はじめはレーベルハガイルに従っていたが、のちに錯乱、『私の本当の名前、真の名を寄越せ』と暴走を始める。
暴走したツェペシュ一世=ネムレースに処刑されそうになり、命からがら逃げ延びたレーベルハガイルは逃走中にキスメたち一行と遭遇、すべてを白状する
それを聞いて、 ヒノシゲ車掌はある可能性に思い至る。
『"ツェペシュ"という名のイメージが変化したためかも知れん』
オトギ種の 奇跡獣士は、伝承の変質に姿・性質を引っ張られる
当初、ヴラド・ツェペシュは敵であるオスマン帝国からは悪魔、味方である東欧諸国からは護国の鬼神と呼ばれていた
しかし、後の世で小説『吸血鬼ドラキュラ』が出版され、ベストセラーとなると、一転『 串刺し公』の名は吸血鬼の代名詞とされるまでとなった
『おそらく、だが…ワラキア王としてのツェペシュの人格と、ツェペシュの名前に引っ張られて来た "漠然とした吸血鬼のイメージの集合体"があの綺石獣の中で衝突しているのではないだろうか』
「…助けてあげられないかな?」
『無いことはない、ないが…うーむ」
リムルクスの"釣瓶"なら、ジャムネムレースの無意識の領域から"ワラキア王としてのツェペシュの部分"だけを汲み上げることが可能ではある。
しかし…
『チャンスは一度きり。間違えて無数にいる"吸血鬼ツェペシュ"のひとつを汲み上げてしまったらアウトだ』
「こういうのはどうかな?」
→リムドワーフの小槌の力でハルトマンを縮小→小さくなったハルトマンが釣部に入って行き先をナビゲートする
『危険ではあるが、良い作戦ではあるな』
「えー…」
『二人の"共同作業"だが…』
「やります(即答)」
レーベルハガイルと共に王の前に通された一行、手はず通りこいしの入った釣瓶を投げる
『…!?』
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その一瞬、夢の中では…? |
…
……
………
『おーい、ツェペシュさーん?どこですかー?』
ネムレースの無意識の中を進むこいし。そこに忍び寄る 怪しい影が…
(キスメちゃんの隣に立つのは私。あなたじゃないわ…)
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一瞬の後、吸血鬼ではないツェペシュ部分をネムレースの無意識から汲み出し、分離させることに成功。そして…
核であったツェペシュが抜けたことによって、ネムレースの中で渦巻いていた古今東西の吸血鬼のイメージたちがバラバラになり、散っていく
『逃がさん…ふむ、よい針だな。少し力を貸りるぞ』
ツェペシュはリムドワーフに憑依、 鬼針剣を振り上げ…
「ヴィリーム・ドワーフ……カズィクル・ベイ!」
地に突き刺すと、地面からは千本の針の山が飛び出し、みごと吸血鬼のイメージたちを雲散霧消させた
そして…
『私は、【ツェペシュ1世】ではなかったのですね…』
名前を剥がされ、元の名無しに戻ったジャムネムレース。しかし…
『私は、【誰】なのでしょうか…?』
内部での自我と自我のぶつかり合いを経て"己とは誰なのか"彼の中で疑問が芽生え始めたようだ…
その時、キスメの頭の中に声が…
"…ロ…子"
"…その子…の名…は…ス…子"
『名無しのままはかわいそうだよね、じゃあ…×××っていうのはどう?』
『×××…それが、私の、名前…×××…良い、名前、です…×××…×××…!』
影法師のようなネムレースの姿が変化する。
一瞬の後、そこには普通の幼い少女の姿があった…
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