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ハロウィン・ユーイ編

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ハロウィン・ユーイ編

夕暮れ時のセレスティア。
季節は冬の入り口に差し掛かっているせいか行きかう人もまばらになっている。
ユーイとエンジュはショッピングを楽しむためカンセールにいた。

「なあ、エンジュ。今日はいつもと店の雰囲気が違うな。どうしてだ?」

ハロウィンの祭りが近いとあって店内はハロウィン一色でそこかしこにオレンジ色のカボチャの装飾が施されていた。

「ああ、これはですね、ハロウィンっていうんですよ。」

「…はろうぃん…?」

「ええ。季節ごとに行うおまつりのひとつなんですけれど、ユーイ様の星ではなかったですか?」

「そうだな。”はろうぃん”って言葉は初めて聞くぞ。一体どんなことをするんだ?」

興味津々といった風にユーイはエンジュに問いかける。

「ええと、なんて言ったらいいのかな…。」

エンジュはどう説明したものかと辺りを見回した。
するとそこにはオレンジ色の大きいカボチャがハロウィン用にと山積みされていた。

「あ、ほら、このカボチャをですねー…」

エンジュがその大きなカボチャを指差した。

「ああ!それなら知っているぞ!じいちゃんに聞いたことがある。」

合点がいったとばかりにユーイがぽんと手を打つ。

「カボチャを食べて、それからユズの入ったフロに入るんだ。そうするとその冬は風邪をひかずに健康に過ごせるってやつだろ?」

どうも自分のところのハロウィンとはだいぶ毛色が違うようである。
しかしユーイはそうなのだ、と納得してしまったらしい。

「俺のところは緑のカボチャだったんだけど、このオレンジ色のもうまそうだ!ああ、ユズはどこだろ…?」

きょろきょろと店内を見回し、ユーイは果物コーナーの棚にお目当てのものを見つけた。

「…あったぞ!」

「あっ。」

エンジュの手をとり、ユーイは果物コーナーへと駆け出した。

「これをな、いっぱい風呂に浮かべるんだ。」

「わぁ、素敵ですね。」

「そうだ。今日はこれからお前のためにユズ風呂を入れてやるよ!」

「えっ?」

「こんな冷たい手をしていちゃダメだ。」

「ユーイ様…」

先ほどからつながれている手にユーイは少し力を込める。
四季のあるアルカディアは、店内にいるとはいえ聖地にいるよりずっと気温が低くエンジュの手はひんやりとしていた。

「本当に体がポカポカして一晩中ぐっすりと眠れるぞ!」

そういってにっこりとウインクするユーイにエンジュは頬を赤らめる。

「ありがとうございます。ユーイ様。」

「よ~し、そうと決まればこれを買って急いで館へ帰ろう」

「はいっ…。」


すっかり早合点しているユーイに

…ハロウィンってこんなのだったっけ?

と疑問を持ちつつユーイの思いやりとユズ風呂で身も心もあたたまったエンジュであった。

(おわり)



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