自分用SSまとめ
朋也「軽音部? うんたん?」 4/11 日
最終更新:
meteor089
-
view
朋也「軽音部? うんたん?」
243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:37:39.51:1qYNd8dxO
4/11 日
目が覚める。寝起きは悪く、けだるい。
時計を確認すると、まだ午前中だった。
時計を確認すると、まだ午前中だった。
朋也(寝直すか…)
どうせ、この時間に起きて寮に行っても、春原の奴もまだ夢の中に違いなかった。
寝ているあいつにいたずらするもの一興だが、それ以上に睡眠欲求が強い。
俺は二度寝するため、目をつぶって枕に頭を預けた。
寝ているあいつにいたずらするもの一興だが、それ以上に睡眠欲求が強い。
俺は二度寝するため、目をつぶって枕に頭を預けた。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
朋也(ふぁ…だる…)
結局、起きたのは午後一時半。
深夜に寝ついたとはいえ、眠りすぎだった。
加え、二度寝もしているから、いつも以上に体も頭も重い。
そして、そんな時は食欲も湧いてこないので、まだなにも食べていなかった。
なにか食べたくなるのは決まって時間が経ってからだ。
それも一気にくるから、こってりしたものが欲しくなる。
なので、時間を潰し、かつそんな食事もできるよう、俺は繁華街へ出てきていた。
当面はCDショップを巡るつもりだ。
お目当ては、芳野祐介のCD。
昨日、いつか探しに出ようと決めたが、そのいつかがこんなに早く来るとは…。
我ながら、本当にいきあたりばったりだと思う。
深夜に寝ついたとはいえ、眠りすぎだった。
加え、二度寝もしているから、いつも以上に体も頭も重い。
そして、そんな時は食欲も湧いてこないので、まだなにも食べていなかった。
なにか食べたくなるのは決まって時間が経ってからだ。
それも一気にくるから、こってりしたものが欲しくなる。
なので、時間を潰し、かつそんな食事もできるよう、俺は繁華街へ出てきていた。
当面はCDショップを巡るつもりだ。
お目当ては、芳野祐介のCD。
昨日、いつか探しに出ようと決めたが、そのいつかがこんなに早く来るとは…。
我ながら、本当にいきあたりばったりだと思う。
244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:38:06.75:cUBlBpOS0
―――――――――――――――――――――
朋也(ないな…)
大手CDショップの中古コーナーを回ったり、中古専門の店に入ってもまったく見つからなかった。
すでに数件巡っているのにだ。
すでに数件巡っているのにだ。
朋也(もう、出るか…)
朋也(ん? あれは…)
懐かしいものを発見した。それは、ひっそりと棚の隅にあった。
だんご大家族のCDだった。
誰かが出しかけたまま放置していったのだろう。
他のCDにくらべて少し飛び出していた。
だからこそ俺の目に入ったのだが。
手に取ってみる。
だんご大家族のCDだった。
誰かが出しかけたまま放置していったのだろう。
他のCDにくらべて少し飛び出していた。
だからこそ俺の目に入ったのだが。
手に取ってみる。
朋也(平沢の奴、これのシャーペン持ってたよな、確か…)
あいつから聞いていなければ、見つけても素通りしていただろう。
朋也(買って、500円くらい上乗せして売りつけてやろうか)
朋也(いや…好きなら、CDくらい持ってるか…)
よこしまな考えをすぐに改め、CDを棚に戻し、店を後にした。
―――――――――――――――――――――
245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:39:28.57:1qYNd8dxO
朋也(あれ…この辺だったよな…)
俺は無性にハンバーガーが食べたくなり、店を探していた。
以前何度か利用したことがあったのだが…見つからない。
最近、来ていないうちに潰れてしまったんだろうか。
だとすると、駅前の方にするしかない。
だが、ここからは少し距離があった。
以前何度か利用したことがあったのだが…見つからない。
最近、来ていないうちに潰れてしまったんだろうか。
だとすると、駅前の方にするしかない。
だが、ここからは少し距離があった。
朋也(まぁいいか…行こう)
そう決めて、踵を返す。
朋也(ん…?)
すると、小さい女の子が、さっと柱に身を隠した。
挙動がおかしかったので、なんとなく気になった。
歩き、近づいていく。
そして、横についたとき、ちらっと横目でその子を見てみた。
柱に顔を押しつけ、手で覆い隠すようにしている。
挙動がおかしかったので、なんとなく気になった。
歩き、近づいていく。
そして、横についたとき、ちらっと横目でその子を見てみた。
柱に顔を押しつけ、手で覆い隠すようにしている。
朋也(なんだ、こいつ…)
ちょっとおかしい奴なのか…。
あまり見すぎていて、突然振り返られでもしたら怖い。
俺はスルーして先へ進んだ。
あまり見すぎていて、突然振り返られでもしたら怖い。
俺はスルーして先へ進んだ。
―――――――――――――――――――――
朋也(さっきの奴どうなったかな…)
246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:40:29.28:cUBlBpOS0
ちょっと歩いたところで、好奇心から振り返ってみた。
女の子「!」
先程と同じく、柱に隠れる。
朋也(…俺、尾けられてないよな)
俺が振り返ると隠れるし、同じタイミングで方向変えたし…。
しかしそれにしては下手な尾行だった。
しかしそれにしては下手な尾行だった。
朋也(まさかな…)
またしばらく歩く。そして突然…
ばっ
勢いよく振り返った。
女の子「!!」
また、隠れた…。
朋也(なんなんだよ…くそ)
俺は歩を進めて近づいていく。
付近までやってくると、柱の両端から髪がはみ出ていた。
さっき見て確認した時、ツインテールだったので、その部分だ。
俺はその子の後ろに回った。
付近までやってくると、柱の両端から髪がはみ出ていた。
さっき見て確認した時、ツインテールだったので、その部分だ。
俺はその子の後ろに回った。
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:42:47.88:1qYNd8dxO
朋也「おい」
びく、と体が跳ねる。
朋也「おまえさ…」
いいながら、肩に手を置く。
女の子「す、すみません、私…」
俺がこちらを向かせる前に、自ら振り返った。
朋也「あれ…おまえ」
確か軽音部の…中野という子だったはずだ。
梓「あの、私…CDショップのところから先輩を尾行してました」
そんなとこから…気づかなかった…。
梓「失礼ですよね…やっぱり…」
朋也「いや、なんでまた…」
梓「それは…」
言いよどみ、顔を伏せる。
きゅっとこぶしを作ると、俺を見上げた。
きゅっとこぶしを作ると、俺を見上げた。
梓「唯先輩の件で、気になることがあったからです」
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:43:23.26:cUBlBpOS0
朋也「平沢の? それで、なんで俺なんだよ」
平沢のことで尾行されるような心当たりがない。
梓「きのう、聞いたんです。唯先輩が遅刻してきたって」
梓「それで、その原因が岡崎先輩と一緒に登校するためだったっていうのも…」
朋也(うげ…)
あの部長、話題にあげたのか…。
梓「だから、岡崎先輩が普段どういう人なのか気になって…」
梓「ていうか、唯先輩にふさわしい人かどうか…」
ふさわしい、とは…やっぱり、そういう意味なんだろうか。
あの部長、いったいどういうふうに話したんだろう。
おもしろおかしく盛り上げて、あることないこと喋ったんじゃないだろうな…。
曲解されてしまっているじゃないか。
あの部長、いったいどういうふうに話したんだろう。
おもしろおかしく盛り上げて、あることないこと喋ったんじゃないだろうな…。
曲解されてしまっているじゃないか。
梓「あ、す、すみません、私…また失礼なことを…」
朋也「いや、つーか、まず俺と平沢はそんな関係じゃないからな」
梓「え? だって、手をつないで登校したりしてるんですよね?」
朋也「してない」
やはり話が盛られていた。
251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:44:36.29:1qYNd8dxO
梓「じゃあ、休み時間にラブトークしてるっていうのは…」
朋也「するわけない…」
梓「そうですか…」
安堵した表情で、胸をなでおろすような仕草。
梓「じゃあ、律先輩のいつもの冗談だったんだ…」
朋也「なに言ったか知らないけど、九割嘘だ」
梓「え? じゃあ、残りの一割…あれは本当だったんですか…」
朋也「なんだよ、それ」
少し気になった。
だが、残り一割なら、そうたいしたことはなさそうだ。
もしかしたら、事実かもしれない。
よく話しているとか、そんな程度のこと。
だが、残り一割なら、そうたいしたことはなさそうだ。
もしかしたら、事実かもしれない。
よく話しているとか、そんな程度のこと。
梓「焼きそばパンを両端から食べあって真ん中でキスするっていう…」
めちゃヤバイのが残っていた!
朋也「それより軽いの否定してんのに、ありえないだろ…」
梓「ですよね…ちょっとテンパッちゃってました」
だろうな…。
252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:44:55.85:cUBlBpOS0
朋也「あー…まぁ、誤解も解けたし、もういいよな。それじゃ」
言って、もと来た道を引き返し始める俺。
梓「あ、まってください!」
後ろから声。
振り返る。
振り返る。
朋也「なんだよ」
梓「あの…失礼なことしたお詫びに、なにかしたいんですけど…」
梓「私にできることならします。なんでもいってください」
朋也「なんでも?」
梓「はい。できる範囲でですけど…」
朋也(そうだな…)
朋也「じゃ、昼おごってくれ。飯まだなんだ」
梓「それくらいなら、まかせてください」
もともとハンバーガーを食べるつもりだったのだ。
それくらいなら、そう負担にもならないだろう。
それくらいなら、そう負担にもならないだろう。
―――――――――――――――――――――
253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:46:23.96:1qYNd8dxO
店に入る。昼時は少し過ぎたとはいえ、人が多い。
とりあえず並んで順番を待つ。
とりあえず並んで順番を待つ。
―――――――――――――――――――――
店員「いらっしゃいませ~」
朋也「あ」
梓「あ」
店員「あら…」
その店員も、一瞬接客を忘れて素の反応が出てしまっていた。
俺たちも、向こうも、相手のことを知っていたからだ。
つまりは知り合いだ。
俺たちも、向こうも、相手のことを知っていたからだ。
つまりは知り合いだ。
紬「店内でお召し上がりになりますか?」
琴吹だった。
もう店員としての顔を取り戻している。
もう店員としての顔を取り戻している。
朋也「ええと、そうだな…」
梓「私も頼むんで、店内でお願いします」
横から、そう俺に伝えてくる。
朋也「ああ、じゃ、店内で」
紬「かしこまりました。ご注文をどうぞ」
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:46:50.29:cUBlBpOS0
朋也「チーズバーガー3つと、水」
紬「はい」
ピッピッ、とレジに打ち込んでいく。
紬「お会計は、おふたりご一緒でよろしいでしょうか」
梓「あ、はい」
紬「かしこまりました。では、ご注文をどうぞ」
梓「えっと…このネコマタタビセットをひとつ」
紬「はい」
同じように、またレジに入力する。
会計が出ると、中野が支払いを済ませた。
会計が出ると、中野が支払いを済ませた。
紬「では、この番号札でお待ちください」
札を受け取り、空席を探しに出た。
―――――――――――――――――――――
朋也「琴吹ってお嬢様なんだろ」
梓「そう聞いてます」
朋也「なんでバイトなんてしてるんだろうな」
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:48:03.71:1qYNd8dxO
梓「それは…多分あこがれがあったんだと思います」
朋也「あこがれ?」
梓「はい。なんていうか、庶民的なことに」
朋也「ふぅん…」
梓「インスタントコーヒーとか、カップラーメンにも感動してました」
朋也「へぇ…」
反動というやつだろうか。俺にはよくわからなかった。
いや…まてよ…庶民的なことに心動かされるということは…
春原とは相性がいいかもしれない。
あいつは典型的な庶民だからな…。
俺も人のことはいえないが。
いや…まてよ…庶民的なことに心動かされるということは…
春原とは相性がいいかもしれない。
あいつは典型的な庶民だからな…。
俺も人のことはいえないが。
梓「あの…チーズバーガー3つで本当によかったんですか?」
梓「飲み物も水ですし…」
朋也「ああ、俺小食だから」
いくらおごりといっても、腹いっぱいになる量を頼めるほど図太くなれない。
あとで適当な定食屋にでも寄ればいい。
あとで適当な定食屋にでも寄ればいい。
梓「そうですか。うらやましいです」
朋也「おまえが頼んでたネコマタタビセットって、なに」
256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:48:23.00:cUBlBpOS0
なんとなく気になっていたので、訊いてみる。
梓「あれはですね、マタタビ味のするハンバーガーとジュース、ポテトがついてきます」
朋也(マタタビ味…)
どんな味がするんだろう…。
梓「そして、なんと、電動ねこじゃらしもついてくるんです」
つまり、よくある玩具がついてくるセットのようなものなのか。
朋也「ふぅん。それで、バーガーの肉は猫なのか」
梓「そんなわけないじゃないですか。怖すぎますよ」
きわめて冷静に返されてしまった。
冗談で言ったのに、俺がバカに見えて、ちょっと恥ずかしくなってしまう。
冗談で言ったのに、俺がバカに見えて、ちょっと恥ずかしくなってしまう。
紬「お待たせしました」
そこへ、注文の品を持った琴吹が現れた。
朋也「あれ、おまえレジじゃなかったのか」
紬「ちょっとわがまま言ってかわってもらったの」
朋也「なんで」
紬「私が持ってきたかったから」
257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:49:30.49:1qYNd8dxO
その理由を訊いたつもりなのだが…。
紬「どうぞ、梓ちゃん」
梓「ありがとうございます」
紬「岡崎くんも」
朋也「ああ、サンキュ」
盆を受け取る。
紬「ところで…」
俺の耳にそっと顔を寄せる。
紬「唯ちゃんはいいの?」
ばっと勢いよく振り返り、顔を見合わせる。
朋也「おまえまで、俺と平沢がそんなだと思ってんのか」
紬「あれ、ちがった?」
朋也「違うに決まってるだろ」
紬「そうなの? なぁんだ…」
にこやかに微笑む。
悪びれた様子はまったくない。
悪びれた様子はまったくない。
258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:49:49.98:cUBlBpOS0
無垢な子供のようだった。
これでは強く言うこともできなくなる。
これでは強く言うこともできなくなる。
朋也(はぁ…なんつーか、人徳ってやつなのかな)
冷静になったところで、思い出したように気づく。
琴吹と顔を間近に突き合わせてしまっていることに。
そういえば、さっきから、ふわりといい匂いが鼻腔をかすめていた。
俺は思わず視線を外してしまう。
琴吹は、ふふと笑い、俺から離れた。
そして、ごゆっくり、と店員然としたセリフを言い残し、カウンターへ戻っていった。
琴吹と顔を間近に突き合わせてしまっていることに。
そういえば、さっきから、ふわりといい匂いが鼻腔をかすめていた。
俺は思わず視線を外してしまう。
琴吹は、ふふと笑い、俺から離れた。
そして、ごゆっくり、と店員然としたセリフを言い残し、カウンターへ戻っていった。
朋也(なんだかなぁ…)
俺より余裕があって、負けた気分になる。
お嬢様なのに、もう大人の風格を身につけているというか…。
お嬢様なのに、もう大人の風格を身につけているというか…。
梓「なに話してたんですか」
朋也「いや、ささくれの処理の仕方についてだよ」
梓「はぁ…そんなのひそひそやらなくてもいいと思いますけど」
朋也「ちょっとエグイ部分もあったから、店員のモラル的にまずかったんだよ」
梓「そうですか…よくわかりませんけど」
―――――――――――――――――――――
食事を終え、店を出る。
259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:50:48.99:m67Qi8Pxi
男の前だと微妙にキャラが変わる唯が、なんかリアルだな。
261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:50:57.97:1qYNd8dxO
朋也「昼飯、ありがとな」
梓「いえ、そんな」
朋也「そんじゃ」
梓「はい」
―――――――――――――――――――――
朋也(ここでいいか)
中野と別れてからしばらく飯屋を探し回っていたのだが…
ショーウインドウのモデルメニューに惹かれ、ようやっと店を決めた。
中に入る。
ショーウインドウのモデルメニューに惹かれ、ようやっと店を決めた。
中に入る。
―――――――――――――――――――――
ガー
腹を満たし、自動ドアをくぐって店を後にする。
朋也(けっこううまかったな…)
朋也(…ん?)
道に沿うようにして広がる花壇の淵、そのコンクリート部分。
そこに腰掛け、一匹の猫と戯れる女の子がいた。
手には、うぃんうぃん動くねこじゃらし。
そこに腰掛け、一匹の猫と戯れる女の子がいた。
手には、うぃんうぃん動くねこじゃらし。
262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:51:25.73:cUBlBpOS0
梓「…あれ」
こっちを見て、そう口が動いた気がした。
次に、俺の後ろにある飯屋に目をやった。
そして、立ち上がると、こちらに近づいてくる。
猫はちょこんとその場に座り続けていた。
次に、俺の後ろにある飯屋に目をやった。
そして、立ち上がると、こちらに近づいてくる。
猫はちょこんとその場に座り続けていた。
梓「あの…岡崎先輩、今ここから出てきませんでしたか?」
俺がさっきまでいた店を指さす。
朋也「ん、まぁ…」
梓「やっぱり、あれだけじゃ足りなかったんですね」
梓「私に遠慮してくれてたんですか」
朋也「いや、急に小腹がすいたんだよ」
梓「そんなレベルのお店じゃないと思うんですけど」
ショーウィンドウを見ながらいう。
デザート類はあったが、それ以外はしっかりしたものばかりだった。
デザート類はあったが、それ以外はしっかりしたものばかりだった。
梓「お詫びできたことになってないです…」
朋也「いや、十分だって」
梓「でも…」
263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:52:49.28:1qYNd8dxO
食い下がってくる。
朋也(どうするかな…)
朋也「…じゃあさ、あれでいいよ」
俺は猫を指さした。
梓「え?」
猫のいる方に歩き出し、その隣に座る。
顎下をなでると、にゃ~、と鳴き、体をすり寄せてきた。
遅れて中野もついてくる。
顎下をなでると、にゃ~、と鳴き、体をすり寄せてきた。
遅れて中野もついてくる。
梓「あの…」
朋也「こいつとじゃれるのでチャラな」
梓「でも、私の猫ってわけじゃないですし」
言ながら、俺とその間に猫を挟むような位置に座る。
朋也「じゃ、その猫じゃらし貸してくれ」
梓「あ、はい、どうぞ」
受け取る。
みてみると、弱、中、強と強さ調節があった。
強にしてみる。
みてみると、弱、中、強と強さ調節があった。
強にしてみる。
264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:53:09.49:cUBlBpOS0
うぃんっうぃんっ!
激しく左右に振れだした。
………。
駆動音といい、挙動といい…ひわいなアレを連想してしまう…。
………。
駆動音といい、挙動といい…ひわいなアレを連想してしまう…。
朋也(いかんいかん…)
気を取り直し、猫の前に持っていく。
猫もその早い動きに対して、高速で対応していた。
バシバシバシ、と猫パンチが繰り出される。
その様子がおもしろかわいかった。
一通り遊ぶと、俺は満足してスイッチをオフにした。
猫もその早い動きに対して、高速で対応していた。
バシバシバシ、と猫パンチが繰り出される。
その様子がおもしろかわいかった。
一通り遊ぶと、俺は満足してスイッチをオフにした。
朋也「ほら」
梓「あ、はい」
猫じゃらしを返す。
その折、猫の頭をなでた。
しっぽをぴんと立て、体をよせてくる。
その折、猫の頭をなでた。
しっぽをぴんと立て、体をよせてくる。
梓「なつかれてますね」
朋也「こいつが人に慣れてるんだろ」
野生という感じはあまりしない。
人から食べ物でもよくもらっているんだろうか。
媚びれば、餌にありつけるという計算があるのかもしれない。
人から食べ物でもよくもらっているんだろうか。
媚びれば、餌にありつけるという計算があるのかもしれない。
265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:54:28.87:1qYNd8dxO
朋也「そういえば、俺たち、反対方向に別れたよな」
朋也「なんでここにいるんだ」
梓「それは…」
恥ずかしそうに目をそらせた。
梓「…この子をみつけて、追いかけてたからです」
朋也「逃げられたのか」
梓「はい…」
朋也「おまえ、マタタビなんとかっての食ってたし、寄ってきそうなもんだけどな」
梓「逆に避けられました…それで、ここでやっと止まってくれたんです」
朋也「気まぐれだよな、猫って」
梓「ほんと、そうですよ」
優しい笑みを浮かべ、猫をなでた。
すると、甘えたように中野のひざの上で寝転び始めた。
すると、甘えたように中野のひざの上で寝転び始めた。
梓「かわいいなぁ…」
中野がなでるたび、ごろごろと鳴いて、心地よさそうだった。
朋也(いくか…)
266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:54:53.79:cUBlBpOS0
立ち上がる。
朋也「それじゃな」
今日二回目の別れ。
梓「あ、あの、お詫びの件は…」
朋也「だから、猫じゃらしでチャラだって」
そう告げて、反論される前に歩き出す。
ひざの上には猫がいる。それをどけてまで追ってはこないだろう。
これから俺が向かう先は、当然坂下にある学生寮。
もういい加減春原の奴も起きている頃だろう。
まだ寝ているようなら、俺のいたずらの餌食になるだけだが。
その時はなにをしてやろうか…などと、そんなことを考えながら足を運んだ。
ひざの上には猫がいる。それをどけてまで追ってはこないだろう。
これから俺が向かう先は、当然坂下にある学生寮。
もういい加減春原の奴も起きている頃だろう。
まだ寝ているようなら、俺のいたずらの餌食になるだけだが。
その時はなにをしてやろうか…などと、そんなことを考えながら足を運んだ。
―――――――――――――――――――――