いている現在(世暦1945年)、
わがアルトメリアのエースであるパトリシアは「楼蘭のスケベ剣士」の異名を持つツェダイ・マスター、ヨーダー・マスダの教えをこうた。
ラウンドスターズではおのおのが様々な格闘術・剣術・銃器使用を学ぶ。
そんななかで、「最初のメード」ジョアンナの目指したものとはなんなのか。
この文ではそれを彼女と彼女が育てたメードを通してみていこうと思う。


私が招じ入れられて数分後、ゆっくりと彼女は現れた。
「はじめまして、記者さん。何を聞くというのだね」
白い軍服を着た、鋭い視線の女性が彼女、ジョアンナである。
「ミス・ジョアンナ、お会いできて光栄です。今日はあなたが主催する訓練プログラムの様子を取材してくるように言われましたもので」
当時、駆け出しの記者だった私は臆面もなく答えるが、彼女はきりりとした目を崩さず口では微笑んで見せている。
「私の訓練の目的は明快だ。アルトメリア政府及び大統領に忠誠を誓い、星 輪 旗(ラウンド・スター・フラッグ)に命をささげるメードを育成する、というだけだ」
「それは私も理解しています、ですが、どういう目的なのか、どういった種別なのか、それをお聞きしたいと思いましてね」
私は言った後何だか違和感を覚えた。
メードならば戦うことが目的に決まっているし、その戦いも今人類を悩ませている巨大昆虫、通称「G」を排除するためのものだ。


しかし、ジョアンナの言う言葉は私に違和感を抱かせた。
「もし、仮定するとしよう。Gは確かに脅威だが、虫たりえているうちはまだ脅威ではない、数が多いだけのでかい虫けらだ」
「ええ、まぁ、たしかにそうはなりますけどね・・・」
同意はしたものの、私の心の奥底には疑念があった。
虫がそこまでの知能を持ちえるだろうかと。
現に社会性昆虫というものはいるが、それが巨大化しているわけではないのだ。

そんな私の考えを見透かしてか否か。
ジョアンナは藤色の瞳に光をたたえて口を開く。
「しかし、こうは考えられないか?Gの中に知能を持った、例えばメードやコアを取り込むなどして"進化"した個体がいるならば」

私は正直耳を疑った。
「・・・そんなことが現実に起こりえるんですか? いや、G自体生物進化の系譜からしてありえない種であることは明白なのは存じていますが・・・」
Gは何でも食べるというのは知っているが、メードやコアすら食べるなど信じられるだろうか。
少なくとも当時の私は彼女の話を聞いても、頭から疑問符が消えなかった。


しかし彼女は落ち着いた口調で切り出した。
「私は見たのだ、そんなヤツを・・・」
「ほう、詳しくお聞かせ願えませんか」
私は興味深げな彼女の話に備えメモ用紙を取り出す。


彼女の回想が始まる。


最終更新:2009年03月16日 18:15
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。