(投稿者:店長)
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これはある、一人の重要人物が重傷を負ったという事件の裏である。
それは表向きの話である。その真相を知るものは少なく、その当事者らはもっと少なかった。
遡ること、大よそ四年ほど昔の話。
遠い遠い海の向こうから、ある一機の将校等の要人を輸送するための飛行機がやってきた。
その飛行機は数多の護衛戦闘機を従えていた。
そして目的の空港に着陸した飛行機に、空かさずザハーラに展開している楼蘭の兵士らがやってきては、すぐに周囲を固める。
その様子から、ただことではないことは明らかであった。
「信濃内親王殿下に、敬礼!!」
最も階級の高いであろう楼蘭軍人が、大きく叫ぶのと同時に軍靴を鳴らし敬礼をする。
その後ろには影のように目立たぬ男がいた。しかしその身のこなしは明らかに、戦塵で生きてきた挙動そのものだった。
そしてタラップからゆっくりと降りてくる一人の少女。
その格好こそこの地での動きやすさを考えられていた簡単な袴姿にブーツと和洋折衷な格好であったが、
その気品さは微塵もそこなわれていなかった。
そう、彼女こそは……信濃内親王。現
楼蘭皇国が皇女の
一人であった。
「──」
その姿を見、兵士達が一斉に息を呑む。
そして最も階級の高い……将軍が信濃の元へと歩み寄っていく。
信濃はこの場にいるものたちの中でも低い身長であったが、その存在感は一際際立っている。
「良くぞいらっしゃいました!殿下」
「うむ。汝らもご苦労であったな」
この場にいる全員に対して、いたわるような笑みを浮かべる。ザハーラの太陽よりも、彼らにとっては眩しい。そんな存在であった。
「殿下にお越しいただき、軍一同は感激しております」
「妾にできることはこれぐらいよ」
やはりこの御方は違うのだと、童元は兵士達の様子を見て思う。
英雄たるものには、なんらかの輝きがある。多くとも少なくともだ。
「して、そちらにいるのは?」
「はっ、我が国の核人戦力である童元です」
信濃の好奇心と興味とが、童元のほうへと注がれていく。
初めて軍務に就いているメード、それも男性型のそれに対して、信濃は目を合わせる。
ちなみに当時一部の部隊では未だに男女問わず、メードのことを核人という呼称で呼んでいた。
「童元と申します。殿下。以後お見知りおきを」
童元にとって、この目の輝きは眩しすぎたと感じた。
荒れ果てた戦場の中で闘ってる彼に、眼前の彼女は清涼な湖か何かを連想させる。
「この者が殿下の警護を務めます」
「そうか……よろしく頼むぞ。童元」
「我が身に変えても」
その様子に信濃は貴人らしく麗しく、それでいてそよ風のようにやさしく微笑みかける。
「それでは陛下、まずは今宵の宿までご案内します」
将軍の案内をうけ、信濃は用意されていた乗用車へと乗り込み、童元もまた用意されていた車へと乗り込む。そのとき童元は本能に近い直感で思ったのであった。
──信濃は確実に王の器である。故に護らねばならない。と。
☆
宿に到着した信濃は旅装を解くと、童元に自分の部屋まで来るようにと指示を出した
何故自分がと思いながら、童元はドアの前に立ってノックをする。
「お召しにより、ただいま参りました」
「うむ。入るがよい」
中から静かながらもよく通る、明瞭な声が聞こえる。
「失礼いたします」
部屋に入ると、備え付けのソファーで腰掛けている信濃がいた。
片手に陶器でできたカップ、もう片方にはザハーラの言葉で書かれていた本を持っている。
「ふむ。この地にはクロッセルやエントリヒで飲まれている紅茶があるようじゃな。我が国の茶とはまた違った風味がある……」
「それぞれの国の風土が混じり合っているのが、ここといってもよろしいでしょう」
おそらくは近くに軍施設があるために、こういった余所行きの嗜好品──葉巻や酒、
そして紅茶など実に多彩である──が多く出回っているのだろう。
童元は直立したまま喋る。
やはりどこか緊張しているのだろう童元に対して、呼び出した本人である信濃は穏やかな表情を浮かべながら言葉をかける。
「常に緊張してはいざという時に困るであろう。楽にするがいいぞ。童元」
「されど、ある程度緊張しなければ、殿下を護衛できませぬ」
こう言葉で言いつつも、促された故に一応はとソファーに座る。
流石に殿下の言葉に逆らうわけにもいかない。
「うむ。先ほどの言葉どおりじゃ…このザハーラには数多の国の軍が割拠している。その理由、わかるであろう?」
「もはや自明の事ですな」
楼蘭は無資源国家である。
産出する資源こそ種類は豊富だが、到底自国内の消費を賄えるほどに調達できないのが楼蘭の地理学的特長である。
そのため大半の資源を輸入に頼っているのが現状なのだ。
そして資源の輸出する国家こそ……このザハーラである。
様々な資源を、特に石油資源をこの国から調達している楼蘭にとって、この国家の陥落は己の生命を脅かすことになるのだ。
それはこの国から輸入している他の国家も同じ。
故にここは絶対防衛拠点であり、最大の激戦区となっている……。
「そう…そして、楼蘭にとってこの戦線はまさに生命線じゃ。
汝らはこの地で戦うことで国を守ってくれている……本当に感謝しきれぬ」
「その言葉は兵士達に仰ってください。彼らも喜びましょう」
「うむ。この度の訪問はまさにその為に参ったのじゃ……道中は頼むぞ」
「お任せ下さい、殿下。…殿下はごゆるりとお休み下さいませ」
そうさせてもらうがの。と信濃はその長い髪をはらりと払いながら童元を見る。
「うむ。して童元。前線の兵士らに必要なものはなんじゃ?」
「……必要な物でございますか?」
問われた童元は真剣な表情になり、考える。これは軍としての意見を言うべきなのか。
それとも一個人としての意見を言うべきなのか、思考する。
「うむ。妾にできることといえば物を送ることぐらいじゃ。前線の兵士らにとって欲しいものがあれば申し出てもらいたい」
確かに、と童元は信濃の考えを理解し感服する。
故郷から遠き、環境が違いすぎるこの戦場は楼蘭の民にとってまさに異界。
日々の損耗率も省みると心細さもまた一段と強い。
「……やはり祖国の食材でしょうな。米や味噌汁などを」
「なるほど。本国に戻ったら妾の方から語りかけてみよう」
少しでも祖国を思い出せるとなると、やはり食事だろう。
自分が生まれ育った地の食べ物を食べるとき、懐かしさを感じるのだと告げていた。
──故郷の味噌汁を飲みたい。
そんな兵士らの呟きを思い出した童元は告げる。
「お願いいたします」
「うむ、任せておくがいい」
「……ありがとうございます」
彼女は懐から取り出した自身の帳簿にすらすらと文字を描いていく。
物資輸送の件を真剣にメモにとっていく様子に眼前の彼は期待が膨らんだ。
「さて……せっかくじゃ。付き合え」
記帳しおえた信濃は紅茶をもうひとつのコップへと注ぎ、童元の分と思う割れる一杯を用意する。
「……私が、でしょうか」
「そうじゃ。その場に汝以外いるまい?」
「……よろしいのですか?」
「構わん。むしろ汝の口からいろいろと聞きたいしの」
「……では私でよろしければ」
その後、話を聞いたりしているうちに、信濃は童元を強く信頼しはじめる。
政治の中での懸念材料なども、そのときにつぶやいた。
前線では前線の、本土では本土の戦いがあるのだということを、嫌というほど知った。
それも銃火を交えない、それ以上に黒々とした欲同士が争う世界。
「まったく、政も難しいものよ」
「政、でございますか。……人間の欲、そのものが絡みますからな」
そのことは童元自体が常に感じていることだった。
政府レベルでは険悪な国同士でも、こうして他の国の人と顔を会わせてみれば互いの先入観など消えてしまう。
ザハーラで各国が共同で戦線を維持している現状でもそうだ。
上層部はいがみ合いながらも、前線の兵はそんなことはない。
最も、目の前の恐怖と死の代名詞となったGの侵攻にそのことを気にしていられないというのもあったわけだが。
「うむ。決して人間全て聖人ばかりじゃない故にの。……わらわとて、政をする人間にとっては便利な駒に過ぎぬかも知れぬ」
信濃は独り言のように呟く。
現在楼蘭の朝廷では幾人かいる皇子や皇女──内親王らに取り入っては自身の権力を増大させようとする輩がいることを。
その中には他の皇族を亡き者にしようとする考えの持ち主もいるという噂があることを。
「……殿下」
「なんじゃ?」
「殿下は駒ではございません」
「そうじゃな……そうでなくてはいかん」
最初に淹れた紅茶は、やや温くなっていた。
☆
──計画のほうは?
──順調だ。全ては手はず通り。
──施行者は?
──すでに待機中だ。いつでも。
☆
信濃は童元を伴って一般の楼蘭からの来訪者としてザハーラの街を歩き、
各拠点に赴いては兵士らとメードらに労いの言葉を投げかける。
そうした日程も、丁度次で最後の訪問地という段階になった。
どの基地でも殿下がやってくると聞いて、非番の者はほぼ全員が駆けつけるという有様だったという。
半分は珍しいもの見たさで着たであろうが、
彼女が彼らに対して礼して労いの言葉を投げ打つのを見た彼らの中には涙を浮かべるものがいたという。
「ふう、長かったようで短い旅路じゃった」
「お疲れ様です。殿下」
「何を言っておる。それは明日に言うべき言葉よ」
本日の宿にチェックインし終えた信濃は苦笑しながらも、信濃は今まで警備を務めてくれた童元に対し労いの意味を込めて紅茶を淹れる。
熱い湯気の立つ紅茶を童元は礼をしながら飲む。その行為はもう習慣になっていた。
「殿下のお気遣い、きっと将兵らにとってかけがえの無いものとなりましょう」
「そうか……少しは皆の役に立てたか」
自分の分の紅茶を注ぎながら、信濃は童元の向かいに座る。
こうして紅茶を飲むことは出来るのはそう多くないと分かっている信濃は、この時間を大事にしようと考えていた。
静かながらもどこか和やかな雰囲気が部屋に満ち始める。
だがそれが満ちる前にドアを慌しく、それでもできる限り控えめに叩く音が聞こえた。
「信濃内親王様、緊急の連絡が入りました」
「──入れ」
信濃がその様子に只ならぬ事が起きたと認識し、入室を促す。
飛び込むように入ってきたのは軍服を着た青年兵である。
その顔や首筋にしっとりと汗が吹き出ており、息も荒々しい。
「先ほどこの地に向けてGが侵攻を開始したとの報告です! 周辺にいる戦力は即刻召集せよとのことです」
どうやら最大級の緊急事態が舞い込んできたことを、童元と信濃は即座に認識した。
「……殿下」
「分かっておる。お主は早急に戦線に赴くがよい」
「御意」
童元は一礼すると駆け足で部屋を後にしていく。
この時、童元はこの行動に対して死ぬほど後悔することになる……。
☆
──現地より報告。陽動に成功しました。
──よし、では次の段階に。
──信濃内親王には、表舞台から退場していただこう……。
☆
童元が急いで駆けつけた戦線は……静かだった。
「どういうことだ?」
静寂を保つ砂漠に、いつもの硝煙と血霞の匂いも無ければ双方いずれかの屍もない。
そこにいる兵士なんかは、またとない休息のために零れた欠伸をしている始末。
「どうしたのですか?」
「……この戦線にGが来たという報告を受けたのだが?」
「え、そうなんですか?」
ありもしない襲撃の報告。
信濃の警備を担当していた童元がいないというこの状況。
そしていつかいっていた信濃のあの言葉。
──権力のために妾を暗殺しようとする輩の噂を聞く。
元々多人数に守られるのが嫌いな、信濃を現在警備しているのものは……皆無。
まるでそうなるように仕向けたかのような虚偽の報せ。
──図られた!!
即座に、可能な限りの速力で信濃の元に向かう。
その表情は、必死さで強張っていた。
☆
「……戦線は大丈夫であろうか」
窓を眺めていた信濃は、その先にあるであろう戦線の安否を気遣っていた。
その先で、今頃楼蘭の兵が戦っているのであろうと考えただけで胸が締め付けられる思いをしている。
この時信濃は己の無力さを痛感する。可能ならば、銃や剣を持って戦いに臨みたい。
だが一方で冷静な部分では、自分がそのようなことをするべきではないと分かっていた。
自分にしか出来ないことを責任もって行うことが、前線の兵に報いる方法である。
その両者の葛藤が、信濃の胸の内で行われていた。
暫くの後に、ドアをノックする音が聞こえる。
何か報せが入ったのだろうか?
信濃はゆっくりとドアの方に向かい、そして開ける。
眼前の人影を認識しきる前に、
どすっ…。
「あ……」
激痛に声が漏れる。
信濃の腹部に、刃物が生えていた。
そのまま信濃は暫く立ったまま、眼前の刺した本人を睨む。
──先ほど急報を告げに来た青年兵が、ほくそえんでいた。
☆
信濃の宿泊する施設の周囲には、既に多くの人垣が作られていた。
ただし、それは一般人ではなく悉くが楼蘭軍の軍人であったことが周囲に対する強い威圧感として原住民を圧倒した。
童元はその中で、将軍の姿をみた。
「……童元」
こちらに気づいた将軍の表情は穏やかとは程遠い表情を浮かべている。
その眼光はまさに黒く固まった溶岩である。
一見静かに見えるが、その奥に煮えたぎる何かを湛えている。
「してやられたわ……国賊どもにな」
「……真に、申し訳ありません」
「──暫く謹慎しているがいい」
将軍の言葉は童元に重々しくのしかかる。
その後童元は兵舎にて自室謹慎の処分を受けた。
最も彼自身仮に謹慎を受けなくとも自室から出ることを考えられぬほどに落ち込んでいた。
──私は、あの方を守ることは出来なかった。
あの時早々に出撃しなければ……。もう少し情報の確度を確かめてから行動するべきだった。
後悔はいくらしても足りない。場合によっては自分の首を括ってしまいたいが程の自責を感じていた。
それを止めたのは……再び将軍に呼び出された折に告げられた情報であった。
「……童元、出頭いたしました」
「よろしい。……これから告げることは他言無用だ。墓下まで持っていってもらう」
空気が、一段と重くなる。最高機密をこれから告げられることは予想できた。
それはきっと、殿下に関わることであろうことも。
「信濃殿下は……信濃内親王は、実質お隠れになった」
「……実質、とは?」
そのとき童元の声は、震えていた。
最悪の想像が、次の瞬間に現実化した。
「──殿下を、核人として存続させる。近衛師団上層部はそう決定した」
「……」
「童元。本来ならお前は極刑に処すところだ……」
こつ、こつ、と部屋に響く将軍の軍靴の音。
「だが、信濃内親王の……殿下の言葉を承っている。童元は自分が送り出した。故に責は無しとな」
「殿、下……」
童元はぽつぽつと涙を零す。
顔は歪まずとも、双眸から流れ落ちる水を止めることはできなかった。
彼女の優しさ、そして信濃の温情にすがる自分のふがいなさ故に。
「それに、私自身許せんのだよ……殿下を私利私欲が為に手を出した輩をな」
将軍は歩みを止め、童元に対し通達する。
「お前を国外追放とする。──その前にお前に楼蘭軍人として最後の命令を下す」
童元はその命令を承る為に耳を傾けた。
☆
ザハーラ共和国、某所。
薄暗い地下室の中、幾人かの人物が談笑している。
その机の上には現地の現金がぎっしりと詰まったトランクが開かれていた。
札束を一つ手に取り、バラバラと捲りながら一人は呟く。
「女一人殺すだけでこれほどの金額をもらえるとは……」
「おっと、あんまり言うなよ?」
「わかっているって……」
彼らは信濃暗殺の為にやってきた実行犯達であった。
虚偽の情報を流し、警備を手薄にしたところで軍人に成りすまして接近し……刃を突きたてる。
彼女を亡き者にすることを目的とする者たちからの援助を受けていた彼らの仕事は実に簡単であった。
最も、彼らはどんな人物を殺害したのかは知らなかった。ただ裕福な楼蘭人である事だろう事ぐらいしか。
コツ、とブーツの音が聞こえる。
そこには現地の人々が砂から身を守るために羽織るケープを纏った人物が。
この場所は誰にも知られていないはず。なのに……。
「──何も」
何者だ、と彼が告げる前に……彼は悲鳴すら上げる間もなく。
何故自分が鈍い音と共に背中側にいる筈の仲間を見えるようになったのかを唖然とした表情で問う。
それが彼の最後の思考。
「ひっ……」
残った者たちは得体の知れないモノに対して銃を向ける。
一歩一歩、踏みしめる度に威圧感が増していく。そんな相手に彼らは震えるのみだ。
迫る人物の背後で、首を百八十度ほど捻じ曲げられた男が膝から崩れ落ちる様を見ながら、
口からは嗚咽じみた呼吸しかあげれないでいる。
「──うぁぁぁぁ!?」
恐怖に心を軽々とへし折られた一人は、仲間だったモノを殺した人物に対して発砲。
──しようと意思を込めるものの、銃声は鳴らない。
腕は既に、無残にその生々しく引きちぎれた断面を見せている。
襲撃者の一手は、生乾きの小枝をへし折るように破断される。
「唯では殺さんよ……」
漸く、襲撃者は語る。
その声は酷く平坦で感情の起伏が見られない声色だ。
腕を破壊された男は、その場で千切れたソレを抱えて蹲る。
頭が低い位置に下がったところを見計らったか、眼前の人物は蹴り上げる。
首がその力に耐え切れず、頭部はサッカーボールのシュートのように壁へ激突する。
蹴った本人は醜い石榴が弾ける様子を見向きもせず、最後の一人を見据えた。
最後の一人は腰が抜けたのか、尻餅をつきながら賢明に這い、壁際まで逃げる……
いけもしない壁の向こうへ、逃れようと手と足を動かしている様はなんとも無様であった。
黒々とした感情が巡る。
押さえ切れんばかりの殺意を制御していながらも、一部は溢れることを感じながら……。
「そう、お前だけは……」
彼は、最後の……直接信濃に刃を突き立てた青年に拳を何度も振い。
ぺちゃり、とその度に彼の……一般市民に扮した童元の拳と頬に血液が付着した。
☆
見事復讐を完遂させた童元だが、その心は晴れることは無い。
掛替えのない、守ると誓った信濃を守りきることができなかったからだ。
そして彼は失意を胸の奥へと沈め、ザハーラから何処となく去っていく……。
それから暫くして、彼はある男性とめぐり合うこととなる。
信濃は無事メード化手術を受け、世間では重傷から復帰したという情報が世界中に発信された。
その後、暗殺を危惧した皇室関係者は信濃内親王を公から隠すようになったという。
だが、実際は彼女はメードになっていることを隠蔽するための工作であったのだ。
その事実は、今も硬く封じられている。幾重もの
帳の向こうに。
──後に悔やむモノの思いも、また。
関連
最終更新:2008年12月30日 14:02