《ゾディアック編十三話・"夢幻の蛇"》

【次回予告】
これは、どこかの歯車が違った世界の物語。
物語の本流からは外れた、IFの世界線のお話。
境界の大妖の目論見は見事に成功を収めた。
書き直されたその世界に青空はなく、空に変わりて広がるものは、
夢幻の蛇の銀の鱗。
誰も彼もが疑問を持たず、己を"幸せ"と思い込む理想郷。
しかし、その世界にただ二人、反逆するものたちが居た。

次回、ゾディアック編予話『夢幻の蛇』
それが"賢い"ってことなら、あたいはバカのままでいい

【流星の化身】
名前:オフィウクスクルスタ(『オフィウクス』(蛇使い座)+『ミラ”クル”』+『”スタ”ー』)
宿った対象:4年前の東風谷早苗(この頃はまだミラクルパワーが宿っていない)
能力:不明
(→明確な能力を出さなかった為詳しい事は不明、だがウロボロスと何か関連はあるようだ)
解説:十二の流星の十三番目の流星・蛇使い座の星が4年前の早苗に宿った状態で潜伏し、
ミラクルパワーを早苗が使う度に過剰のエネルギーを吸収し成長していった。
そして境界皇帝ヴィオラの願いが叶った時に、早苗から解放されて無限蛇・ウロボロスとなった。
現代の火の玉も何とかヴィオラに逆らえる程度に生き延びたが、チルノ以外全員のヴィリームが、
無意識にヴィオラに逆らえなくなってヴィリームである事を忘れてしまった。
そこで火の玉は一か八か無限蛇の影響を受けなかったもう一人の少女・秦こころを
急遽ミッドヴィリームに覚醒させた。火の玉は2人に全てを託して、
自身の力を振り絞って生み出した時空間に2人を送り込み、ウロボロス滅亡を願った。


(ストーリー)
『さあ、今こそ奇跡の力をもって我等の悲願を実現する!』
『星たちよ!この世界の表裏を逆転させなさい!』
《《御意》》

不覚にも境界皇帝ヴィオラの願いが叶い、世界を覆う無限蛇…ウロボロスにより管理される世界が作り出された。
誰もが無意識にヴィオラに逆らう事が禁止され、逆らった者が神隠しに遭う事例が度々起こっていた。
その為なのか無限蛇の影響を受けなかった者は、遂に数人程度しか聞かなくなった。
そこにも、影響を受けなかった者がいた。チルノである。そんなある日の事。

チルノはいつものようにヴアルに行こうとするが、ヴアルそのものが無く、空き地と化していた。
「あれ?ヴィリーム達が集まる拠点がここにあったはずだけど?」
チルノが疑問に思っていると、そこにもう一人の少女が現れた。
「無い…。ヴアルが…、無い」
その少女はピンクのロングヘアーに、青いチェックの上着と大きなスカートを履いていて、
顔は狐のお面を被っているのか、素顔が分からない。

「あんたも、ヴアル探しているのか?」
「…ああ。もしかしてお主、私と同じミッドヴィリームの一人か?」
「そういうあんたもそうなの?」
「…そうだー。お前も影響を受けなかったか…。ヴィリーム仲間、ゲットだぜー」
「あんたは誰なのさ?あたいはチルノ!よろしくね!」
「…私は秦こころ。命蓮大サーカスの一員になるのが夢だ。14歳だよ!」
「そんな事より変身してみてよ!ミッドヴィリームなのか知りたいから!」
「御意。ミッドヴィリーム・ミラクライズ・オン!」
その言葉を口にすると、こころの体が光に包まれ、光が消えて衣装が現れた!

「表情豊かな仮面の舞踊!リムテンツァー!」
こころはリムテンツァーに変身。深緑色の平安装束(男性用)に身を包み、靴が赤いスニーカーになった。
周囲にはいくつもの仮面が漂い、リムテンツァー(こころ)はその中から狐面を取り出して被った。
狐面を被ると、左手に薙刀を装備してガッツポーズを決めた。
「すげえや!お前もヴィリームだったのか!」
チルノはそう言うと、自分もテンツァーの目の前でリムグラースに変身。
「あたいもミッドヴィリームだよ!フフフ…、驚いたでしょ?」
「…ふーん」
そんな2人の前に、火の玉が現れた。

「ようやく揃ったか。いいか、お前達は4年前の世界に行って貰う。
実は…、上空にある世界を覆う無限蛇…ウロボロスが現れた原因が掴めたのだ。
その4年前の世界にいるオフィウクスクルスタが何者かによって手を施され、ウロボロスとなる力を得たらしい。
4年前に行ってそれを食い止めれば、ウロボロスを滅ぼす希望が見えるかもしれん!
俺がミラクルパワーで歪めた時空間を使え!ただし6時間以上いると時空間が消えて戻れなくなるぞ!
行け!リムグラース!リムテンツァー!」

良く分からないまま2人は、ウロボロスを滅ぼす希望が見えると聞き、時空間に飛び込んだ!

そして2人が目覚めると…。
「ちょっと起きなさいよ!蛇の化け物が暴れているから危ないわよ!」
謎の少女に言われるがままに目を覚ましたグラースとテンツァー。グラースが瞼を開くと…。
シアン色のフラメンコ衣装に身を包み、背中に黒い羽が生えている携帯電話を持った1人の少女。
「いてて…、やっと4年前の世界に来たのか…」
ようやくグラース達は目を覚ましたようだ。その少女はグラースの『4年前』という言葉に反応した。

「4年前ってまさか…、あんた達未来から来たの?それにこの衣装、ミッドヴィリームっぽい感じだし…」
「そうだよ!あたいリムグラース!よろしくな!」
「私は通りすがりのミッドヴィリーム…、リムテンツァーだ…」
「リムグラースにリムテンツァーね…。一応私はリムギリズマよ。私の本名は姫海棠はたて。
今後の4人のヴィリーム達が化け物と戦っているわ!あんた達もヴィリームなら、戦力になって頂戴!」
「わかった!あたい頑張るよ!オフィウクスクルスタを倒してやるー!」
「大体分かった…、ただし6時間以内だ…」
「なんでよ?理由でもあるの?それと化け物の名前はオフィウクスクルスタなのね、分かったわ」
「そうだよ!実はあたい達…、6時間しかこの過去の世界にいられないんだ…」
「…という訳だ。ところで4人のヴィリームの名前を知りたい…」
「炎を使って戦っている朱色のヴィリームが、リムポイニクス。本名は藤原妹紅よ。れっきとした不良ね。
向日葵の花の鞭で戦う黄緑色のヴィリームが、リムフルール。本名は私のクラスメイトの風見幽香お姉様。
雷を操る紫色のパンクファッションのヴィリームが、リムテスラ。本名は蘇我屠自古で、蘇我グループのお嬢様。
あそこにいる黒いヴィリームが、最近私達のチームに合流したリムビター。本名は阿久間真夜。
ざっとこんな感じね。さあ2人とも行くわよ!私についてきなさい!」

「よーし、あたい負けないよ!」
「…承知した」
そして3人は、オフィウクスクルスタと戦っている過去のヴィリーム4人に加勢。

「…やけに大きい」
「でっかい早苗だなー」
外見自体は奇跡団の東風谷早苗だが、大きさが怪獣クラスに大きい。
ビターとフルールがそれぞれの技で、オフィウクスの動きを封じ、
テスラとポイニクスが雷と炎の連携技で攻撃している状況だ。だがオフィウクスにはあまり効いてない。

「蛇の化け物さん。デイゴの花言葉は『生命力』よ。私達ヴィリームが諦めない事を教えてあげるわ。
ヴィリーム・フルール・プラント!…さあビターさんも続けなさい!」
「私も負けていられませんね、フルールさん!ヴィリーム・ビター・ララバイ!」
『ふーん。これで私の動きを封じるつもりですか。どうするつもりですかね?』
「こうするんだよ!行くぞ、テスラ!ヴィリーム・ポイニクス・フレア!」
「だったらこっちも行かせて貰う!ヴィリーム・テスラ・レールガン!」
炎の柱と電磁砲が共に、オフィウクスに直撃。だが…。

『効きませんねぇ~!むしろ気持ちいいですねぇ~!』
それを見たテンツァーは、周囲の仮面からリムドワーフ(針妙丸)の仮面を装備した!
「こちらも巨大化で挑むしかない…、エモーション・オン!」
するとテンツァーの衣装の基調がマゼンタ色に変化し、薙刀が小槌の槍に変化した。
すぐさまテンツァーはその槍を空に翳して、巨大化してオフィウクスに立ち向かう。

「あんたの仲間のヴィリーム、こんな能力があったの?」
「あたいもあまり知らないけど、被った仮面によってテンツァーの能力が変わるんだってさ」
そんなやりとりをするグラースとギリズマも、後方支援の為に技を繰り出す。
「あたい達も行くよ!ヴィリーム・グラース・ブラスト!」
「へぇ…。氷の銃で戦うのね…。だったら私は、ヴィリーム・ギリズマ・フォーカス!」
グラースの放った氷の弾丸に、ギリズマの技で放たれた光の焦点と合体。
オフィウクスの腹部を貫き、ダメージを与える事に成功…、だが。
すぐに。傷が再生してしまった。

「なんで…、あたい達が与えたダメージがいとも簡単に癒えるの…」
「私にも分からないわ…。」
そんな2人のやりとりの中、一方のテンツァーも巨大化したものの苦戦している。

「中々の強敵だね。巨大化しても互角にならないなんて…」
『巨大化戦とは私の憧れです!でもまだ私の方が上手ですね!』
苦戦が続く中、テンツァーはフォームチェンジした方がいいと考え、今度はリムファータ(翠)の仮面を装備。
「これでどうだろうか…、エモーション・チェンジ!」
今度は衣装が薄桃色を基調とした色に変化し、小槌の槍が羽のアクセサリーとなり、背中に装備された。
「吹き飛ばします!ヴィリーム・ファータ・カルーセル!」
オフィウクスを吹き飛ばし、ある程度ダメージを与えたようだ。

その後も過去のヴィリームと未来のヴィリームが協力して、オフィウクスにある程度ダメージを与え続けたが…。
「グラースとテンツァー、2人ともどうしたのよ。体が消えかかっているわよ」
そう言っているのはギリズマ。あれから6時間が経過しようとしている。
「そうか…、もう6時間経つのか…。って、時空間が消えかかっている!
どうしよう!まだオフィウクスも倒していないのに!」
「…無念だ。グラース、ここは過去のヴィリーム達に賭けてみよう」
「そんな…。あたい達が倒す筈だったのに…」
「過去の事は私達に任せなさい。あんた達は未来を変えるのが使命なんでしょ?
あんた達が消えたら、未来を誰が変えていくのよ?
また会えたらいいわね。リムグラースにリムテンツァー。…じゃあね。未来で会おうね」
そしてグラースとテンツァーは、奮闘しているビター達4人と、
涙ぐむギリズマを振り切って、未来の世界へ帰還した…。

「…起きて。チルノちゃん、起きてってば」
「…うーん、ここは、どこだ…。」
どうやら現代に無事に戻れたチルノ。目を覚ますと、ヴアルにいた。
「…あれ、大ちゃん…?みんなはどこ…?」
「チルノちゃん、良かった…。目を覚ましたんだね…」
現代に戻って来たが、何故かいつもの世界になっている。

「あれっ?オフィウクスは倒したの?それに上空の蛇は…」
そんな2人の前に現れたのは、なんと過去の世界のヴィリームの変身前のあの5人。
「目が覚めたかチルノ。ヴィオラを一時撤退させたんだってな」
「えっ?あたいがオフィウクスを倒したの?」
「違うわよ。倒したのは私よ。姫海棠はたてよ。
実は言うのも恥ずかしいんだけど、たまたま道に落ちてた賞味期限切れのアンパンを、
オフィウクスの口に投げ込んだら…、信じられないくらい弱体化しちゃったの」
「その弱体化を狙って、私が花の鞭でお仕置きしましたわ。これが蛇使い座の星よ」
蛇使い座の星を持っているのは、ふらわ~しょっぷKAZAMIの幽香。
それを聞いて唖然とするチルノ。

「でもあたい過去の歴史変えちゃったかも…」
「その事なら心配するな。慧音…いやハクタクルムーンが手伝ってくれたんだ。
歴史改変の歪みを、ハクタクルムーンが何とかしてくれた」
妹紅曰く、『けーねがなんとかした』らしい。

そこに、秦こころも現れた。
「チルノ、目が覚めたか」
「こころちゃん…、一緒に戦ってくれてありがとう。そしてこれから宜しく」
「え?どういう事?」
そんなやりとりをしている間に、火の玉が現れた。
「秦こころが今日から命蓮大サーカスの一員になった。という訳で彼女も幻想町のヴィリームの一員だ。
それと本詠町で戦った朱鷺子も、幻想町に再び引っ越してくるらしい。
という訳で俺が任命したヴィリーム18人を、全員幻想奇跡隊に任命する!
ミッドヴィリーム、全員集合!変身だ!」
『「「「「「「「「「「「「「「「「「ミッドヴィリーム・ミラクライズ・オン!」」」」」」」」」」」」」」」」」」


こうして、星座を巡るミッドヴィリームの戦いは、一旦終止符が打たれた。だがケイオスはまだ滅亡していない。
いつの日か東風谷奇跡団やケイオスだけでなく、彗星や新たな脅威も脅かすであろう。
でもご安心下さい。このお話は奇跡を巡る物語なのです。え、何故ですって?

ミッドヴィリーム以外の一般人の中には、脅威を脅かされる程、奇跡を信頼してはいませんから。


ヴィオラ「まだ、終わらせないわよ…」

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最終更新:2020年11月16日 21:53