自分用SSまとめ
朋也「軽音部? うんたん?」 5/16 日 ①
最終更新:
meteor089
-
view
朋也「軽音部? うんたん?」
675:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 07:52:35.70:+UZ/pLeq0
5/16 日
迎えた創立者祭当日。この日は通例、朝のHRで出欠だけ取ると、すぐさま自由時間となる。
それからは、ほとんどの生徒は遊びに出ることができるのだが…
発表を控えた文化系クラブの面々はそういうわけにはいかなかった。
午前中に組まれたプログラムに備えて、準備を始めなければならないのだ。
当然、軽音部の部員たちもそんな連中の側にいた。
だが、その発表順には少し余裕があったため、浮いた時間を最後の調整に充てることができたのだ。
それからは、ほとんどの生徒は遊びに出ることができるのだが…
発表を控えた文化系クラブの面々はそういうわけにはいかなかった。
午前中に組まれたプログラムに備えて、準備を始めなければならないのだ。
当然、軽音部の部員たちもそんな連中の側にいた。
だが、その発表順には少し余裕があったため、浮いた時間を最後の調整に充てることができたのだ。
朋也「………」
部屋中に音が鳴り響く中、俺は窓の外を見ていた。
立ち並ぶ模擬店の前にはどこも人だかりができている。
一般解放もしているため、私服で訪れている人も多く見受けられた。
それもあってか、かなり混雑しているようだった。
生徒会の人間とおぼしき連中が交通整備をやっているのが見える。ご苦労なことだ。
立ち並ぶ模擬店の前にはどこも人だかりができている。
一般解放もしているため、私服で訪れている人も多く見受けられた。
それもあってか、かなり混雑しているようだった。
生徒会の人間とおぼしき連中が交通整備をやっているのが見える。ご苦労なことだ。
澪「よし…」
演奏が止む。
澪「このくらいにして、そろそろ講堂入りしとこう」
律「だな。おーい、おまえら、仕事だぞ」
春原「ふぁ…すんげぇ眠いんですけど…」
律「んとに緊張感ねぇなぁ、おまえは」
春原「だって、こんな早くに来るなんて平日だってないぜ? しかも日曜だし…」
676:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 07:53:51.78:jpDSDOMkO
律「しっかりしろよ。運んでる最中に落とされでもしたら困るからな」
春原「そんときゃ、ドンマイ」
律「なにがドンマイだ、アホっ! おまえの生死は問わないから身を挺して守れっ」
春原「やだよ。僕のビューテホーな顔に傷がついたらどうすんだよ」
律「最初から5、6発いいのもらったような顔してるから変わんねぇよ」
春原「あんだとっ!?」
くわっと目を見開く。
怒りが引き金となり、すっかり覚醒してしまったようだ。
怒りが引き金となり、すっかり覚醒してしまったようだ。
―――――――――――――――――――――
搬入が終わり、後は出番を待つだけとなった。
俺と春原は軽音部の連中を舞台裏に残し、客席に下りていた。
椅子に腰掛け、映研が上映する短編映画をそれとなく観賞していたのだが…
物語もすでにクライマックスに差し掛かっていたようで、すぐに幕が閉じていった。
照明が戻り、観客の出入りがせわしく始まる。
俺と春原は軽音部の連中を舞台裏に残し、客席に下りていた。
椅子に腰掛け、映研が上映する短編映画をそれとなく観賞していたのだが…
物語もすでにクライマックスに差し掛かっていたようで、すぐに幕が閉じていった。
照明が戻り、観客の出入りがせわしく始まる。
声「よっ、ふたりとも」
そんな煩雑とした中、横から声をかけられた。
朋也「ん…」
振り返る。
677:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 07:54:19.56:+UZ/pLeq0
春原「お、ようキョン」
キョン「よ」
キョンだった。
春原にぴっと片手を上げて返し、その隣に腰掛ける。
春原にぴっと片手を上げて返し、その隣に腰掛ける。
キョン「えーと…」
座るなり、パンフレットを開くキョン。
キョン「軽音部は次の次なんだな」
朋也「ああ、そうだけど…なんだ、ライブ目当てか」
キョン「まぁな。一度関わっちまった手前、興味湧いたからな」
朋也「そっか」
春原「つーかさ、おまえ、ひとりなの?」
キョン「ああ、そうだが」
春原「ハルヒちゃんはいいのかよ。ふたりで見回らなくてさ」
キョン「なんで俺がわざわざあいつと…」
春原「んなこと言ってると、他の男に取られちゃうぜ?」
春原「今日は他校の男共もナンパ目的でかなり来てるからな」
679:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 07:55:29.29:jpDSDOMkO
春原「ハルヒちゃん可愛いし、絶対狙われるぞ」
キョン「そんなことは俺の知ったことじゃない」
春原「へっ、こいつはまた…強がんなって」
キョン「強がってない」
春原「んじゃ、僕が口説きにいってもいいのかよ?」
春原「こんな周りが浮き足立ってる時に僕の巧みな話術展開しちゃったら…一瞬で落ちるぜ?」
キョン「好きにしてくれ」
キョン「まぁ、あいつは今日イベント打ってて忙しいから、相手にしてもらえるかどうかはわからんがな」
朋也「おまえらのクラブもなんかやってんのか?」
キョン「ああ。俺は詳細を伝えられてないんだが…」
キョン「なんでも、アンダーグラウンドとかいう格闘技興行を秘密裏に運営するってことらしい」
朋也「…なんかヤバそうなことやってるな」
キョン「俺はメンバーから外されちまってるんだけどな。あんたには荷が重過ぎるから、ってさ」
それはもしかしたら、こいつを保護するための措置だったんじゃないだろうか。
そんな気がした。
そんな気がした。
和『お待たせしました。続いては、合唱部によるコーラスです』
680:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 07:56:23.97:+UZ/pLeq0
真鍋の声がして、幕が上がる。
舞台には、昨日のリハーサルでみた女の子たちが立っていた。
皆緊張した面持ちでその時を待っている。
音楽が鳴り始めと、それが始まりの合図だった。
彼女たちの歌声は、高く館内に響き渡っていた。
舞台には、昨日のリハーサルでみた女の子たちが立っていた。
皆緊張した面持ちでその時を待っている。
音楽が鳴り始めと、それが始まりの合図だった。
彼女たちの歌声は、高く館内に響き渡っていた。
―――――――――――――――――――――
合唱部の曲目が終わると、次はいよいよ軽音部のライブだった。
途端に客足の入りが激しくなる。主にうちの生徒がわいわいと集まりだしていた。
やはり校内人気は相当高いようだ。
途端に客足の入りが激しくなる。主にうちの生徒がわいわいと集まりだしていた。
やはり校内人気は相当高いようだ。
春原「やべっ…僕トイレいきたくなっちゃったよ」
キョン「そろそろ始まるぞ」
春原「ちょっとダッシュで行ってくるっ」
朋也「っても、この人の多さだぞ。多分押し戻されて戻ってくるだけだ」
朋也「ライブ終わるまで出られねぇよ」
春原「そ、そんなぁ…どうすりゃいいんだよ…」
朋也「諦めてそういう下ネタだって言い張れよ」
春原「って、それシャレになってねぇよっ!」
キョン「ははは、まぁ、30分で終わるみたいだし、それくらい耐えられるだろ、おまえなら」
681:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 07:59:01.28:jpDSDOMkO
春原「下ネタに長けてるみたいな言い方しないでくれますかねぇ…」
和『続きまして、軽音部によるバンド演奏です』
真鍋のアナウンスが流れる。すると、それだけでわっと歓声が上がった。
幕がゆっくりと上がっていき、徐々に部員たちの姿が見えてくる。
観客のテンションも右肩上がりだ。
そして、現れる…黒いスーツを身にまとった5人組が。
幕がゆっくりと上がっていき、徐々に部員たちの姿が見えてくる。
観客のテンションも右肩上がりだ。
そして、現れる…黒いスーツを身にまとった5人組が。
キョン「…なんだ、あの格好は…」
キョンが訝しげな顔をして疑問符をつけていた。
館内にもあちこちでどよめきが起こっている。
ところどころ、FUNSZUと聞えてくることもあったが…
知らない奴が見れば、さぞ異様に見えたことだろう。
館内にもあちこちでどよめきが起こっている。
ところどころ、FUNSZUと聞えてくることもあったが…
知らない奴が見れば、さぞ異様に見えたことだろう。
唯『みなさんこんにちは! 放課後ティータイムです!』
唯『今日はお忙しいところお集まりいただき、まことにありがとうございます!』
律『かたいっつーの』
どっと笑いが起こる。
そのおかげで、衣装への不和がほぐれたのか、客席からも声が上がりだした。
そのおかげで、衣装への不和がほぐれたのか、客席からも声が上がりだした。
声「唯ちゃーーん!」
声「唯ーーー!」
声「平沢さーーんっ」
682:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:00:06.37:+UZ/pLeq0
黄色い声援も中にはあったが、ほとんどが男の野太い野次だった。
MCだからなのか知らないが、唯に集中している。
MCだからなのか知らないが、唯に集中している。
朋也(そういえば、真鍋の奴が唯はモテるとか言ってたな…)
朋也(もしかして、唯ファンの連中なのかな…)
そう考えると、ちょっとした優越感が味わえた。
朋也(てめぇら、唯は俺の彼女だぜ…ふふふ…)
唯『みんな、ありがとぅーっ』
壇上で大きく手を振る。
唯『えーっと、初めての人は、はじめましてっ。二回目以降の人は…うぅん? えーと…』
唯『こ…こんにちはっ』
声「こーんにーちはー」
某長寿昼番組風な答えが返ってくる。
唯『えへへ…えっと、私たちはこの学校で軽音部に入って活動してる、放課後ティータイムといいます』
声「そーですねー」
唯『あははっ…ん、でですね、実は、先月新勧ライブをやったんですよ…』
マイクに手を当て、内緒話のようにささやいた。
683:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:01:29.22:jpDSDOMkO
律『シークレット調に話す意味がわからん』
唯『そっちのほうが深みが出るかなと思って…』
律『深みっつーか、むしろなんか裏がありそうに見えるんだけどっ』
唯『ありゃ? そう?』
そのやりとりで、客席が笑いで沸いていた。
あれは全部アドリブでやっているんだろうか。
とくに打ち合わせしていた様子はなかったように思う。
あれは全部アドリブでやっているんだろうか。
とくに打ち合わせしていた様子はなかったように思う。
唯『まぁ、それでですね、新勧ライブなんですけど…やったってところまで話しましたよね?』
律『ところまでって、そこが冒頭だろ』
唯『そうですそうです、ここから物語が展開していくんです』
唯『それでですね、やったのに全然新入部員が入ってくれなかったんですよ、あははー』
律『起承転結してなすぎること物語るなよ。起結しかねーじゃん』
声「りっちゃーん、ツッコミ代弁ありがとー」
客席から声。
律『ははっ、いやいや…』
唯『まぁ、そういうことなので、ただいま部員募集中ですっ! 来たれ、興味のある人!』
684:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:02:02.86:+UZ/pLeq0
声「唯ーーーっ! 俺が入るぞぉおおおっ!」
今までの野次とは質の違う、よく通る大きい声。
その発生源に館内すべての注目が集まっていた。
その発生源に館内すべての注目が集まっていた。
キョン「あ…あの人は…」
春原「うわ…サバゲーの男だ…」
朋也(オッサン…来てたのか)
秋生「唯ーーーっ! 俺がラップ担当してやるぞぉおおっ!」
秋生「YO! YO! 俺MCアキオ マイク握れば最強のパンヤー」
ずるぅ!
満場一致で盛大にずっこける。
キョン「つーか、平沢さんの知り合いだったのか…」
春原「変な人脈持ってるよね…やっぱ、類は共を呼ぶって奴なのかな、ははっ」
朋也「無理して覚えたてのことわざ使わなくていいぞ」
多分誤字もしているような気がするし。
春原「無理なんかしてねぇってのっ!」
唯『ア、アッキーはもう高校生じゃないから無理だよ…』
685:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:03:31.39:jpDSDOMkO
秋生「なにぃいいっ! 自分から誘っておいて…」
発言の途中、隣に座っていた女性に止められる。
その人はオッサンになにかを言い聞かせ、根気よくなだめているようだった。
そして、その説得が功を奏したのか、オッサンもしぶしぶ座っていた。
女性がステージに向かって手を振る。
よく見ると、その女性は早苗さんだった。
その人はオッサンになにかを言い聞かせ、根気よくなだめているようだった。
そして、その説得が功を奏したのか、オッサンもしぶしぶ座っていた。
女性がステージに向かって手を振る。
よく見ると、その女性は早苗さんだった。
唯『ありがとうっ、早苗さん』
唯も手を振って返していた。
唯『さて、告知も終わりましたので…本番いってみましょうっ』
唯『それじゃ、一曲目、カレーのちライス!』
いつも練習で聴いていた、馴染みある音が奏でられる。
そこに唯の声が乗ると、ひとつの曲として走り出したことを実感する。
館内は、騒然と熱気に包まれ始めていた。
そこに唯の声が乗ると、ひとつの曲として走り出したことを実感する。
館内は、騒然と熱気に包まれ始めていた。
―――――――――――――――――――――
唯『ありがとうございましたぁっ』
最後に一言そう投げかけて、ライブの締めくくりとした。
未だ観客の歓声が続く中、幕が下りていく。
そして、興奮の余韻を残したまま、人の移動が始まった。
未だ観客の歓声が続く中、幕が下りていく。
そして、興奮の余韻を残したまま、人の移動が始まった。
春原「やべっ、もう限界だっ」
686:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:04:02.71:+UZ/pLeq0
流動する波の中に迷い無く飛び込んでいく。
押しつ押されつしながらも、掻き分けるように進んでいく。
無事にトイレまでたどり着ければいいのだが。
押しつ押されつしながらも、掻き分けるように進んでいく。
無事にトイレまでたどり着ければいいのだが。
朋也(さて…)
立ち上がる。
幕の向こう側では、片付けが始まっているはずだった。
俺も行かなくてはいけない。
幕の向こう側では、片付けが始まっているはずだった。
俺も行かなくてはいけない。
キョン「撤収作業にいくのか?」
朋也「ああ、まぁな」
キョン「じゃ、俺も手伝うよ」
言って、キョンも立ち上がった。
朋也「いいのか?」
キョン「どうせ暇だしな」
朋也「そっか。サンキュな」
キョン「おまえらをサバゲーに巻き込んじまったことあったしな。おたがいさまだ」
朋也「それは、その前におまえをバスケで借りてたからだろ」
キョン「そうじゃなくても、あの団長様なら無理にでも参加させてただろうからな」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:08:31.45:+UZ/pLeq0
キョン「その辺の事情はあまり関係ないさ」
朋也「そっか」
確かに涼宮のあの気性なら、さもありなんといったところか。
朋也「じゃあ、いくか」
キョン「ああ」
―――――――――――――――――――――
キョン「おつかれさん」
一仕事終えて弛緩した空気の中、わきあいあいと荷をまとめる部員たちに声をかける。
唯「あ、キョンくんだ! 久しぶり~」
キョン「久しぶり」
唯「ライブ見に来てくれたの?」
キョン「ああ、見てたよ。かなり盛り上がってたよな。MCも面白かったし」
唯「えへへ、ありがと」
律「で、どうしたんだよ、こんなとこまできてさ。サインでも欲しいの?」
キョン「いや、俺も片付け手伝いに来たんだよ。人手が多い方がいいかと思ってさ」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:11:51.41:+UZ/pLeq0
律「マジで? 気ぃ利くなぁ、あんた」
澪「ありがとう、キョンくん」
唯「ありがと~」
梓「ありがとうございます」
紬「部室に戻ったら、すぐにお茶出すわね」
キョン「ああ、お構いなく」
紬「遠慮しないで? 手伝ってもらうんだから、もてなしてあげたいの」
キョン「そうですか? じゃあ、よろしくお願いします」
キョンは琴吹に対しては最初に出会った時からずっと敬語だった。
卒業してしまった先輩とどこかダブって見えてしまうからだということらしかった。
卒業してしまった先輩とどこかダブって見えてしまうからだということらしかった。
律「で、春原のアホはどこいったんだ? まさか、ブッチしたんじゃないだろうな」
朋也「あいつはトイレに行ってるよ。ライブ前からずっと我慢してたから、マジダッシュでな」
律「間の悪い奴…」
―――――――――――――――――――――
春原「ふ~い…」
すっきりした顔の春原が、前方からちんたらやってきた。
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 08:13:06.35:jpDSDOMkO
春原「あれ…」
こちらに気づく。
春原「あんだよ、キョン。こき使われてるね」
律「人聞きの悪いこと言うなっての。自ら志願してくれたんだよ」
春原「マジで? マゾいね。そっち系なの?」
キョン「ただの善意だ…妙なミスリードしないでくれ」
律「ほら、いいからおまえも運んでこいよ」
春原「わぁったよ」
朋也「いや、まて。それはやめた方がいいかもしれん」
律「ああ? なんで」
朋也「こいつ、トイレの後も絶対に手を洗わないっていう、腹に決めた固い信念を持ってるからな」
春原「なんでそんなことに頑ななんだよっ! 変なキャラ付けするなっ!」
紬「春原くん…どんな高みを目指してるの?」
春原「って、ムギちゃん、信じちゃだめだぁああああっ」
律「わははは!」