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  • ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 02: その心配が嬉しい

自分用SSまとめ

ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 02: その心配が嬉しい

最終更新:2011年09月05日 14:42

meteor089

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ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 02: その心配が嬉しい

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[19764] prologue 02: その心配が嬉しい
Name: nubewo◆7cd982ae ID:a8d5efc6
Date: 2010/09/10 21:26
ベッドサイドの当麻が眠りだしたのを半目で確認して、婚后光子はそっと体を起こした。
外には夕日。
何の飾りもない白い壁と緑のシーツ、そして光子自身は慣れて気づかなくなってしまった薬品の匂い。
そこは典型的な病室だった。
当麻はどこにももたれかからず、椅子に座りながらうなだれる様に深く俯いてかすかに舟を漕いでいる。
光子は扇子を開き、そよそよとした風で当麻の頭を撫でた。
扇子を返すときに流れが剥離し、乱流にならないよう気をつける。
手首のスナップには、光子が遊びの中で培った空力使い特有のこだわりがあった。

弱い風は層流と呼ばれる、整った流れを持っている。
そして風が強くなると流れに乱れ、渦が生じ乱流となる。
その乱流とならない限界ギリギリの最大風速を狙い、整った流れの中に無粋な渦を生じさせぬよう丁寧に扇子を動かすのが、誰に言うでもない彼女の嗜みの一つだった。
バサバサではなくそよそよ。
優雅に揺れる当麻の黒髪が受けているのは、普通の人類が実現しうる最高速度の「そよ風」だ。
もちろんそれを作り出すのには風の流れを読める測定機器や感覚を持つ人間が必要だし、彼女ならば人類には実現できないような風の流れも意のままに作り出せる。
だが光子はその特別な力に頼ることなく、扇子で扇ぐ手間すらいとおしいと言わんばかりに、幸せに浸り、可憐な乙女らしい笑顔を顔一杯に咲かせていた。


隣でうたた寝をする上条当麻という人は、巷の言葉づかいで言うところの「彼氏」という人だ。


殊更に幸せを感じる理由は、ひどく心配した顔で当麻が自分の病室を訪ねてきてくれたから。
家族に溺愛されてきた光子にとって、大事にされるということはむしろ空気に近い当然のことだったが、想い人の訪れはそれとはまったく別だった。
来てくれないかもしれない、心配されていないかもしれない、そんな不安と表裏一体の来て欲しいという願望。
それが実現したときの喜びと安堵は、今まで光子が感じたことのない感情の揺れ幅だった。

もちろん、当麻がひどく心配したのも、面会がかなったその当日に病室を訪れたのも、当然の理由がある。
暴漢に襲われた恋人が一週間の面会謝絶となるほどの怪我を負ったというのだ。
彼は毎日学校が終わるとすぐ病院に通っては、落胆と不安を味わうという日々を続けて、今日やっと光子の穏やかな寝顔を見られたのだった。

……というのが当麻の知る状況だったが、実際には光子のほうに色々と事情があった。
一週間前、光子は姿の見えない暴漢に襲われスタンガンにより昏倒させられた。
犯人は中学生の女の子だったらしい。
怪我らしい怪我もなく、身体的にはとっくに回復している。
問題は眉毛だった。
何の恨みか、学園謹製の消えにくいマジックペンで光子の眉毛は太く太くなぞられていた。
あらゆる溶剤を突っぱねるそのインクのせいで、新陳代謝によりインクの染みた皮膚が更新されるまでの一週間、光子はとても人前に顔を晒せる状態ではなかったのだった。
そして光子の女心は「今は眉毛が太くなっていますからお会いできませんの」と当麻に告げることを許さず、病院に無理を言って面会謝絶の札をかけさせたのだった。

そしてようやく眉が元に戻ったのが今日。
さっそく夕方に当麻が訪れてくれたが、久々に想い人に会えた光子は恥ずかしくてつい寝たふりをしてしまった。
その顔を見て当麻は光子が寝ているものと早合点した。
その単純な反応を見て光子は、自分でどんな顔をしているかも分かりませんのに想い人にうかつに寝顔を見せる婚后光子ではありませんわ、と澄ましていた。
しかし、医者に面会謝絶と言われる当麻がどれほど不安に思っていたかに気づかず、彼が心配顔で訪れてきたことを素朴に喜んでしまうあたりは光子らしかった。

で、今は元気そうな光子を見てほっと一息つき、彼女が起きるまで待つかとベッドの傍で眠り始めた上条当麻を見て、光子は幸せを噛み締めているという訳である。
明日は退院だから、当麻さんとお買い物に行きましょう。
セブンスミストは庶民向けのものが多くて珍しいし、当麻さんにも合うものがあるだろうし、それがいいわね。
そう考えを巡らせながら扇子を畳み、初めて、当麻の髪に触れた。
尖った髪の先の、ツンツンとした感触。
整髪料……ワックスというものを使っているのだろう。
地毛もごわごわした感じで、自身の髪とはまったく異なっていた。
肩よりすこし長く伸ばした髪を、光子は自慢にしている。
お嬢様学校にいることもあって彼女の周りには丁寧に整えられた長髪を持つ少女は山のようにいるが、自分ほど綺麗な髪をしている女はそう多くないと自負している。
浅ましいことは分かっているが、髪の手入れが悪い同年代の少女たちに対して優越感を感じていたことも事実だった。
だが、当麻の髪にそういう気持ちは抱かなかった。
雑巾を石鹸でゴシゴシ洗ったような艶のない粗い質感の、安っぽい香りのする整髪料をつけた髪だというのに、愛着すら感じる。
当麻の髪の感触は面白く、つい、ツンツンと何度もつついてしまう。
人指し指で弄んだ後、手のひら全体でその尖った感触を楽しんだ。

それで、調子に乗ったのがいけなかったか。
見えにくい寝顔を覗き込もうと、体をひねって当麻の顔に自分の顔を近づけたその時。
衣擦れの音に目が冷めたのか、んぁと間の抜けた声をだして当麻が目を開いた。
まだ光子は当麻と口付けを交わしたことはない。
結婚するまではだめよなんて自分に言い聞かせているものの、その禁を自分で破ってしまうのもそう遠くない気はしているが。
しかし現段階においては、この偶然の一瞬が、当麻ともっとも顔を近づけた瞬間だった。

「あ……」
「え、あ、婚、……后?」

どうしよう、目をつぶったほうがいいのかしら、なんて考えが頭を巡るのとは裏腹に、

「婚后、目ぇ覚めたか! 大丈夫なのか?!」

バッと顔を起こした当麻に肩を掴まれる。
真剣なその表情にドキリとする。

「え、ええ。もうすぐにでも退院できるくらい回復していますから」
「本当か? 入院期間だってやたら長いし、医者は大丈夫だとは言うけど、やっぱ顔を見ないと、なあ」

ほっとした顔で『すっかり回復した』光子の表情を見つめる。
……そしてパッと肩を掴んだ手を離した。
戸惑いはにかむ光子の顔を見て、自分が何をしているのか悟ったからだった。


「心配、してくださったの?」
「あ、当たり前だろ。メールが丸二日来なかったんだぞ? 今までそんなことなかったってのにさ」

照れくさそうにそっぽを向く当麻に、少し申し訳なく思った。
昏倒したその日から電話もメールも出来たのに、ラクガキされた自分の顔を見られたくない一心で面会謝絶にまでした以上、引っ込みがつかず元気そうな便りをあまり送れなかったのだった。

「お見舞いの花とか持ってなくて、ごめんな。初めて来た日は一応持ってったんだけど」
「ううん、そうやって気遣ってもらえるのが、一番うれしいですわ」

さらさらと髪を揺らしながら、首を横に振る。
掛け値なしの本音だった。恋心を抱く殿方に真剣に気遣ってもらえる。
その人の注意を自分のほうに向けてもらえるというのは心満たされることだった。
そう思うのは親元から皆が離れて生きる、学園都市という特殊性も要因の一つだったかもしれないが。
光子の表裏の無い柔らかな笑みに、当麻は思考能力を思いっきり奪われた。

この可愛さは犯罪だろ……やばい、こうやってふんわり笑われるとなんというか。
高飛車で我侭なお嬢様だと思った第一印象と全然違ってるじゃないか。
と、ついイケナイことをしてしまおうとする邪(よこし)まな考えが脳裏にいくつもマルチタスクで展開されていく。

「それで、退院はいつなんだ」
「明日ですわ。ちょうどお休みの日ですし、買い物に付き合ってくださる?」

二人っきり、それもベッド付きで―――というこの素晴らしい空間を明日にも引き払うというのに内心でかなりの落胆を覚えつつ、同時に感じた安心のほうを顔に出す。

「そっか。かなり治ってるんだな、良かった。あ、でも、痕とか残らなかったか……?」
「ええ、あまり強い電流ではありませんでしたの。使われたのも女性が護身用に持つものでしたから。首に当てられると気を失いやすいですけれど、傷跡が残るようなことはありませんわ」

そう言って光子は耳に掛かる髪を手で留め、後ろ髪を空いたほうの手で集めて首筋を見せた。
傷一つ無いその肌は、病的な白と活動的な小麦色のどちらでもない、自然で暖かな肌色だった。
髪を触るその仕草は何気ないのにやけに色っぽくて、母親を除き身近に長髪の女性がいない当麻はそれだけで見蕩れてしまった。

「貴方はこの一週間、どう過ごされましたの? 私ずっとこの部屋におりましたからそれはもう退屈で退屈で」
「あー、まあ学校行って授業聞くかつるんでる連中とバカ話するかして、放課後は病院に顔出して、することっていったらそんなもんだったな」

我ながらつまんねー人生送ってるなと思いながら、当麻は頭をガシガシと掻いた。

「夕方や夜は何をなさるの? メールのやり取りも、電話も無かったからお暇だったんじゃありませんこと?」
「まあ最近無かった感じの暇だよな。テレビ見たりネットに繋いであれこれしてたな。ま、何って言うほどのことでもないさ」

照れ隠しの意味もあって説明になっていないような説明を当麻がすると、光子はやや不満げな顔になった。

「常盤台の女子寮はテレビを部屋に置くことは禁止されておりますし、私テレビはあまり好きではありませんから詳しくはありませんけれど、どういうプログラムをご覧になってるのかが知りたいんですの」

光子の追求を面倒に思いながら、自分の見ていたテレビ番組を思い出す。
スポーツ特集のテレビだったり、ドラマだったりするが、どれも毎週見るようなものではなかった。
1人暮らしにありがちな、BGM代わりに使っていることも多いからだ。

「適当につけてるだけだからこれを見てる、って言えるような番組は無いんだよな。なんていうか、家に帰ったらとりあえずスイッチを入れるもので、メシ作ってて聞こえないときも付けっぱなしにするようなものというかさ」

当麻の説明に、光子は分かったような分からないようなふうに首をかしげた。

「そういうものですの」
「そういう婚后は何して過ごしてたんだ?」
「私は寮の友人に最近読んでいなかった小説を持ってきていただきましたから、それを読んでおりましたけど――」

そこまで言って、む、と当麻の言葉を聞きとがめ、

「二人っきりでいますのに、名前で呼んでは下さらないのね」

そう、拗ねた声を出した。

「い、いやだってさ! 改めて付き合ってってなると下の名前を呼ぶのもなんか特別な感じがするし……それにそっちだって俺のこと名前で呼んでないじゃないか」

いきなり飛んできた言葉の槍を必死で回避しつつ、質問を投げ返す。

「私のほうから名前でお呼びするのは。その……不躾ですわ。そういうところはリードしていただきたいんですの」

下の名前で呼びあったことは初めてではない。
いろいろな巡り合わせがあって、いい雰囲気になったときにこそばゆい思いをしながら呼んだ事は何回かあった。

「光子。えー、あー、」

視線を絡めあう所までは、当麻のレベルではたどりつけなかったが。

「これでいいか?」
「名前で呼んでくれたのは嬉しいですけれど、何も用が無いのにお呼びになったの?」

なけなしの根性をつぎ込んで呼んでみたというのに、からかうようにつーんと澄ましてそっぽを向く光子。
当麻はやけになって、

「好きだ、光子」

言ってやった。

「あ……はい!」

にっこりと笑うその表情の飾り気の無さは、丁寧に仕立てられた婚后光子という女性の容姿や仕草がむしろそれを引き立てていて、可愛いという言葉以外が出てこなかった。

「私も、お慕いしておりますわ。当麻さん」


会話がそこで途切れる。
ふと気づけばぽっかりとあいた空白。
不意に走る緊張感。


以前、名前を呼び合ったときのように、そっと光子の髪に手を伸ばし、軽く撫ぜる。
光子は何かを悟ったかのように、引き寄せられるように当麻の肩に頭を乗せた。
撫ぜていた手がそのまま抱きかかえる手にシフトする。
そして少しの間、光子の髪を不器用に撫ぜ続けた。


「光子」

三度目でようやくマトモに呼べるようになってきた。
上目遣いに光子が当麻のほうを見て、そして恥ずかしさに耐えかねるようにむずがった。
そっと光子の双眸が音を立てずに閉じられる。
ほんの少し当麻が首を動かすだけで、"それ"が成される、そのときに。




パタパタと、ナースのサンダルが足早な音を立てて近づいてくるのが聞こえた。




ぱっと寄りかかっていた体をベッドに引き戻す。
期待を裏切られた当麻は情けない顔をしていたが、幸い光子に見られることは無かった。
目をつぶって完全に"待ち"に入った自分の顔がどんなだっただろうと、急速に理性を取り戻させられた光子の側にも余裕は無かったからだ。

二人して警戒したが、ナースはこの部屋には用がなかったらしく、扉についた窓からチラとこちらを見ることすらせずに離れていった。
なあんだと二人で顔を見合わせて、慌てて眼をそらした。
光子が咎めるように当麻に囁く。

「もう、当麻さん。そういうことは、け、結婚してからするものですわ。気が早いのはよくなくてよ」
「う、なんだよ。俺のせいか。光子だって、期待してたくせに」

かああっと光子が顔を赤く染める。

「そ、そんなことありません! そんなことを言うんでしたら先日の当麻さんこそ私のむ、む」
「おいおい! だからあれは不可抗力だったんだって!」

街中で出会い頭につまずいて光子の胸にダイブしたのは、断じて当麻の意思ではない。

「とにかく、当麻さんはもう少しエッチなところを自重して下さる? 殿方は多かれ少なかれ、そう言うところがあるとお母様に聞きましたけれど……」

だが光子はまったく斟酌(しんしゃく)してくれなかった。

廊下のスピーカーから、扉越しに蛍の光が聞こえた。

「あ……」

その意味を瞬時に悟り、光子が寂しげな声をあげた。
日本においてその曲の意味は余りにも有名。
営業時間の終了、ここは病院だから面会時間の終了をアナウンスしていた。

「もう、帰る時間なのか。ごめんな、長くいてやれなくてさ」
「当麻さんのせいではありませんから……」

語尾を濁す光子の素振りが、明らかにまだ一緒にいたいと告げている。
その顔を見て、当麻は閃く。
うすっぺらい鞄を担ぎ、じゃ、と手を上げた。

「また明日、な」
「え……あの」

去り際に、ほんの少しの触れ合いも残さず立ち去ろうとする当麻の態度に、光子は寂しさを感じた。

「いやさ、光子に触っちゃだめなんだろ? 嫌って言われちゃ仕方ないよな」

意地の悪い顔で当麻がそんなことを言った。

「そんなっ……私、その、嫌だとは、言っておりませんわ」
「俺がエッチだから駄目ってさっき言ったじゃないか」
「もう……当麻さん、嬲るのはおよしになって。去り際がこんな素っ気無いのは、寂しいです」

拗ねたその顔が可愛くて、当麻は満足した。

「光子」
「あ……」

そっと髪を撫でる。
光子が嬉しそうに眼を細める。
「これで満足か?」

そう尋ねると、何か物言いたげな顔をして、結局そっぽを向いた。
ちょっと強引に抱き寄せる。

「あ、と、当麻さん。いけませんわ、こんなこと」

光子が当麻の胸の中で慌てていた。
しかし、それもすぐおさまる。
夕焼けの色が鮮やか過ぎてもう光子の頬の色は分からなかったが、たぶん、当麻は光子の内心を理解できたと思った。

リピートを何度かして、蛍の光がスピーカーから聞こえなくなった。
眼を閉じていた光子が顔を上げ、そして当麻はそっと体を離した。

「名残惜しくなっちまうから、そろそろ行くな」
「はい。仕方ないですものね。その、すごく嬉しかったですわ」
「俺もだ」

二人ではにかみながら見詰め合う。

「それじゃあ、また明日な」

そこではっと気づいたように光子が言葉を繋ぐ。

「あ、いえ、きょ、今日の夜にお電話はできますの?」
「え? ああ、できるよ。いつもの時間にまた掛けるから」
「嬉しい。お待ちしていますわ」

にこりと微笑んで、当麻の退出を見送った。



カラカラと音を立てながら扉が閉じる音を背に受けながら、エントランスへと当麻は向かった。
きっと不幸体質のせいなんだと信じ込むことにしていたが、基本的に自分は自分がもてない男であると、しぶしぶ事実を受け入れていた。
それが今ではひょんな経緯からお嬢様学校の女の子と付き合い始めることとなり、マメにメールや電話をしているのだ。
彼女の容姿に文句なんてこれっぽっちもないし、性格もクセはあるが付き合いに慣れればひたすら可愛かった。

どう考えてもこれ幸せじゃね?
何故俺がこんなに幸せに?
という不信感がぬぐえないあたり、当麻はまさしく不幸の人だった。

付き合いだしてからも学校帰りに卵パックが割れたり自転車にドロを跳ね上げられたりする程度で、不幸の量は以前と何も変わったところはない。
まあ運が良いことが人生に一回くらいあったっていいだろう。
あとは、愛想をつかされないように付き合っていくだけだ。
当麻はそう思いなおし、病院の玄関を潜り抜けた。










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