SILVERMOON
転校生来たる
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ここはスモルニィ学園。
先日までのローズコンテストの興奮さめやらぬ学園内。どうやらそのコンテストの当事者達がなにやらウワサ話をしているようです。
先日までのローズコンテストの興奮さめやらぬ学園内。どうやらそのコンテストの当事者達がなにやらウワサ話をしているようです。
「ねえねえ。今度この学園に新しい生徒がくるんだって~♪」
情報通のレイチェルがどこからかウワサを仕入れてきたようで、早速親友のコレットに教えています。
「新しい、生徒?」
機敏なレイチェルとはまるで正反対の、おっとりとしたコレットがきょとんとした表情で聞き返します。
「うん。なんでも学園長が直々に呼び寄せたんだって~」
「へえ~」
レイチェルの話では、この学園の生徒がより豊かな人間性を築くために、交換留学という形で他学園から優秀な生徒達を呼び寄せたということでした。
「どんな人がくるのかな~たのしみだね~」
そういってほえほえ笑うコレットにつられてにっこり笑ってしまうレイチェルです。周りにはなごんだ空気がただよいます。
「…って、そうじゃな~い!!!!」
「へっ?」
ついついコレットのペースに巻き込まれてしまうところを危うくとどまったレイチェルです。
「コレットがそんなだからスウィートナイツの方々をゲットできなかったんだよ!!」
コンクールではアンジェ(リモージュ)とロザリアは特定のスウィートナイツと仲良くなったというのに、2人はどなたとも特別な関係にはなれなかったのでした。
というのも、彼女たちに密かに好意を持つ方々はおられたのですが決勝に進めなかったため告白を受けるチャンスを逃していたのでした。
というのも、彼女たちに密かに好意を持つ方々はおられたのですが決勝に進めなかったため告白を受けるチャンスを逃していたのでした。
「いいっ?アンジェやロザリアたちを見返すためにも、転入生の方たちからステキな人を見つけてぜ~ったいゲットするんだからっ」
どうも2人に張り合っているだけのレイチェルです。
そんなレイチェルをただただぽか~んと見ているコレット。それに気づいたレイチェルはコレットに一喝します。
そんなレイチェルをただただぽか~んと見ているコレット。それに気づいたレイチェルはコレットに一喝します。
「コレットも!!絶対誰かゲットするんだよっ!ぼ~っとしてちゃだめだからね」
「うん。ステキな方たちだといいね」
わかっているのかいないのか、のんきな返事のコレットです。
「そうだよ~それが問題なんだよね。どうやら今日の放課後に学園長に会いに来るんだって。」
「今日の?」
「うん。…で、見に行かない?」
「ええ~っ!?恥ずかしいよ~」
「じゃあワタシひとりで行こっかな~♪」
「ああ~ん。いじわるしないでえ~。わたしも行くよ~」
やっぱり新しい転入生に興味のあるコレットです。
「ふふっ。キマリだねっ★」
してやったりのレイチェルがウインクします。
その日の昼休み。レイチェルがまたまた新情報を持ってきました。
「どこの学園から誰が転入するのかがわかったよ!ジャ~ン♪このプリントに書いてあるんだ。どれどれ…」
そのプリントによると…士官学校に芸術専科学校、はたまた異国の学校など多種多様です。
「へえ…ずいぶんいろんな所からいらっしゃるのね。」
「占星術の学校に商科学校…と、」
レイチェルの言葉がぴたりとやみます。彼女の声にあわせてプリントを読んでいたコレットは次に書いてある学園名を読んでみました。
「宇宙生成学研究学院??」
「ワタシの前いたとこだ…」
そういえば…とコレットはレイチェルが転入生だったことを思い出します。
「じゃあ、この”エルンスト”さんって知ってる人?」
ふと何気なくレイチェルに尋ねます。
「うん。ワタシのライバル…かな?」
そういって、懐かしそうな遠い目をしているレイチェルになんだか入り込めない物を感じるコレットでした。
「よかったね」
「何が?」
「その、エルンストさんに再会できるよ。」
「別にぃ~」
どうも素直になれないレイチェルです。
放課後…
吹き抜けになっている円形ホールのすみにあるベンチにコレットとレイチェルは座っていました。この円形ホールからは放射状に廊下がのびており、普段は生徒達であふれかえっている場所なのですが、土曜の放課後というだけあり2人以外にはだれもいません。玄関から学園長室に向かうには必ずここを通らないといけないので、ここで転入生のやってくるのを待ちかまえているわけです。
「う~ん…おそいなあ…」
「今日はいらっしゃらないのかも??」
「そんなハズないよ!!」
自分の仕入れてきた情報には絶対的な自信を持っているレイチェルです。
「…かといってここでぼ~っと待っているのもなあ…。そうだ、わたしジュース買ってくるね。」
「あ、わたしも行くよ~」
「だ~め。2人で行ったら見逃すかもしんないでしょ。いつものでいいよね?」
「あ…うん。ありがとうレイチェル。」
「しっかり留守番頼むよっ♪」
「は~い」
そういってにっこりほほえみレイチェルを送り出すコレットでした。
レイチェルの帰りを待ち一人ベンチに座っているコレットを物陰から見ている人がいました。
「う~む…」
彼の名はヴィクトール。
このたびスモルニィ学園に転入する運びとなった士官学校の学生です。学園長に指定された時間にはまだ早いのですが、何が起こってもいいようにと早めに学園に来たヴィクトール。
しかしこの学園はあまりにも広大な敷地を誇っておりどうやら迷ってしまったようなのです。ここの生徒を捜して道を聞こうと思っても放課後で、校舎内に生徒は見あたらずうろうろしていたところこのホールに行き着いたのでした。
すぐにも声をかければいいのですが物陰から伺い見る限り、その少女はすごく儚げで内気な少女に見えたのです。ヴィクトールの顔には額から頬にかけて傷が走っておりさらに持ち前の鋭い眼光と厳つい体格で士官学校時代は幾多の生徒達に一目置かれていました。そんな自分がいきなり声をかけて怖がられやしないかと心配なのでありました。
ただ道を尋ねるだけなのに何をそんな慎重に…と自分に言い聞かせようとするのですが、その少女にどうしようもなく惹きつけられる魅力を感じ、そんな少女に怖がられてしまっては、自分は立ち直れないんじゃないか…とつい声をかけるのをためらってしまうのです。
このたびスモルニィ学園に転入する運びとなった士官学校の学生です。学園長に指定された時間にはまだ早いのですが、何が起こってもいいようにと早めに学園に来たヴィクトール。
しかしこの学園はあまりにも広大な敷地を誇っておりどうやら迷ってしまったようなのです。ここの生徒を捜して道を聞こうと思っても放課後で、校舎内に生徒は見あたらずうろうろしていたところこのホールに行き着いたのでした。
すぐにも声をかければいいのですが物陰から伺い見る限り、その少女はすごく儚げで内気な少女に見えたのです。ヴィクトールの顔には額から頬にかけて傷が走っておりさらに持ち前の鋭い眼光と厳つい体格で士官学校時代は幾多の生徒達に一目置かれていました。そんな自分がいきなり声をかけて怖がられやしないかと心配なのでありました。
ただ道を尋ねるだけなのに何をそんな慎重に…と自分に言い聞かせようとするのですが、その少女にどうしようもなく惹きつけられる魅力を感じ、そんな少女に怖がられてしまっては、自分は立ち直れないんじゃないか…とつい声をかけるのをためらってしまうのです。
「あの…なにか??」
そんなヴィクトールの様子に気づき、コレットが声をかけました。気づかれてはいないだろうと思っていたヴィクトールは突然声をかけられ慌ててしまいます。
「あ、なんだ…その…」
「はい…?」
そうこたえながら小首を傾げ、にっこりとほほえみかけます。まさにそれは天使のほほえみで、ヴィクトールは思わず言葉を失ってしまいます。
「あの…?」
心配そうにヴィクトールの顔をのぞき込むコレットに気づき、あわてて取り繕います。彼女をこわがらせないように、ゆっくりと、優しい口調で…
「俺は、今度この学園に転入する者なんだが、どうも道に迷ってしまってな… 学園長室はどっちにいけばいいんだろうか?」
「まあ、あなたが今度…よかった」
「うん?なにがよかったんだ??」
「あ、あの、なんでもないです…。あの、学園長室はここの廊下をまっすぐ行ったつきあたりです」
”ステキな人で…”
ということばを飲み込み、コレットは答えました。その頬には心なしか朱がさしており、すこし恥ずかしそうにうつむくコレットの仕草はヴィクトールの庇護欲をかき立ててしまいます。
「そうか、じゃあだいたい道は合っていたんだな。いや、おまえのおかげで助かったよ。ありがとう…」
「いいえ、そんな。」
そういって恥ずかしそうにはにかみながら答えるコレットです。コレットにしてみれば無意識の仕草なのですが、やっぱり(?)またまたヴィクトールのツボにはまってしまいます。
こんな儚げでかわいい娘をここに一人おいて行くわけには…
ただ単にもう少し一緒にいたいだけなのですが、何故か言い訳めいたことを自分に言い聞かせてしまいます。
「…ああ…そうだ。面会の時間までまだ時間があるんだ。どうだろうか、ここで待たせてもらっても構わんだろうか。」
「あ、はい…。どうぞ。」
「俺は、ヴィクトール。士官学校からここに来たんだ。おまえは?」
「わたしはコレット。アンジェリーク=コレットです。」
これではまるで強引なナンパ状態ですが当人達にはあまり関係がないようで、どうやら2人で会話を楽しむ運びとなったようです。
そんな二人を何やら物陰で見ている人がいます。
「へ~ぇ。なんだ~。わたしがジュース買いに行ってる間に、もうあんなに仲良さそうになっちゃってぇ~。そぉか~。コレットってああいうタイプが好みなんだぁ~。」
先ほどジュースを買いに行っていたレイチェルが戻ってきたのです。コレットに声をかけようとしたら、となりに見知らぬ男性が座っていて話をしているではありませんか、あわてて柱の陰にかくれ、様子をうかがっているのです。
「あの…」
そんなレイチェルに誰かが声をかけてきました。
「しぃっ~!静かにしないと気付かれちゃう」
「あの、ですが…学園長室へはどういったらいいのでしょうか」
「んもぅ!うるさいなあっ」
そういって振り返るレイチェルのまえに現れた人は…
「…エルンスト…」
「レイチェルでしたか…何をしてるんです?こんな物陰でこそこそと…」
「久々の再会だってのに、情緒も何もないんだね…」
「そう申されても…まさかあなただとは思わなくて…」
「私だと、思っていたら?」
「そうですね…」
そういってメガネの位置を直しキリッと表情を引き締めレイチェルをじっと見据えます。そんなエルンストになぜだかドギマキしてしまうレイチェルです。
「お久しぶりですね。レイチェル。スモルニィ学園でのウワサは研究学院の方にも届いていますよ。」
し切り直したにもかかわらず、相変わらずの物言いにがっくり肩をおとすレイチェルです。
”会いたかった”くらい 言ってくれないかな~。ま、コイツにそれを求めても無駄かぁ…
「仮にも学院創設以来の天才少女…っていわれたワタシだもんねっ♪まあ、ローズコンテストでは本戦に出られなかったけど…アナタにも負けないんだから!」
そういってウインクしながらビシッとエルンストを指さすレイチェルです。
「はあ…」
相変わらずの対抗意識バリバリのレイチェルに閉口してしまうエルンストでした。
こうしてスモルニィ学園に新たな生徒が転入することになりました。レイチェルの思惑通り、2人はステキな方々をゲットできるのでしょうか?
続く???
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