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  • セシリア「わたくしが主役でしてよ」①

自分用SSまとめ

セシリア「わたくしが主役でしてよ」①

最終更新:2011年09月04日 02:32

meteor089

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セシリア「わたくしが主役でしてよ」①

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2 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/23(火) 01:14:26.37 ID:VgP8bmRI0


前スレのおはなし


「同居開始編」
 残暑の厳しいある日、エアコンが壊れた(破壊した)鈴はセシリアの部屋に転がり込むことに。そんな折、日頃から好き放題にトラブルを起こす専用機持ち達の相手に疲れ果てた千冬が授業をボイコットして逃げ出してしまう。同時に一夏も行方不明となったため捜索に出るセシリア、鈴、ラウラ。途中セシリアも行方不明になったりしたが、シャルロットの助けもあって千冬もセシリアも無事帰ってきたのだった。(セリフのみ形式)


「黒シャル暴走編」
 前回の騒動時に千冬に拉致られたために行方不明になったセシリアが何か頑なに隠しているのが鈴は面白くなく、千冬との約束の為に話せないセシリアは鈴と喧嘩になってしまう。なかなか仲直りできない二人を心配して箒や一夏が介入し、うまく仲直りできるかと思われたが、姉の為に心を痛めるセシリアに一夏の気持ちが向き始めてしまったことから、黒シャルがセシリアに牙を剥く。箒、鈴を捕え、この機に邪魔者を一掃できる直前まで黒シャル優勢に事態は進むが、ラウラがセシリアに敗れ、今回のシャルロットの行動に全面的な賛成のできないラウラがセシリア側につき、形勢逆転。救出された鈴とセシリアは晴れて仲直りした。(セリフのみ形式)


「3on3編」
 試験勉強をテスト前日まで失念していた鈴とセシリアは、各人からノートを借りて歩き、一夜漬けで試験に挑もうとする。すっかり試験そのものを忘れていた一夏も合流し、結局ろくに借りる事ができないまま時間が過ぎる。赤点、補習が確定的となり悶絶する鈴と一夏。ところがセシリアはただ単に高得点を狙えなくて嘆いているだけと判明。セシリアに勉強を見てもらいながら三人で一夜漬けに挑む。途中睡魔に負けて鈴がダウン。そして、翌朝裸同然で同じベッドにいる一夏とセシリアが発見され大騒ぎに。騒ぎはやがて、箒・シャル・ラウラ組と一夏・セシリア・鈴組の公開3on3戦にて決着をつけることに。激戦の末、セシリア組が勝利したのだった。(前半セリフのみ形式+戦闘開始から地の文あり)


「GTO編」
 休日の街に遊びに出たセシリアと鈴。3on3勝利の余韻も手伝い、つい浮かれた二人は門限を破って夜の街へ。お約束通り伸びる不良たちの手。絶体絶命のピンチに、グレートなティーチャーが駆け付けた。(地の文あり)


「イギリス旅情編」
 3on3で大きく損傷したブルー・ティアーズ修理の為にイギリスへと発つセシリア。弟がセシリアに惹かれているのを感じ、更にセシリアを認め始めている千冬は付添いのついでに一夏も連れて行くことにする。二人をくっつけようと画策する千冬、思惑通り一夏はセシリアを完全に意識するようにはなったが、暴走してセシリアを押し倒しかけてしまう。押し倒されかけてもそれを赦すセシリア、罪の意識にセシリアを一夏は諦めようとする。
 改修を終え、パワーアップしたブルー・ティアーズが復活、学園から離れたブルー・ティアーズを奪いにやってきたサイレント・ゼフィルスを退けたセシリアだったが、スコールの介入でエムの捕縛とサイレント・ゼフィルスの回収に失敗してしまう。あれ程誇り、愛した祖国から亡国企業からの内通を疑われて尚、祖国を愛するからこそ前を向くセシリアを千冬は一層、義妹にしたいと思い、一夏も思慕を募らせる。
 学園へ輸送する研究資材と共に帰路についた三人を、今度は妹を差し置いて一夏と急接近した事を快く思わない束が無人ISの部隊に襲撃させる。輸送機を離れるわけにいかない一夏にセシリアは、唇を重ね勝利を誓い雲海での激戦へと飛び立っていった。無人IS部隊との戦いは、学園から迎撃に出撃した鈴、箒、簪、ラウラの援軍もあり、全員無事に学園に帰ってこれた。そして一夏は、諦めようとした気持ち以上に、セシリアを想う自分の気持ちに気付き、ついに、多くの生徒の見守る前でセシリアに告白するのだった。



3 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/23(火) 01:15:25.02 ID:VgP8bmRI0




―― 第二部 プロローグ ――



 あれから、穏やかに日々は過ぎゆき、窓の外の木々には枯れ木が目立つようになり、すっかり気温も低くなった。

 織斑一夏とセシリア・オルコットの交際は、特にこれといった進展もなく……?続いてはいるが、当然の如く部屋は別々だし、何かと休日も訓練やらテストやらであまり進展はないようにも見える。

「一夏さん♪おはようございますですわ」

「セシリア、おはよう」

 それでも、明確に視線を合わせている機会は増えたし、どちらかを探せば大抵両方が同じ場所にいたりはする。

 もっとも……

「おはよ、一夏、箒」

「ああ、おはよう鈴。セシリアも」

「おはよう我が嫁、その他大勢」

「ラウラったら……もぅ。おはよう、みんな」

 相変わらず、専用機持ちのグループは一夏を中心に集まっているのだから、変わりはないのかもしれない。

「……おはよう」

 ただ、四組から更識簪が遊びに来る機会が今まで以上には増えていた。最近はいつも朝のHRが始まる直前までは一夏たちや布仏本音(のほほんさん)と談笑している。クラス代表でもある彼女が自分のクラスにいなくてよいのかといえば、良いわけはないのだけれど、今年の一年生には専用機持ちが多く、有事の際に行動を共にする可能性を考慮した場合、彼女が一組で他の専用機持ちと交流を深めるのは好ましいという事から、教師陣も特に強くは言わないようになっていた。




4 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/23(火) 01:19:33.11 ID:VgP8bmRI0


「そういえば鈴さん、いつも思っていたのですけれど、ご自分のクラスには戻らなくてよろしいのですの?あなたクラス代表じゃありませんでした?」

「えっ!?な、何よ今更!」

 ふとセシリアが、本当に思い出したように鈴に問いかける。鈴としてみればそこを忘れられてしまうと本当に立つ瀬はない。二年生になったらどういうクラス分けになるのかはまだわからないけれど少なくとも現時点で鈴と簪はクラスが違う。もちろん簪同様、鈴に関しても教師陣は一組で交流を深める事に異存は無く、望ましいとさえ思っているのだけれど、それは生徒たちは知る由もない。

「そうだぜ、鈴。お前も一度引き受けた以上はちゃんとクラス代表としての責務をだな……」

「あ、あんただってクラス代表でしょうが!それらしい仕事なんかしてるの見たことないわよ!?」

 一組のクラス代表は一夏になっている。呆れたように言う一夏に、鈴は眉を吊り上げて抗議していた。

「んな事言ったって……俺は副生徒会長の仕事があるから……」

「ふふん、実質的なクラス代表のお仕事は、わたくしイギリス代表候補性セシリア・オルコットが行っておりましてよ」

「セシリア、そんなに大きな口を叩くならちゃんと日誌を書いてよね、もぅ、細かいことは全部僕に投げるんだから……」

 だが、一夏は曲がりなりにも生徒会の副会長というポストにあり、その見返りとして生徒会主導の許クラス代表としての業務のサポートを受けていた。更に、男性である一夏では手の届かない部分やリーダーシップを必要とする場面では、元々クラス代表を競い合ったセシリアがフォローしていたし、セシリアの手が回りきらない部分はシャルロットをはじめクラスメイト達が自主的にフォローしていた。一組がこのように一丸になれたのは、旗印が一夏だからこそなのだから、一夏がクラス代表としての役割をきっちりこなしているという事でもあるのかもしれない。

「――お前たち、SHRの時間だぞ、凰、更識、さっさと自分の教室に戻れ」

 教室の入り口から織斑一夏の姉である織斑千冬、第一回モンドグロッソの優勝者でありIS学園一年一組担任の教師が日誌を抱えて姿を見せる。それじゃまた後で、と、一組ではない鈴と簪が教室から出て行くのを見送りながら各人は自分の席に移動してゆく。


 何の変哲もない日常が、ただ、織斑一夏とセシリア・オルコットが付き合っていると言う前提を挟んだ日常が、今日も始まる。








10 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage]:2011/08/24(水) 23:47:09.44 ID:NTnebKm70



 一限目の休み時間、セシリア・オルコットは次の授業の準備を千冬から頼まれ、転送されてきた教材データを各端末に転送するように教壇の端末を操作していた。

「……ふう……これでよし、ですわ」

 ひと段落してほうと一息ついた背が、不意に自分より小柄な温もりに包まれる。少し驚いたように小さく声を上げるセシリアだけれど、その温もりと背中にあたる感触でそれが誰のものであるかはすぐに判る。中側から腰に回され、腹部に添えられる両手の感触を感じながら、振り返るでもなく、口元に笑みを浮かべながら長い睫を伏せた。

「んもう、驚かせないでくださいまし……鈴?」

 普段はさん付けで呼ぶけれど、少し前からセシリアは鈴を呼び捨てで呼ぶようになった。いつもというわけでもなく、二人で話すときを中心にそう呼ぶようになったというのが正しいが。

「あれ?わかっちゃった?一夏のふりして困らせてやろうと思ったのに」

「一夏さんがそんな大胆なことするわけないですわ……」

 ちらと、教壇のほぼ真ん前である一夏の席に視線をやる。席の主、一夏は休み時間に入って早々山田先生に呼ばれて教室を出て行ったきりだ。

「……今日はまだですのに」

 唇を小さく尖らせて、拗ねるように一夏の席をにらみながら、ぼそぼそと小さな声で不満を漏らした。

「……なぁに?今日はまだって」

 鈴にも聞こえていないかと思っていたけれど、丁度セシリアの背に顔を寄せている為か、小さく肺が震える音も結構聞こえるもので、鈴がひょいと肩口に顎を乗せながらセシリアに問う。

「なっ、なんでもありませんわっ……!いい加減お離しになって……っ」

 聞こえてしまったことに狼狽しながら、体の向きを無理やり変えて鈴をべりっと引き剥がす。無理やり剥がされたことに不満なのか、今度は鈴が唇を尖らせる番だった。

「なぁによ、教えなさいよぉ……今日はまだって…………ん?今日は……まだ……?」




11 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/24(水) 23:49:09.10 ID:NTnebKm70



 唇を尖らせながらセシリアの呟きを反芻する鈴の顔が、みるみる紅潮してゆく。

「な、なななな、ま、まさかアンタ達ってば、ま、ままままま毎日……ッ!?」

 紅潮して狼狽する鈴の様子を見ていたセシリアが、一瞬はぁ?という顔をするも、まるで伝染するようにセシリアの顔もみるみる紅潮してゆき。

「ち、ちょっとお待ちになって!?な、何か勘違いされてますわ!わ、わたくしたちはそんな、まだ……だ、大体わたくしは毎日鈴さんと一緒に寝てるじゃありませんの!!」

「は、はあぁぁぁぁああああ!?バ、バカじゃないの!な、何想像してんのよ!そこまで言ってないわよ!このエロリア!」

「なぁんですってぇ!!い、言うに事欠いてエロ……ッッ 侮辱してますのッッ!?」

 段々と互いにヒートアップしていく。教室内の視線も何事かと二人に集まるけれど、誰も止めようとしない。二人のこんな姿もいつもの事過ぎて慣れてしまっているのか、それとも「アンタ達」「毎日」「エロリア」という単語から『アンタ達=セシリアと一夏』と推測し、二人の進展具合に興味津々聞き耳を立てているのか、あるいはその両方か。

「じゃあエロじゃなくて毎日なんだってのよ!」

 核心を突くような鈴の質問に、教室内の女子一同が心の中でぐっとガッツポーズをとる。中には相川や谷本のように実際にガッツポーズをとっている者もいた。


「ただのおはようのキスですわ!何を想像していらっしゃったのかしら?スケベですわね鈴は!」


 セシリアの声が、嫌に教室内に響いた。水を打ったように静まり返る教室。唖然とセシリアのカミングアウトを聞いている鈴や箒や、KKKを髣髴とさせる白装束に三角白頭巾をどこからともなく取り出して着替え始めるシャルロットをはじめとしたクラスメイトの大多数など、反応は様々ながら全員が一言も声を発さなかった。



12 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/24(水) 23:52:00.12 ID:NTnebKm70



「…………」

 自分で言っておいて二の句が継げなくなったセシリアは、耳まで真っ赤になりながら、ゆっくりと教室内を見回す。白装束のクラスメイト達がわらわらと音もなく教壇に近づいて、セシリアの肩にぽんと手を置く。

「詳しく話を聞かせてもらえるかな?セシリア」

 三角白頭巾は目出し帽のように目の部分だけくりぬかれた覆面となっており素顔は見えないが、声だけで十分それがシャルロットであるとわかる。

「ご、誤解ですわッ!というより何事ですのこれは!!何の真似ですの!?」

 黙々とセシリアを拘束してゆくクラスメイト。この縛り技術をセシリアは知っている、ラウラだ。三角白頭巾だけれどよく見れば片目が眼帯なのですぐに判る。

「僕たちが質問しているんだよ、セシリア……まあいいか、心配しないで、ちょっとした 異 端 審 問 会 をするだけだから」

 覆面の隙間から覗くシャルロットの双眸が明らかに笑っていない。完全に縛られた状態のセシリアが教室の中央に引き摺られていくのを、鈴はただ両手を合わせ、日本風に冥福を祈るしかなかった

「まったく、セシリアはエロいなあぁ……」

  「清い交際と信じていたのに……」  「どこまでしちゃったのかなー?」

     「――ォォォォォォォ……」

「ちょっ!!何ですの!?あなたたちバカテスの読みすぎですわよ!!――って今の誰ェ!?知らない人が混ざってますわよ!!ねえ!!」

 淡々と火焙りの準備を進めるクラスメイト達。リーダーと思しき人物の宣言で死の法廷が今始まる。

「これより、一夏の純潔を守る乙女の会、異端審問を開始します」

 明らかにシャルロットの声だった。




17 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/29(月) 03:27:01.18 ID:OOZ0J+gG0



 沸き起こる歓声と『有罪』のシュプレヒコール。うすうすわかっていたけれど何を聞くまでもなく有罪らしい。

「判決、死刑」

「まだ何も言ってませんわよ!!」

 あっさりと死刑を宣告するシャルロットだと思われる白装束にセシリアは抗議の声を叫ぶ。流石にいきなりは彼女なりの良心が悼むのか、大仰に首を振ってから。

「じゃあセシリア。おはようのキスって何のことかなぁ?詳しく聞かせてくれる?」


「…………」「…………」


 見つめあったまま暫し、セシリアも勿論答えるわけにはいかなくて、ぐっと息を呑みながら考え続ける、ここを切り抜ける手段を。とはいえほとんどすべて自白してしまっているようなものなのだけれど。

「答えられないのかな?言葉が分からない?今日の下着の色はまた黒かな?」

 転がされたセシリアの頭側に腰を下ろして、顔を近づけながら言う。周囲の白装束から笑い声が聞こえてくる。

「く、黒ばっかりみたいに仰らないでくださいな!」

 反射的にセシリアが否定の声を上げる。

「なんだ、言葉は分かるんじゃないか、じゃあ答えてよ、『毎日』『今日はまだ』な、おはようのキスってなぁに?ひょっとして、毎日こっそりチューしてるってことなのかなぁ?」

「ぐぬぬぬ……り、鈴!箒さん!た、助けてくださいましーッッ!」

 窓際の箒の席で談笑している二人に向かって救いを求める叫びをあげる。が、二人は一度セシリアのほうを見てから、互いの顔を見合わせ、ひょいと肩を竦めて見せるゼスチャーを返すだけだった。「私たちには無理だ」と言いたいのか「知るか」なのかは判らないけれど。




18 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/29(月) 03:27:39.64 ID:OOZ0J+gG0




「くっ……麗しい友情ですこと……ッ」

「答えられないなら……やっぱり焙るしかないよね?」

「……よ、よろしくてよ、答えて差し上げますわ!おはようのキスとはそのまま、毎朝の接吻でございましてよ」

 床に転がされたまま、セシリアがキッと白装束の瞳を睨み返す。

「ですが、それに何の問題があるとおっしゃるのかしら?わたくしは、一夏さんとお付き合いさせていただいておりましてよ!だ、第一、キスでしたらそれこそずっと前からしていますわ!ええ!毎日してますわ昨日もしましたわ!!だから何だと仰いますの?」

 開き直ったセシリアは顔を赤くしながらも熱弁をふるう。あまりにも直球で返されてしまったものだから、今度はシャルロットが言葉を失う番となった。

「だ、だからなんだって……それは……」

 白装束の集団(クラスメイト達)の間にも動揺が広がってゆく。会の名前こそ一夏の純潔を守る乙女の会とは言っているものの、結構な数の生徒がそれに盲信的なわけでもない。一夏は確かにかっこいいし、優しいし、憧れはするけれど、天然タラシだし、朴念仁だし、鈍感だし、機微にも疎い。

 積極的な箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの五人の誰が射止めるのか、そこに興味の大半は向いていたし、追加で更識会長や黛先輩、山田先生、織斑先生、四組の簪等、どんどん立つフラグにワクテカしていたというのが本当のところだった。

 その為、結果としてセシリアが見事に射止めた事に不満はあまりなかったりする。自分の応援していた『一夏の嫁候補』が射止められなかったことに若干の悔しさが有るとしても、だ。何しろ、箒を応援していたのは剣道部の仲間たちが中心、鈴は二組とラクロス部で支持を集めていたし、シャルロットは一年全般に人気こそあったがどちらかと言えば男のふりをしていた頃より一夏の嫁候補としての支持率は下がっている、ただ、一夏の、を取っ払った嫁候補では断トツになっている、意外と腐っていたり百合百合してるようだ。支持率という点では圧倒的に不利なのがラウラだ、茶道部の一部は支持しているものの、やはり入学当初の印象が強く、支持率的には不利と言わざるをえない。

 ではセシリアの支持層はと言えば……今、セシリアの目の前で白装束を着て焙ろうとしているクラスメイトの大半がそうだったりする。




19 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/29(月) 03:28:18.51 ID:OOZ0J+gG0




 気位が高くて大金持ち、通称「お姫様きどり」なんて呼ばれるけれど、実際の話そう本人を前にして呼べる程には誰とでも気安い関係を築ける。判り易いツンデレでちょろく、そして何よりとても仲間思い。気品によって他者を平伏させるのではなく、他者がすすんで支える、それがセシリアの女王の気質だった。

  「だってさぁセッシー、教えてくんないじゃーん」

「そうだよ、織斑くんとどこまで行ったのよ」  「おりむー意外と甘えん坊とか?」「それ意外じゃないし」

 「織斑くんの性癖ってS?M?」 「それはMじゃないかなぁ」 「いやいや意外と」

          「――……フシュルルルルルルルルルル」

「結局はあなたたち!興味本位ですのね……?ってぇ!またなんか!ねえ!コレ誰!?誰なんですの!?」

 とたんにざわつくクラスメイト達、ただし全員白装束。こんな事をする理由は何かと言えばやはり男女交際の機微を是非とも問いたい。できるだけ詳細に。

「僕は本気だよ」

「なお悪いですわよ!?」

 シャルロットだけは本気で断罪しようとしていたようで。祝福はしてくれたけれど、それで一夏を諦めたかどうかは別の話という事らしい。普段温厚な分、こういうときに出る黒シャルが過激だ、セシリアも以前の一件でそれを知っていたし、そもそも何かと気付く要素はあって。満面の笑顔で本気で焙ると宣言するシャルロットに、セシリアはジト目で返す。

「待て、来るぞ」

 ラウラが何かに気づいて素早く自分の席へ戻る。と、その時、教室のドアが開いた。




20 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/29(月) 03:29:12.78 ID:OOZ0J+gG0



「ふう、終わった終わった……ん?みんな何してんだ?」

 IS学園はエリート校だ、全世界から国家を背負うべく、優秀な生徒たちが集められている。身体能力も個人差こそあれ、下限であっても一般のそれを凌駕する。白装束に身を包んだ一夏の純潔を守る乙女の会の姿と磔の柱に火焙りの準備は一瞬で消え、縛られたセシリアが床に転がされている状況だけが残った。

「あれ~織斑君どうしたの?私たちが何?」

「……い、いや……今…………まあ、いいか」

 今一夏に気付いたようにしか見えない相川さんの様子に、一夏は不思議そうに首を傾げてからセシリアのところに近づいてゆく。

「とにかく……セシリア……一体どうしたんだよ?なんでそんなところで縛られてるんだ?」

「話せば長くなりますというかなんといいうか……学校というものの抱える深刻な闇を垣間見た気がしますわ……とりあえず、ほどいてくださいませんか……?」

「闇……?わからん……もうちょっとわかり易く言ってくれよ。――あ、おう、悪い……あれ?なんだこの結び方……どうなってんだ?」

「きゃん!ちょっ、い、一夏さん!くすぐったいですわ」

 結び目を探る一夏の手が結果的にセシリアの体をいろいろ弄るから、セシリアは恥ずかしいやらくすぐったいやら、そのあげる声がちょっと艶っぽくて、一夏の頬に朱が差す。そういえばセシリアはくすぐったがりのくせにやたらとボディタッチを要求するよなぁなんて思いつつ。もちろんそんなことはおくびにも出さないでロープと格闘する。

「そ……そんなこと言われても、仕方ねぇだろう?本当に結び方がこれわけがわからなくて……あ、セシリアちょっと両足をそのまままっすぐ上にあげて……あ、あれ?」

「ちょ、ちょっと一夏さん!?足が下せなくなりましたわよ!?」

 背中を床につけて、揃えた足を高々と上げているセシリアの足側に一夏が膝立ちでいるという絵図は、非常に倫理的によろしくない。もっともスカートの上から縛られている為見えてはいけないものは見えていない。DVD/BD版をご購入くださいということ。思わずごくりと一夏が喉を鳴らす。




21 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/08/29(月) 03:30:18.62 ID:OOZ0J+gG0




「うわぁ、おりむー……うっわぁ……」

「なっ!違う!そうじゃない!!」

 真っ赤になって否定してしまうから、クラスメイトにとってこのカップルは本当に、どっちもちょろすぎる、何が違うと言うのやら。周りから冷やかされながら、セシリアをその恰好のままに弁明を続ける一夏に痺れを切らした箒と鈴がつかつかと近づいて来た。

「いいからそこに膝立ちはやめろ一夏、まったく……破廉恥な。どけ」

 箒が一夏の首根っこを掴んで無理矢理に立たせ、ぐいと横にやってしまう。

「さー、セシリア、あたしがほどいたげる♪」

 両手をわきわきさせながら薄笑いを浮かべる鈴、そして視界の隅には安心しろ、と言いつつ少し嬉しそうに笑っている箒。

「……え、えーっと、け、結構ですわ?あの、一夏さんがほどいてくださいますので……」

「一夏じゃ次の授業が始まってもそのままよ、もしくはもっと恥ずかしいポーズを取らされるかよ……どっちがいいの?」

 鈴がセシリアに顔を近づけ、凄んで見せる。

「わ、判りましたわ、よろしくお願いします」

 承諾の返事に聞こえるが、鈴はその言い方一つで違和感を感じ、ぼそとセシリアにだけ聞こえる小声で問う。

「…………正直に言うと?」

「……え、えっと、い、一夏さん」

 やはり鈴にだけ聞こえるくらいの小声でセシリアがこっそりと返すと、鈴は身を起してにーっこりと笑うのだった。




28 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:22:34.06 ID:oCEflktZ0



「よーし、じゃあはじめるわよー」

 そして徐に鈴がセシリアの生足首を掴んでロープを足のほうから外そうと試み始める。ロープは丁度セシリアの体にツタのように巻きついているわけで、ならば解かなくてもずり下すことで少したわむ。一か所たわんでしまえば、拘束自体が緩くなって解きやすいというものだ。ものなのだが。

「え、ちょっと鈴っ!?どうしてこの体勢のままですの!」

 立ったままぐいぐいと引っ張りながらロープをずらしてゆく鈴。きつく締まっているロープが鈴が動かすたびにきつく締まるものだから、セシリアの苦しそうな声が教室内に響き、箒によって引き離され、放置された一夏が顔を赤くしている。

「我が嫁一夏よ、セシリアの悶える声に何を想像したのだ?」

 いつのまにか、一夏の隣に録音用の指向性マイクらしきものを手にしたラウラが立っている。

「……い、いや……………………ラ、ラウラッ!?お前何やってんだ!?」

 何も想像していない、と答えるが、動揺隠せない様子で、少し俯き気味になる一夏だったが、さすがにラウラの装備の異常さに素っ頓狂な声を上げる。その反応に対してラウラは途端に不機嫌そうな顔になってギロリと一夏を睨むのだった。

「声が大きい、ノイズが入る」

「えっ……あ、ああ、悪い……?」

 何で怒られたのかが一夏にはイマイチ理解が出来なくて、でも、怒るのだから静かにするべきだろうと、声のトーンは落とした。マイクらしきものは本当にマイクのようだ。カラーリングや形状から察するに部分展開なのだろうか。 一夏がセシリアに告白したあの日に初お目見えした指揮管制パッケージ《オイレン・ケーニヒ》にはそんな装備もあるのだろうか、なんて一夏がなんとなく考えるうちに、また黄色い歓声が上がった。




29 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:23:24.99 ID:oCEflktZ0




「――ッ!」

 一夏はセシリアのほうを見て、即座に顔を真っ赤にして顔を背ける。セシリアはいつもロングスカートだし、基本的に一夏が見るのは正面、こっちを向いているセシリアばかりだ。だから、膝の裏側なんて見る機会は無い。

「ちょっとおぉぉおお!!り、鈴ーッ!ス、スカートが、スカートが捲れてしまいますわ!!足を!足を下ろさせてええぇぇぇぇええ!!」

「んふふふふ。綺麗な足なんだからいいじゃない……足首も細くて、いいなぁ」

「んッ!ぁあ……おやめ……おやめになって……あン!!」

 足首をがっちり固定しているロープをそのままに、スカートを押さえている部分からくぐらせているらしい、一本、また一本と拘束が緩むと、苦しそうな声こそは聞こえなくなってきたが、その代わりに重力に従って落ちるスカートの裾が捲れてゆき、弄る鈴の手の動きに苦しさだけではない声が聞こえてきた。

「…………ふむ」

 ラウラは一つ唸ると、頭部のハイパーセンサーを部分展開した。目元まで完全に覆うバイザーの形状は普段のシュヴァルツェア・レーゲンのものではなく、現在ラウラのISは一夏の推測通りの指揮管制パッケージを装備しているようだ。全く前が見えないようにも見えるが、無数の小型カメラによってむしろ肉眼視するよりもはるかに良く見えているし、見る映像もリアルタイムに処理が出来る。

「……うむ」

 ラウラはセシリアと鈴以外の人物の姿をカメラの視界内から映像処理で消し、満足そうに笑う。画面の右上には●RECと古典的な表示が出ていた。


「……ラウラ?」

「後にしてくれ一夏、今私は忙しい」

「あ、はい」




30 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:25:25.46 ID:oCEflktZ0



「ほ~らほら、見えちゃうわよ~?」

「い、いや……一夏さん……」

 涙目でいやいやと首を振りながら、セシリアは救いを求めるように愛する人を視線で探し求め。明らかに録画モード状態のラウラを、顔を赤くしてガン見状態の一夏の隣に見つけた。

「ら、ラウラさんッ!?何をなさってますの!!」

 セシリアの声に反応して鈴や箒たちもそちらを振り返った。もっとも、今のラウラには鈴と箒しか見える状態ではないのだけれど。

「構わん、鈴。続けろ」

 さっと手振りを加えながらGOを出すラウラに力強く頷きながら鈴は今度はセシリアのストッキングに軽く爪を立てた。ピッという小さな音と共にストッキングにあいた小さな穴は、包まれていた柔肉に押されて一気にその穴の面積を広げる。

「セシリアったら、ちょっとこのストッキングきつかったんじゃない?楽にしてあげる……」

「ああ……あああ……」

 スカートの裾がロープの移動にあわせて一度足首のほうへ向く、このロープが外れればきっとあられもない姿で下着姿を一夏に晒す羽目になってしまう。下着を見せたことが無いわけではないし、一度はブラなら剥ぎ取られた事だってある。でも、こうして衆人環視の中で、親友に剥かれて晒すのはちょっと、大分わけが違う。

「見ないで……見ないで、一夏さん……」

 顔を真っ赤にしてガン見状態だった一夏の耳に、その声は良く聞こえた気がする。いいのか?と一夏の中で問う声が聞こえ、はっとして周囲を見る。

(教室で、クラスメイトの見てる前で、恋人の前で、こんな事させられて、いいのか?いいわきゃねぇ!)

 ガン見していた事を棚に上げるわけではない、見たくないわけが無い、そういうことじゃない。飛び出した一夏の姿を二人以外を見えないようにしていたラウラは捉えられなかった。もしラウラがコラージュ素材にする為に背景をカットしていなければ、いち早く一夏の動きに気付いて止める事も出来たろう。

「―― 一夏……!」

 箒が一夏の動きに気付いたのは、鈴の背後から鈴を静止させようと一夏が既に腕を伸ばしているときだった。


31 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:27:47.94 ID:oCEflktZ0




 箒が一夏の動きに気付いたのは、鈴の背後から鈴を静止させようと一夏が既に腕を伸ばしているときだった。

「はぁはぁ……ほぅらセシリア、全部晒しちゃいな……へ?一夏!?」

 目を輝かせながら公開羞恥プレイを楽しむ鈴は、箒の声に勢いよく振り返る。べしっとツインテールの髪に何かが当たった気がした。

「うおっ!?目が……!!」

「ンきゃああ!!どこ触ってんのよバカ一夏ァ!!」

「ぐっふあっ……!」


 織斑一夏は、ラッキースケベである。それもこれまで幾度と無く修羅場をくぐり抜け奇跡を起こしてきたラッキースケベである。鈴のツインテールが当たって視界を失ったラッキースケベはそのまま鈴の胸にタッチ、殴られた勢いで足を上げて足首だけを縛られているセシリアの太腿に顔面着地など、歴戦のラッキースケベ織斑 ハーレム 一夏にとっては日常のこと。むしろ好調なときなど更に脱がすくらいはする。


「きいぃぃぃぃぃいやあああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」


 いきなりずぼっと大腿の間に頭をはさまれるように突っ込まれたら、それがたとえ恋人だろうが、ちょろいさんなんて呼ばれていようが叫ぶ。暴れる。教室を震わす悲鳴を上げながら、大変な場所へ顔を埋められないようにと足をぴったり閉じようとする。

「ふうぉっ!?」

 がっちりと頭をロックされてしまった一夏は一瞬何が起こったのかわからず、自分の頭を締め付けて離さないものを手で押さえて頭を抜こうとするが、それはセシリアにとっては脚を広げる格好の為、必死になってそうはさせじと力を込め、鈴の手が離れた膝を思い切り曲げて、踵を一夏の背中に何度も落とす。



32 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:28:23.13 ID:oCEflktZ0




「…………そこだ!貰った!!」

 カシャァ!カシャァ!と動画だけでは足らないと判断したラウラの手に握られたカメラが何度もシャッターを切る。

「ふぐっ……!ぶふっ……!」

 肌の香りと感触でそれがセシリアだと判断した一夏は何とかセシリアを落ち着けようとは思うが、何とか目を開けたときに黒ストッキング越しの黒レースが目の前にあってまたきゅっと目を閉じる。背中をドンドンと叩かれる度に肺から空気が漏れて、呼吸も満足に出来ないから、出来る限り酸素を取り込もうと反射的に息は荒くなる。

「どぉしてそんなに息を……ぁっ……いやぁ……だめ……ぁぁンッ!」

 それがまたセシリアの悲鳴(?)を生む。完全な悪循環となっていた。

「……こ、これは…………」

 ラウラ以外さすがにあまりもな事態にクラスメイトの大半が呆然とする中、二限目開始のチャイムが鳴り始める。

「まずい!!」

 箒が緊迫感のある声を発する、クラス全員がそれに頷いた。




33 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:30:02.31 ID:oCEflktZ0



――――――――



「お前ら、休み時間なにやら騒いでいたようだが、休み時間は騒がせる為にあるのではないぞー」

 教室のドアを開け、チャイムから少し遅れて千冬、織斑先生がやってきた。

「……ん?おい、織斑はどうした?オルコットもか?」

 最前列の唯一の男子生徒にして実弟の姿が無い、視線を教室内にやるが誰一人として千冬と目を合わせまいとしている上に、義妹候補の姿も見えない。途端に不機嫌そうに眉を顰める千冬は、一夏の隣である自分の元教え子の机に片手をバンと置く。

「ボーデヴィッヒ!」

「は……ハッ!教官!!」

 ガタと席を勢い良く立ち、直立不動のまま敬礼をする。もはや教官と教え子ではなく、教師と生徒に変わったが、ラウラに染み付いた千冬への態度は早々変わるものではないし、千冬も結構その関係を活用している。

「報告しろ。織斑とオルコットは何処へ行った。全く、少し目を離すとすぐこれだ、貴様がついていながらなんだこの様は」

「はっ!」

 びしとラウラは教室の後ろのほうを指差す。目隠し猿轡で縛られてもがいているセシリアの脚の間に弟らしき男子生徒が顔を突っ込んだままぐったりとしていた。


「むぐー、むぐむぐむー!!」


「」


「むぐー、むぐぐー!!」


「…………二限目は自習にする。ボーデヴィッヒ、その二人を指導室へ連れて来い」

「ハッ!!」



http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
35 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 00:38:35.44 ID:oCEflktZ0



―― エピローグ



「い、一夏さんのせいで、ひどい目にあいましたわ……」

「ひ、ひどいのはセシリアだろ……死ぬかと思ったぜ」

 結局三限目が始まって少ししてようやく指導室から解放された二人は、ふらふらになりながらの帰り道。互いに相手のせいだと譲らないで歩く。ふらふらのセシリアは一夏に寄り掛かるように、一夏はそんなセシリアの肩を抱くように支えながら。

「いーえ、一夏さんですわ……今朝寝坊なんてなさるから……今日はおはようのキスもまだですのよ?」

「……だから、休み時間に早めに用事を終わらせて着たんじゃないかよ……」

 拗ねるセシリアの恨みがましい視線に、自分にも言い分があるとついと視線をそらしつつ、答える一夏。もうすぐ教室に着く。セシリアが足を止め、じっと一夏を恨みがましい視線のまま見上げる。

「…………ここで?」

「ここでですわ」

「さっき千冬姉に学園内であまり羽目を外すなって言われたろ?」

「羽目を外さないとわたくしとキスもできませんの?」

「……いや、そうじゃなくて」

 一夏は周囲をきょろきょろと見回す。授業中の廊下に生徒の気配があるわけは無い。

「……じゃ、じゃあ…………」

 一夏はそっとセシリアの腰に手を回し、いつものように正面から抱く体勢にして、片手をそっとセシリアの顎先に触れさせて軽く上を向かせる。少し不安げで、それでいて期待に満ちるこの時のセシリアの表情が一夏は好きだった。こんな場所でと言うのに少し難色は示したけれど、恋人と唇を重ねることが億劫だったり嫌だったりするほど、一夏も大人ではないし、枯れてもいない。ゆっくり、互いの睫が同時に伏せられて、唇同士が意外としっかりと触れ合う。

「ん……ぁ」

 瞼を開け、唇が離れる際に、ちろと離れていくのが名残惜しいようにセシリアの唇を一夏が舐めると、セシリアは少し驚いた顔をして一夏の瞳を見つめる。一夏もまた、セシリアの瞳をまっすぐに見つめ。

「……んっ」

 再び、二人の瞼が同時に伏せられ、先程よりも長く、深く、互いの唇を啄み合わせるのだった。



 さて、指導室で二人を教育的指導した教師織斑千冬は、一年一組の担任である。二限目を自習としてしまった上に三限目も山田先生に任せたままになっていたから、千冬は教室への道を早足に歩いていた。

 廊下で濃厚なキスを交わすバカップルと姉が遭遇するまで……あと……――。



IS ifストーリー Cecilia Alcot #2

 「毎朝のちゅーは日常ですわ」

                fin




38 :IS ifストーリー Cecilia Alcot  ◆l5R7650ANI [sage saga]:2011/09/04(日) 01:01:36.53 ID:oCEflktZ0



次回予告

千冬「雨か……」

セシリア「雨はいいですわね、風情があって」

鈴「えー、めんどくさいじゃない。雨具の用意とかしなきゃいけないしさ」




       次回「ある雨の日に……ですわ」








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