厚生行政の誤謬
ワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行
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ワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行については、我が国では二次発生のみであるが、世界では毎年のように各地で発生している。清水博之のワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行から要約抜粋したものを下記に紹介する。
2000~2001年にかけて、1型VDPVによる大規模なポリオ流行が、ヒスパニオーラ島で初めて報告されて以来、VDPVに由来するポリオ流行が、2000年以降、ほぼ毎年、世界各地で報告されている。WHO西太平洋地域においては、2001年フィリピンにおける1型VDPV、2004年中国貴州省における1型VDPV、さらに、2005~2006年にかけてはカンボジアで3型VDPVによるポリオ流行が発生した。
VDPVによるポリオ流行は、当初、野生株ポリオウイルス伝播が終息した後、経口生ポリオワクチン(OPV)接種率が低下した地域で発生しやすいと考えられていた。しかし、いまだ多くの1型および3型野生株ポリオ症例が発生しているナイジェリア北部では、野生株ポリオ伝播と並行して、2型VDPVによるポリオ症例が多発していることが明らかになった。ナイジェリア北部の広範な地域で、2型VDPVが長期的に伝播し、2005~2009年にかけ多くのポリオ発症(2009年5月時点で計223症例)に関与していることが明らかとなっている 。
野生株ポリオ根絶後、OPV接種を続ける場合、ワクチン関連麻痺発生およびVDPVによるポリオ流行のリスクは継続する。OPV接種を世界的に停止した場合、ワクチン関連麻痺の発生はなくなり、VDPVによるポリオ流行のリスクも次第に減少すると想定されている。そのため、OPV接種停止前後、不活化ポリオワクチン(IPV)導入によりポリオに対する集団免疫を維持することが、VDPVによるポリオ流行のリスクを減らすうえで重要であると考えられている。