――――――は砕けない。

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mangaroyale

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――――――は砕けない。 ◆33iayeGo/Y


バスケットボールの跳ねる音が体育館に木霊する。
それは少年の手から放たれ、美しすぎる軌道を描きながら籠へと吸い込まれていく。
まるで籠までレールが敷かれているかのように一つ、また一つと少年は一つも逃す事無く次々と籠へ放り込んでいる。
最後の一つは自らが駆け込み、その手で籠が壊れる程強くボールを打ち込んだ。
誰かが憧れるような強く雄々しい「スラムダンク」と呼ぶに相応しいシーンだった。

「まさか、俺らがプログラムに選ばれるなんてな……」
バスケットゴールの下で小さく呟く。
大東亜帝国の国民なら誰もが知っている「プログラム」、中学生を集めて殺し合わせる。本質的に見れば微塵の必要性も感じない出来事。
だか、それが通るほどあの政府はイカれていた。無論、それも今に始まったことではない。
しかし、どうも腑に落ちない点が数点ある。
「プログラム」は中学校の一クラスを集めて実行するはずだが、あの場所で確認できたクラスの人間は杉村ぐらいで七原や他のクラスメイト達の姿は全く見当たらなかった。
これも政府の「プログラム」の一つなのだろうか?
しかしそうだと考えると、メルヘンやファンタジーの中のような人間たち(またはそれらになりきっている人間?
とにかく中学生ではない人間達)と殺し合わせる理由が考えつかない。
ひょっとしたら最初の場所の男から既にに政府の人間ではなくて個人の楽しみで実行しているのかもしれない。
あまり考えたくないがメルヘンだとかをすべて否定することなく受け入れたとして。
あの男が「異世界の人間」で「異世界の人間を集めてプログラムのようなものを実行している」と考えれば、頭がどうにかなりそうだがある程度は納得がいく。
しかしそれでも「プログラムを実行する理由」だけが思いつかない。
異世界の人間だと決め込んでしまえばそれこそSFチックな理由があるのだろうが……?
そういえば英霊がどうのこうのとあの老人は言っていたが、その英霊とやらが奴の目的に関わっているのだろうか?


「あああああ!! もうわかんねぇ!」
体を大の字にして寝転がる。考えることは後でもできる。
ここがどこにしろ死んでしまっては元も子もない、今はまずは自分の身を守る事が最優先。
考えていたら拳銃で頭を貫かれて気が付いたらお陀仏でしたなんて、笑い話にもなら無い。
「デイパック……開けるか」
中にはコンパスやら地図やらサバイバルに適した道具、そして名簿と二枚の奇妙な紙が入っていた。
名簿の中にはやはりクラスの人間の名前は四人分しかなく、ルイ十何世のフルネームみたいな名前やら他中の人間、到底人間の名前とは思えないような者までいる。
名簿の最後の方の紙の解説を読むと、「この紙を開くと、表紙に書かれた物が出て来る」らしい。
出した後神に戻す事が不可能な上、紙を破壊されると中のものまで破壊されるとのことだ。
んなわけねーだろ、と思いながら奇妙な紙の一方、「クレイジー・ダイヤモンドのDISC」と書かれた紙を裏面の解説もロクに読まずに開いてしまった。

中から出てきたのはパソコンに入れるにはすこし大きすぎるディスクが出てきた。
残った紙に解説が書かれているのにようやく気がついた彼はその解説に目を通す。

――頭に入れて使用してください、東方仗助のスタンド能力「クレイジー・ダイヤモンド」が使用可能になります。
  この場所内では「物の修理」のみ可能です、怪我の治療はできません。
  また、「物の修理」と「戦闘での使用」には使用者の体力を大きく消費します。

「オーケイ、落ち着こう。このどでかいディスクを頭にぶち込む……ねぇ」
突っ込みの叫びが響くまで、数秒もかからない。
普段はクールな彼でもココまで非現実な物体を突きつけられて冷静でいられるわけが無い。
頭に突っ込むという動作、何の事は無いただの動作なのだがこのディスクは「ヤバい」という気持ちだけがあった。
全身から嫌な汗が吹き出る。ディスクを持つ手もガタガタ震えてくる……。
「ああ! もうどうにでもなれ!!」
ついに吹っ切れた彼は頭の中にディスクを――――――――。

「あれ?」
入れた、入れたはずなんだが……どうにもおかしい。
頭の中に何かが入っていくと言う感覚はそんなに無かったし、入ったからといって別段何かが起こったわけでもない。
「……おかしいな、確かに入れたんだが……クレイジー・ダイヤモンド!!」
叫んだ直後に腰を抜かす事になるとは全く考えていなかっただろう。
彼の上半身近くから、人間のような「モノ」が現れたのだ。それは彼の目の前でじっと立っている。
慌てて説明をもう一度読み返し、目の前の「モノ」の扱い方を探す。

――尚、現れたスタンドは使用者の念、つまり思考と直結して動きます。
  殴れと思えば殴りますし、防げと思えば防ぐ事ができます。
  剣として使うか、盾として使うかは使用者次第ですが、射程が短い(使用者から1~2m程)のでそこは考えましょう。
  最後に、使用しないさいは「戻れ」などと適当に念じ、姿を消しておきましょう。
  スタンドを出しているだけで体力は吸い取られる上に、スタンドを攻撃されると直接そのダメージが使用者へと跳ね返ります。

「ご丁寧にどうも……」
戻れと試しに念じてみると目の前の「モノ」はフッと姿を消した。
どうやらこれがスタンド能力という物らしい、理解したくないが理解してしまった。
たった数分の出来事なのに、体育の時間の数倍程どっと疲れてしまった。再び、彼は体育館に大の字になって寝そべる。
だが、残酷にも神は彼にひと時の休息も許さない。

ぶっきらぼうに体育館のドアを叩く音が数回鳴る。
「もしもォし! ノックしてもしもォし!」
デイパックは近くにあるが中に銃器が入っていたとしても取り出すのに時間がかかる。
かといって得体の知れないこの能力に頼るわけにも行かない。
しかし相手が乗っていたらどうする? いや待てよ乗っているとすれば――。

思考の途中でドアは蹴破られた。その先には彼より少し背の高い青年が立っていた。
その青年に対し、彼が取った行動は……。
「待ってくれ、こっちに戦う意思は無い」
投降、もちろん形式上のものだったが。
相手が飛び道具を使うのならば、不安だがこの能力に賭けようという分の悪すぎる賭けに出たのだ。
幸運だった事は目の前の青年が――。
「なァ~んだ、助かったぜ! 俺はジョセフっつぅんだ、宜しくな!
 ところでお前なんて言うんだ?」
「あ、俺か? 三村だ、三村信史。宜しくな、ジョセフ」
ゲームに乗っておらず、ジョセフの武器が貧相なものであった事。
なにより、彼自身がゲームに乗っていない人間であった事だ。
もし、彼がゲームに乗っていたならば、握手ができるより少し遠い距離から彼の能力の餌食になっていただろう。
そう、ジョセフは三村ならば一撃で気絶させられるほどの強い力の「波紋使い」だからだ。
相手がもしゲームに乗っていたときの対抗手段はしっかり出来ていたからこそ、三村に近づいたのだ。
双方共に対策がしっかりしていて、なおかつ幸運だったのである。

「……でヨォー、するってェーとつまりこれはその殺し合いをするためだけじゃなく。
 なんか別のことがしたくてあのジジイはこんな頭の沸いたことを考えたわけ?」
「ああ、俺らの国にあるプログラムにだって一応ただ殺し合いをしてるだけじゃないからな。
 だから、このプログラムに似たモノだって何か考えがあって行われる筈だ」
互いに乗っていないということが分った今、やるべき事は先ず情報交換である。
やはり三村が先に考えたのは「開催理由」である。
大東亜帝国の「プログラム」の理由は分りきっているため、若し選ばれてしまった場合何をすれば政府の目的の不達成となるかが分かるが。
今回はこの「プログラムに似たモノ」である、あの老人が何を考えているかは全く分からない。
しかし、逆に考えるのである。「あの老人が何を考えているのかが分かる」ことが出来れば、老人の目的を打ち砕けばこの殺し合いを止められるかもしれない。
この殺し合いが止まる可能性は僅かだが、賭ける価値はある。
「……まぁ、あのオッサンが何考えてるにしろ。
 俺らが死んじまったらどうしようもないからな、仲間と強力な武器が必要だな。
 先ず武器だが、俺の残りの支給品は……と」
デイパックの中に残されたもう一つの怪しい紙を見つめる。その紙の表には、「七原秋也のギター」と書かれていた。
今出してもいいが、確実に荷物になると思い。デイパックの中へとしまった。
「ダメだ……ジョセフ、あんたの支給品は?」
「ん?俺?このヨーヨー二つにトランプの出てくる銃に黒いタイツだぜぇ~~。
 油さえあればこのヨーヨーとタイツでカッチョイイ~!! 事ができるんだけどなぁ……」
油があってもカッチョイイ事は出来ないだろう、寧ろ相手をこけさせることぐらいか?
そんなことを考えていてもしょうがない、今の自分には飛び道具が無い。
このスタンド、クレイジー・ダイヤモンドでは遠距離の攻撃が出来ないため、無いよりはマシと思いトランプ銃を借りる事にした。
「次に、仲間だ。この名簿を見てくれ。
 この杉村弘樹ってやつは少し不安だが信頼できる、多分殺し合いには乗ってないだろう。
 あとはどうか微妙なんだが……ジョセフ、そっちは何か信頼できそうな奴がいるか?」
ジョセフは顎を持って、数分悩んだ。
苦悶に満ちた表情で、重く口を開く。
「ばあちゃんから少し聴いた事があるんだが、このDIOって奴は俺のじいちゃんが戦ってた奴でな……。
 悪の権化とも言えるから絶対に信頼しない方がいい、それと……」
うっすらとジョセフの額に汗が上り始める。
指が震え、名前を指す事も微かに出来なくなっている。
「空承条太郎、吉良良影……何故だ?知らないのに俺はこの名前を「知っている」。
 むしろこいつらを「知っている」。そんな気がするんだ……」
震えるジョセフを気遣う三村、ジョセフは手を突きつけて大丈夫と小さく呟いて汗を拭った。
「つまり信頼できるのは一人か……厳しいな。
 となると、強力な武器が必要だ。そこでこの地図を見てくれ。
 ここから南にスーパーがある、そこである程度の武器を作ろうと思う」
「武器ぃ?そんなの作れるのかよシンジィ~~」
ジョセフは信じられないと言った顔で三村を見つめるが、三村は偉く勝ち誇っている。
「こう見えてもそういう知識は結構あってね……出来るか出来ないかじゃない、やるんだよジョセフ」
その自信に満ちた笑顔に、いつのまにかジョセフも笑顔になっていた。
「よし、じゃあ行くぜ。スーパーによ」

二人はゆっくりと立ち上がる、これから迎える殺し合いの中で希望の光を探すために。
殺し合いの一日目が、今から始まる。

待ってろよクソジジイ、テメエの考えてることを全部ぶっ潰してやるぜ。



【D-5 総合体育館/1日目/深夜】
【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康。
[装備]:ハイパーヨーヨー*2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、江頭2:50のタイツ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:あのスカタンに一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ~~。
1:武器調達・作成の為に南(スーパー)へ向かう。
2:波紋を効率よく通すために油が欲しいぜ。
3:「DIO」は警戒する、一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。
4:ところで、何で義手じゃないんだ?
[備考]
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※承太郎、吉良、DIOの名前に何か引っかかっているようです。



【三村信史@BATTLE ROYALE】
[状態]:スタンドの使用により精神、肉体的に疲労。
[装備]:トランプ銃@名探偵コナン、クレイジー・ダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)、バスケットボール(現地調達品)、基本支給品。
[思考・状況]
基本:老人の野望を打ち砕く。
1:武器調達・作成の為に南(スーパー)へ向かう。
2:あの老人が「プログラム」をするメリットを考える。
3:集められた人間の「共通点」を探す。
4:念のためパソコンか何かが使えそうな場所を探す。
5:可能なら杉村と合流する、「DIO」は警戒する。
[備考]
※本編開始前から連れて来られています。
※この世界が現実世界ではないという考えを持っています。
※クレイジー・ダイヤモンドは物を治す能力のみ使用可能です。
復元には復元するものの大きさに比例して体力を消費します。
戦闘する事も可能ですが、大きく体力を消費します。


007:正義のカタチ 投下順 009:銀の道化師と痕面
007:正義のカタチ 時系列順 009:銀の道化師と痕面
初登場 ジョセフ・ジョースター 058:全滅エンド直行フラグ立ちまくり
初登場 三村信史 058:全滅エンド直行フラグ立ちまくり


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