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  • 上条「初詣行かないか?」 神裂「私で…良ければ」②

自分用SSまとめ

上条「初詣行かないか?」 神裂「私で…良ければ」②

最終更新:2011年09月30日 00:20

meteor089

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管理者のみ編集可

上条「初詣行かないか?」 神裂「私で…良ければ」②

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138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:50:36.02 ID:4SyRupAbO
「もしよろしければ、ご飯をご馳走させて頂けませんか?」

神裂からそんな電話が掛かって来たのは、
山小屋での一騒動からしばらくしての事だった。
建宮や土御門が迷惑をかけた事を、
神裂は申し訳なく思っていたのだ。
もちろんそれは建て前で、上条と過ごすチャンスというのが神裂の本音だ。

「どーしたんだよいきなり」

上条は建宮や土御門の悪巧みだと気付いていないので、
神裂の急な申し出に内心驚いていた。

「お前から食事に誘われるなんて、なんか意外だな」

「そ、そうですか?あの、嫌ならお断りして頂いて構いません」

「ん?嫌だなんて思ってないぞ。
むしろ上条さんは大歓迎だ」

いつもの食事といえば、インデックスとおかずを取り合ったり、
スフィンクスがお皿をひっくり返したり。
とにかくてんやわんやの大騒ぎなのだ。
神裂との食事なら久しぶりに
のんびり食べられると上条は思った。


139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21:52:27.37 ID:4SyRupAbO
「で、では後程自宅へお伺いさせて頂きます」

「へっ??」

上条はてっきりどこかで外食するものだと思っていた。

「うちに…来るのか?」

「い、いけませんか?私が…その、鍋でもお作りしようかと…
迷惑でしょうか…」

神裂の寂しそうな声に、上条は思わず答えてしまう。

「い、いけなくありませんっ!!
むしろ是非よろしくお願いしますっ!」

「ふふ、あなたはいつも大袈裟ですね、では後程」

そう言って電話は切れてしまった。

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:04:11.58 ID:4SyRupAbO
「し……しまったぁぁぁ!!」

上条は頭を抱えてうなだれていた。
神裂の寂しそうな声に負けて、
勢いでオッケーしてしまった。

「くっ、女の子を簡単に部屋に上げてしまうとは。
上条さんはいつからこんなプレイボーイになったんですか…」

「前からなんだよ」

上条の背後から銀髪のシスターが声を掛ける。

「とーまはいっつも知らない間に
女の子と知り合って帰ってくるんだよ。
そもそも既にこんな可愛い女の子と住んでるじゃん」

そう言ってインデックスはモデルの様にくるりと回った。

「あー、お前はいいんだよ。幼児体型のお子様なんだし」

「む!なにそれヒドい!!」

そう言ってインデックスは上条の頭に噛みつく。

「いってぇぇぇ!!!ほらみろ!!
そんな事するやつが女の子であってたまるかぁぁ!!」

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:07:06.84 ID:4SyRupAbO
インデックスに散々噛みつかれた上条は、全身歯形だらけになっていた。

「くそ…不幸だ…」

(しかし、インデックスに神裂が来ること伝えた方がいいのか?)

(いや、もしインデックスがいたら鍋がめちゃくちゃに…
神裂の好意を無駄にしかねない…)

幸いというのか、
インデックスは電話の内容までは分かっていない様だった。
上条があれこれ考えていると、
手に持っていた携帯が震えた。
ディスプレイには月詠小萌の名前があった。
インデックスに負けない程幼児体型の、
上条の担任だ。

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:10:46.38 ID:1bZFoyDG0
困った時の小萌先生

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:16:53.40 ID:4SyRupAbO
「はい、なんすか小萌先生?
上条さんは補習ならお断りで…」

「はぁ~、上条ちゃん。
補習が嫌ならきちんと勉強すればいいのです。
それに今日は補習の連絡じゃありませんよー」

「ん?じゃあ何ですか?」

「そこにシスターちゃんはいますか?」

上条はベッドでスフィンクスと
じゃれているシスターをちらっと確認する。

「いますけど?」

「良かったです。じゃあシスターちゃんに代わって下さい」

上条はインデックスに小萌先生からだと、電話を手渡した 。

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:24:46.50 ID:4SyRupAbO
「とーま大変!!!」

小萌との電話を終えたインデックスは、
やけに興奮していた!

「あのね!小萌がお家で焼き肉するんだって!
でもお肉たくさん買い過ぎて困ってるみたいなんだよ!
だから神様に仕える身の私としては、
ほっとく訳にはいかないと思うんだよ!」

「は?」

「じゃあとーまはお留守番しててねっ!いってきます!」

早口でまくし立てると、嫌がるスフィンクスをひっ掴むと、
インデックスはさっさと出掛けてしまった。


150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:26:11.39 ID:hJP7lCGp0
やはりいらない子かww

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:29:07.44 ID:PLXAHNULO
インティの扱いはどこでも安定してるな

154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:34:51.75 ID:4SyRupAbO
「あいつは肉さえあれば誰にでもついて行きそうだな……」

上条はさっさと出て行ったインデックスを見て、心底そう思っていた。

「ま、まぁこれで落ち着いて鍋が…………はっ!?」

上条は重要な事を見落としていた。

「ふ…ふたりっきりじゃねぇかぁぁぁぁ!!!!!!」

その後の上条は檻の中の動物のようだった。
部屋を行ったり来たり、同じ所を何度も掃除したり。
そうこうしているうちに、
上条の部屋のチャイムが鳴った。

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:46:34.37 ID:4SyRupAbO
「お、お邪魔します」

両手に抱えきれないほどの荷物を持って神裂は訪ねてきた。

「神裂、一体なにをそんなに持って来たんだ?」

「あ、あの…食材とか土鍋とかお皿とか…」

「し、食器まで買って来たのか…」

「す、すいません!張り切りすぎてつい……」

神裂はシュンとうなだれてしまう。

「い、いや!上条さんはそのしっかり準備する姿勢に感動してます!!」

取りあえず荷物はキッチンに置いて、
上条は神裂を部屋へ通した。

161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:56:37.25 ID:4SyRupAbO
「ところで上条当麻、あの子の姿が見あたりませんが…」

神裂は荷物をおろすと部屋を見渡しながら尋ねた。

「ん?あぁインデックスなら只今絶賛焼き肉中だ」

「????」

神裂には何を言っているのか分からなかったが、
上条と二人きりになれるという事だけは分かった。

「さてと、じゃあ早速準備しようか」

上条は荷物を持ってキッチンに向かう。
神裂もいそいそとその後に従った。

162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 22:57:34.23 ID:4SyRupAbO
「あ、あの…」

上条が食材の確認をしていると、
神裂が申し訳なさそうに声を掛けてきた。

「こ…これ。紐…結んで頂けませんか?」

神裂はエプロンを必死に着ようとしていた。
背中の紐が上手く結べないのか
必死に手を動かしている。

(し、新婚さんみたいじゃないですかぁぁぁ!!)

という思いは心にしまい、上条はあくまで紳士的に紐を結ぶのだった。

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:08:02.81 ID:4SyRupAbO
「はぁ~」

上条はネギの準備を始めた神裂を、
溜め息をつきながら眺めている。

「な、なんですか、上条当麻」

その視線に気付いたのか、神裂は手を止めて振り返る。

「いや、神裂がお嫁さんになったらこんな感じなのかなーって」

「おっ!!おおおお嫁さんっ!ななな何をっ!
ちっ血迷いましたか上条当麻!」

「へ?」

上条はただ思った事を口にしただけなのだか、
神裂は顔を真っ赤にして慌てふためく。

169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:18:59.81 ID:4SyRupAbO
「おっお嫁さんなんてそんな…
わ、悪い気はしませんが…」

「…ざき!」

「いえ、むしろ嬉しいです…
もし上条当麻とけっ、結婚なんて事になったら…」

「神裂!」

「えっ?」

ブツブツと呟いていた神裂は、
上条が必死で呼び掛けているのに気付かなかった。

「神裂!あぶねー!」

気がつくとネギを切っていたはずの包丁が、
神裂の手元まで来ていた。

「いたっ!」

「大丈夫か!?」

ボーっとしていた神裂は、うっかり自分の指を切ってしまった。

170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:19:09.57 ID:Km9NzQ/H0
ねーちん可愛い

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:20:45.20 ID:4SyRupAbO
「血が出てんじゃねーか。ちょっと待ってろ」

そう言うと上条は絆創膏を取りに行く。

(はぁ~、駄目ですね私は。
五和のようにはいきません)

「お前でも失敗する事あんだな」

そう言って上条は絆創膏を手に戻ってきた。

「す、すみません。ついうっかりして…
ご迷惑おかけします」

神裂は自分の情けなさに
ガックリとうなだれる。
しかし上条からは意外な言葉が返ってきた。

「安心したよ」

「えっ?」

「いやー、なんか神裂って何でも完璧にこなしそうだろ?
だからそういうドジなとこもあったんだって思ってさ。
上条さんはその方が可愛いと思うぞ」

そう言って上条は神裂の手を取り、器用に絆創膏を巻いた。

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:30:50.51 ID:4SyRupAbO
上条当麻の言葉には
不思議な力があると神裂は思う。
どれだけ自分が情けなくても、
上条の言葉を聞けば自分で自分を許せるような気がする。
自分で背負い込んだ重い荷物も、彼の言葉で軽くなる。

「ありがとう、上条当麻…」

そう言って神裂は上条の手を両手で包む。

「は…はい?」

「な、何でもありません。さぁ、早く用意してしまいましょう!」

神裂はまたキッチンへと戻る。
何も気づいていない鈍感な上条を残して。

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:37:25.67 ID:4SyRupAbO
その後の神裂は見事な手際だった。
あっという間に食材の下準備を終え、
テーブルに食器を並べていく。

「さぁ、あとは煮えるのを待つだけですね」

テーブルに向かい合った二人は、
鍋に食材を入れていく。

鍋が煮えるまでの間、
二人は思い出話に花を咲かせた。
初めて出会ったあの日、エンゼルフォールの時の事、アックアとの事。
鍋が煮えるには充分だった。

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:43:46.69 ID:4SyRupAbO
「では」

「おぅ」

「いただきます」

神裂は甲斐甲斐しく、
上条の分を取り分けてくれる。

(何度でも言うっ!!!
新婚さんみたいじゃねーかぁぁぁぁ!!!)

飲み物がなくなればすぐに注ぎ足し、
上条が何かこぼせばすぐに拭く。
まさに至れり尽くせりだ。

「なぁ、神裂。やっぱお前もいいお嫁さんになれるぞ。
上条さんが保証する」

「…!?」

カタンと神裂はコップを倒してしまう。

「あわわわわ!!!!す、すいません!!」

慌ててテーブルを拭く神裂。

(もうっ!私のバカっ!!)

こうして鍋の夜は更けていくのだった。


180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 23:57:33.01 ID:4SyRupAbO
「ふぁ~、食った食ったー」

「お腹いっぱいです」

あれだけあった食材も、
上条がほとんど食べてしまった。
インデックスがいる時には、
こんなに満腹にはならないだろう。
神裂は食べ終わった食器などを、
テキパキと片付けていく。

(同じ女の子なのにこんなに違うのか)

上条の頭に銀髪シスターの顔が浮かぶ。

「手伝うよ、神裂」

「いえ、言い出したのは私です。
最後まできちんとやらせて下さい」

「な、何ですか?
上条さんには涙で前が見えませんっ!」

「ふふ、あなたはいつも大袈裟です」

インデックスに爪の垢を煎じて飲ませよう。
上条は心に強く誓うのだった。

186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:21:34.65 ID:VIK5qYO8O
「神裂は何かいるもんあるか?」

片付けまでしてくれた神裂の為、
上条はコンビニに簡単なジュースや
デザートを買いに行く事にした。

「いえ、お気遣いなく」

「んじゃあ、適当に買ってくるわ」

部屋を出た上条はコンビニで、
カゴにジュースやケーキなどを次々放り込む。

「まぁこんなもんかな」

上条がレジに向かおうとした時、
意外な二人組がコンビニに入ってきた。

188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:32:22.53 ID:VIK5qYO8O
「チッ、ンなもン買わねーからな」

「えー、だってお菓子一個なら買っていいって言ったもん、
ってミサカはミサカは可愛く抵抗してみたり」

「それは食べもンじゃねーンだよ!!」

そう言ってコーヒー用のシュガーを引っ張り合う二人を、
上条は知っていた。
真っ白な肌に真っ白な顔、
赤い瞳の少年は"一方通行"。
学園都市で最強の能力者だ。
もう一人、体の小さな女の子は"打ち止め"。
"妹達"の最後の一人だ。

「やべ!」

別に顔を合わせてもいいのだが、
上条はなんとなく隠れる事にした。

191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 00:52:25.36 ID:VIK5qYO8O
二人は大騒ぎしながら買い物を終え、
大騒ぎしながら出て行った。

「あんな大量の缶コーヒー、どうすんだ…」

上条は知らないが、一方通行は気に入った缶コーヒーは
それだけを飽きるまで飲み続けるのだ。

「おっと、遅くなっちまった」

上条は急いで会計を済ませると、神裂の待つ部屋へと急いだ。

(何度でも言おう!新婚さんみたいじゃねーかぁぁぁぁ!!)

192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:00:57.84 ID:aKWaSeQ90
羨ましすぎるぜ…

193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:07:01.12 ID:VIK5qYO8O
「悪い神裂!待たせた!」

そう言って玄関を開けたが、神裂から返事がない。

「怒ってます?神裂さん?」

上条が恐る恐る部屋に入ると、
神裂は上条のベッドにいた。

「……ん…すー…すー」

可愛い寝息を立てて、神裂は寝ていたのだ。

上条が出て行ってから、
神裂はしばらくソワソワとしていた。
何をして上条を待っていようか。
そう思っていると神裂の目に上条のベッドが目に入った。

(す、少しだけ…)

そう思った神裂は、
思い切ってベッドに横になった。

(か、上条当麻のベッド…)

今はインデックスが占拠しているが、そんな事は神裂は知らなかった。
そんな事をしている内に、
神裂は緊張と疲れから眠ってしまったのだ。


197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:21:06.99 ID:VIK5qYO8O
「疲れてたんだな」

上条は神裂の顔をまじまじと眺める。
それは聖人とは程遠い寝顔だった。
いつも何かを背負い、何かを守り、自分に厳しく、
そして他人には優しい。

そんな普段の神裂からは程遠い、
無邪気で可愛い寝顔だった。

「さてと……」

上条は小萌に電話をかけた。
インデックスは明日迎えに行くと伝えた。
インデックスは電話の向こうで
文句を言っていたが、小萌は任せろと言ってくれた。
こんな時の小萌は頼りになる。
生徒の頼みは何があっても受け止めてくれるのだ。

上条は神裂にそっと毛布をかけると、電気を消した。

「おやすみ、神裂」

いい夢を見ているのだろうか、
神裂は上条に答えるように小さく微笑んだ。

201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:43:05.49 ID:VIK5qYO8O
翌朝上条はいつものように
バスルームで目覚めた。
上条さんはいつだって
ジェントルマンなのだ。

「げっ、バスルームの鍵閉め忘れてんじゃねーか…
ってもうこんな時間かよ」

上条が携帯で時間を確認すると、
正午を過ぎたくらいだった。

上条がバスルームを出ると、
神裂の姿はもうなかった。
代わりにテーブルの上に
鯛茶漬けの用意と、一枚のメモが置いてあった。
上条はメモを手に取る。

202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:44:52.93 ID:VIK5qYO8O
【ベッドを使ってしまい、申し訳ありませんでした。
まさか浴室で寝ているとは思いませんでしたが、
やめた方がいいですよ。
体に悪そうです。
朝ご飯を用意しておきました。
私はイギリスに戻らなければならないので、
お先に失礼いたします。
昨日はとても楽しかったです。
ありがとう。
PS 可愛い寝顔です】

神裂らしい丁寧な字だった。

「ね、寝顔!?いや、俺も見たしおあいこか?」

上条はあれこれ考えていたが、
重大な事に気付いた。

「あっ…インデックス!」

迎えに行くと言ったのに、
もうお昼過ぎだ。

「はぁ~、また噛みつかれるのですね…不幸だ」

上条はまたいつもの
不幸な日常に戻っていくのだった。

204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 01:48:11.59 ID:VIK5qYO8O
お鍋編はこれにて「完」です
支援、保守、みなさまありがとうございました
楽しいクリスマスになりました
明日もまだスレが残っていたら、
また何かSS考えて投下します

ここから美琴編

217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:17:00.90 ID:VIK5qYO8O

12月25日。今日はクリスマスだ。
街はカップルが溢れ、イルミネーションで飾られたお店からは
陽気なクリスマスソングが流れている。
科学の粋を集めた学園都市でも、
こういった昔からのイベントは盛り上がるのだ。

「何なんですかこの雰囲気は?
独り者は家から出るなって事ですか?はぁ~」

深い溜め息をつき、上条当麻はカップルを避けながら
街を歩いていた。本来なら学生は冬休みなのだが、
彼は朝から月詠小萌の補習を受けていた。

「クリスマスが半日潰れちまった。
まぁ上条さんにはクリスマスなんて関係ありませんけどね」

強がりを言いながら上条は家路を急いだ。

218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:20:55.88 ID:VIK5qYO8O
「あのー、お姉さま?
今日が何の日かお分かりですの?」

白井黒子はパソコンをカタカタといじりながら問い掛けた。
ジャッジメントの残務処理をしているのである。
白井黒子は学生のみで構成される
街の風紀委員【ジャッジメント】のメンバーだ。
ちなみに教師を中心に構成される
治安部隊は【アンチスキル】だ。

「クリスマスでしょ。てか黒子、その質問今日7度目よ」

お姉さまと呼ばれた御坂美琴はうんざりした顔で答える。

「そう!クリスマス!クリスマスといえば愛を誓い合った者同士が
聖なる夜を一緒に過ごす日ですの」

「そんなもんどっかのバカが消費を促す為に作った
ただの悪しき習慣よ」

美琴は髪に櫛を通しながら鏡越しに答えた。

219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:25:21.29 ID:VIK5qYO8O
「まぁ!まぁまぁまぁ!
そんな事だからお姉さまはいつまでたっても子供っぽいのですわ!」

黒子は美琴の背後に立つと、
わざとらしく呆れてみせる。

「ですから…今日はわたくしが
お姉さまを大人の女性にして差し上げますわ…
愛する者同士、仲良く過ごそうじゃありませんの。グフフ」

嫌な笑みを浮かべて黒子は両手を大きく広げた。

220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:26:18.96 ID:VIK5qYO8O
「ではっっっ!!!」

黒子は美琴をガバッと後ろから抱き締めた。

「ちょっ!黒子!!!やめなさい!」

「まぁまぁいいじゃありませんのお姉さま!
さぁ黒子の愛を感じて下さいませ!!」

「やめろって言ってんでしょーがっ!!!」

バチバチっと鋭い音を立てて電撃が黒子に襲いかかる。

「ぎゃぁぁぁ!!」

黒子は体から煙をあげて倒れ込む。
御坂美琴の能力は電撃。
学園都市でも最強クラスのレベル5だ。

「あー、また髪がはねちゃったじゃない」

美琴は溜め息をつきながらまた櫛で髪を溶かし始めた。

222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:30:37.49 ID:VIK5qYO8O
「ぐ……さすがはお姉さま。やりますわね。
…ときにお姉さま?今日は鏡に向かう時間が
長くありませんの?」

カエルの様に床に這いつくばっている黒子は
気になっていた事を聞いてみた。
美琴は普段からあまりオシャレに気を配らない。
コンビニで立ち読みするのは
ファッション誌ではなく漫画だし、
下着もパジャマも黒子からすれば小学生の趣味だ。
普段は化粧もしていない。

「べっ、別にいいでしょ。
ちょっと髪型が気に入らないだけよ」

「へー………………そうですの」

「なっ、何よその嫌な笑顔は」

「いえいえ…黒子はてっきりあの殿方と
お過ごしになるのかと」

「ちっ違うわよ。じゃあ私もう出かけるからっ!」

美琴はそそくさと髪をまとめると、
床でヘラヘラしている黒子をまたいで部屋を出て行ってしまった。

223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:31:58.65 ID:VIK5qYO8O
「……思いっきり怪しいですの。
ですが安心してくださいませ。
お姉さまの貞操は黒子が守って見せますわ。フフ」

美琴を追いかけようとした
黒子の携帯が突然鳴った。

「はい………えぇ………分かりましたの」

携帯を切った黒子の顔に、
氷のような笑顔が張り付いた。

「こんな素敵な日に事件を起こすなんて…覚悟して下さいな、
今の黒子はとっても機嫌が悪いんですの」

224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 02:34:32.34 ID:VIK5qYO8O
「黒子のやつ、変な所はするどいわね」

実は黒子の言った事は半分当たっていた。
美琴は今日上条当麻に約束はしてないが、
会うつもりにしていたのだ。

美琴は今【ゲコ太】というキャラクターにはまっている。
ある雑貨屋で、そのゲコ太のクリスマス限定バージョン
(サンタ&トナカイ)ストラップが発売されるのだ。
ただし購入出来るのはカップルのみ。
美琴は見事に"どっかのバカの作った
消費を促す悪しき習慣"に乗っかろうとしていた。

「ま、まぁゲコ太の為だし。
仕方ないわよね」

美琴は自分に言い聞かせながら、
携帯から上条当麻の番号を探す。
この上条当麻の電話番号を手に入れる為、
美琴は以前にも同じ様な方法を使っている。

「よ、よし」

電話をかける事を少し躊躇したものの、
美琴は思い切りはいい方なのである。

228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:04:51.11 ID:VIK5qYO8O
上条当麻は喫茶店で一人コーヒーを飲んでいた。
実は昨日からインデックスは
上条当麻の両親に連れられて温泉に行っている。
もちろんスフィンクスも一緒に。
帰りは明日の予定だ。
当初は上条もついて行くはずだったが、
補習が入ったせいで一人取り残されたのだ。

「くそー、何が何でもついて行けば良かった」

誰もいない部屋で一人過ごすのも何となく嫌だったので、
こうして喫茶店で時間を潰しているのだ。
しかしそれが間違いだった事に上条は気付いた。

「ぐ……カップルばっかりじゃねーか」

見渡す限り店内はカップルで溢れていたのだ。
喫茶店に入る時にはカップルはまばらだったはずなのに、
今や店内は色で例えるならピンクだった。

「なんですかこれは。カップルに囲まれて
一人で過ごす上条さん。
一体どんなマゾプレイですかこれは。くそ、不幸だ」

229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:06:56.21 ID:VIK5qYO8O
こうなりゃ嫌がらせのごとく居座ってやる!と、上条が無料のコーヒーをお代わりしようとした時、
テーブルの上の携帯が震えた。
「ん?御坂?」

上条は珍しい人物からの電話に、
何か自分は悪い事でもしたのかと動揺した。
こんな時の上条は、
根っからのネガティブ思考なのである。

231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:10:15.92 ID:VIK5qYO8O
「ビリビリ、何か気に障ったなら謝る」

上条は電話にでるなりそう言った。

「ビリビリ言うな。てかあんたは何か私の
気に障るような事したわけ?」

「いえ…記憶にございません」

「だったらいちいちヘコヘコしない!!」

いけない、こんな無意味な言い合いする為に
わざわざ電話したのではない。
上条は何かブツブツ言っていたが、
美琴は手短に用件を伝えた。

「で、あんた今どこにいるわけ?」
「いや、上条さんはとても忙しい身でして。
まだあなたに付き合うとは言ってないのです」

ムカッ!!美琴が文句を言ってやろうと思った時、
電話越しに聞こえた言葉を美琴は見逃さなかった。

233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 03:12:19.83 ID:VIK5qYO8O
「お客様、コーヒーのお代わりはいかがですか?
無料ですよ」

「へぇ…あんた、コーヒーのお代わりを
勧められる程暇してるわけ?」

そう言いながら美琴の頭は高速で回っていた。
今の時間に学園都市でコーヒーのお代わりが無料、
さらに上条当麻をよく見かけるエリアにある喫茶店。

「あんた、喫茶2CHにいるでしょ」

「なっ、なぜそれを!?」

上条がそう言ったあと、
電話からはゴソゴソと音がしている。

「発信機なんか付いてないわよ」
「ぐっ…」

「やっぱり発信機を探してたのね。
あんた私を何だと思ってるわけ?」

黙り込む上条をよそに、美琴は続ける。

「いい!今から私が"わざわざ"迎えに行ってあげる!
なのにもし逃げたりしたらコロス!!」

上条の返事も聞かず美琴は一方的に電話を切った。

249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:19:44.16 ID:VIK5qYO8O
20分程で美琴がやって来た。
結局上条は逃げる事も出来ず、
3杯目のコーヒーに口を付けるところだった。

「さ、行くわよ」

美琴はさっさと会計を済ませ、
上条を引っ張って店を後にした。

「んで、そのゲロゲロリンてのは
どこに売ってんだ?」

「…ぶっ飛ばすわよあんた。
ゲコ太よ!ゲ・コ・太!」

「わ、分かった分かった!
んでどこに売ってんだ?」

「あそこよ」

そう言って美琴が指差したのは、
可愛らしい外観の雑貨屋だった。
「んじゃさっさと買っちまおーぜ」

二人が店に入ると
信じられない光景が広がっていた。

251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:21:22.50 ID:VIK5qYO8O
「なんなのよこれ…」

狭い店内にカップルがぎっしり詰まっていたのだ。

「いらっしゃいませ!
限定ゲコ太をお買い求めのお客様は
こちらにお並びくださーい!」

店の外観と同じ様に可愛らしい
エプロンを付けた店員が二人を案内する。

「く…ゲコ太の本当の魅力も分かってないくせに、
カップル限定ってだけで群がるんじゃないわよ」

小さく悪態を吐いて美琴は
仕方なく列の最後尾に並んだ。
美琴の横では、上条が店内に貼ってある
限定ゲコ太のチラシを眺めている。

「んー、こんなもんの為に行列作るなんて
みんな変わった趣味してんだなー」

「…あんた私にケンカ売ってんの?」

行列に並ばされてイライラしている美琴は
腕を組んで上条を睨み付けた。

252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:23:23.02 ID:VIK5qYO8O
どれくらい並んでいただろうか、
カップルは一組、また一組とゲコ太を手に帰って行く。

そして美琴のイライラも一段階、
また一段階と上がっていく。

「………………」

美琴はもう20分以上何も喋っていない。
上条当麻とクリスマスに会える、
鏡の前で念入りに髪型を気にしていた時の気持ちなど
すっかり忘れていた。
店員に文句の一つでも言ってやろうか、
そんな事を考えた時だった。

「申し訳ありませーん!限定ゲコ太はあと5組で
売り切れになりますー!」

美琴は指を差しながら
急いでカップルの数を数えていく。

「1…2…3…4…」

そして自分を指差し

「…7…ふ…ふざけんなー!!!!」

253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:28:07.02 ID:VIK5qYO8O
「……はぁ~…」

あれから店員と言い合い、
一通り粘ってみたものの、
ゲコ太が美琴のもとへ来る事はなかった。

「ま、まぁ仕方ねぇって!
買えなきゃ死ぬわけでもねーんだからさ!」

上条は励まし方の教科書に載っているような、
なんのひねりもない言葉をかけてみる。

「………あんたには分かんないわよ」

いつも上条に食ってかかり、
電撃をバチバチしている姿とは違い、
美琴は目に見えて落ち込んでいた。

「んー………」

「なっ、なんであんたまで落ち込んでんのよ。」

「んー………」

聞こえていないのだろうか、
上条は頭を掻きながら生返事をした。

254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:29:19.75 ID:VIK5qYO8O
「…わ、分かったわよ!もう諦めるから!
あ、あんたも元気出しなさいよ!」

「ん?あぁ、そーだな」

また生返事。

「か、か、変わりに今から私に付き合いなさい!
ゲコ太の恨み晴らさないと気がすまないのよ!」

そう言うと美琴は上条を引っ張って歩き出した。
ゲコ太亡き今、上条と無理やりにでもクリスマスデートしてやる。
美琴はそう思っていた。

255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:31:39.49 ID:VIK5qYO8O
それから美琴は上条を引っ張っり回して
色々な店を見て回った。
美琴は自分が無理やり引っ張っり回しているのは
分かっていたが、
ゲコ太を忘れるくらいに楽しかった。
ショーウインドウに映る自分と上条は
カップルみたいで少し恥ずかしかったが。

「あ~すっきりした!」

ゲームセンターから出て来た美琴は
大きく伸びをする。

「すっきりしたって御坂さん。
パンチングマシーンをぶっ壊れるまで殴るなんて、
上条さんは女の子の概念を覆されましたよ」

「ふん、あれくらいで壊れる方が悪いのよ」

「さ、ちょっと休憩しましょ」

美琴は道路脇にあるベンチに腰掛けた。
上条もそれに倣う。

257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:37:51.83 ID:VIK5qYO8O
「あっ、あんたちょっとここで待ってなさい。
勝手に帰ったらぶっ飛ばすからね!」

何かを思い出したのか、
ベンチに座って5分もしないうちに
美琴は近くのデパートへ入っていってしまった。

「忙しいやつだ…」

上条は小さく呟いた。

美琴はデパートの紳士服売り場にいた。
手袋のコーナーで真剣に悩んでいる。

「うーん……あっ、これ可愛い」

「いや、あっちの方が………」

「あっ、これ私が欲しい…」

259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:39:11.82 ID:VIK5qYO8O
ブツブツと呟きながら、次から次へと手袋を見ていく。
大人用とは思えないデザインの物ばかりを。
美琴の脳裏に黒子の言葉が蘇る。

(お姉さまの趣味……子供過ぎですわよ)


結局一時間以上迷って、
自分では大人っぽいと思う手袋を選んだ。
綺麗にラッピングしてもらってデパートを後にする。

「まさかこんなに時間が掛かるとは…
…プレゼント選びって案外疲れるわね…」

「いやー、お待た……へ?」

美琴がベンチへ目をやると、上条の姿がない。
一時間以上待たせたので怒って帰ったのか。

「ぐっ…待ってなさいって言ったのに、
あのバカ!!」

261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 09:47:30.73 ID:VIK5qYO8O
「おービリビリ、用事は済んだのか?」

ふいに上条に声をかけられる。

「あ、あんた!!待ってろって言ったでしょ!!」

「いやー、悪ぃ悪ぃ」

美琴は文句を言いたい気持ちをぐっと抑える

(が、我慢よ美琴!
こいつにクリスマスプレゼント渡すまでは!)

美琴はとにかく上条をベンチに座らせる。
冬の夜は早い。
辺りは暗くなり、イルミネーションが一層
キラキラと輝いている。
時刻は午後8時を回ろうとしていた。

「もうこんな時間か……
私は寮の門限があるからそろそろ帰る。
そ…それから…あの…」

「ん?」

上条には俯いている上、暗くて美琴の顔は良く見えないが、
美琴は真っ赤になってモジモジしているのだ。


263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:11:51.51 ID:VIK5qYO8O
「こ、これ!今日付き合ってくれたお礼!
別に変な意味はなく、
あの、ただのお礼だから!!」

そう言って上条に買ってきた手袋を渡す。
上条は恐る恐る包みをほどいている。

「こっこれは手袋!俺にくれんのか!?
上条さんには御坂さんが天使に見えます!!!」

上条は手袋を頭上に掲げ、恭しく頭を下げた。

「あ、あんたはいちいち大袈裟なのよ!」

「いやいや、ほんとに嬉しいよ。
ありがとな、御坂」

「あ、当たり前よ!私からのプレゼントなんて、
黒子が知ったらあんた殺されるわよ!」

美琴は自分の顔が熱で火照っているのを感じた。
このままでは緊張と恥ずかしさで死んでしまうのではないだろうか。

「じ、じゃあ私は帰るから。
あんたもさっさと帰りなさいよ」

そう言うと美琴はそそくさとこの場を離れようとした。

264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:14:46.58 ID:VIK5qYO8O
「あぁそうだ、ビリビリ。ほらっ」

上条の声に振り向くと同時に、何かが飛んで来た。
咄嗟にキャッチをした美琴が文句を言おうとしたが、

「帰ったら開けていいからなー」

それだけ言うと上条は手袋をした手をヒラヒラさせて、
背を向けて歩いて行ってしまった。

「な、なんなのよ…」

美琴は手のひらの小さな包みを見て呟いた。

265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:20:09.46 ID:VIK5qYO8O
「ただいま」

美琴が寮に戻ると、白井黒子はセクシーな(美琴からすれば悪趣味な)
ネグリジェでくつろいでいた。

「あら、おかえりなさいませお姉さま。
意中の殿方と素敵なクリスマスを過ごせましたの?」

いつもの美琴ならここでギャーギャーと黒子とやり合うのだが、
今はそれどころではなかった。
「ごめん黒子!あとにして!」

そう言って美琴はトイレに逃げ込んだ。
バスルームでは黒子がテレポートしてくる可能性が高い。
黒子はいくら変態でも、
トイレにはテレポートはしないのだ。

上条からもらった包みを急いで開けてみる。

「………う…そ」

中から出て来たのは、
サンタとトナカイの格好をしたゲコ太だった。

266 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:29:45.72 ID:VIK5qYO8O
「な、なんで……これ…え…」

美琴には訳が分からなかった。
あの時確かに売り切れていたのだ。
どれだけ粘っても買えなかった。なのに…

「どうして…」

美琴があまりの事態に放心していると、
トイレのドア越しに黒子が話し掛けて来た。

「そういえば聞いてくださいな。
私今日はジャッジメントのお仕事であちこち駆け回っていましたの。」

「黒子…今話す気分じゃ…」

「お姉さまがいつもお話になっておられる殿方。
上条さんとおっしゃりますわよね?」

「…え?」

「午後の7時過ぎですわ、お見かけしましたの。」

美琴がデパートで手袋を選んでいたまさにその時間だ。

267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:31:26.78 ID:VIK5qYO8O
「カップルを見付けては、頭を下げて回っておられましたわ。
一体何を考えているのやら。
付き合い方を考えた方がよろしくありませんの?
っと…これ以上はお手洗いのお邪魔ですわね。
ではごゆっくり、お姉さま」

そう言ってドア越しの黒子の気配が消えた。

「…うっ…うぅ…」

美琴の目から涙が溢れる。美琴は全て理解したのだ。
美琴が落ち込んでいる時のあいつの気のない返事。
あれは考えてくれていたのだ。何とかしようと。
カップルに頭を下げて回っていたのは、
ゲコ太を譲ってくれないかと頼んで回っていたのだ。
他でもない自分の為に。

「うぅ………ぐす…バカ…」

美琴はただただ嬉しかった。
ゲコ太が手に入ったからじゃない。
上条の気持ちが何より嬉しかったのだ。

268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:37:22.13 ID:KrzNHpufO
さすが上条ちゃん

269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:39:33.37 ID:VIK5qYO8O
トイレから美琴のすすり泣く声が聞こえる。

「まったく。私もお人好しですの」

黒子は気付いていた。
美琴が限定ゲコ太を欲しがっていた事も、
それを上条当麻を連れて買いに行こうとしている事も。
いつも一番近くで美琴を見て来たのだ。
美琴が口にしなくてもそれくらい分かる。
そして街で上条を見かけた時、
上条が何のために頭を下げていたのか気になった黒子は、
あとでカップルに聞いてみたのだ。
なぜ頭を下げていたのですかと。
そして全てを理解した。上条当麻は美琴の為にあんな事をしていたのだ。
そして彼はその事を美琴には言わないだろう。

271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:41:09.20 ID:VIK5qYO8O
黒子は最初、美琴には上条の事を言わないつもりだった。
わざわざ敵に塩を送る必要はないのだから。
だが黒子は教えた。そうした方が美琴にとって良いと、
黒子は思ってしまったのだ。

「今回だけですの、上条当麻。
あなたの為ではありません、お姉さまの為ですの」

トイレからはまだすすり泣く声が聞こえている。
黒子はベッドに潜り込むと小さく呟いた。


「メリークリスマス、お姉さま」

ここから美琴編後日談

274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 10:51:21.42 ID:VIK5qYO8O
美琴とクリスマスを過ごした翌日、インデックスが旅行から戻ってきた。

「ただいま!ただいまただいま!とーま!」

「だぁぁっ!!何度も言わなくても分かったっつーの!」

「ふい~、疲れたー」

そう言ってインデックスはリュックをおろす。

「あれ、お前のリュック…そんなパンパンだったか?」

インデックスはいつも修道服を着ている。
旅行でも同じだ。
下着など必要最低限しか荷物はないはずだ。
上条の記憶では、出掛ける時はリュックはペラペラだった。

「ふっふ~、とーまにお土産たくさん持って帰ったんだよ!」

そう言ってインデックスは
リュックからお土産を取り出していく。


276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:02:52.26 ID:VIK5qYO8O
「はい!いっこめー!」

「なんでしょうこれは…」

蜂蜜の瓶の様な物に、
透明な液体が入っている。

「ふっふ~、おんせーん!」

「……………」

「にこめ~!」

石だ…上条の目が節穴でなければ…
石にしか見えない

「一応聞こう…これは?」

「スフィンクスに似てる石ー!!」

「……………」

278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:10:24.67 ID:VIK5qYO8O
「んしょ…さんこめー!」

「アハハ!上条さんには分かるぞー!
これは葉っぱだなー!アハハー!」

「せいかーい!」

「……………」

「これが最後なんだよ!」

ゴトッ、と鈍い音を立てて熊の置物が出てくる。
デカい。リュックの80パーセントは占めていたはずだ。
ご丁寧に鮭をくわえている。

「…インデックス…これ幾らした?」

「トーマにもらった紙一枚分なんだよ!」

「い、…いちまん…だと…」

「嬉しい?トーマ!」

「ふ…ふざけるなぁぁ!!
上条さんはお前が楽しめるようにと
泣く泣く一万円も渡したんだぁ!
それをこんなゴミ……」

インデックスの顔がみるみる曇っていく。

279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:11:49.22 ID:VIK5qYO8O
そうか、インデックスは自分の為じゃなく俺の為にお金を使ったのだ。
物じゃない、気持ちを受け取ってやるべきなのだ。

「それをこんな…こんなゴミのようなワタクシにお土産!
ありがとうインデックス!!!
上条さんは感謝感激です!!」

インデックスの顔が曇りから晴れに変わる。
これでいい。記憶を無くしたあの日、
自分の為に泣いてくれたインデックスを見て、
この子の笑顔を守ると決めたのだから。

「気に入ってくれた?とーま」

「もちろんです!!」

「ホント!?良かったんだよ!
だったらとーま。
あの紙あと二枚ちょーだい!」

「は?」

「この熊さんあと二つ頼んどいたんだよ!
良かったねトーマ!」

「やっぱ……ふざけるなぁぁぁ!!!」

完

281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:39:55.20 ID:Vaf/rTBs0
これだからイントロダクションさんは・・・


282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:43:20.31 ID:4MoMXWRt0
インディペンデンスデイふざけんなwww

283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:48:19.20 ID:UCK8s7pk0
インフルエンザさんはこれだから・・・


284 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/26(土) 11:52:28.82 ID:HRcWGHxUO
これだからインデックスは可愛い





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