また、あんなに無理をして

(ふぅ……
このあたりで少し休憩を──
このあたりで少し休憩を──
はぁっ……! まだ、まだ……!
……もう。
登場人物
月村手毬
秦谷美鈴
秦谷美鈴
花海佑芽
花海咲季
ボーカルトレーナー
花海咲季
ボーカルトレーナー
ほどほどに、大きな一歩
……はぁっ、はぁっ、はっ……………!
ダメだ……もっと、
もっと……がんばらないと……!
ダメだ……もっと、
もっと……がんばらないと……!
(……まりちゃん。
また、あんなに無理をして……
また、あんなに無理をして……
美鈴ちゃん、どうかしたの?
……いいえ、なんでも。
行きましょう、佑芽さん。
行きましょう、佑芽さん。
(そう……いまのわたしに……
彼女を止める権利なんて……
彼女を止める権利なんて……
…………………………
(んん~~~~~~~~~~っ!)
佑芽さん!
は、はぃっ?
いまから、わたしの自主レッスンに
付き合っていただけますか!?
付き合っていただけますか!?
えぇえぇぇええぇ!?
……み、美鈴ちゃんが自主レッスン!?
急にどうしたの???
急にどうしたの???
突然、いますぐに、ダンスのお稽古を
したくなりまして……
したくなりまして……
まあ、ちょうどそこに、
ダンスレッスン室が……………
ダンスレッスン室が……………
いやあの……えぇ……いきなり
使っていいのかなぁ……
使っていいのかなぁ……
失礼いたします。
────────


……なにか?
…………………………ふん。
……さあ、レッスンをはじめましょう。
ゆっくりと、ほどほどに。
ゆっくりと、ほどほどに。
私の『役目』
(……ぐぬぬ……………
美鈴がまたサボってる
美鈴がまたサボってる
(……いつも、私が連れ戻しにいく
役目だったっけ……)
役目だったっけ……)
手毬、気が散ってるみたいね?
……別に。
あのね……気持ちはわかるけど……
トイレをがまんするのは……
ほどほどにしなさい。
ほどほどにしなさい。
デリカシーないな!
そんな理由じゃない!
そんな理由じゃない!
はあっ、まったく調子が狂う……!
トレーナー!
すぐに戻ります!
すぐに戻ります!
……やっぱりトイレじゃない。
(暗転)
わ!
ふわッ──!?
えっ? ええっ……?
えっ? ええっ……?
ま、まりちゃん!?
いったいなにを──
いったいなにを──
……発声練習を
してただけだけど?
してただけだけど?
私が、いつどこでどんな練習をしようと
美鈴には関係ないよね。
美鈴には関係ないよね。
…………………………

(嬉しそうな顔の美鈴)
……そうですね。

(嬉しそうな顔の美鈴)
……そうですね。
喧嘩中でも以心伝心
みなさん、こんにちは~。
本日の特別レッスンは、
本日の特別レッスンは、
1年生で、特に実力に秀でた生徒を
対象としたものです。
対象としたものです。
(……うっ……まさか、
こんな形で……)

こんな形で……)

(まりちゃんと……)
(美鈴と……)
(一緒にレッスンを、
することになるなんて──)
することになるなんて──)
……………………………………


なに?
いえ……
(……言葉を交わさなくてもわかる。
きっと────)

きっと────)

~2人の想像中の2人~
──美鈴は凄いやつなんだから、
怠けるのはもったいないよ。
怠けるのはもったいないよ。
──まりちゃん、
無理してはいけませんよ。
無理してはいけませんよ。
(──そう、言いたいんだろうな)
……はぁっ。
……ふん。
(今日は、すこしだけ……
がんばりましょう。)
がんばりましょう。)
(今日は、すこしだけ……
控えめにしておくか)
控えめにしておくか)