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更新日:2025/10/10 Fri 10:25:58NEW!
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ふたりは、殺しあう宿命…
機動戦士ガンダム サンダーボルト
「機動戦士ガンダム サンダーボルト」とは、ガンダムの
漫画作品のひとつ。作者は太田垣康男。
ビッグコミックスペリオールにて2012年から連載開始し、
当初は短期集中連載のつもりだったのにもう10年以上も連載、2025年9月に完結。
[概要]
アニメ『
機動戦士ガンダム』と同様、
宇宙世紀0079を舞台とした
SF漫画作品。
宇宙世紀を舞台にはしているが、本作独自の設定解釈が多数あり、
アニメ化の際にも宇宙世紀の本伝ではなく、
パラレルという扱いになっている。
このため1/144のガンプラも宇宙世紀の「ハイグレード ユニバーサルセンチュリー / HGUC」ではなく、「ハイグレード ガンダムサンダーボルト / HGTB」名義になっている。
一方でアニメ版は企画当時は正史作品との整合性を取ろうとした名残や、原作のオーバースペックな描写の違和感を抑えるために設定などに少なくない改変が生じている。
そのため太田垣も
アニメ版の設定に関しては関与していないという複雑な状況。
逆に原作は第3部となる新宇宙編で更に正史の宇宙世紀とかけ離れた独自展開が多く展開されている。
なお、太田垣が言うには連載前の時点でパラレルワールドの作品として執筆することを希望しており、
その意図をサンライズに伝えた際に「その場合はガンプラやアニメにはならない」と伝えられたが、ファンの後押しで変わったとの事。
作者の太田垣康男は漫画版「フロントミッション」の原作や、
リアル指向の宇宙開発SF漫画「MOONLIGHT MILE」など、泥臭い世界観を描いてきた人である。
それ故に、本作ではフロントミッションのようなリアル志向が随所に取り入れられており、
搭乗メカニックは防塵カバーで覆われたパイプやサブアームなど、全体的に頑強なイメージへ脚色されている。
宇宙世紀シリーズでは「
MS IGLOO」に近いイメージかもしれない。
これらのデザインは
ガンプラでも再現されているが、パーツの角張り方が非常に鋭利であるためか対象年齢も「15歳以上向け」となっている。
また、SF作品に多く携わってきた太田垣氏らしいというべきか、無重力/低重力下での生活や食事の描写が多い。
太田垣のインタビュー等を要約すると
「嫌いなのではなく、あまりに影響力のあるSFものなので、関わってしまうと自分の作風などにも影響が出てしまうのではないかという懸念があった」
とのことらしい。
2015年10月28日にはアニメ化が発表された。
第一話が2015年12月25日から有料配信され、スマートフォンアプリ「ガンダムファンクラブ」では、2015年12月11日から会員向けに先行配信。
有料配信では従来のレンタル型だけではなく、ガンダムシリーズ初となる視聴期限のないセル型配信サービスを実施。
配信後は、ディレクターズカット版『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』が松竹を配給として劇場公開された。
2023年2月12日から2月26日まで「TVエディション」版が全3話で
MBS系列で放送された。
ちなみに前番組は『
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』、次番組は『
機動戦士ガンダムNT』。
この3連戦を見続けた視聴者は、続く『
機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期で
イヤというほどこの3作が選ばれた理由を痛感することとなる。
なお『水星の魔女』1期終了後、太田垣氏によって「
泣いているグエルをイオとダリルが励ます
」イラストが描かれている。
当初アニメ化されたのは
一年戦争編のみであり、南洋同盟編のアニメ化は売上次第と公言していた。
後に第二期として南洋同盟編のアニメ化が決定し、このことから商業的には想定の基準を満たした様子。
ちなみにスタッフよると本来ならもっとストックを稼いでからのアニメ化予定だったのか二期決定は本来より急だったらしく驚いたらしい。
[あらすじ]
宇宙世紀0079年12月、
地球連邦軍ムーア同胞団は、
ジオンの
ア・バオア・クーへの補給路である「サンダーボルト宙域」を制圧するため大部隊を送り込んだ。
そして、戦場で邂逅した同胞団のイオ・フレミング少尉とジオンのリビング・デッド師団に所属するダリル・ローレンツ曹長。
この戦いの行方は……
[主要登場人物]
◆連邦サイド
連邦側の主人公でツンツンに立った金髪と碧眼が特徴。ムーアの前首長の息子だが、家や故郷に縛られる事を嫌っている。
サンダーボルト宙域にてジムで出撃するが、ダリルの狙撃で真っ先に撃墜された(ちなみにその直後に隊長もやられた)
だがコア・ポッドで脱出し、宇宙服のままリック・ドムに近付き、油断したパイロットを射殺しMSを奪って帰還する。
この時「自分を撃墜した音楽の趣味の悪い義足野郎」とダリルを嘲笑し名乗り合って以降、様々な戦場で彼と対峙。
敗北を味わわされたダリルに固執し、彼との戦いと決着を渇望しながらも、運命の悪戯に翻弄されるようになっていく。
初期のイメージは
喧しく調子こいた陽キャのヤンキー。
非常に好戦的で気が短く、上流階級出身だからか偉そうで上官にも軽口をきく。粗野で嫌味ったらしく口が悪い。
不遜な態度で自己中心的だが腕前は確かで、ビーハイヴのクルー曰く「腕もルックスもいい天性のカリスマ」との事。
だが他人と足並みを揃えるのが下手でスタンドプレーばかりするため、味方からも厄介者扱いされたりする。
またドラムが趣味で戦場では常にジャズを流し、コクピットに
ラジオやスティックを持ち込んでリズムに乗っていることが多い。
このジャズが彼の代名詞として味方だけなく無線を傍受した敵機にまで知れ渡っており、畏怖の対象にもなっている。
軍律も言葉使いもまるでダメで、キレたとは言え参謀長をクソババア呼ばわりする程だが、腕前を買われて許されている。
MSに心酔し自他共に認める「
戦争中毒」とでもいうべき状態になっており、生身で人を撃ち殺す事にも一切躊躇がない。
自由なMSと戦場が大好きで、自身とガンダムが敵戦力を確かめるための捨て石だという事も理解した上でスリルを楽しんでいる。
強力な最新式のMSを見ると興奮して子供のように喜び、アナハイムの工場を見学した際は叫びながら走り回っていた。ジオン系MSの操縦訓練も受けている。
ちなみにアレルギー性の鼻炎持ちでポケットティッシュを手放せない。
MSを奪って帰艦後、彼より階級が上のパイロットが戦死したため
フルアーマーガンダムのパイロットに選ばれた。
同時に「英雄」を押し付けられることになり、上層部の「少年兵を盾にしてでもスナイパーを殲滅せよ」という作戦を任されてしまう。
そしてフルアーマーガンダムの実戦テストでジオンMSを次々と撃破し、追い込まれたジオン側は
サイコ・ザクを造り上げた。
互いに友軍に膨大な戦死者を出しながらもフルアーマーガンダムとサイコ・ザクでの一騎打ちの末、相打ちになる。
だが自軍艦隊はすでに壊滅しており、生き残りと共に捕虜としてジオンに囚われ実質的に敗北した。
「自身らの仲間を虐殺したガンダムのパイロット」として師団の生き残りから
フル●ンにされ暴行を受ける。
その後初めて直接ダリルと対面し、彼に自分らは殺し合う宿命であると告げた。
連邦によるジオン艦隊への攻撃の隙をついて拳銃を奪って見張りを皆殺しにし、独房から脱出。仲間を解放する。
コーネリアら他の捕虜と共に連邦に救出されるも、サンダーボルト宙域での失態で立場は悪くなる。
戦後は「ガンダムを鹵獲されたパイロット」「少年兵らを盾にした隊長」など、一部の人間から不当な評価を受ける。
そして家族やクローディアの親族との確執などを経て、連邦の戦艦スパルタンへと配属。
サイコ・ザクとの戦闘経験を買われて
アトラスガンダムのパイロットとなり、リユース・P・デバイス回収作戦「サンダーボルト作戦」の任についた。
サンダーボルト中域での経験や太平洋における戦いやスパルタンの戦友たちの交流を経て、人間的に成長していく事になる。
喜怒哀楽が激しく激情のままに動き自分勝手に見えるが、決して他人を思いやれない人物ではない。
131話でイオとコーネリアスとクローディアが士官学校の卒業パーティーを抜け出して来た様子が描かれている。
この頃はクローディアと付き合っていたのか不明だが、キスしたりイチャイチャしている。
ビーハイヴで4年間の艦隊勤務に就く予定で、狭いコロニーからやっと抜け出せる事を喜んでいた。
クローディアは地球の本物の海で泳ぎたい、コーネリアスはエンジニアの聖地である月のアナハイムに行きたいと言う。
イオは自分の父が探査に行って自身の名前の由来にもなった木星圏の衛星に降り立ってみたいと語った。
そして三人で世界を見て回り、三人一緒ならどんな事も乗り越えて思い出に出来ると友情を確かめ合った。
だがその後、ジオンにより一年戦争が勃発してムーアは戦場と化し、首長だった父が自殺してしまう。
今も悪夢を見るほど魘されており、自分の生まれと現実を忘れたいがためにモビルスーツと戦場に傾倒していった。
それを見透かされ重責に耐えかねたクローディアから「無責任で身勝手で、人との関りに臆病」と言われてしまう。
実際、後に「自分は大切な人を失う悲しみを知らなかった」と独白していた。
劇中では暴走する姿を見せがちだが、ジャズにしろモビルスーツにしろ、彼が一心不乱に熱中する理由はただの現実逃避と虚勢である。
少年兵達を同胞と認め励ましの言葉を送っており、彼らの死をバカにされた際は「俺の弟妹達を哀れむ奴は半殺しだ」と怒りを滲ませている。
自身は戦場に生き甲斐を求め戦争に身を置く傍ら、クローディアには戦争から離れて欲しいとも思っており、彼女の顛末を受け止めきれず頭を抱えていた。
仲間の事も足手まといだとする一方、何かあればすぐ飛び出し駆け付け、必死に守ろうとする姿を見せる。
後にサイコ・ザク量産を企む南洋同盟を追い詰め、その本拠地まで突入。南洋同盟の仲間になったダリルと再会。
連戦で腕がもげたサイコ・ザクMk-Ⅱ試験型を撃破し、完成版のサイコ・ザクMk-Ⅱも破壊しようとするがある事情で失敗に終わる。
スパルタン撃墜後の数少ない生き残りとして生存はしたのだが……。
その後に暗殺され掛けるも命懸けで助けてくれたイースの遺志と能力を引き継ぎ、
NT専用機で戦線に復帰した。
辛い経験の連続、イースの影響、リリーと義兄妹の契りを結んだからか、人間的に成長し素直さと寛容さを持つようになる。
戦場に巻き込んで負担に苦しむリリーを気遣い、カリストへの非人道的な扱いに怒りを覚え、2人をフォローしフォローされ、人として欠けたピースを取り戻した。
だが一方で戦闘狂の一面は色濃く残っており、アナハイムを護るのも「未来の超性能MSのため」であると一貫している。
最終的にはマッチョで頼り甲斐のある家族思いな気の良い兄ちゃんとなった。
◆ジオンサイド
・ダリル・ローレンツ
ジオン側の主人公であり若きエーススナイパー。狙撃の腕は凄まじく多くの連邦機を葬っている。階級は曹長。
師団きっての撃墜王で、そのあまりの腕前から仲間内や一部の敵からはニュータイプではないかと噂されている。
初期のイメージは
大衆的で控え目な社交性のある陰キャ。
そのため、彼自身が自分の気持ちを声に出して語る場面はイオと比べて少なく、そのシーンも第2部中盤に集中しているため読み手からの理解を求めるタイプのキャラである。
イオとは対照的に穏やかで大人しく、人当たりの良い優しい人柄で仲間思いな性格もあって同僚達からも慕われる好青年。
だが裏返せば主体性が薄く周りに流されやすい人間であり、この点が後に彼を変節させてしまうことになった。
サイド3出身の裕福な商人の家に生まれ幸せな幼少期を地球で過ごすが、ジオン公国の誕生によりコロニー出身者として迫害を受けてしまう。
難民として非難したジオン本国にて、居住権を得るため軍に志願したが両脚を失い、傷痍軍人を再雇用するリビング・デッド師団に配属された。
家族関係は妹と再婚相手の母がおり、父は病により他界。子供の頃、今は亡き父に買ってもらったラジオが宝物であり、コクピットにも持ち込んでいる。
イオと同じくゲリララジオ放送を聴きながら戦っており、好きなジャンルはラブソング系のポップス。
イオのジャズと同じく、
戦場という殺し合いの場で
ラブソング系のポップスを聞いている事を、音楽を聴いて殺しを楽しんでると誤解される場面も。
しかし、ビアンカ等趣味の合う友人のいるイオのジャズと違い、
味方からは「音楽の趣味は最悪」とボロクソに言われる。
なお、このセリフを言ったフィッシャーはちゃっかり同じジャンルにハマってる。
その上でボロクソに言う自分も、他のベンソン・ファミリーから気味悪がられていた。
扉絵の写真から分かるが、隊の鼓舞に現れた
ギレン・ザビと面識がある模様。
ビッグ・ガンの狙撃でイオを撃墜、部隊も壊滅に追い込むもイオに仲間を殺され僚機を奪われてしまう。
そして「自身の義足を笑った、運がいいだけの口が軽い男」であるイオに名乗り合い、根深い因縁となる。
後にイオのガンダムとの交戦でMSを失い、連邦の奇襲で避難カプセルに篭るも、流れ弾が当たり左腕も失くしてしまう。
更に「リユース・サイコ・デバイス」を完全に起動させるため無傷で残った右腕も手術で切断した。
しかしそのおかげで二階級特進、サイコ・ザクは完成し、ムーア同胞団艦隊を単独で壊滅させる鬼神振りを発揮する。
さらに因縁のイオの駆るガンダムとも互角の勝負を繰り広げた末、ほぼ相討ちながらもガンダムを撃破、ジオンで鹵獲することに成功。
ダリルは「白い悪魔を倒した英雄」と称賛されるが、開発者であるカーラが極度のPTSDにより幼児退行し、サイコ・ザクも失われてしまった。
仲間もほぼ全滅し色々な物を一気に失ったダリルは、捕虜となったイオと面会し、自分の気持ちを語り始める。
あんたを殺して決着をつけたかった。戦争が…俺から手足を奪った。
ガンダムを倒せば…俺は…戦争って悪夢から解放される気がしてたんだ……
だが、そんなダリルを見てイオは見透かしたように嘲笑しながら答えた。
悪夢?散々殺しまくって今更被害者面はねえだろ?文字通り…MSに身を捧げて授かった悪夢の力だ。
ガンダムに勝っていい気分だったろ?
そして戦争を呪いながら戦争に魅入られていく自分達は、闘い続ける、殺し合う宿命にあると告げられた。
その後、ア・バオア・クー戦ではゲルググに搭乗して戦うも、慣れない機体にリユース・P・デバイス用に調整された身体のせいで苦戦。
戦況も悪化したため、フィッシャーやセイレーン機動艦隊と共に戦線を離脱した。そのまま終戦となる。
第2部の一年戦争後は地球に降下し、ジオン残党軍で
アッガイの部隊を率いてリユース・P・デバイス回収作戦に参加。
想い人であるカーラのシュシュと、彼女に取り付けられた義手を心の拠り所にしてカーラの記憶を取り戻そうと奮戦する。
だが作戦進行中、南洋同盟との接触により転機が訪れ、レヴァンとの接触とクローディアの誘惑によりジオンを裏切った。
しかしその心の奥底にあるのは
カーラにもう一度会いたいという想いと
再びサイコ・ザクに乗りたいという欲望からだった。
「
俺にくれるのか?サイコ・ザクを…」
最終的にはカーラの心と記憶を取り戻し、サイコ・ザクMk-Ⅱを完成・量産させる事に成功。
だがそれらを宇宙に運ぶ際に、それまで彼の心の大きな支えとなったある人物の死を目の当たりにする。
皮肉にも
そのショックからニュータイプに覚醒、戦う意味と救いを求め南洋同盟の思想に執心していく。
そして
僧正に与えられた使命を果たすという大義の為に戦場を駆け巡る。
最終的に僧正の語る理念や大義に心酔していくが、その根本にある目的は「辛さから逃避するために、サイコ・ザクに再び乗り戦場で戦いたい」のみ。
僧正に与えられた使命を果たす理由も「その罪深さを、無意識のうちに大義で正当化する」からに過ぎない。
しかし、人殺しへの言い訳に大義を妄信したのも、命を奪う事に罪悪感を感じる人並みの倫理観とエゴの欲望に葛藤するからであった。
そのため、南洋に降るにあたって、「戦場の魔物に魅入られた戦争の申し子」と自らの愚かさに対する自虐のような自己評価をしている。
ここまでして葛藤を抱えながらも、サイコ・ザクに縋ってしまうのは戦争に様々な物を奪われた持たざる者として耐え続けた彼にとって、唯一生の実感を与えたからであったのは、上記の自己評価を踏まえると非常に皮肉である。
彼は、両脚、戦果、右腕、カーラの精神治療、ジオン再興と求められるままに、文字通り身も心も切り売りして尽くしてきた。
そんな彼が作中で「国を捨てる」と言い切り初めて自らの意思で決断を下し、自らの意思で求めたのがサイコ・ザクとカーラとの再会である。
それに加えて、彼にとってサイコ・ザクは単なる快楽の道具なだけではなく、フルアーマー・ガンダムとの決戦時に溢したように、愛するカーラとの繋がりとしての重要さも持っていたのだ。
彼はただ目の前の戦争という激動をやり過ごし生きるのに必死なだけで、元々それが良いものであれ悪いものであれ{揺るぎない信念など持ちようもない、ヒーローや主人公などとは真逆の運命に翻弄される普通の青年}でしかなかった。
そんな中でも、全ては戦争という理不尽な現実が自分たちの悲劇の原因であり、それこそ本当の敵と自らに言い聞かせ耐え続けたのだが…。
だが、たった一度きりの劇的な成功体験……想い人を得た上に、不自由な自分の体とは違い意のままに動かせるサイコ・ザクを操り、ガンダムという最強の敵と対等以上に闘う事が出来たという、あまりに壮絶な自由と快感の閃光が彼を狂わせた。
そして脳に焼きついたサイコ・ザクという「失った手足より自由な暴力の化身」の全能感と快楽が忘れられずついに一線を超えてしまう。
元々は優しく普通の人であり平凡な青年だったが、自分の治療のためにずっと付き添った経験からかカーラは彼の事を、自分の確固たる主張や意志はなく流されるだけと評していた。
そして、元々良くも悪くも信念がなかったばかりにサイコ・ザクがもたらす快楽という体験に強く惹かれ、彼にはそれしか生きる理由が見いだせなくなってしまったのである。
四肢を失い戦争から抜ける事もできず、片想いの彼女とは両想いになった直後に精神崩壊で重荷になり、彼女を元に戻す事で「あの頃」を取り戻そうする。
このサイコ・ザクと愛するカーラに対する執着、そして退行した彼女がダリルに与える負担は、第2部で執拗に描写されていた。
加えて、自身の両足と引き換えに治療を受けさせた最愛の父はその甲斐なく死に、その父と幼き日に繋いだ左腕も失った。
常人のように取り繕ってはいるが、既に序盤から彼が現世と真っ当な関わりを持つ理由は徐々に失われているのである。
オマケにたとえサイコ・ザクが失った手足より自由だったとしても、皮肉にも戦争が終われば彼は介護が必要な傷痍軍人に逆戻りである。
もう2度と元の手足と同じように自らの肉体で浜辺を駆け、幸せを感じる事は出来ず、上手くなったと言えるのは人殺しくらいであった。
さらには、落ちぶれた家族に経済的負担をかけることは、元難民の志願兵ゆえに平時で生かせる碌なスキルがないことや、身体への障害も鑑みると想像に難くない。
本心から自由さを喜ぶ気持ちもあったが、なんとか自分の身に降りかかった理不尽に対する合理的な理由を求めていたとも考えられる。
それでもなお、彼女が元に戻れば再び「戦争の道具」として利用される事も理解していると同時に、「サイコ・ザクさえあれば」という思いも募ってゆく。
南洋同盟に降るまでは倫理観と自己の欲求の板挟みで、何度も心を折られかけている。
セクストンに「自分の両腕を切った冷血女が落ちぶれる姿を見て楽しんでたか?」と言われた際に、あんたへの恨みは水に流すがカーラへの侮辱は別だ、「それ以上言ったら殺す。」と今までのダリルからは考えられない強烈な意志の表現が飛び出している。
そんな彼にとって、南洋同盟に降る事は自分が初めて渇望したカーラとサイコ・ザク、その2つを一度に手に入れられる千載一遇の機会であった。
それは、ジオン残党で全く先の見えないカーラの治療とサイコ・ザク探索で精神をすり減らす彼にとって、致命的な誘惑であった。
そうして、ダリルはカーラという大切な人を取り戻してからは、カーラの戦争を嫌悪する言葉すらも忘却の彼方に追いやられ、徐々に闘争を求めていく。
「レヴァンの後継者」、「ニュータイプ」と持ち上げられるうちにその立場と能力に酔い潰れ、「人の褌で相撲を取る」がそのまま当て嵌まる人物へと変貌してしまったのだ。
これらはイオが大切な人を失い、自発的に守りたいという思いやりの心を得て、自らの意思で戦いの舞台へ復帰したのとは対照的になっている。
最愛の人を取り戻すという目標の一つを達成できたのだから、残りのサイコ・ザクでの快楽に没頭するのは、むしろ丁寧な描写と言えるだろう。
「宇宙世紀を戦争と決別した穏やかな未来に変える刻が来た」「この刻を信じて使命に殉じた同志の祈りも願いも受け継ぐ」と意思表明をする場面もあったが…。
結局それも「サイコ・ザクで暴れる為の言い訳」や「僧正への義理」でしかなく、よく読むと主張は僧正の受け売りである。
むしろ劇中でダリルが何かしら目的を語ったとしても、「だからサイコ・ザクで暴れ、他者の命を奪うことも許される」というものが他人どころか自分に対してすら言外にして含まれていた。
常人並みの罪悪感から目をを逸らしながらサイコ・ザクの暴力に酔う、人殺しの快楽に溺れる優しい戦争ジャンキーという矛盾を抱えた怪物的存在と化していったのだった。
当初はカーラを想うが故に南洋同盟に縋った部分が大きかったものの、僧正による治療?で彼女が回復した後は憂いが消えサイコ・ザクしか視界に入らなくなる。
フレーム状態のサイコ・ザクMk-Ⅱの試験を兼ねた演習では、自分を慕って残党を共に裏切った仲間を危うく殺害する寸前まで暴走し、その様子を見ていたカーラは本当に困惑する様子だった。
その際に僧正から、ザク・タンクの砲撃による演習中断のキツイお灸を据えられるも、自分は使命など高尚なものに興味はなく、僧正の駒とし戦えれば良いと吐き捨てる。
しかし、前述の罪悪感もあり「破壊の快楽に呑まれるな。自分を律しろ(要約)」という説教が、ストレートに心に響いてしまっている。
だが僧正に自分のエゴを突かれ改めるように指摘されたことや、カーラの復帰に加えサイコ・ザクとの再会で悪い意味で拍車がかかっていく。
そして自分を救世主と慕う信徒たちの存在など南洋同盟に加わって以後は、孤独などの彼の心に空いていた穴が埋まることになる。
後に一年戦争時代に「リユース・P・デバイスの濫用による四肢切断の推奨が起きるのではないか」と自分自身で危していたフィッシャーと再会。
ダリルの後に続けと言わんばかりに自ら四肢を切断、サイコ・ザクへの搭乗を志望した面々と刻の間で顔を合わせた際は、フィッシャーの変貌ぶりに唖然としていた。
しかし、その直後「お前がその体で頑張るから、俺たちも頑張れた。(意訳)」というセリフを皆からかけられ、嬉しそうに涙する。
カルト宗教の熱気と自己肯定感の低さからくる喜びの大きさに、完全に自分自身を見失っていた。
真後ろで最高のタイミングでデスメタルを掻き鳴らす準備を粛々と進めながら、冷めた眼差しで状況を俯瞰している人物がいると知らずに……。
そういった精神の充足を経て、力強さや余裕などリーダーとしての振る舞いを身につける。
仲間を鼓舞するなど周囲からの信頼に応える中でさらに慕われるという、ジオン時代にも見せていた彼の長所に磨きがかかっているのは皮肉である。
その頃には仲間から頼られ英雄視された事で、「やってやるぜ」と言わんばかりの自信に満ち溢れるキリッと主人公然とした顔つきになった。
そしてその末に、読者から「やっと芸術品になった」と賛美されるレベルの絶望に満ちた表情を浮かべる最悪の状況へと転がり落ちていく。
イオも自分を愛してくれた親友たちを自らの手で殺めた際は、同じように人格崩壊レベルの絶望の顔を浮かべていた。
ダリルは自分を慕う仲間が自分について来た為に死んでゆく(つまり、自分のせいというのを否応なしに自覚させられた)という、両者にとって最もショックを与える形で各々に訪れている。
更に操縦をリユース・P・デバイスに頼りっきりになったせいで、かつての操縦技術も失っており、かつての愛機の旧ザクすらまともに動かせないレベルに落ちてしまっている。
また、メンターでありストッパーでもある僧正の死とカーラの裏切りが重なった事で自分自身のコントロールを失い狂気に駆られていく。
「狙撃?この俺を?ニュータイプの俺を?」「お粗末な作戦だ、笑えるよ」「うるさい!後で墜としてやるから待ってろ」
「
イオ、うるさいんだお前……消えろ雑音!!」「
うるさいうるさいうるさいうるさい!!墜ちろ墜ちろ墜ちろ墜ちろ!!」
やっぱり強化受けてない?
戦況の悪化に比例して、一年戦争中〜残党時代に戦闘中に見せていた冷静さや機転の速さは影を潜めてしまった。
自分がカーラを追い詰めたと自覚し絶望し号泣するも、カーラのもとに向かうでもなくその後は大義成就の為に動き、ホット・ロッド艦隊を襲撃。
ビーハイヴⅡを半壊に追い込みそこら中に死を撒き散らしながら、憎悪のあまりイオに たちと半ば強制的に交信状態に陥り先読みが使えずに被弾。
ソーラ・レイの内部がコアからの放電によりサンダーボルト宙域を彷彿とさせると、ラジオから流れるラブソングでカーラとの幸せな過去を顧み涙を浮かべる。
だがジオングヘッドを発見するや否や豹変し、「殺してやる!イオ・フレミング!!」と殺気まみれの顔で追い掛ける。
カーラのいるコクピットを身を挺して守ったかと思えば、イオの顔を見た途端に正気とは思えない目でヒートホークを振り下ろす。
イオに罵倒され涙を流すも拳銃を手にすると無心で自分が有利な状況に彼を誘い、決闘が終わるとすぐさま冷静さを取り戻すなど…
やっている事と言っている事がめちゃくちゃであり感情の起伏も非常に激しくなるなど、明らかに平常心を失っていると思われる。
そのため、最終的には正気と狂気の境を彷徨う戦場と宿敵に固執する確信犯となった。
そんなダリルへの作中最終盤で放たれた否定的な評価は
- 人を殺し過ぎなんだよ、そんな愚劣な世直しがまかり通ってたまるか
- 散々イキリまくった挙句がサイコ・ザクなしじゃ何もできない
- 戦争ジャンキーがカルトに落ちて脳汁垂れ流しながら踊ってただけ、身の程を知れ
- カルトに入信して、自分が世界を救えると本気で信じたのか
- もう一度無敵のサイコ・ザクに乗りたかっただけで、他の理由なんて全部後付け
- 大義名分が欲しくて愛した女性も売り飛ばし、地獄に堕として道具にした
- 自分は一日だって後悔しない日はなかったが、聖戦だから何百人殺そうが許されると思って殺しに抵抗がなくなって
と散々な言われようである。そして読者目線からしても否定の余地がまるでないのが殊更酷い。
なお、イオのセリフに関しては虚無感や一種のやるせなさが込められていると思われる。
それというのもダリルに関わったせいで、イオは南洋同盟に親友2人を利用され、自ら手にかける事になったため。
1人目は僧正の優秀な手駒となっていたものの、ダリルと関わらなければ殺さずに済んでおり、彼女の幸せを願っていた。
2人目に関しては僧正の指示でイオをダリルの当て馬にする為に誘導しており、やはり関わるべきではなかった。
更にはこれまでイオを支えてきてくれた大切な仲間達をダリルによって片っ端から皆殺しにされている。
宿命のライバルであり恨みも大きい敵ではあるが、だからこそ彼らは互いに対して自分の命を賭けるに相応しい、最高の機体で闘いたい最高の相手という、ある種のリスペクトを抱えていた。
…その分だけ無様な姿は輪をかけて虚しく、嘲笑う顔も引き攣っている。
リアルタイムで13年間の月日を費やした殺し合いの宿命で、お互いに手に入れたのは無であった。
ちなみに、上記のイオのセリフは宇宙空間でありガンダムでお馴染みのお肌のふれあい通信もせず、通信機の周波数も合わせずニュータイプ能力で交信もしていないため、全てダリルには聞こえていないと思われる。
最後の最後まで、二人の男は互いを理解する事はなかった。
また、イオとの因縁の部分についても根本は
「俺の義足(障害)を笑ったな」である事には留意しなければならない。
敵と味方に分かれ殺し合う戦時下であるとはいえ、発言のコンプライアンス的にも十分アウトなのだが…
彼がイオに拘った理由は他でもない、この
「口が軽いイオにとっては些細な一言」が大きな禍根となったと思われる。
自信家のイオが初めて敗北感を覚えたように、自らのコンプレックスを面と向かって中傷したという構図は、互いがお互いにとって
「アイツという人間を超えなければ自分は先に進めない」という、強烈な因縁の相手になってしまったのだ。
この事については作者が
丁寧に念入りに描写した、
ダリルが自身の身体に持つコンプレックスからも理解ができる。
- リユース・P・デバイスの実験中に「両足があるつもりで足を動かすイメージをしてくれ(要約)」と言われる。
- 子供の頃に今は亡き父を含む家族と浜辺で駆けた情景を思い出し、誰も見ていないところで一人涙を流す。
- 避難ポッドで眠っている間、子供の頃のクリスマスに亡き父の優しさに触れ、左手を繋いだ幸せな思い出を見る。
- 目が覚めて知らぬ間に左腕を失ってしまった際は激しく発狂し、残る右腕をRPDの為に捧げる事に頓着しなくなる。
- ゲルググに乗り換えた際にはうまく操縦できず、右手の義肢を唖然と見つめる。
- 水上都市「リグ」に嵐の中潜入する際、セバスチャンから「伝説のパイロットも陸に上がると要介護者か」と言われる。
- 彼の助けを求めず意地になり、潮水で動作不良が起きる義手で梯子を掴み損ねて落下しかける。
- 潜入任務中にドジって目立ってしまった際、周囲の信者から憐みの目で見られる。
- 半泣きで顔を赤らめて一人になりたがり、自分の身を犠牲にして手に入れたサイコ・ザクを誰にも渡さないと誓うが、その時まで生き延びられるのか不安に駆られる。
- レヴァン・フウ僧正とのファーストコンタクト時に、サイコ・ザクに執着する心と身体へのコンプレックスを読心され誘惑される。
- 自分の四肢が健常である幻を見せられ、涙ながらにレヴァンを怒りの目で睨み返す。
- 自分から手足を奪ったのは戦争という理不尽な現実が原因であり、自分は仲間もカーラも裏切らないと涙しながら抗う。
- ダリルが作中で見た走馬灯は彼の思い出ではなく、どれもが健常な身体で成長したカーラと浜辺で出会うという理想の世界だった。
- 戦争に巻き込まれなければ四肢を失わず歩んでいたかもしれない、幸せな幼少期から続いている"もしも"の未来のビジョンだと思われる。
そもそも彼は、序盤からすでに身体に障害を負ったのにも関わらず、没落した貧しい家族のためにそのコンプレックスを押して肉体労働(従軍)を続けていた。
自分は学校を中退したと思われるが妹は学校に通わせるヤングケアラーであり、自分の不幸で家族を幸せにしている状態だった。
彼の所業や四肢の切断という異常事態ゆえに、共感し難くはあるかも知れないが「障害のある体を笑われる」という行為は、心に深い爪痕を残したのであった。
「イオとの殺し合いで得た快感が忘れられない、あの刹那を感じたい」というのが生きる理由と断言しているが、上記を踏まえると不自由な体へのコンプレックスの強烈な裏返しが伺える。
その後終盤にてとある人物との会話の場面では、相手の抱える思いを全て吐露され、それに対して一切反論も出来ず「やめてくれ」と涙を流す事しかできなかった。
もっとも、僧正の大義への信念のなさや自責から反論こそきないが、その相手が今からしようとしている事は同情の余地はあるが紛う事なき大量虐殺であり、大義を方便として信じているだけに過ぎなくともなんとしてでも阻止したいために威嚇射撃はしている。
それを見た相手からは「貴方は何のために涙を流すの?」と青筋が立つほどブチ切れられ怒鳴られた。
しかし、この人物の会話の内容をよく見ると、一貫して「私たち」と述べており、「蹂躙されたのは自分だけではなく、貴方もそうなのに!」と言外に訴えている。
彼のパーソナリティの指摘も彼の自分への献身を知っていたからか、的確であり口調こそ刺々しいものの誹謗中傷ではなかった。
本心や感情の爆発も彼の前でだけ見せたことを踏まえると、キレてはいるが関係性は非常に深かったことを忍ばせる。
もっともダリルはそれを汲み取れず、責められているだけと誤解していたが…。お前ニュータイプやろ
だが相手の裏切りを知ってからは、ここまで追い詰めたのは自分であると責任感を感じ自責と後悔をする描写が頻繁に挟まっており、この期に及んでまさか最期まで自分と同じ痛みを抱える者同士であったことだけを訴えていた事には、気が付きようもないのである。
ちなみに最終決戦でとある人物に「部品のように利用されても、お前は怒りを感じないのか?」と感応波で呼び掛けていたのだが、皮肉なことに前述の人物には全く同じ言葉をかけられている。最愛の人とのすれ違いが切ない。
そして、苦しみのあまり最終的には思わず感応波を飛ばしてしまうが、それは僧正の遺体の頭部により相手の意識が吹っ飛ぶほど痛烈に増幅されてしまう。
その思念の中身は、かつて二人でハチミツ農園に通った幸せな日々であった
実はダリルも相手も、マイトレーヤ作戦で度々想起する二人だけの幸せな頃はこの場面であり、よりにもよって擬似親子という非常に歪んだ関係性ではあるが、二人の人生で最も幸せな瞬間がそこにはあった。
つまり、最期の瞬間に自分の想いをあまり言葉にしたがらないダリルが、最愛の人とのわかり合いの為に初めてニュータイプ能力を使用したわけなのだが…。
ダリルは元々は普通の人であり、人を傷つける事もできない性分の勤勉だけど、主義主張の薄い気弱で無学な青年だったのだ。
そんな彼は戦争というちょっぴり困難が多い時代の中で生きる為、家族の生活を守る為に自分を犠牲にし足を失いながらも、狙撃の才能を認められ居場所や肯定感を得ることになる。
傷痍軍人が集まり自らのコンプレックスについてあまり気兼ねしない場所で、自分の喜びや不幸を我が事のように喜び涙を流してくれる気の合う仲間達に囲まれた。
生まれ持った狙撃の才能を生かして戦果を挙げていくという、戦争という理不尽な現実の中で心の欠落が埋まりそれなりに心安らぐひと時がリビング・デッド師団にはあった。
だが、あの「口の軽い運が良いだけの男」が現れて自分の事を笑ってから、彼の平穏と安寧は破壊されて転がり始めたのだ。
最終的に仲間を守る為に四肢を代償に、ガンダムを打ち倒す事に成功するが、そのたった一度きりの奇跡が彼を狂わせた。
他者の為に自分を捧げ続けた彼が、誰の為でもなくただ自分の為だけに自由に振る舞うという、それまでの反動も含んだ最悪の刹那の快楽を見つけてしまったのだ。
しかし、境遇がどうであれ他人の大義名分を借りて、思想の正しさで暴力を肯定する事は決して許されなかった。
結局は自己の過ちについて面と向かって向き合うことになり、そこで初代のサイコ・ザクと再会を果たす。
そこで彼は『ガンダム』シリーズ主人公勢でも滅多に類を見ない決断を下し…そして…。
実は
カミーユ・ビダンと同様に、自室に設けた仏壇で殺めた命と散っていった仲間を慰霊している。
サイコ・ザクで戦う快楽に溺れる事の愚かさや、命をエゴで奪う事の罪は自覚していた。
また、一年戦争中から南洋同盟時代まで一貫して周りに慕われたりと、周囲から頼りにされ他者への優しさや我慢強さを持つ人物であった。
しかしサイコ・ザクとの繋がりが深くなればなるほど精神的な成長を遂げるどころか、どんどん強大な力に固執していくようになる。
本来持っていたカーラへの愛と思いやりや、自らが殺めた命に対する罪の意識を忘れ、戦う理由の中心に自分を据えるようになっていったのである。
クローディアと思わず感応し心の中を見て同じ苦痛を分かち合う仲間だと理解すると、彼女が心の支えになり南洋に降り、それ以降はカーラとの愛の象徴であるシュシュも訳あって身に付けなくなるなど、クローディアと心の距離が縮まるのに反し、カーラとは肉体の距離が近づいても心は徐々に離れていったことが描かれている。
また本作のニュータイプ能力の仕様なのかは不明だが、相棒のフィッシャーや家族同然のドミトリーと整備班の死にさえ気づけていなかった。
なお、単行本第27集では作者が彼への慰霊の意味を込めた書き下ろし特典が付録としてついてきており、相変わらずの彼の優しさや第1集冒頭のラブソングの歌詞の真意が描かれる。
当初は周りの人間を気遣う余裕のなかったイオが「人の死」で精神的に大きく成長し、愛する人たちは失ったが新たに数々の仲間を得ていった。
ダリルは仲間からの信頼は変わらないが「人の死」に目を瞑り闘う快楽に興じてしまい、愛する一人の女性とはどんどん心の距離が開いてしまった。
この作品では二人の男はどこまでも裏と表の関係である。
という彼の願いは、完全な形で叶うことは終ぞなかった……。
すべての戦いに決着がついた後、紆余曲折ありダリルとカーラはレヴァン教にて聖人として崇められ、彼の義手は彼と連邦とアナハイムへの抵抗を象徴する呪いの聖遺物となってしまう…。
しかし、それだけではなかった。
彼の義手の実物は戦後ジャンク屋に回収されており、それをガレが買取りガルシアを経由して、ニュータイプのための学園創立をジャニスと一緒に目指すビリーに託されることとなる。
その際にガルシアは、「彼の人生が詰まった『聖遺物』」と冗談めかして笑えない…称しながらも彼が生きた証として、校長室に飾ってくれと述べている。
こうして、偶像ではない平凡なダリル・ローレンツ青年の姿を覚え、偲ぶ人々もこの世にいる事が示された。
そして、イオがカリストのサイボーグボディをリリーに「MS研究からフィードバックされた技術が活かされている」と説明する際にも、おそらくサイコ・ザクと思われるMSと宿敵ダリルの後ろ姿を想起し、そこで傷痍軍人の社会復帰の可能性に触れて思わず言葉に詰まり話題を変えている…。
こうして、自らの意思でライブステージから降りる決意をしたダリルと、自らの意思で再びライブステージに上がる決意をしたイオと、明暗は分かれたが彼の姿は、聖人、テロリスト、平凡な青年、と見る人により姿を変え彼らの奏でた短く激しいセッションと共に、世界と人々に記憶されてゆく…。
・カーラ・ミッチャム
師団の研究部門の教授でRPDの開発者。ジオン側のヒロイン。
フーバーと付き合っていたが、彼が戦死したため
復讐をダリルに託す。
ギレン・ザビ総帥から直接勲章を授けられるほどの優秀な技術者だが、反戦活動家の父の影響で戦争を嫌悪している。
しかし父が反逆罪で投獄され、協力しなければ処刑されると言われ不本意だがやむなく研究部門で働いていた。
義肢の研究も元々は父親の義手姿を見て育ち、そんな敬愛する父を助けたいが為に研究者となった。
だが結局リユース・P・デバイスという非人道極まりない技術やサイコ・ザクを開発した事で、「怪物の母」と呼ばれている。
戦いが続く中、やがて自身に献身的なダリルに惹かれていき、サイコ・ザク出撃直前には恋仲となっていた。
だが自身の愚かさを認識し始め、せめてもの罪滅ぼしに自ら空母の銃座に座るも、ガンダムを発見して逆上し機銃掃射。
次の瞬間、さっきまで自分を気遣って緊張をほぐすために話しかけてくれた女性兵士ごと、隣の銃座が爆散。
せめてもの償いに女性兵士達と大破した空母を自爆させ運命を共にしようとするが、同胞団の作戦により失敗。
この時目の前で仲間が
ビームサーベルで焼かれた上その
ジム・キャノンに捕まり発狂、精神的ショックから幼児レベルへの精神退行を起こす。
一年戦争後は治療を兼ねた軟禁状態にあり、退行の状況に幾分の改善がみられ、小学生レベルまで回復している旨の所見が医務官より述べられている。
ダリルにとっては何よりも大切な守るべきものであり、サイコ・ザクという『手足』を得るための鍵であり、自分を軍に縛り付ける枷でもある。
後にレヴァンによる感応波によりトラウマの記憶を蘇らせられ、元の記憶と人格を取り戻し、ダリルと一緒になった。
父がとうの昔に処刑されていたことなどもあって南洋同盟に帰順し、穏やかな日々を送りつつもサイコ・ザクMk-Ⅱを完成させる。
だが一方で回復後は師団にいた頃よりも過激になっており、RPDパイロットへの強化なども行うようになっている。
また自身が憎悪していたはずのRPDやサイコミュの兵器技術に興味を抱くようになっており、とある重要な任務を任される事となる。
レヴァン・フウが復讐の為に同盟と信者を利用する事を批判したが、自身のジオンへの憎悪と復讐心も見抜かれていた。
誰も彼も欲と業の虜よ。だから……
私も好きなようにやるわ!文句ある!?
ジオン国民への復讐を企んだカーラはサイコ・ザクMk-Ⅱの設計に細工を仕掛けていた。
突如として頭部に現れたもう一つのモノアイと共に、パイロット達を接続された義肢を通して電流を流し殺害する。
補給のために帰艦してたまたま機体を離れたフィッシャー達と、作戦の関係上頭部を差し替えていたダリルは難を逃れたが、フィッシャー機を含む量産型サイコ・ザクMk-Ⅱは沈黙。
そして残った機体をレヴァン・フウのNT能力を使って操り、戦場から避難したジオン共和国コロニーに向かわせた。
更にレヴァンの脳腫瘍を食い止めているサイコミュ操作を任された事を利用してビグ・ザムをも掌握する。
自分の欲望の為に自身を同盟に売ったダリル。信仰心のために「正義」と称して殺戮を繰り返した南洋同盟。
自らの復讐心のために、大量の信徒を扇動したレヴァン。彼らの自分勝手なエゴによって、カーラは「戦争の道具」として使われた。
カーラも戦争の道具として従ったが、彼らと違って一日だって後悔しない日はなかった。
RPDも元を正せば「義肢にならざるを得なかった人達が、健常者と変わらぬ生活を送れるように」という優しい動機による研究の末の産物だった。
しかし、気が付けばその優しい技術は血の錆にまみれた血塗られた技術となった。そんなことは望んでいなかった。
望んで「怪物の母」になったわけじゃない彼女は、人として復讐を誓った。
父を処刑し、その事実を隠して自分を利用し続けたジオンへの復讐を。それを支持した日和見の愚民全てを虐殺する事で。
レヴァンはNT能力でその復讐心を見抜いた上で利用した……が、彼女の憎悪はその戦場にいる誰よりもどす黒く、底なし沼のようであった。
貴方が信者を操ってやってきた殺戮と、私の復讐の何が違うっていうの!?
だが、意図せず発射されたソーラ・レイの強烈な閃光のせいで、カーラは脳の制御から手を放してしまう。
その瞬間を見逃さなかったレヴァンに脳の制御を取り戻され、操られたサイコ・ザク達は全機オーバーロードし停止、追いついた連邦艦隊の掃射で全滅。
これにてカーラの目論見だったサイコ・ザクによるジオン国民殲滅の復讐計画は潰え、茫然とした絶望の顔を浮かべる。
更に近づかれたアトラスガンダムに核ミサイルを発射されるも、レヴァンが察知し大量の対空二連ビーム砲をサイコミュで操りガンダムを撃墜。
そんな事は知る由もないカーラは無言で操縦席に隠してあった拳銃を手に取る。
そして発射された核ミサイルを何とかしようとするレヴァンに銃口を向けると、彼のおかげで命を拾ったとも知らず彼を射殺。
自身が僧正を殺した事を隠し同盟信者達を騙して、南洋同盟の残存戦力を完全掌握。
しかし、アナハイム改めタイタンズ擁する複数のビグ・ザムが月面から出撃。大型レールガンの一斉掃射でソーラ・レイは破損し、出力も本来の20%程度まで大きく低下。
だが、あと1発は撃てる。そしてそれだけの威力があれば十分と判断。
大型レールガンの一斉掃射でソーラ・レイの管制室は崩壊したが、その間際にドン・ソーンからソーラ・レイのトリガーは託されている。
ソーラ・レイでジオン全国民の消滅を企て、お人好しの僧兵たちの「打倒アナハイム」の妄執に付き合う形でタイタンズにもその照準を向ける。
「
ジャズとポップスとお経が流れる戦場にデスメタルが降臨した」と形容される完璧などんでん返しを繰り出したことから着いたあだ名は、誰が言いだしたか「
デスメタル女」。
刻の間に引きずり込まれた時も「あの光は何?」と神秘体験をさせられながら冷淡な対応をしており、自身が虜囚の身だと自嘲していた。
その際にカーラが居眠りしていると勘違いしたセクストンが彼女の作業モニターを見て
「この数式…何の研究だ?もう俺にもサッパリ分からんぞ」と述べている。
仮にもRPDの共同研究者がサッパリ分からない、RPDとは違う独自の研究を進めていた事が分かる。ニュータイプに覚醒したダリルの脳波を研究したがったのも…。
後にダリルの活躍を見て四肢を義肢に置き換えダリルを崇め奉り拝むパイロット達と、それを見て「ありがとう」と嬉し涙を流すダリル。
そんなダリル本人の真後ろで
「まだ笑うな」とでもいうべき形容しがたい表情を浮かべているなど、カーラが凶行に及ぶ前振りは入念に行われていた。
今まで「悪女」と呼ばれてきたガンダム女性キャラは少なくなかった。
だがカーラは彼女らですら霞むレベルで差をつけ名実ともに真の「悪女」、そして本作の真のラスボスたる存在と化した。
作中で彼女が受けた仕打ちを一部抜粋するだけでも
- 政治犯として捕縛された父親の延命を条件にRPDの研究に従事させられるが、父親はとっくに処刑されていた事を隠蔽され道化を演じさせられる
- 戦争を推し進めたザビ家を支持していた一般国民は、戦後は一転して被害者面をし始める
- RPDで戦果を上げたダリルが口にした一言が、よりによって「すごいよカーラ…君の作ったデバイスは、俺の失った手足よりも自由だ…!!!」という明らかにカーラの地雷を踏み抜く一言
- 直前まで気遣ってくれた女性士官は目の前で銃座ごと爆散、RPD開発者としてケジメをつけようとしたら目の前で仲間が物理的に蒸発、自身も敵に捕縛されるという極限状況と精神的ショックで心が限界を迎え発狂、幼児退行してしまう
- 穏やかな時間も束の間、サイコ・ザク目当てのカルト宗教に治療先から拉致された挙句無理矢理治療される
- 勝手に心を覗いてきたレヴァンに勝手に憎悪や復讐心を肯定され、訳知り顔で偽善を振り回された挙句「じゃあ自分の復讐に協力してくれるよね」と言わんばかりの対応をされる
- 「身体障碍者のための優しい技術」だったはずのRPDが狂気の技術と化し、ダリルの戦果も相俟って魅入られた誰も彼もが笑顔で四肢を切断している
- ジオン残党やアナハイムもサイコ・ザクの入手に心血を注いでおり、殺されるならまだしもどんな手段を使って造り方を得ようとするのかわかったものではない状況
- カーラの目的を知ったレヴァンが説得を試みてくるが、レヴァンも目的は月面のアナハイム本社とMS工場への攻撃であり、カーラから見れば行おうとしている虐殺とこれまでの殺戮の数々を棚に上げて説得しようとしている状況
- 作中誰一人としてカーラの安全や自由意思について何も考えておらず、本人は穏やかな暮らしを望んでいるにも関わらずに全方位から殺意を向けられている。
何よりも本編開始時点でジオンに、復活してからは南洋同盟に監禁されており、基本的に自由意思はない。
ジオンは父親の事で脅迫されていたとはいえ、協力しなければ自ずと反逆者の娘として処分される。
同盟に至っては義理も義務も一切ないのに「協力するのが当たり前」という中で、無理矢理人殺しの手伝いをさせられている。
爆発するのも当然といえば当然、仮に二週目にやり直せばある程度ましになる可能性が残されている本作の登場人物の中において、どうしようもない境遇である。
カーラからすればブチ切れたくもなる地獄絵図であり、気の毒すぎて流石に同情を禁じ得ない。
フーバーも、ダリルも、南洋同盟も、ジオンも、カーラ本人には目を向けることなく、勝手なエゴで彼女に群がり利用した。
ことダリルに関しては、終盤に起きた惨劇を目の前にして「僕のせいだ」とこの事態の原因の大部分は自分であるとやっと気付いた…ように見せかけて、
実際は「自分のせい」と自覚症状が芽生えただけで「その原因たる行動は何だったのか」については思い至ることなく、カルトでキマった眼差しでカーラに銃を向けた。
「カーラを止めなければならない」、「想い人であるカーラを守りたい」という感情がごちゃ混ぜになって空回りし、文字通り転がり回るダリル。
そりゃ侮蔑の眼差しを投げ掛けつつ「バカな人」と言いたくもなるだろう……。
心が壊れ、叩き起こされた際も、そのまま戦場からドロップアウトして1人きり或いはダリルと穏やかな暮らしが出来ていれば、まだ結末は変わったのかもしれない。
だが現実はダリルもカーラの治療後は「圧倒的な暴力で他者を蹂躙する」快感と全能感、周囲から「ニュータイプ」だの「レヴァンの後継者」だのと持ち上げられ続け、
「戦争が嫌い」というカーラの言葉も彼方に放り投げ、カルトの熱狂に身を任せて浮かれている始末である。
レヴァンもレヴァンで、上面だけを把握しただけでその奥底にあるどす黒い激情を理解しようともしなかった。
彼が外界との接触が限られた閉鎖環境で過ごした期間が長すぎたが故に、そこまで思い至らなかった可能性もあるが…
幼児退行で眠った人格を叩き起こされた上に心にも土足で踏み入られ、身の上を勝手に同情された上に殺戮を伴う個人的な復讐に協力してほしいと言われてキレない人間はいない。
「
眠っていた私を起こした貴方が悪いのよ」という言葉が終盤の状況の真理であり、事実カーラの主人格を叩き起こさなければよかった。
レヴァンにとってアナハイム/タイタンズへの復讐は真っ当理由を伴う「聖戦」だったのかもしれないが、
穏やかな生活を送りたいカーラにとっては「
自分の知らないところで勝手にやって勝手に死ね」の一言で済む事であり、
大義名分があろうが、どうあがいても無関係な人間が大勢死ぬことが確定している「殺戮」でしかない。
何なら彼の復讐のために、「聖戦」には無関係かつ幼児退行中に世話になった医務官達が犠牲になっている。
安易に人の心は覗いていいものではないのである。
ガンダム世界ではよくあることだが、狂った原因が
「自分をさんざん利用した世界」であったため、一瞬読者も納得しかけた。
が、やろうとしていること自体
彼や
彼に匹敵するほどの狂気を孕んでいたため、ガンダム界でも非常に危険な存在である。
「同情は出来るが、同意は出来ないラスボス」という点では彼らとはある意味似ている。
最終的にはダリルと共に宇宙空間に放り出されたはずだが、その姿が描写される事はなかった……
- イオのアトラスガンダムの膝蹴りがビグ・ザムのコックピットを直撃。
- 位置が若干ズレていたダリルは兎も角、飛散したガラスや装甲片などが散弾と化してカーラに殺到している。
- そもそも膝が突き抜けてるので、反対側の壁で膝と挟まれミンチよりひでぇ事になっているのは明白。
という状況から、読者間では「ほぼ確実に死亡しており、生存は絶望的」という説が濃厚である。
もしくはその辺の宙域に一杯散らばってた破片のようなものがソレかもしれない
[一年戦争編での登場人物]
◆連邦サイド:ムーア同胞団
一年戦争編の連邦軍サイド。
ジオンにより壊滅させられたサイド4コロニー「ムーア」の生き残り。
この宙域が現在「サンダーボルト宙域」となっているため、故郷再建を悲願に宙域奪還を目指す。
上層部はガンダムタイプのMSを調達できるほどの資金力を持っており、フレミング財団は専用MSを開発させている。
同時に戦災難民が数多く、特に苦から逃れようと軍に志願する若者が後を絶たず、中学生が学徒兵として動員されるほど。
旗艦は空母ビーハイヴ。第2部ではフレミング財団が中心となってサイド4のコロニー再建が進める。
一方でリユース・P・デバイスを手に入れるため「サンダーボルト作戦」を敢行する。
・クローディア・ペール
CV:行成とあ
同胞団の空母ビーハイヴの艦長代理。第1部での連邦側のヒロイン。
リーゼントのような髪型の女性で、地毛は黒髪だが金髪に染めている。イオとは元恋人で深いが複雑な仲の模様。
上官が戦死したため実質的に指揮をとるが、実戦経験がないせいで死ぬかもしれない戦地に無謀な作戦で部下を幾度も送ってしまう。
もっとも作戦立案は彼女ではなく同胞団本部が行っており、彼女はそれに従い出撃命令を下すだけの板挟み状態。
それでも必死に現場で指揮を取り、出来る限り味方の被害を抑えようと苦心しているのだが、作戦が無謀すぎてどうにもならない。
イオの活躍がなければほとんど作戦は失敗といって間違いない為、グラハムなどから陰口を言われ、クルー達には「お飾り艦長」などと言われている。
少年兵らまでも戦力として使うことになるといった重圧に押し潰されそうになっており、ドラッグにも手を出した為に艦長を下ろされた。
だがイオが彼らを率いて死地へと赴く覚悟を決めると、腹を括って再びビーハイブの艦長として指揮を取る。
サイコ・ザクによりビーハイブが攻撃され、総員に対艦命令を出してグラハムと共に脱出しようとする。
攻撃された原因は、少年兵らが進軍ルートから母艦の位置を把握されるという初歩的なミスだった。
士官が多数戦死し、イオが一番上のパイロットリーダーという状況であるので、まともに指導できるのは彼女くらいであり、彼らに何も教えていなかったのが原因という指摘がある。
彼女は指導するどころか総攻撃の二時間前の時点でドラッグを使用し嘔吐してイオにひっぱたかれ怒鳴られていた。普通にこの時点で艦長失格である。
その前にグラハムに対して引き継ぎもしていなかった為に、仕方なく代わった時になって戻ってきたのだから彼にもどうすることもできなかった。
相手は仲間達の死に報いようとする決死のダリルの駆る、一騎当千の化け物であるサイコ・ザクであり、もしもグラハムが優秀な艦長で指示を出したところで結果は変わらなかったという指摘もあるが、
そもそもスナイパー部隊に本隊の進軍ルートを読まれている時点で先制攻撃を許す大被害確定の失態である。
例え本国に戻ったとしてもパイロットとして大戦果を挙げ捕虜になりながら自ら脱出して捕虜の救出までしたイオとは違い「少年兵を無駄死にさせて、ドラッグに逃げた指揮官」としてバッシングは避けられなかっただろう。
またクローディアはグラハムに対して一切弱みを見せていなかったために、彼の目から見れば「被害を出し続けながら一切悲しんだり反省する様子すらない無能で冷たい女」と思われてもおかしくない態度であり。
最後の救出された時ですら一切反省をしていない様子を見れば憤慨するのも当然で、
そう考えるとグラハムの行為も理解できないものではない。
そのまま死亡したかと思われていたが……(後述)
・コーネリアス・カカ
CV:
平川大輔
同胞団のメカニック。青みがかった髪に眼鏡で中性的な容姿であり、イオとは正反対で協調性が高く純粋で心優しい青年。
鼻炎持ちのイオに渡す為のポケットティッシュを常備しており、これを出撃前に渡す事が習慣となっている。
イオとクローディアとは親友であり、同じ上流階級だった。クローディアのことを「クロちゃん」と呼ぶ。
3人共幼馴染で、クローディアが泣き言を言いたい時には彼女を抱き締めて話を聞いてあげていたらしい。
だが無重力だったためか回転し、たまたま彼女が股間に顔を押し付けてきたため、「変なとこに抱き着くなバカ女!」「キモイ!」と拒絶している。
同時に破天荒なイオの良き理解者でもあり、彼を心身共に支えるパートナーとなっている。
第2部ではアトラスガンダムの整備を行うため、ビーハイヴの生き残り達と共にイオよりも先にスパルタンに配属されていた。
スパルタンにアトラスガンダムとイオが来ると知った際は、他の真面目な顔の面々と対照的に
アホ面を晒している。
ドッククルーからの愛称は「コーネ」。イオとビアンカが仲良くしていると不機嫌になるところが可愛い。
彼女の機体が浸水し溺れた際は人工呼吸をして助け、いい感じの雰囲気になっている。
実は嫉妬している描写自体が伏線でありミスリードであった
・グラハム
CV:咲野俊介
ビーハイヴの副長で大尉。色黒で長髪に小太りな男性で階級は大尉。黒人男性の部下と一緒に行動する。
妻と娘をムーアとともに亡くしており、その原因が当時の政権(フレミング財閥とムーア上流階級)にあると考えている。
そのため、事あるごとに敗戦や作戦の失敗の責任を「貴様ら無能なエリートのせい」と文句を付けていた。
そして「国を滅ぼした無能」の息子であるイオが「英雄として死ぬ」ことを望み、彼にガンダムを宛がった。
クローディアの事も親の七光りで同胞団上層部が選んだ事を不満に思っている。
彼女が限界を迎えた時には我が物顔で艦長席に居座ったが、クローディアが腹を括ったので即刻降ろされた。
艦がサイコ・ザクに攻撃された時に瓦礫に挟まれ重傷を負い、クローディアに脱出を促される。
だが「責任も取らず逃げるなんて死んだ妻と娘に顔向けできるか」と彼女を銃で撃ち、艦と共に死亡。
フラッグファイターではない。
・チバ
ビーハイヴのメカニックで階級は大尉。
第1部ではムーア同胞団艦隊から脱出した兵の指揮を執り、ドライドフィッシュを制圧した。
だが白兵戦や指揮に慣れていないのか、終始ドタバタして頼りない姿を見せる。
第2部ではアトラスガンダムの専任メカニックとして、イオと共にスパルタンに合流。
グズは嫌いと偉そうに振る舞い、ムーアの同胞であるコーネリアスをスカウトした。
ちょいキャラだが何気に第3部まで登場している。「……なんで…?」
◆ジオンサイド:リビング・デッド師団
一年戦争編でのジオン軍サイドでサンダーボルト宙域を防衛している部隊。
MS用スナイパーライフル「ビッグ・ガン」での狙撃が主な任務。
隊員はほぼ全員が戦傷により義肢等を装着している傷痍軍人で構成されており、艦長のバロウズも海賊のようなフック状の義手をつけている。
またその義手と義足を応用した新システムの実験も行うため、半ばモルモットのような扱いで戦場に送られている。
保有するMSも少なく、試作機以外は旧式ばかり。旗艦は空母「ドライドフィッシュ」。
・フーバー・アイスラ
CV:伊東健人
師団の一員で少尉、左腕が義手の偉そうで嫌味な男。ジオン十字勲章受賞間近との話が本当なら、相当な腕前だったと思われる。
だがリック・ドムに搭乗し油断していたところ、生身で接近してきたイオに脳天を撃ち抜かれて見せ場もなく戦死、乗機も奪われた。
婚約者が国にいたが、それにもかかわらずカーラと付き合っていたので、ある意味天罰が下ったのかもしれない。
ダリルも女たらしのプレイボーイだと嫌っており、死後は義手のデータを最優先に回収された。
・ショーン・ミタデラ
CV:浜添伸也
師団の一員で曹長、両腕が義手の小柄な青年(少年?)。搭乗機はザクⅡ。
大きめの鼻と目が隠れるほど長い前髪が特徴で、明るく陽気な性格をしている。
リユース・P・デバイス研究ではダリルが両脚のデータを、ショーンが両腕のデータを提供していた。
その後ザクⅡを駆りFAガンダムの攻撃時には自分も狙撃するが、ビッグガンを破壊されてしまう。
それでもガンダムに立ち向かうが敵わず戦死……
したと思われたが……
・フィッシャー・ネス
CV:森田了介/小山剛志(第2部)
師団の一員で両脚の腿から先を欠損している。
リック・ドムに乗る。
ガンダムの攻撃時には相手の囮作戦に嵌められ、危うく撃墜されかけたがダリルの攻撃によって命拾いした。
同胞団の再攻撃の際には数少ない戦力の一人として出撃し、数で勝る同胞団の新人パイロット相手に地の利や技量を活かした無双を披露した。
その後も戦い続け、ボロボロの姿で援軍に来た艦隊に救助される。なおこの時の武器はヒートホーク一振りのみだった。
一年戦争後、彼もまたリユース・P・デバイス回収作戦に参加してダリルと共に行動する。
後にスパルタン襲撃の際に一緒に避難した娼婦のビビと結婚するが、ダリル達とはぐれてしまう事になった。
・ドミトリー・ウスチノフ
CV:伊原正明
リビングデッド師団でメカニックをしており、師団壊滅後もダリルと行動を共にする。元はMSパイロットでザクⅠが愛機、階級は軍曹。
敵軍兵士であろうとリンチを許さず戦争協定違反だと制止に入り、凌辱されるぐらいならと自決手段を渡すなど、情の深い人物。
後輩だったダリルの事を息子同然に想っており、ダリル専任の整備班を纏め彼の為にたびたび命懸けでMSを用意している。
戦後も師団で撃墜王になったダリルの当時の出来事を自慢げに語っていたり、カーラとダリルを家族のように支えた。
イオと戦うダリルのもとへサイコ・ザクMk-Ⅱを届け、義肢が使えないダリルを背負い庇って負傷、片目を失った。
外伝「サバイバー」ではムサイのデッキ作業員として登場、当時まだ新入りだったダリルと共に戦線離脱のための物資廃棄に臨んでいた。
・レイトン、キース、デンバー
師団の一員でダリルの仲間達。
レイトンは伍長、ガトルでビッグガン配置場所へのMSとパイロットの送迎を担当。左脚のすねから下が義足。ホラーが苦手。
後に囮役でダリルの代わりにビッグガンを操作して同胞団艦隊に一撃加えるも、直後に船団からの猛反撃で戦死。
キースは曹長、隻眼で眼帯をしており、右脚すねから下が義足。ザクⅡで学徒兵のMS部隊を数機撃墜した。
だが数の暴力ともいえる集中砲火で散る。死ぬ直前におばあちゃんが作ってくれたりんごタルトの事を思い出していた。
デンバーは軍曹、黒いマスクをした病んだ顔の男で、母艦が占領された際に(他にいなかったので)責任者として出頭。
左脚の義足には隔壁に穴が開くほどの爆薬が仕込まれており、カーラ達の自爆が失敗した際のプランBとして母艦弾薬庫で自爆した。
・バロウズ艦長
ドライドフィッシュの艦長。どこかの海賊の如く右手にかぎ爪の義肢を装着している。
後述のセクストンの進言により、非人道なサイコ・ザクの運用を決断した。尚、サイコ・ザクの命名者でもある。
ダリルに苦渋の決断を迫った事に責任を感じており、彼の為にも母艦を沈ませまいと粘る。
だがその頑張りも虚しく、フルアーマー・ガンダムの強襲により艦橋ごと吹っ飛ばされた。
・J・J・セクストン
CV:土田大
研究員のひとり。カーラより研究者肌な気質がある。というかぶっちゃけ外道。
連邦の再攻撃に対抗するにはシステムを積んだ高機動型ザクしかないと判断し、完全に起動するためカーラにダリルの右腕の切断を促す。
空母が攻撃された際には保身を優先する本性を見せるようになり、カーラにもそれを見透かされた。
最終的には「自分以外の人間は死ね!」と本性を露わにし、他の人員を蹴り飛ばしながら脱出。
原作ではギャグっぽく描かれていたが、アニメだと負傷者の救護を引き受けたふりをして代わりに自分が負傷者用ポッドで逃げると畜生度が増している。
撃破されたMSを大量に回収し、搭乗者の死体を弔う謎の宇宙船に回収され……(後述)
[第二部での登場人物]
◆連邦サイド:強襲揚陸艦スパルタン
南洋同盟編でのイオが所属する連邦サイド。ホワイトベースに似たペガサス級強襲揚陸艦「スパルタン」が母艦。
連邦からの離反を目論み、裏でリユース・P・デバイス搭載MSの開発に着手した南洋同盟制圧作戦「サンダーボルト作戦」を遂行する。
・ビンセント・パイク
CV:
杉田智和
スパルタンの艦長であり、いかつい顔とポンパドールヘッドが特徴。
指揮官としては少々口調が乱暴だったり、相手の挑発に青筋を立てて威嚇するなど短気な面がある。
大学時代はアマチュア・ボクシングの全米大会で銀メダルを獲得しており、一瞬でMP4人をのした暴れるイオを一発KOした。
一方で艦内の戦死者の家族に自筆で弔事の手紙を書く等、繊細な面も持っている。
尚、喫煙者だが禁煙しており、戦死者が出た際だけ弔いの手紙を書きながら吸っている。
艦内に戦死覚悟で乗り込んできた南洋同盟僧兵を介したレヴァン・フウの意志を見抜いていた。
コメよりもパン、野菜よりも肉派。オペレーターのメグ・リームの姉と結婚したため、彼女とは義理の兄妹である。
ア・バオア・クー戦ではサラミス艦で無茶な地表すれすれ航行でガンダム・ヘッド部隊を送り届けていた。
死ぬ最期の一瞬まで艦長としての責務を全うした漢でもある。
・メグ・リーム
CV:佐藤利奈
スパルタンのブリッジクルーでオペレーター担当の女性。階級は曹長。
パイク艦長は亡父の上官で、姉と結婚したため義兄。そのためパイク艦長に堂々と意見できる数少ない一人。
タール島基地の作戦後、追撃部隊の司令官として特任大尉となった。
・モニカ・ハンフリー
CV:定岡小百合
スパルタンに「サンダーボルト作戦」参謀として乗艦している、温和で小柄な壮年の女性。
記録に残らない作戦の戦死者のために、鎮魂の香として自身秘蔵の高価で希少な線香を焚いていた。
他にも自身の所属していた施設の入所者の退所時に、お守りとして香を入れた飾りを渡す等、慈悲深い面を持つ。
一方、敵に回ったクローディアの戦意を削ぐという目的も含めてイオを招集するといった非情な面も持ち合わせる。
まず生きては帰れないような作戦であっても有効であれば実行するが、もちろん良心の呵責も抱えている。
一年戦争以前にとある研究施設に従事しており、そこではかつてのレヴァン・フウと親交があった。
後述のリリーにもマムと呼ばれ、レヴァンからも母と呼ばれて慕われている本来は善良で優しい人物。
ジョシュと大月という賭けの胴元付き人がいる。最期は息子をかばって…。
・ビアンカ・カーライル
CV:古川由利奈
第2部以降のヒロインで赤毛のポニーテールが特徴の勝気な女性パイロット。
第1部終盤でも登場しており、ア・バオア・クー戦でビグロ相手にただのジムで8機も墜としている。
特に超至近距離の格闘戦を得意とする。なのに与えられた機体がガンキャノン系とは
入隊前はプロミュージシャンという経歴を持ち、こう見えて一年戦争では数々の部隊を渡り歩いた歴戦の猛者である。
愛機はガンキャノン・アクアで、後に陸戦型に改装。セッションではボーカルとキーボード(ピアノ)担当。
全身にこれまで所属した部隊の部隊章をタトゥーとして刻んでいる。銭湯には入れなさそう
ちなみに全身タトゥーで埋まっており、トラスト部隊のエンブレムは唯一空いていた右尻に焼き入れた。
でも全員同じ位置に焼き入れるはずがイオの尻は間違えて左尻に焼き入れたが
明るい性格で社交性・協調性が高く面倒見がいい姐御肌で、スパルタンのMS部隊ではリーダー格を務める。
その一方で戦場ではイオに次ぎ非常に好戦的で血の気が多く、嬉々としてMSを駆る凄腕パイロット。
上記の経緯もあって大の音楽好きだったため早々にイオと意気投合し、互いの窮地を救い合い信頼を築き上げる。
確実な死地に赴く任務であっても普段の調子を崩さない肝の据わった女傑。裸を見せるのも気にしない。
南洋同盟がスパルタンに襲来した際はゲター(アニメではコルベット・ブースター)でイオの乗るジムをサポートした。
後に別の機体に乗り換えたイオの代わりに、宇宙用に改修したアトラスガンダムを駆る。
南洋同盟の捕虜になった際は、混乱に紛れて脱出する為に仕方がないとはいえ、自決用手榴弾で拘束具を爆破。
左腕を失いながらもMSデッキの整備工具で無理やり応急処置し、片腕でアトラスガンダムを動かした。
決着後はタイタンズに移り、アナハイムに作ってもらった義手を付けて艦長として戦場に戻る。
ヒロインだが終始イオといい感じになる事はなく、むしろ戦友であり親友であり相棒と呼べる関係となった。
・マーカス、オルフェ、デント
CV:花輪英司(マーカス)、滝知史(オルフェ)、田中英樹(デント)
第2部でスパルタン所属のガンダム・ヘッドに搭乗する下ネタ好きなベテランMSパイロットの三人組。
外伝によるとジオン軍がザクを投入し始めた頃、セイバーフィッシュ部隊での即席チームとして出会った。
デント(へこみ)は渾名で本名はデズモント・ディアス、ギャンブル好きで自称・ナタリア中尉ファンクラブ会長。
マーカス・ライトは本編劇中よりナンパな優男で上官にも軽口をきくお調子者だが、咄嗟に仲間を庇う人の良い男。
オルフェ・ジュマは厳つい見た目とは裏腹にフランクな性格で、ナタリア中尉を神聖視している。
生意気なイオとは犬猿の仲でよくケンカしており、仲間からも「三馬鹿トリオ」などと呼ばれている。
だがイオがクローディアの事で暴れ独房行きになった際は、何だかんだで貴重な休暇を使い見舞い品を持ち寄ってきていた。
後にアトラスガンダムのバックアップ(予備の武器弾薬を運搬)を行う「トラスト部隊」となる。
乗り込んだ揚陸艇が落とされたことで、アトラスガンダムと離れてしまう。
その後、合流したバークレーのゲターによって1機ずつ基地入り口のある地点まで運ばれ、オルフェとデントは合流に成功。
だが順番が最後になったマーカスは着地直前、ダリルのサイコ・ザクMk-Ⅱのヒートホークで胴体を両断され戦死した。
マーカスが欠けた穴は後にアリシアが加入する事で埋められ、新トラスト部隊として登場。
フルアーマーガンダム・ヘッドに搭乗し、量産型サイコ・ザクMk-Ⅱの撃破に貢献した。
NTに覚醒したビリーに撃墜されたが何だかんだで3人で戦場を生き残り、コア・ポッドに掴まって母艦に帰還した。
……が、着艦直前でダリルのパーフェクト・ガンダムの強襲によりビーハイヴⅡが爆発。
その際の破片がコア・ポッドの外枠に掴まっていたオルフェのヘルメットを直撃し、そのまま中空に放り出され行方不明となった。
デントは一人残された遣る瀬無さからコア・ポッドで哨戒に出て、それが反撃のきっかけとなる。
生き残ったデントは連邦に残り、ガン・バレットに搭乗してコンペイトウのMS隊に配属された。
・アリシア
CV:石原夏織
第1部でフルアーマーガンダムの弾避けの盾として同胞と共に出撃した学徒兵の少女。髪は茶髪で好物はチキンソテー。
ア・バオア・クー戦ではガンダムヘッド部隊に編入され、第2部ではスパルタン部隊に所属、スナイパーとしてジム改陸戦型で戦う。
恋人が弾避けの盾として目の前で戦死した経緯を持ち、コーネリアスがその存在に気付いた後はMS隊のマスコット的存在になる。
上記の事からイオを快く思っていない者の一人であり、内心では彼を軽蔑している。後にトラスト部隊の一員となる。
・クリード、ソニア
CV:中井和哉(クリード)、大西沙織(ソニア)
スパルタンのガンタンクコンビ。彼らも第1部で登場し、ガンダム・ヘッド部隊の後方支援をしていた。
強面のクリードは経験豊富な元戦車乗りで大尉、ソニアは中尉でクリードを尊敬している。ぬいぐるみが好き(クリードが)
機体操縦と腕部機関砲などはクリードが、肩の長距離低反動砲のガンナーをソニアが務める。
・バークレー
CV:乃村健次
厳つい男性で中尉、自称・時代遅れの飛行機乗り。第1部のア・バオア・クー攻防戦でGファイターでザクレロを撃破した。
第2部でもゲターやコア・ファイター隊を率いる航空戦力として活躍する。機体を大事にするタイプで部下や整備班にも慕われている。
こう見えて気安い性格で付き合いが良く、体調不良の部下の代わりに哨戒任務に出たりしている。好物はモルトウイスキー。
その腕前を買われたのか、第3部ではとんでもないものを運ばされる事になった。
・カロリーナ・クルコヴァ
水中用ボール501のパイロット女性で軍曹、スパルタンが海上を進む事になった際に海中哨戒任務にあたった。
ビアンカと仲が良かったが任務中に接近してきたカウフマンのゴッグに気付かず、背後からクローで握り潰され死亡した。
・リリー・シリェーナ、イース・シリェーナ
モニカの虎の子であり「セイレーンの魔女」とも呼ばれている双子の姉妹。
10代半ばの少女達で、リリーが姉でイースが妹。一応軍属で階級は一等准尉。髪の色は銀髪。
リリーは無表情で歳より落ち着いた印象で瞳の色が薄い銀色、イースはふわふわとした幼い印象で瞳の色が黒い。
連邦NT研究所での数少ない成功例と云われており、不安定だが非常に強力なニュータイプ能力を発揮する。
ただし力が使えるのは妹イースが目覚めている間だけであり、リリーだけでは微弱な能力しか使えない。
しかもイースは強化の副作用で、2時間置きに睡眠と覚醒を繰り返す。ちなみに能力行使はリリー、イースは電源や増幅器の役割。
2人が揃っていればリリーは他者との精神感応が行え、更に遠隔透視能力まで出来る。
それホントにNT能力…?
もっともレヴァン・フウ同様、「受信機」の資質を持った者でしか精神感応を受け取る事が出来ない。
イースは感応波で繋がった相手のダメージを肩代わりできる。
どうやってそうなるのか原理は謎だが、イオの体内に点滴で流し込まれた致死性の毒物を無効化。
その代償として自分がその毒を受けた症状を引き継ぐ
自己犠牲の形でイオの命を救うも、イース自身は命を落としてしまう。
助かったイオには奇跡的にイースの感応波の力が遺り、本当に大切な人を失う哀しみを知り、リリーと兄妹の契りを結んだ。
そのためイオとリリー、2人が揃っている状態であれば
サイコミュさえ操る事が可能となる。
尚、イースには「刻」も見えていたらしく、イオに「怪物の母」を止めて欲しいと願ったのはそれを予言していたからだった。
また「認識能力の拡大」の力に秀でており、ダリルの激しい怒りを察知した際は2時間強制睡眠を解除して叫び声をあげた。
人の心に干渉してしまう為、両親は彼女らを連れ各地を転々とする事で関心を引かないようにしていた。
だが彼女達が幼い頃に事故で両親が死に、施設を転々としているうちに周りも「能力」に気付き始める。
そして10歳の時に南米ジャブローの連邦軍本部へ送られ、薬物投与による人体実験の被検体となった。
イースが副作用で眠ってしまうのはそのせいだが、精神が幼いままなのは両親の死のショックにより心の成長が止まってしまったせい。
もともと遠隔透視能力は持っていたが、そこまで強力なものではなくイースと一緒にいると使う事ができた。
ちなみにテレパシーなどの本作のニュータイプ基本能力はどちらも使えていたらしい。
研究所が行ったのはニュータイプ能力の人為的向上であり、元々の能力を強化した結果と思われる。
なお、ガンダムシリーズでは度々強化人間への非道な扱いが描写される事が多い。
だがシェリーナ姉妹は悪戯が過ぎた時を除いて、比較的真っ当な扱いを受けることが出来ていた模様。
ただし最終的には能力を遮断する水槽の中のようなガラス張りの部屋に閉じ込められた。
「セイレーンの魔女」と呼ばれているのもそのせいで、リリーはイースの事を憎むようになってしまった。
イースがいなければリリー単体の能力は弱いのでバレる事なく普通に暮らせたはずと考え、運命を狂わされたと感じたそう。
だがイースの思い出はイオの中に受け継がれており、彼女が沢山楽しい思い出を持っていてその中にいつもリリーがいた事を明かした。
登場初期はやや不気味さを感じる顔つきで描かれていたが、話が進むにつれて年相応の可愛らしい表情を浮かべるようになる。
またレヴァン・フウの事は同じ施設の出身だからか「レヴァン兄さん」と呼び、モニカの事も「マム」と呼ぶがすぐモニカ参謀と言い直した。
2人は本作のNTの中では珍しい「認識能力の拡大」の力に秀でており、戦場での感情を読み取る事ができる他、人の本心も確認できる。
他にも悪意が存在しない背後に迫るデブリを直感で察知し避けたり、身近な人の生死も感じ取る事ができる。
ちなみに年頃の少女だが育ってきた環境のせいもあってか、リリーは割りと裸に無頓着な面がある。
イオの影響もあってか、イースを感じる事ができ自由なMSの事は気に入っており、ジャズも好きになった。
◆連邦サイド:その他
・ネルソン
ペカンバル基地の司令官。自らミデア輸送部隊の隊長もしており、隙あらば偉人の名言を口にする癖がある。
実は第1部最後のア・バオア・クー戦でも登場し、コアブースターでボール中隊を率いて戦っていた。
部下の三白眼の女性兵士と太っちょ泣き虫な男性兵士はその頃からの付き合いで、その後もセットで登場する。
ミデアでスパルタンへの新型機「アトラスガンダム」輸送任務を行う。
パイク艦長に「長寿と繁栄を」とスタートレックのバルカン式挨拶をしていた。
◆ジオンサイド:D・L小隊
南洋同盟編でのダリルが率いるジオンサイド。
同盟に渡ったリユース・P・デバイスと、同盟に与したJ・J・セクストンの回収を目的とした部隊。
D・Lは整備班達から贈られた名前で「Daryl Lorenz」と「Dead Living」のダブルミーニング。
整備班はじめダリルに救われ慕う者達を中心に集まっており、彼の為ならば地獄にも付き合うつもりらしい。
私利私欲に走り美術品接収を目論んだ上層部に誤情報を送られるなど、苦しい状況での作戦を強いられる。
・ペトロ・ガルシア
CV:青山穣
ジオン軍諜報部に所属しており、南洋同盟に潜入しての情報収集を担当していた情報屋。胡散臭い髭と帽子が特徴。
ダリル小隊に回収されて以降は行動を共にしており、上層部の情報が信用できなくなってからは独自に情報収集を始める。
偽装や変装はお手の物。ちなみにMSのパイロットではない為、操縦は苦手。
冴えないオッサンといった風貌だが、ギレン・ザビに心酔しており南洋に合流後もその気持ちは変わらないなどクソやべー奴
最終的には、ビリー同様に暴力で世界を変革する事の限界を悟る。
・ビリー・ヒッカム
CV:
逢坂良太
ダリル小隊の一員であり、ダリルに対し一種の憧憬を持つ隊員。前髪でよく片目が隠れている。喫煙者で好き嫌いが多くタマネギが苦手。
一年戦争の折に
ニュータイプの可能性有りと判断され、
サイコミュ試験用ザクに搭乗したことがある。
しかし結局ニュータイプではないと判断され、この経験から本物のニュータイプを見てみたいという願いを持つようになった。
そして両手足全てが義肢であるにもかかわらず高い戦果を挙げたダリルこそがニュータイプではないかと考え、彼を全力でサポートする。
なお、サイコミュ実験部隊にいたためか感覚が鋭く、視界外からの攻撃などにも鋭敏に反応でき、MSに乗っていなくても避けられる。
中立コロニーに難民船を届ける際には、カスタムしたとはいえザニー一機でベテランの乗るジムカスタム部隊を相手に守り切った。
後にニュータイプ(強化人間)として、改めてサイコミュ高機動試験用ザクでサイコミュ兵器を操る。
終盤に想定外のタイミングで発射されたソーラ・レイを間近で直視してしまい…。
ちなみにアニメ版では一年戦争末期でサイコミュ兵器を扱っていたり、敵機を予見するような描写が存在する。
・セバスチャン・モース
CV:上田耀司
ダリル小隊の一員で中東系のヒゲの色黒。ビリーの部下であるが、彼のお目付け役とも保護者ともいうような立ち位置。
サイコミュ試験型ザクを駆るビリーの戦いを見たことで、素質無しと判断された後も彼をニュータイプと信じて従う。
その反面、ダリルに対し良い印象を持っておらず、彼に対してはずけずけと嫌味を口にする。
「サイコ・ザクに乗れるならジオンも裏切るんじゃないか」など割とシャレにならない質問をしたりするが、ビリーの指示に従い補佐する。
こんな事を言いながら、カウフマンの謀反の危険な勧誘を受けた際は真っ先にジオンを裏切った
なお、好物はミルワームを揚げた物だが、これで興味を持って検索なんかするとグロ画像を見る可能性があるので注意。
後に本当のニュータイプの力を垣間見たことで考えを改める。ちなみに大戦前は大学で教鞭をとっていた。
・ジャニス・ハラウェイ
CV:
Lynn
南洋同盟の水上都市リグへの潜入作戦時に加わったジオン兵。階級は曹長。感傷的なリアリスト。
最初は全肢が義肢な上に南洋同盟の前で目立つなどヘマをしたダリルに呆れていたものの、彼の来歴を知った際には驚いた表情を浮かべていた。
ビリーにラッキースケベされてしまい、彼(と読者)にヌードを見せる羽目に(原因はフィッシャーだが)。
表情豊かですぐ顔に出るタイプだがラッキースケベの際は動じず、睨みながらビリーにバケツを投げ付けた。
第1部から第2部にかけても登場しており、1部ではガレに取り残された兵士の一人、2部冒頭ではパトロール機ルッグンに搭乗していた。
外伝ではセイレーン艦隊の斥候部隊チームβに所属し、強行偵察型ザクに乗っている。ちなみに地上用MSはリグで初めて触れた(アッガイだけど)
最終的には何だかんだでビリーとくっついた。戦後はNTの子供達の隠れ家兼学校を作ろうと計画中。
・ヨハン・ガレ
D・L小隊の指揮官でジオン残党軍の腐敗を象徴するチビ・ハゲ・デブなオッサン。
ア・バオア・クー防衛戦では基地内で防衛隊を指揮していたが敵前逃亡した為、中佐に降格されダリル達の上官となった。
その後も自分のコレクションと財産にすべく嘘の情報で寺院を襲撃、そこにある美術品を盗むという悪行を繰り返した。
全てをダリル達に尻を拭かせ、自身は部隊拠点を兼ねたモビルフォートレス「ゾック」で愛人と乳繰り合っている。
後にガンダムを宛てられた上にダリルの造反により半ば脱走兵となってしまうが、戦場商人として再出発し金儲けを企む。
基本的に守銭奴のろくでなしだが意外な事に優れたハッキング技術を持ち、これ一本で将軍までのし上がってきたらしい。
堅牢なルナツーのシステムに侵入し、将軍特権のジオン公国ゴールドパスでブラウ・ブロを目覚めさせた。
また面倒見は良く義理堅く、側近の老士官と愛人とは常に進退を共にしており、商売に成功した後も儲けを分け与えている。
更にダリルがリグで失った義手を金に糸目は付けず買い戻し、ペトロにくれてやるという粋な事もした。
◆ジオンサイド:その他
・クライバー
第1部のア・バオア・クー防衛戦で登場したセイレーン機動艦隊の司令。階級は大佐。
リビング・デッド師団の苦境を知り、その報忠の精神を称賛し艦隊を率いてサンダーボルト宙域に急行した。
その際にサイコ・ザクとの交戦で半壊状態のFAガンダムを鹵獲したが、攻防戦で母艦を撃沈されてしまう。
第2部でも登場し、ジオン残党軍を指揮する将軍としてRPD奪取作戦を取り仕切る。
だが多量の宇宙放射線被曝を受けており、具合が悪くたびたび吐血する姿を見せた。
余命が長くない事を悟っており、ジオン再興に執念を燃やす。しかし……。
・グレゴリー・ロマーノフ伍長、フリオ・サワディー伍長
リビング・デッド師団が壊滅して行き場を失った可哀想なコムサイ特攻隊員達。アトラスガンダムに撃破される。
出撃直前は他人の目があったからか比較的和やかな空気だったが、特攻の時には泣きながら恨み節を吐き散らしていた。
特攻に際して勲章(ジオン流星勲章)は授与されたものの、そもそも残党のため勲章なんぞ無意味。
その上に特攻に選ばれた理由が身も蓋もない言い方をすれば口減らしであるため、余りにも不憫である……。
「クソッタレの上官め!!軍人共はみんな地獄に堕ちろぉ!!」「ジオンも連邦も滅びちまえぇ!!」
ちなみに命じたオッペン大尉とマニング少尉もその後結局艦を落とされた。良かったね!
・ケイト・ヨン
ジャニスの同僚の女性で、2部冒頭では共にパトロール機ルッグンに搭乗していた。階級は曹長。
外伝「死ぬにはいい日だ」ではセイレーン艦隊の斥候部隊チームβに所属、ザク・フリッパーに乗っている。
ジャニスと比して思想先行型で無茶を言うことが多く、サイコ・ザクの戦いに感動していた。
後に諜報部に異動したが、戦闘で重傷を負い自爆した。
◆第三勢力サイド:南洋同盟
第2部の地球編から本格的に登場する、ジオンとも連邦とも違う第三勢力。
元は連邦に属した「南洋宗」という仏教系の宗教を信仰する信徒・僧侶からなる自治権を持った集団。
戦後に連邦からの分離独立を掲げ、とある目的を遂げるため仏教を国教とした独立宗教国家となった。
・レヴァン・フウ
CV:井坂瞳(幼少期)
南洋同盟の指導者で、元は連邦軍の依頼でMSの残骸の回収及び死者の供養を行っていた僧侶。恐らく27~28歳。
偶然リユース・P・デバイスの技術を手に入れたことにより同盟の決起を行う。
兵士達からは「僧正」と呼ばれ、絶大なカリスマで同盟を掌握している。
その正体は一年戦争でジオン・ズム・ダイクンが提唱する以前より密かに連邦が研究していた「宇宙に進出したことで変革した人類」。
すなわち
ニュータイプであり、同時にクローン人間でもある。但し、オリジナルは不明であり、義理の養父母のもとで12歳まで育てられた。
12歳で元々生まれながらのニュータイプと判断され、強化実験を行っていたNT研究施設により実験体となった子供の一人であった。
ただしクローンというデザイナー・ベイビーだが、誰が何の為に造ったのか、スペースノイドかアースノイドかすら判然としない。
施設にいた頃はモニカと親交があり、彼女の研究に協力していたものの、度重なる実験が原因で脳に致命的なダメージを負ってしまう。
余命一年が過ぎたのも踏まえて逆算すると、この時のレヴァンは28歳である。当然だがオリジナルがいるのであれば、それより前の生まれだろう。
U.C.0079年が一年戦争勃発、劇中では戦後で0080年、28年差し引くとU.C.0052年…正史では、
ジオン・ズム・ダイクンがサイド3に渡り、自らのコントリズムを理論の実践開始した年である。
ジオン共和国として独立したのは0058年なので、この時にはまだニュータイプという言葉もなく思想・哲学レベルで、連邦は研究していないと公式資料にある。
更にジオンのフラナガン機関が設立されたのは一年戦争開戦直後の0079年6月で、フラナガン博士が脳波を増幅させる装置「サイコミュ」を完成させたのは設立後。
よって、正史では未だニュータイプという存在は影も形もなかった時代であり、兵器転用しようにもサイコミュもそれを動かすニュータイプも未確認だったのである。
だがサンダーボルト世界では、先駆けて地球連邦とアナハイム社が
宇宙移民が人類に与える影響に注目し、レヴァン・フウのクローニング等の研究をしていた事になる。
唯一この時期にNTに関連する事柄ととして、
ラプラスの箱にある「地球圏外の生物学的な緊急事態に備え、地球連邦は研究と準備を拡充するものとする。」という条文がある。
だがここには同時に「将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者達を優先的に政治運営に参画させることとする。」という記述がある。
このため連邦政府にとって都合が悪い故に封印されてきた経緯があり、クローニングや人体実験という非人道的行為まで平然と横行したこの研究施設自体、正史を基準に考えると成立過程が不可解である。
なぜなら、時系列的に正史では条文の抹消のためのテロが行われた後で、本作では
宇宙に適応した新人類の発生を認め、実際にそれら新人種の素養を持つと思われる者を対象とした研究が行われていたからだ。
しかも条文に則れば、新人類を生み出してしまったら彼らに連邦政府を預けなければいけなくなってしまう。それを連邦政府主導の研究施設が行うだろうか?
ましてや非人道的な実験を繰り返して生み出されたとすれば、彼らからの粛清を受ける事はまず間違いない。
これらの事柄に対してアンディ・ウェリントンが終盤で語ったところによると、
「ニュータイプは人類の可能性に満ちた希望の分野」だったという。
その為にジオンとフラナガン機関が行ったランバートたちへの所業と、それに辿り着いた人類の愚かさに絶望したのである。
つまり本作ではニュータイプという概念について、研究の出発点は少なくとも軍事利用などは想定外の善意や希望に基づいたものであったと考えられるのだ。
この考えは奇しくも、
リディ・マーセナスが前述の条文に対して「呪いではなく祈りだった。」と述べた私見に一致している。
ニュータイプ研究で先行するはずの連邦が、連邦から秘密裏に転売されたクローンに頼っていたジオンに、サイコミュ開発で負けていた事もこれを裏付けると思われる。
とはいえ実際の研究所では人体実験を伴うなど歪んだ形で犠牲を強いり、ニュータイプのクローンを生み出していたのも事実であり、それがレヴァンを凶行に走らせた。
だがモニカがいくら権限を持っていたとしても、レヴァンから人道に反する実験を政府主導で行っていたとバレる可能性を見過ごしたとも思えない。
そして彼の後に研究所に入ったイースとリリーにはクローンもなく、投薬や調整はあれど比較的人道的な扱いを受けているのが分かる。
盗み出されたランバート達や売られたレヴァンクローンの事も鑑みると、恐らくこの頃に後のフラナガン機関の関係者が研究所内部にいたのだろう。
サンダーボルト自体が正史とはパラレルワールドだという前提だが、本作の世界線では過去に何があったのだろうか…。
その頃から南洋宗を信仰し始め、余命一年を宣告されたところで終末医療を拒否し施設を退去。
一年戦争終結後、南洋同盟の一員として掃海任務に従事しデブリ回収と戦没者の慰霊をしていたところで、漂流していたセクストンを回収。
なお、入信した目的は戦死者の慰霊を通じて実験動物のように扱われた事に対する憎悪を鎮め、安らかな最期を迎えたいという純粋なもの。
セクストンとリユース・P・デバイスを偶然回収してしまった事は、彼の命を救う事にはなったものの本当に不幸な偶然であった。
そして、偶然手に入れたリユース・P・デバイスとサイコミュ技術により生き永らえ、アナハイムこそが諸悪の根源であるとし今回の独立蜂起を決行した。
復讐の為に暴力を手段として信者を利用して世界を変革しようとし、自分の中の憎悪の存在も認めているなどテロリストには間違いない。
だがその一方で、不本意な虐殺は自分達の正道から外れる(大義が崩れる)事を恐れ、計画の破綻を承知で量産型サイコ・ザクMk-Ⅱを自爆させた。
その際に電撃で殺されたパイロット達の遺体を供養できず、戦火で消し飛ばす選択をした事に涙を流している。
僧正の地位に相応しい行者としての側面を捨て、憎悪に塗れた悪逆非道のテロリストにはなりきれなかったのである。
感応能力を応用して集まった信者らにテレパシーで心に声を聴かせる、一部の者は刻の間へ招くなどの奇蹟を演出することで同盟を掌握している。
また「憑代」「受信機」と呼ばれる感応波を受信できる人間を介する事で、素養のない者にもイメージを送り声や映像を見せることができる。
これにより
ブレインジャックをする事で
偽の情報を流し、レーダーも監視モニターも欺く事が可能である。
しかも描写から察するに、リアルタイムにカメラが撮影した映像すら書き換えられる。
更に素養のない人間であっても感応波によって心を読まれてしまう為、実質彼相手にはスパイする事も不可能と言える。
ただし、その人物が過去体験した記憶も読み取れる一方で、最終的に信頼するかどうかは僧正自身の判断に委ねられている。
また感応波は相手に強烈な頭痛を与え、「脳に虫の大群が這い回ったような感覚」「争いを憎むレヴァン・フウの意思をはっきりと感じる」らしい。
記憶を操作できるともいわれており、ダリルはその力でカーラを元に戻す為にジオンを裏切った。
ある種の未来予知もできるらしく、劇中ではたびたびそのヴィジョンを見せて導いているのだが…?。
???「僧正…あなた…『刻』が見えると言ったのは嘘ね…」
カーラに体のコントロールを奪われ追い詰められた際に、初めて「君に脳治療を託すところまでしか刻は見えなかった」と告白している為、実は裏切りまでの刻は見えていなかった模様。
大義を成就する刻が見えると語っていたのは若干不正確であり、より正確には大義成就の一歩手前までしか見えておらず、意図的に正確な事は伝えていなかった。
本人曰く「ニュータイプは万能ではない」「予見した『刻』の断片を繋ぎ、その流れに沿って事を勧めた」らしい。
しかし、記憶を消せるはずなのに研究データを奪取する際に研究員と警備を殺害させ、信者達に対する方便としての能力の発露、見えていたなら防げたはずの被害を敢えて回避しなかったと思われる描写もある。
人類を平穏な刻へ導くことを優先し刻の変化を最小限に抑えるためにあえて不利を被るなど、彼には聖者として一種の欺瞞的な振る舞いがあったことやアジテーター(扇動者)としての側面も含まれていたことは決して否定できない。
クローディアの最期に関しても最優先目標はダリルの覚醒であり、その起爆剤としてあえて介入せずダリルにそれを見せたのも覚醒という刻が分岐するのを避ける為だと思われる。
もっとも、クローディア自身はダリルたちを戦争に引き込んだ自分の罪を自覚しており、タール火山での決戦が始まる前にはグェン・サップ・ハニガ総代に、ダリルとイオの闘いと自分の運命が不可避ならば、その宿命を見届けるという趣旨のセリフがあり、最期は理解していたと思われる。
劇中の能力描写では、タール火山基地ではイオの行動を先読みしてクローディアにリアルタイムで指示を出す、ダリルのNT覚醒を予期するなど重要局面では、断片を繋ぎつつではあるが予見を通して常に有利に立ち回っていた。
「リグ」においてスパルタン襲来を刻の間で感知した際には「予見より早かった」と予知との僅かなズレを漏らすなど、彼が後に語った「刻の流れは悪戯に分岐する」という告白と合致する描写が見られる。
ただし、スパルタンの件はそもそも南洋同盟の内通者がスパルタン内部におり、ダリルへの分かりやすいパフォーマンスだった可能性も否定できない。
また、彼が見せていたアナハイムの様子は実際と食い違っているが、このシーンは確実な未来予知の映像ではなく「マイトレーヤ作戦」のイメージをダリルに伝えたものであり、あくまで彼の予想に過ぎないと思われる。
MS製造ラインが旧来のMSなのはグリプス期MSの正史より早いチラ見せを、後々の展開の伏線やサプライズとして伏せていた可能性が考えられ、メタ的な事情も関わっていると思われる。
もっとも、恣意的な内容のイメージを見せた可能性も捨てきれないのだが話の要点としては、「アナハイムは死の商人として武器を売り続ける」であり、MSの機種はさほど問題ではない。
アハイムの切り札(偽)のミニ・コロニーレーザーの存在はガルシアの潜入により判明するなどの描写からも、能力は万能でなく限界があることもきちんと描写されている。
なお、遺伝的に同一のカリストは僧正の予見より先のカーラの裏切りまで見えていたため、予知能力がない訳ではないと思われる。
また、本人の談では刻を見始めたのは、掃海作業でリユース・P・デバイスを回収して以降であるとのこと。それまでは、天寿を全うするつもりであったとみられる。
このようにガンダムシリーズでも珍しい、
人心掌握のためにニュータイプの感応能力をフル活用している人物でもある。
しかも能力の行使範囲と有効範囲がデタラメに広く、もはや
ニュータイプの感応波で説明がつくのか微妙な存在。
飛んでくるミサイルに何かしら感応波を送って爆発させないようにするという芸当まで見せている。
凄惨な一年戦争を目撃した彼がそこに見出したのは「人類の革新」ではなく「人類の限界」だった。
しかし、
ララァ・スンと同様に「刻」が見えるらしく、「人類を穏やかな刻(未来)」に導くために「刻」の流れをその方向へ変える船の漕ぎ手として行動を開始。
ダリルには連邦に任せたままでは破滅するだけの人類を導き救おうと、南洋同盟による決起を起こしたと語っていた。
彼が悟った人類の限界にはティターンズの発生やマン・ハンターの横暴を予期したようなフシも見られた。
誰が言ったか一部ファンからの愛称は
「サイコブッダ」。
実は彼自身がクローンではあるのだが、他にも彼と同じタイプのクローンが何人か存在した事が発覚。
それらは誕生から間もなくジオン側にも秘密裏に転売されており、その事をモニカは知らなかった。
ニュータイプ専用兵器の開発を急ぐジオンは操縦者と機械を繋ぐコネクターとして、レヴァン・フウ型クローンを利用。
能力の発芽が弱い個体は破棄されるか、有効活用する為に頭部だけを切除されサイコミュ兵器に「搭載」された。
これこそがフラナガン機関が作り上げた狂気の産物、サイコミュ兵器の「ブラックボックス」の中身であった。
パーフェクト・ジオングにも勿論搭載されており、発想はRPDと同じだと戦慄させた。
なお、作中では一貫して「レヴァン・フウ型クローン」と呼ばれるのだが、レヴァン・フウ(オリジナル)のことを指すのかレヴァン・フウ(僧正)のことを指すのかは判然としない。
なお且つ、レヴァン・フウの名前自体もオリジナルも同じであるのかは不明である。
カリスト自身に関しては実際の頭部の大きさが成人男性であり、僧正との年齢差は然程ない為に意図的な成長促進などの手が加えられていなければ、オリジナルが元である可能性が高いと思われる。
しかし、いかんせん僧正の時点でクローンでありながら外部から招聘されているために、連邦がどうやってオリジナルとコンタクトを取れたのかは謎である。
脳へのダメージにもかかわらず存命している理由は、リユース・P・デバイスとナノマシン・ビットによるもの。
自身の脳にナノマシンを埋め込み、リユース・P・デバイスとニュータイプ能力で常時腫瘍の進行を抑えている。
要はサイコミュにより自身の脳内を常時操作して腫瘍から守っており、その影響から話すことはおろか、眠ることさえもできない。
半ばナノマシンと一体化した脳はリユース・P・デバイスにより外部からの操作も可能で、NTでなくとも彼のニュータイプ能力を借りて操れる。
ただし誰でも簡単にというわけにはいかず、開発者レベルに習熟した優秀な技術者でなければ制御できない。
ちなみにこのナノマシンは、掃海艇が回収した
エルメスの
ビットの残骸から得られたサイコミュ・デバイスの技術を解析して造り上げた。
遙か未来では
食人と
文明埋葬という「人類の限界」を乗り越えて、アナハイム・エレクトロニクス社が影も形もない平和な時代を迎えた宇宙世紀作品があり…?
彼の名前の英語表記はLEVAN・FUUなのだが、実はLevant(er)とは地中海に吹く風の名前であるのだ。
ガンダムで地中海の風というと、Scirocco(シロッコ)に由来するパプテマス・シロッコがいる。
そしてブッダ的に描かれた僧正とは対照的に、本作に登場した彼の後ろ姿はヘアバンドがキリストの茨の冠のように描かれている。
加えて、シロッコには初期案で実の母の顔を知らないデザイナー・ベイビーであることを匂わせるものがある。
実の母の顔を知らないのは僧正も共通であるのだが、これは一体…?
・J・J・セクストン
CV:土田大
11日間もの間、脱出ポッドで宇宙漂流していたところを南洋同盟の掃海艇に回収され、何とか助かった。
しかし自撮りで機密をベラベラと説明している記録を見られ、レヴァンにリユース・P・デバイスの存在を教えてしまう。
その後は南洋同盟でRPDの再現を行おうとしており、サイコ・ザクMk-Ⅱの素体フレームを組み上げた。
宇宙漂流の後遺症で独り言が止まらなくなり、思ったままを話し続けるなど異様なほど多弁となっている。
元の性格が性格なので非常に顰蹙を買っているが、その能力の貴重さ故に周囲は黙っているという状況。たまにお仕置きされる。
第3部では多弁症ながら、むしろカーラよりまともな感覚の技術者として色んな異常さに驚愕していた。
マイトレーヤ作戦後も生き残り、レヴァン教の科学部顧問に収まって勧誘されてきた学者・技術者の受け入れを行っている。
・クローディア・ペール
グラハムに撃たれ、そのまま宇宙空間に放り出され連邦に戦死者扱いされていたが、南洋同盟の掃海艇に回収・救助されて生存していた。
詳しい経緯は不明なものの、命を救われたことや連邦士官時の重圧・罪悪感などから宗教に走ってしまった模様。
経歴や信心深さから南洋同盟軍の司令官に取り立てられており、部下達からは「比丘尼様」と呼ばれるほど敬意を集めている。
彼女自身もレヴァンを「運命の人」と呼んで心酔しており、彼女の参入により脆弱だった同盟の軍事力は一気に強化されることとなった。
「憑代」と呼ばれるレヴァンの「受信機」の一人であり、彼女を介してレヴァンは遠く離れた相手にもニュータイプの力を行使出来る。
同盟領域に近づいたスパルタンを襲撃した後、水上都市リグへ傷痍軍人達の勧誘に訪れ、潜入調査中に人混みで転んだダリルに手を差し伸べた。
翌晩、兵士を引き連れリグのスラム集落を巡り傷痍軍人のスカウトを行っていたところ、ダリル達のアジトと知らずに訪れる。
そしてレヴァンの感応波により、ダリルがかつてサイコ・ザクで自分の仲間達を殺し母艦を沈めた張本人であると知ってしまう。
思わず互いに銃を構えるが、レヴァンの遠隔金縛りで全員の動きが止まり、ダリルを南洋同盟に引き入れるよう命を受けた。
しかしビリーがアッガイでダリル達を助けに入り気を失い、更にスパルタンの強襲でリグ全体が混乱に陥った事で、そのままジオン残党軍の捕虜となる。
だがレヴァンの同盟勧誘に揺れるダリルの心の支えとなる事で彼を誘導、更に残党軍内の南洋宗シンパによるクーデターでダリル達を引き連れて脱出。
その後南洋同盟の本拠地であるタール火山基地に帰還し、量産型サイコ・ザクMk-Ⅱを宇宙に打ち上げる為に指揮を取る。
スパルタンとの戦闘では危険を顧みず基地に残り、後にドニーと共にザクタンクに乗ってダリルを援護する。
だが襲撃で腹部に重傷を負っており、彼女が乗っている事に気付くのに一瞬遅れたイオのビームサーベルで蒸発した。
尚、そうなる事は承知の上で彼女は行動したとレヴァンは言っていたが実際に、第2部終盤で僧正からテレパシーを受け取る際には何かを覚悟する表情も見られた。
・チャウ・ミン
CV:
高橋李依
南洋同盟兵士の一人であり、レヴァンやクローディアに対し人一倍尊敬の念を持って付き従う少年兵。
グフ・フロートタイプを自在に操り、高速で移動している状態の相手に海ヘビを絡みつかせる等、高い操縦技術を持つ。
後にダリルと共に元ジオン残党軍の3人組と一緒に行動するようになる。
・ハリク・ワッタイ
リグの総代を務める住職。スパルタン強襲後に逮捕され、拷問を受けていたが自白剤でも口を割らなかった。
だがレヴァン・フウからの感応波で指示を受け、タール火山基地の位置を自白した。エピローグでも南洋宗の代表者として登場。
・ドニー・ラウ
タール基地の僧兵の一人で、元ジオン兵。アフリカ戦線で戦車長を務めたらしく、ザクタンクを駆る。
口の過ぎる調子に乗ったセクストンにお仕置きしたりもする。
・フィリップ・カウフマン
CV:
黒田崇矢
ジオン軍K631潜水艦に搭乗し、専用ゴッグを駆るパイロット。シーホース部隊の隊長で少佐。
ようやく授かった生後6ヵ月の我が子を一年戦争の空襲で亡くし、瓦礫の下から妻と掘り出したという壮絶な過去がある。
そのせいでアルコール中毒者となっており、連邦を深く憎んでいる。戦う前にはアルコール分解処置で戦場に臨む。
凄惨な過去から南洋同盟の信者となっており、腕には南洋同盟のマークの入れ墨をしている。
また子供の遺灰をカプセルに入れ、数珠と共にお守りとして持ち歩いている。これは後にカーラに託された。
第3部では火山から共に逃れてきた難民船を受け入れてくれる中立コロニーを求め、連邦の追撃を躱す為に奔走する。
ダリルの助けでマイトレーヤ作戦に参加し、ペズン・ドワッジでサイコ・ザク軍団と共にトラスト部隊と交戦。
ビアンカとは2回真っ向勝負しており、どちらも彼女を追い詰めるも、その超接近戦こそが彼女の必殺の間合いであったが為に敗北した。
その後「刻の間」に繋がった描写を最後に、ソーラ・レイが発射されて戦場から姿を消した。
だが生き残っておりレヴァン・フウ亡き後、僧正を祀った「レヴァン教」を起こし法主と呼ばれる指導者となった。
・ブル中尉
CV:松田健一郎
カウフマンと同じくK631潜水艦に搭乗しており、彼の窮地にグラブロで出撃したものの、イオの操縦するアトラスガンダムに撃破される。
彼とグラブロはイオの目の前で深海の水圧により潰され、丸い鉄塊と化して海底へ沈んでいった。
野球が好きで息子がいたらしいが恐らく亡くしている。実は南洋同盟の信者であり、私室内に同盟の仏壇を設置している。
・ビビ・ベンソン
海上都市リグで娼婦をしていた女性で元ジオン軍の傷痍軍人。かつては高速潜水艇を駆っていたが、現在は四肢両手足が義手義足。
非常に優秀だが両足が不自由な息子・アレックスがおり、スパルタン強襲の際にフィッシャーと共に南洋同盟に保護された。
その後、量産型サイコ・ザクMk-ⅡのパイロットとしてMS部隊「ベンソンファミリー」を率いる。
フィッシャーとは結婚したらしく、旦那を尻に敷いていると言われていた。
第3部ではよりにもよってパーフェクト・ジオングの最初の相手となるが、量産型サイコ・ザクMk-Ⅱと歴戦の操縦技術で追い詰めた。
・ハンク、ボリス、マシュー、エイプリル
上記ビビと同様にレヴァン・フウの呼び掛けに反応し、同じ脱出艇でリグを脱出してきた民間人や傷痍軍人達。
ハンクにはエミリーという小学生ぐらいの献身的な娘がおり、マシューは妻と4人もの幼い子供を抱える心優しい父親。
エイプリルは自嘲気味の売春婦で、老齢の母を持つボリスは助けてくれたエイプリルに惚れている。
脱出後はパイロットとして、上記のビビの率いるMS部隊ベンソンファミリーとしてガルバディαに乗って戦う。
それぞれ普通に生身の部分もあったが、後に切断し量産型サイコ・ザクMk-Ⅱのパイロットとなった。
後に「刻の間」での自己紹介で「ボリス・エンケン」、「マシュー・メディク」という名前が明らかになった。
ちなみに第3部ではフィッシャー、ボリス、マシューの三人によるまさかのジェットストリームアタックが登場する。
・キム・ラウ
ビビ達を迎えに来た南洋宗の僧侶。景気づけにお経を聴くタイプ。こう見えてマイトレーヤ作戦では一部作戦指揮を任されている。
・コーネリアス・カカ
スパルタン艦内で度々南洋同盟のスパイらしき動きを見せる、帽子を被ったシルエットの人物。手の甲に南洋同盟の入れ墨をしているが普段は隠している。
かつて目の前で自爆しようとする敵軍兵士らを必死に説得するも、分かり合えそうになった次の瞬間、味方の攻撃でその兵士らがビームで蒸発。
更にそれを見た敵軍の女性兵が叫びながら精神崩壊するのを見て心に深い傷を負い、救いを求め南洋同盟に入信した。
後に偶然が重なりスパイである事がバレ、自分も死ぬ決意で廃人状態のイオに毒を流し込むが…。
ちなみに同性愛者であり、イオの事が好きだったが隠していた。最後に別れのキスをしている。
イオがビアンカやクローディアなどと仲良くした際に苛立ってたのは、彼女達に嫉妬していたからだった。
彼に銃口を向けられた際は驚いていたが、最期は一緒に死ぬ事ができなかったからかただ寂し気に見つめていた。
[第三部での登場人物]
◆連邦サイド
・サム・シェパード
連邦軍中尉でブルGの試験パイロット。ビアンカとは嘗ての戦友。ニックとホリーという直属の部下がいる。
非常に女好きで隙あらば部下で自分の部隊の女性パイロットを抱いており、ビアンカも再会して即口付けをした。
だがこう見えて腕前は本物で、ルナツーに侵入したダリルの乗るパーフェクト・ガンダムと互角以上に渡り合った。
でもスナイパーとしての腕は三流
かつて双方投入戦力の半数以上を喪う大激戦となったア・バオア・クー戦線にも参加。
それもアムロとシャアと思われる二人が死闘を繰り広げているのを間近で見るほどの最前線にいながら生存した。
・ビョーク・リーチ
ペガサス級新造艦「タイコンデロガ」の艦長で厳つい顔の黒人男性。
宇宙服も制服も着用せず真っ黒なシャツとパンツ姿で、スキンヘッドの頭に縦方向に5本の入れ墨をしているという個性的すぎる出で立ち。
性格は冷静沈着且つ、難民船であろうとテロリストの疑いがあれば容赦なく撃墜するという生粋の軍人。
ビンセント艦長とは同期の仲間であり、メグとも面識がある。プライべートではなかなかはっちゃけた姿もみせる。
・ボルコフ大尉、バーバラ中尉
タイコンデロガ所属のベテランMSパイロットで、ビョークやビンセントとも同期で親交がある。
ボルコフ大尉は心配性のオッサンでバーバラ中尉はデカくて豪快な女傑、ジム・カスタムが乗機。
またバーバラはコクピットでよく何かを食べており、色んな事を食事に例えて言ったりする。
・エドワード・ボーマン提督
ルナツーの司令官。何でもかんでもガンダム顔にする事について怒っていた。実は第1部でもチラッと登場している。
ダリルにブラウ・ブロを奪われたため、ルナツー全域での無制限武器使用許可を発令。
軍上層部へニュータイプとダリルの危険性について熱弁するが…。
他の上層部と比較すると現場に赴き不備を指摘し、危機感の無さに嘆くなど有能な人物である。
・フィッツ・マクレガー大将
コンペイトウの司令官で老齢のマッカーサーみたいな男性。かつてのコロニー落としにより母と娘を失っている。
しかも最悪な事に、娘は母(娘から見れば祖母)の在住するオーストラリアの大学に進学したばかりであり、
進学を許したことを後悔しているのか、娘からの最後のビデオメッセージを聞きながら仮眠を取るという場面も。
それ故にジオンを深く憎んでおり、マイトレーヤ作戦時には助けを乞うジオン共和国を痛烈に批判。
連邦軍にもアナハイムのお先棒を担ぐ存在に成り下がったのかと非難し、軍人が血を流す価値があるのかと答えた。
そしてジオンに危険が及ぶのを承知で、ソーラ・レイで先に敵を焼き払えば良いと提案。
更に連邦議会の結論を待たず特殊部隊を向かわせ、ソーラ・レイの封印を解除してしまった。
・ダニエル・ノックス元帥
ジャブローでのオンライン会議で議場を務めた連邦最高幹部。
エピローグでも登場し、南洋同盟とレヴァン教の信者達の活動を危惧している。
・アーネスト・ケリー
連邦政府内務省副長官であり、フレミング・インダストリー幹部でもある。クリードの元妻・サマンサと結婚した。
実は戦後にスパルタン隊との関りと監視の為にクリードに配属命令を受けるよう依頼していた。
・ケネス艦長
コンペイトウ艦隊の女性艦長。旗艦ドミニオンで指揮を執る。突撃してくるビグザムに衛星ミサイルを発射した。
・サヘル技師長
・カリスト
とある場所に隠れていたニュータイプのクローン。名前はイオが自身の名前の由来である衛星繋がりで名付けた。
パーフェクト・ジオングを駆る3人目の仲間として協力する。誰かさんと違って結構表情豊か。
しかし言葉での意思疎通が出来ず、基本的にリリーが彼の発信した言葉や想いを受信して代弁する形をとっている。
彼の兄弟はダリルを守って死んだのだが、「あの人の虐殺を止めて」「僕の分も使命に生きて」と遺言を遺していった。
エピローグではアナハイムに専用のサイボーグボディを作ってもらい、イオやリリーと一緒に暮らす事となった。
・リチャード・シムズ
外伝とエピローグに登場した元連邦軍のパイロット。
ソーラ・レイ照射時にバリュートを開いた際、ガルバルディαに取り付かれたジム・カスタムに乗っていた。
実はこのガルバルディαに乗っていたのはチャウ・ミンで、彼を救助し捕虜となった彼の保護観察官となって見守った。
外伝で捕虜になり拷問されかけたが、その際に助けたジオン兵・バーンズ大尉のおかげで便宜を図られた。
彼に教えてもらった中国圏将棋の「シャンチー」をチャウ・ミンにも教え、彼の未来を拓く。
◆ジオンサイド
・ユージン・サイラス
ジオン共和国の現首相。このままではジオン共和国が戦場になってしまうと訴えた。
ソーラ・レイを狙ってくる南洋同盟について、今はジオンも連邦加盟国のひとつだとし、連邦軍の増援を正式要請。
だがジオンを憎むマクレガーに批判を受け、一年戦争はザビ家が起こしたことであり、共和国政府は関係ないと援けを乞うが…。
カーラが憎んだ日和見主義的なジオンの象徴的な人物とも言えるが、彼の権限で出来る限りの事はしている。
名前が共和国に変わっただけで自分たちは以前として連邦から信頼されていなと言うなど、他の閣僚に比べて現実を直視している人物。
また、サイコ・ザクを止めることが叶わぬと知った際には、誰も責めず共和国民の事を思い祈るなど善良ではある。
◆南洋同盟サイド
・ドン・ソーン
南洋同盟の僧侶で廃棄コロニーを利用した「マイトレーヤ作戦」のサイコ・ザク訓練を取り仕切る。
同作戦ではソーラ・レイ奪取の突入白兵部隊を指揮し、命懸けで管制室を奪い取った。
カーラが直接作戦指揮し始めた際に最初に疑惑を呈したものの、結局真相を知らぬままレールガンにより管制室ごと吹っ飛ばされた。
ちなみに第1部ラストでレヴァンにセクストンと彼のデータを伝えたのも恐らく彼と思われる。
[民間人]
◆アナハイム
・アンディー・ウエリントン
アナハイム・エレクトロニクスの執行役員で「月の支配者」などとも呼ばれている老齢の男。
イオの父親であるオットー・フレミングとは旧知の仲らしく、かつて共に人類初の木星へのヘリウム3大量採取ミッションに参加した。
オットーと共に将来の地球再生・宇宙進出を託したタイムカプセルとして、月のフォン・ブラウン市を構築した。
だが一年戦争で人間達に絶望し、「人が平伏する巨人の力」として新型MSの開発を推進する。
「ランバート」と名付けた浮遊する柱型ドローンを複数所持しており、移動時の乗り物役や機械の操縦を任せている。
文化を護るため様々な物をコレクションしているが、中には
とんでもない物まで保有している。
諸悪の根源と言って過言ではないが、彼にこうさせたのはジオンとフラナガン機関による凶行が原因である
・ランバート
実はレヴァンとは別のニュータイプのクローンで、LEDランプがある辺りの内部の培養槽に脳だけ浮かんでいる。
モニカのいた研究所で16歳まで生きたオリジナルのランバートのクローンであり、10体のクローンがいたが幼少期に皆死んだ。
だが死後、その脳味噌はジオンに盗まれてフラナガン機関で大量にクローニング量産されてしまう。
アンディーはこれに絶望し世界の大掃除を決め、同時にランバート達を回収し地獄から救い出し、人として愛を持って接した。
リリーとカリストの協力によって「刻の間」でランバート達の心の声を聞いたアンディーは、涙を流しながら幻影のランバート達を抱き締めた。
…その割りにはビグ・ザムやジム・コマンドに搭載されたランバート達がカーラの攻撃で消失した際に無頓着すぎないかとも思うが。
もっとも「人殺しの兵器」という道具ではなく、「彼らの為に心を鬼にして、生きるも死ぬも一蓮托生」という彼の姿勢は随所に見受けられる。
また、量産型ビグ・ザムが一機墜とされた直後に立ち上がり、ソーラ・レイの脅威は去ったとして即時撤収を決めている。
もちろん彼が言う通り、これ以上他に手の内を見せず新たな世界の主導権を取る為の合理的判断ではあるのだろう。
だがランバートらにとっても単なる戦争の道具として閉じ込められるよりは、間違いなく幸せではあるのだろう。
◆その他
・DJナオミ
第1部からたびたび登場している、ゲリラ放送局・サンダーボルト放送局(ステーション)のDJ。
ただし登場といっても受信機から流れる声のみだが。
検閲を逃れ連邦サイド、ジオンサイドのどちらにも味方しない為、放送拠点がバレると爆撃で消し飛ばされる。
だが拠点が吹き飛んでも明るくへこたれることなく放送を続けている。
・オットー・フレミング
イオの父親で劇中では故人。ムーア同胞団首長だったがサイド4が一週間戦争で壊滅し、大勢の犠牲者が出た際に自殺した。
アナハイム・エレクトロニクス社の重役アンディー・ウェリントンとは旧知の仲であり、一緒にジュピトリスで木星へ行った事がある。
・ランディ・ペール
第2部冒頭に登場。クローディアの兄だが、最前線で戦った妹と違い仮病で兵役を逃れたヘタレ。妹の墓参りに訪れたイオに嫌味を言う。
だが半ば脅迫に近い形で交渉を持ち掛けられ、イオの持つフレミング社の株を買い取ることになる。
もっとも本人には渡りに船だったのだが…。
・キャシー・フレミング
同じく第2部冒頭に登場。イオの姉であり、新生ムーア4を牽引する大企業フレミングインダストリーの代表取締役。
しかし兵役を続けたいイオが会社の株をランディに売ってしまい、これ以上の株の流出を避けるためにイオの兵役続行を認めざるを得なくなる。
・ブッチ・ブラザーズ
外伝である
『砂鼠ショーン』で登場した、砂漠で廃品盗掘している闇業者達。
ショーンの雇い主である親分(本名不明:ブッチ?)と部下のボウゴ、ミントの三人組。ちなみに同じような闇業者(砂鼠)はいっぱいいる。
全員一夫多妻の大家族であり、親分に至っては8人の妻と32人の子供がいる。ショーンが出会った地球の人はみんな子沢山だったらしい。
・モニカ・エル・ビアンキ
外伝である
『砂鼠ショーン』で登場した地球連邦軍の女性パイロット。
Gアーマー内の陸戦型ガンダムに搭乗して砂漠を横断中、「砂漠の鷹旅団」による砲撃でGファイター操縦部を撃たれ撃墜、気絶してしまった。
後にショーンとブッチ・ブラザーズのやり取りの交信で目を覚まし、ビームライフルでビッグトレーを狙撃して「砂鼠」を助ける。
左足がスポーツ義足のような簡易義足になっており、コクピットを開けられた際は凌辱を恐れ拳銃自決を図ろうとした。
だが彼らの人柄の良さと連邦にさえ帰れない(砂漠の鷹を含め証拠隠滅に消される)状況から、砂漠の傭兵として生きる事を決めた。
・アレックス・ベンソン
リグに住むビビ・ベンソンの息子で、8歳の男の子。
戦争で脊椎を損傷して足が不自由となり車椅子で生活している。親切は大歓迎。
非常に頭脳明晰であり、隠語だらけの連邦の交信をハッキングして状況を把握・分析していた。
・グレース・タオ
第3部に登場。非武装中立コロニー「サイド6」の検察官であり、難民保護プログラムの責任者を務める女性。
カウフマンがタール火山での戦闘から脱出させた難民達の乗る船を、サイド6に迎え入れていいか判断した。
連邦政府は南洋同盟をテロ国家だと認定した為、非武装の難民船だけしか領空に入れないと告げる。
だが難民船の現状を鑑みて秘密裡に連邦軍艦隊の航路と周辺マップをカウフマンに託す。
ちなみにサイド6は表立っては非武装を宣言しているが、自衛の為の戦力は普通に保有している。
・ナイジェル・ロス
同じく第3部に登場。サイド6に拠点を置くペルガミノ商会の外商部担当部長のタヌキ親父。
武装解除を迫られたカウフマン達のMSを、4基の使い捨てブースター(という名の長距離弾道ミサイル)と交換というあくどい交渉を持ちかける。
更にサイド6へ向かう南洋同盟の難民船団の情報を、大口の顧客欲しさに連邦軍にリーク。結果、これがサイド6近傍での戦闘に発展することになった。
・サマンサ
スパルタンでガンタンクのドライバーを務めるクリードの元妻。離婚後、連邦政府内務省副長官のアーネストと結婚した。
だが戦後に起きたテロに巻き込まれて死亡し、月での合同慰霊祭にて名を連ねる事となった。
外伝『男と女』では生前の彼女が登場し、なぜクリードと離婚したのかが描かれている。
・ウェンディ
外伝4巻収録の『戦闘糧食』で登場した、連邦軍パトロール艦隊「ソードフィッシュ」所属のサラミス級に乗船している調理スタッフ。
調理場の陣頭指揮を執っており、乗組員達からは「ウェンディさん」と呼び慕われている。
語調こそ強いが食事を提供している乗組員の事を大切に思っており、戦死者0の報告を聞くと頬を染め
「戦場にいる兵士にこそ、美味しい御飯を食べて貰わないといけない」
「最後の食事になるかもしれないと思って食べる戦闘糧食がクソ不味かったら、生きる気力なんて湧かない」
と生きる意欲を食事で与えるために毎日3食手作りの戦闘糧食を提供している。
艦隊内でも彼女の戦闘糧食は有名になり、士気向上に繋がるとして真似をする艦まで出るほどである。劇中では稲荷寿司と沢庵の戦闘糧食を提供した。
劇中では乗組員75人+調理師が数名負傷して食事の提供に支障が出ている僚艦の30人分あわせて105人分の弁当に加えて作り置きも並行。
しかも調理中に艦隊が交戦状態に陥り、火や油の使用が厳禁になり余熱とレンジアップに加熱手段が制限された状況でも諦めない。
調理スタッフ一同顔色1つ変えずに調理を続ける、対空砲火担当が愚痴りつつ稲荷寿司を食べながら戦闘続行するなど太田垣氏らしい戦場描写が多い。
同時に、「容器の紛失がないのは珍しい」というスタッフの報告が物悲しい……。
[主要登場機体]
◆個別項目のある機体
第1部の連邦側の主人公機であり、ムーア同胞団に配備された『ガンダム』。
フルアーマーの名に恥じない大幅な重武装と爆発的推進力を併せ持つ。
第1部のジオン側の主人公機で、高機動型ザクⅡを基にリユース・P・デバイスを組み込まれた実験機。
ガンダムすら凌ぐ圧倒的機動力と重武装を両立し、対フルアーマーガンダム戦に投入される。
第2部では量産化されたサイコ・ザクMk-Ⅱが登場し、試作型でさえ圧倒的な力の差を見せつけた。
第2部の連邦側の主人公機で、強襲揚陸艦スパルタンのMS部隊へ配備された試作モビルスーツ。
水中を主戦場とする作戦を実行する為に、水中戦仕様を重点強化された異色のガンダムタイプ。
同時に試験機も兼ねており、レールガンやサブレッグなどかなり特異な兵器を主兵装としている。
第3部の主人公機その1。嘗ての主人公機であり実質ラスボスも務める。
第3部の主人公機その2。嘗てのジオンの象徴でありラスボスだった。
[その他用語]
・サンダーボルト宙域
第一部の舞台。
ジオンによって壊滅したサイド4宙域であり、デブリが帯電していて
常に雷が鳴っているためこう呼ばれている。
一年戦争時は
ア・バオア・クーへの補給路であった為、最初の一週間戦争時に滅ぼされた。
ジオン軍はリビング・デッド師団に防衛を担わせ、連邦軍は補給を絶つ為にムーア同胞団を派遣している。
現在もコロニー居住区はそのまま残っており、ジオン兵の中には幽霊が出るのではと恐れる者もいる。
雷の威力は凄まじく、高出力ビームにも干渉してねじ曲げてしまう程。
この雷の電磁力を利用し、サンダーボルト放送局が周辺宙域で海賊放送を行っている。イオが聴くジャズもその一つ。
ここにはコロニー「サイド4」(通称:ムーア)が存在していたため、ムーア同胞団が最も拘る要因になっている。
戦後はフレミング・インダストリーとムーア同胞団の残存メンバーの尽力で復興した。
また作品の名を冠するだけあり、劇中ではこの宙域以外でも激しい雷鳴が轟く放電地帯が随所に登場する。
・リユース・サイコ・デバイス(RPD)
カーラ達が研究している新システムで、パイロットの操縦イメージを義足や義手を通じて機体に反映させる操縦法。略してRPDとも呼ぶ。
脳が本来の手足を動かそうとする信号をそのままMSの動作に変換する事で、MSを義手のような手足の延長のように自在に操れる。
後の「インテンション・オートマチック・システム」や「ネオ・サイコミュシステム」に通じるものがある。
元々は戦闘で手足を失った負傷兵の再利用(リユース)を目的として開発されたもの。
だが性能をフルに引き出すには専用義肢を装着する為、
四肢を切断する必要があるという狂気のシステム。
ちなみに「サイコ」と名付けられているものの、このデバイスシステム自体にはサイコミュは利用されていないはずだったのだが
その後…
本作でのニュータイプはそのほとんどが強化を受けており、純粋なニュータイプは少ない。
また、キャラクターごとに多彩な能力を発揮し得意分野も異なるようで、一定の規則性や定型に当て嵌めにくいのが特徴となっている。
サイコミュ兵器を操る事はほとんどのNTが出来るが、テレパス・透視持ちだが元々能力の発揮に妹を必要としたリリーは衰弱してしまうこともあった。
更に感応波(サイコ・ウェーブ)は登場するニュータイプは皆使えるが、それ以外についても結構まちまちである。
特にNTの本質であるはずの
認識能力の拡大による人並み外れた洞察力・直感力の発揮は個人で発現の有無が分かれる。
本家では他人の悪意などにも敏感に反応してしまうが、本作ではニュータイプ同士だと意図せずに悪意による共振が見られる場面もあった。
なお、人間が大量の死ぬ事で発生する
断末魔の狂気の波動などの影響も見られないが、外伝によれば感知しないタイプもあるらしい。
断末魔に類する現象として身近な大切な人の死に対しては、予感どころか死んだ事にさえ気づいていない事もある。
一方で後述の「受信機」の才能を持つ者はそれを感じられるなどの描写が見られた。
額に何かが閃き敵の攻撃を予測する事はあるが、他者と交信している際にはそちらの能力が疎かになるような場面もあり、ダリルは運悪くその瞬間に直撃を貰っている。
僧正の場合は自分への銃撃の金縛りによる阻止と、核ミサイルの無効化のどちらかしかできなかったりと、マルチタスクは不能と推測される。
テレパシーは念話に留まるが、一瞬でも交信すれば相手の記憶を読み取る事が可能で、体験した記憶そのものを覗ける。
一方で「言わなくても通じ合ってしまう」という従来のニュータイプの交信に見られる描写は非常に少数。
但しイオとリリー、ダリルとクローディアなど
作品において重要な局面には見られるケースがある。
ニュータイプ同士であれば、会った事もなく遥か彼方の閉鎖空間に閉じ込められた状態からでもテレパシーを感知できる。
テレパシーは送る相手を味方だけなど限定指定する事はできるが、指定していない相手でも感応波で思考を読むなどして接続されると中身は筒抜けになってしまう。
それ以外も感応波に反応してしまう「受信機」と呼ばれる存在がおり、彼らを中継器とする事で遠隔交信が可能。
遠隔交信中は受信機役を介して、送っている側のニュータイプの能力(レヴァンであれば金縛り)を発現させる事ができる。
受信機役の素養があればニュータイプとテレパシーによる念話が可能だが、素養があっても相手側からの交信を待つしかない。
但し、感応波を送る側が強制的に干渉する事は可能で、一瞬で戦場の味方全員に意思伝達をする事も出来る。
相手が体験した記憶はそのまま映像記憶のように見れて、上記の要領で味方全員に一斉転写送信も可能。
なお相手が体験した記憶を覗くという性質上、相手側が爆音の音楽などを聴いていればそれも伝わってくる。
また感応波の受信は痛みを伴う事もあり、イオ曰く思念のボリュームというものもあって加減しないと頭が割れそうに痛むらしい。
更に心底からの強烈な感情を感応波に乗せて相手にぶつける事で、対象の意識を吹っ飛ばす事までできる。
本家にも登場した『刻』が見えるという発言もあるが、本家とは違い断片的な
予知能力となっている。
これが出来たのは一部のニュータイプだけなので、ダリルをNT基準と考えるなら固有能力か。
またレヴァン・フウの脳は能力使用時、脳の未使用領域が活性化する現象が確認されている。
更に一度に強力な感応波を使った際はコンソールデバイスに映し出された脳が稲妻の如く激しく発光した。
その他、なんと物体を動かす
一種の念動力(サイコキネシス)のようなものも使える様子も見せている。
物を飛ばすといった事はないが、レヴァンは飛んでくる核ミサイルの内部に念波を送って爆発させないようにした。
他にもダリルがジャイアント・バズの引き金を念波によって引き発射している。
最初にレヴァンがリグで見せた遠隔金縛りも、この念動力の応用の可能性がある。
正直レヴァンとダリルのポテンシャルが異常すぎる
以下は上記のニュータイプに当てはまらない、各自が独自に持っている特殊な能力。◎は生まれながらのもの、×は逆に使えないもの。
強化実験を試みられた者に多いが、強化による発現かは不明。あくまでもダリルをNT基準にした場合に彼が使っていない能力を挙げる。
- レヴァン・フウ:遠隔金縛り、洗脳、ブレインジャック、遠隔透視、映像改竄、強制記憶復元、刻の予見(未来予知)、×認識能力の拡大
- リリー・シリェーナ:◎遠隔透視、認識能力の拡大、×念動力・未来予知
- イース・シリェーナ:◎能力増幅、認識能力の拡大、刻の予見(未来予知)、身代わり、×念動力
- ビリー・ヒッカム:先読み、感覚視界、×念動力・未来予知
- カリスト:刻の予見(未来予知)、認識能力の拡大、×念動力
・刻の間
どこかの世界線でいう「キラキラ」のような精神感応空間。
「キイィィィィ…」というシリーズ恒例の効果音がすると、この精神空間に突然飛ばされる。
オルフェ曰くドラッグ決めた時よりハイで、アリシアは飛んでいると錯覚していた。念話とは違い互いの姿も見え普通に会話ができる。
この空間はニュータイプ能力で繋ぐ事ができ、ニュータイプや「受信機」で無くてもその「刻の間」を作った者(以下、管理者)が認めた者は繋がる事ができる。
逆に特に指定しないで集まった人間相手に「刻の間」を作った場合は、受信機の素養がない者は完全に蚊帳の外となる。
複数人同時に繋がる事が可能で、逆に個別の空間で内密な話をする事もできる、謂わば全身ダイブ式のVRチャットルームのようなもの。
尚、その時の姿のまま精神空間に飛ばされるが、「現実では虚ろな存在」がアクセスした場合は白抜きのようなシルエットで現れる。
『管理者』は写真や映像などイメージも映し出す事ができ、すでに存在しない四肢を元通りに復元したように見せる事も可能。
「刻の間」ごとに『管理者』によるアクセス権を制限できるが、探知さえできればハッキングのように部外者が侵入する事もできなくはない。
ただし部外者が入り込めばニュータイプなら感知でき、『管理者』から思念による攻撃を受ければ心身にダメージが及ぶ危険がある。
リリーとイオはジオングのサイコミュで感応力を増幅して侵入したが、同時に肉体的なエネルギーを奪われ衰弱してしまった。
だが短時間でも繋がる事が出来れば、『管理者』のイメージや記憶を垣間見る事ができる。
劇中でカーラがカウフマンからのお守りを返そうとしていたが、そういった物質移動が可能なのかは不明。
ちなみに想定外の部外者はその人物そのものではなく、黒い靄のような異質なオーラとイメージで構成されて現れる。
またアクセス中のニュータイプに強烈な絶望が渦巻くと、それを中心にブラックホールの如き思念の奔流が起きて他の接続者もそこに吸い込まれてしまう。
完全に吸い込まれた場合の結果は不明だが、心がそのまま戻ってこれなくなると思われる。
劇中ではイオが大音量のジャズを鳴らしたことで、辛うじてリリー(とついでにダリル)の意識を取り戻した。
尚、「刻の間」に繋がっている間は肉体側は放心状態になり、それを利用して戦闘中に一瞬だけ交信し隙を作る事も可能。
もっとも繋がっている時はお互い無防備になるので、その場合は操縦しない第三者のニュータイプが必要になる。
また、ニュータイプであれば自由に「刻の間」に管理者権限で繋がれるわけではないらしく、ビリーは戦後に短時間だけできるようになった。
・南洋同盟
一年戦争終結後、戦争での連邦の疲弊に乗じて連邦からの独立を図る宗教団体。
仏教の一派「南洋宗」を国教に掲げて極東・中東・インド洋に至るアジア圏の広い地域を支配下に収めている。
仏教系の宗教国家の模様だが、脱出したセクストンを回収したことでリユース・P・デバイスの技術を偶然にも獲得した。
リユース・P・デバイス獲得後急速に戦力を増強しており、その技術を危険視する連邦、デバイスの回収を狙うジオンの双方と敵対。
ダリル・ローレンツの参加や32機も量産されたサイコ・ザクを利用して、連邦・ジオンをも脅かす一大組織へと変貌。
巨大企業「アナハイム・エレクトロニクス社」を人類の敵と見做して同社の壊滅を目論見、遂に大規模な武装蜂起を果たした。
戦力は南洋同盟を信仰する信者で構成されるが、「宗教」という性質から一年戦争で心身の疲弊した軍人が取り込まれたケースが多い。
そして
- コクピットからレヴァンが唱える念仏が常に流れる
- レヴァンのためならただの宣戦布告のために多数の死者を出すことが前提の作戦も笑顔で実行する
- 健常な四肢を嬉々として切断してサイコ・ザクに乗り出す
など、これまでのガンダムシリーズの敵では見られなかったような異様な光景が散見される。
そして連邦・ジオンの双方の内部に信者が潜り込んでおり、片方の陣営にもう片方の陣営の動向をリークしたりしている。
更に自軍の資金や兵器を同盟側に横流しするなどして、南洋同盟らの有利になるように状況を操作している。
一年戦争で損傷・廃棄されたMSも積極的にリサイクルして取り込んでいるので、結果として保有兵器はジオンと連邦のごった煮とかなりカオス。
サンダーボルト宙域に廃棄されたスペースコロニーを秘密裏に軍事拠点とするなど、影響力は宇宙にも轟く。
立ち位置的にはイオを
織田信長とすると、南洋同盟は一向宗、レヴァン・フゥは本願寺顕如、みたいな感じである。
ちなみに明智光秀に当たるキャラもちゃんといる。
南洋宗全体としては「レヴァン一派の武装蜂起はレヴァンとその信奉者の独断による暴走」という立場を示しており、全信徒が積極的に賛同しているわけではない。
同時に、ニュータイプ能力を個人的な復讐のためフルに悪用していると言えるレヴァン個人の影響力を危険視している。
なお、戦後にレヴァン・フウを個人崇拝し武力闘争の継続を掲げる「レヴァン教」が生まれた。
その際にハリク・ワッダイはそれを、南洋宗とはまた別の分派であると認識している模様。イスラム教と過激派原理主義者の関係みたいなもん
・水上都市「リグ」
南洋同盟編で登場した水上都市。同盟の傘下にあり、「傷痍軍人が消える街」という噂が立っていた。
難民収容施設も兼ねており、義肢装着者をリユース・P・デバイスの実験対象として勧誘していると考えたダリル小隊が潜入。
その後にスパルタンによる強襲を受け同盟基地は壊滅・制圧され、街も大規模な破壊に巻き込まれ大勢の死傷者を出した。
南洋同盟が仕切っているが教義に関係なく結構自由な街で、売春もあれば性風俗店も普通に経営している。
・タール火山基地
フィリピンのタール湖にある火山の内部に秘匿された基地。南洋同盟の本拠地であり、量産型サイコ・ザクMk-Ⅱの製造工場がある。
火山の熱による発電機能と、衛星からの探知の妨害機能を持つ天然の要塞。更に厚い地盤も複雑に入り組んだ施設は攻略が非常に困難らしい。
特に熱源のおかげで地下のサイコ・ザク研究所と大量の戦力を連邦・ジオンから隠す事に成功している。
・マイトレーヤ作戦
レヴァン・フウ率いる南洋同盟がアナハイム・エレクトロ二クス社を壊滅させる為に立案した作戦。
ジオン共和国にあるソーラ・レイの奪取し、それで月のアナハイム本社とMS工場を壊滅させるのが目的。
尚、「マイトレーヤ」とは古代インド語で「慈悲から生まれた者」を意味する。
弥勒菩薩の梵名でもあり、情け深い・慈悲心ある者という意味を持つ。
[余談]
本作中で明らかに作画が乱れている時期があるが、これは太田垣氏の腱鞘炎が悪化したことが原因。
元々メカニック系は3Dを下地にしたデジタルでの作画を行っていたそうだが、それがデビュー以来酷使し続けてきた利き手にかなりの負担を掛けていたらしく、フリーハンドでの作画に移行すると同時に作画体制・誌面への掲載ペース・画風の大幅な変更を余儀なくされてしまう。
一時は痛みや痺れの症状が利き手である左手親指から肘にまで及ぶという状況で、筆圧のコントロールなどが出来なくなってしまっていた。それでも痛み止めの注射を打って連載を続けていたが、2018年9月から約3カ月の休載を経て復帰。
それには奥方から掛けられた「読者の人たちは絵だけを見ているんじゃない。物語を楽しみにしている人たちに向け描けばいいじゃない」という言葉も後押しとなっており、「この絵を維持しなければならない」という2年間雁字搦めになっていた執着も吹っ切れる切っ掛けになった、とインタビュー記事で語っている。
なお、同インタビュー記事では復帰原稿を編集部に見せたところ青い顔をされたとも語っており、復帰原稿が掲載された誌面では今まで通りの作画が出来ない旨のおことわりも掲載された。
事実として、画風の大幅な変更後もパラレルだからこそ先の読めない展開や人の心がない物語の評価が高く、吹っ切れてからは寧ろ「作者がRPDを使いだしたのではないか?」と囁かれるほどに作画のクオリティが著しく上昇しており、細かな心理・メカニック描写も大開きのページを使ったダイナミックな作画も評価が高い。
奥方の言葉は確かに真理を突いていたのである。
「
ガンダムビルドファイターズトライ」にサンダーボルト版ジムが移っていたり(劇中で
ホシノ・フミナが明確に「サンダーボルト版」と発言している)、
外伝「A」のイメージの中でサイコ・ザクが描かれているので、他映像作品への出演に版権的な問題はないようである。
映像化に伴って、出版社が異なる角川書店のガンダム専門誌である「ガンダムエース」といった雑誌での扱いがどうなるかも注目されていた。
現状としては存在に関しては普通に触れられており、ゲーム作品への本作品機体の参戦情報も取り扱われている。
一方で、映像作品としては扱いはかなり小さく、やはり出版社の違いによる壁は存在する模様。
このように元々正史とはパラレルワールドの世界観となっており、独自性も多くなっている。
競合他社の雑誌と言うこともあって、角川書店及びガンダムエースの宇宙世紀作品で本作に触れるような描写が登場することは殆どない。
だ、同雑誌で連載されていた『
機動戦士ガンダムF90 FastestFormula』では、本作を示唆するような描写が出てくる。
ガンダムエースで連載されていたガンダムVSのオールスター漫画である『
ガンダムEXA』及びEXA VSへの登場があるのかも注目されていた。
この漫画では
G-UNITやSDガンダム英雄伝といった講談社系作品も出演している。
サンダーボルトも映像化に加えてガンダムVSシリーズへも本格的に登場することになった。
尚、サンダーボルトのみならず黒衣の狩人や
トレジャースター、アグレッサーといった小学館系作品の動向が見守られた。
しかし、VSシリーズには2016年の『エクストリームバーサス マキシブースト ON』で初参戦したものの、
連載終了までサンダーボルトに対してガンダムEXAが触れることは殆どなかった。
流石に他出版社で同業の人物が今なお連載している作品に触れることは出来なかった様子である。
また、宇宙世紀作品ながら1st以外の宇宙世紀シリーズとの関係性が限りなく曖昧にされている世界観設定も原因だったのではとも推測されている。
その他『
SDガンダム バトルアライアンス』では本家宇宙世紀に転送されてくる形でイオとダリルが登場。
「子供を見殺しにした」という負い目もあってか、イオと鉄華団の絡みはなかなか辛い所がある。
ただ、イオク様を嬉々としてぶちのめそうとするイオに対しては「国際問題になる!」とオルガが必死で止めるというギャグがあったが
あと、案の定イオと声が同じ人との掛け合いがある。イオは「名前は気に入らないがいい声している」と意気投合するのに対し、ダリルは「その声に因縁を感じる」と言ってしまったら「それはつまり愛か!」と勘違いされて「この声が聞こえたら私が来た合図と知るがいい!」と新手のストーカー宣言されてしまう
追記・修正はリユース・P・デバイスに対応した方がお願いします。
- 今月はサンダーボルトとアグレッサーどっちも出てガンダムが楽しい月だな -- 名無しさん (2025-09-12 19:02:44)
- とりあえずイオ、リリー、カリストの3人が楽しそうにしてるだけで心から良かったと思える。でも最後の最後にまたとんでもねえもんぶっこんできおって… -- 名無しさん (2025-09-12 19:46:11)
- この作品て時間経過とか描かれてないけど1話から10年くらい経ってるんだろうか? -- 名無しさん (2025-09-23 23:56:33)
- ↑最終戦が0083オマージュだから1話からだと4年くらい? -- 名無しさん (2025-09-26 23:30:11)
- ダリル酷い言われようである -- 名無しさん (2025-09-27 09:57:37)
- ↑途中まではカルトに狂わされた人みたいに見えるけどどんどん化けの皮が剥がれていったからなあ… -- 名無しさん (2025-09-27 20:36:57)
- ダリルはボロクソ言われてるけど南洋時代にカミーユと同じく自室に仏壇を設け「殺めた敵も散った中もずっと弔いたいと思ってた」て言ってたから本性は優しい人だと思うんですよ。でも父が死んだりダルマになったりカーラの世話で疲れて愛した彼女に会いたくて…自分のエゴで人を殺すことに耐えられないから大義を受け入れちゃって……カーラの最後の会話も一貫して「私たち」扱いなんであそこまで本心ぶつけて取り繕わない顔を見せられるのも同じ痛みを持つって要素からも愛は捨てきれなかったと思うよ -- 名無しさん (2025-09-27 22:52:20)
- 「笑いたい…心から」←願いが叶って良かったね! -- 名無しさん (2025-09-28 03:26:49)
- 質問・意見交換所の方にも書きましたが、特にダリルローレンツの見出しについて、漫画版の描写に準拠して大規模な加筆・修正をしたいと考えております。 -- 名無しさん (2025-09-28 17:30:51)
- ジャブローが無能とは言え、地球からしたらジオンとフォン・ブラウンの金持ちハイテク連中が逃げ出したわけで、泣きっ面に蜂どころじゃなさそう… -- 名無しさん (2025-09-28 22:42:55)
- ↑4 ダリルは本当に「普通の人」なんだと思う。だからこそ義足になって、RPDの全能感を手に入れたらそこから抜け出せなかったんだろうだろうなと。だってそれって多分「ごく普通」の感性だろうから。 -- 名無しさん (2025-09-28 23:12:27)
- 普通以下の自分を普通以上に見てくれるのが戦場 -- 名無しさん (2025-09-30 12:20:45)
- そう言えばイオもカリストも女性の名前なんだよな(ギリシャ神話) -- 名無しさん (2025-09-30 13:49:17)
- コメントのログ化を提案します -- 名無しさん (2025-09-30 14:20:27)
- ダリルの「揺るぎない信念などないまま、全能感に酔った果ての暴力の化身」のあたり、カテジナとまったく同じだな -- 名無しさん (2025-09-30 20:26:20)
- イオは戦争のリアルを認めた上で大切な人を2人も自分の手で殺してしまったが、ダリルは人殺しの現実から目を背けた上でレヴァンもカーラも「俺のせいだ」と言いつつ最後まで自分の手で決着をつける事から逃げたのがな… -- 名無しさん (2025-10-01 04:24:10)
- その点も含めて普通の感性だろうな -- 名無しさん (2025-10-01 12:12:11)
- サンダーボルトガンダム、ネタにされてたけど実在したのか…。そのうちシードガンダムも出てきそうやな -- 名無しさん (2025-10-01 12:32:07)
- 『シャンチー』が余りにも良すぎて、ガンダムでここまで救いのある結末もあるものかと感涙した。読んでよかった -- 名無しさん (2025-10-05 09:21:30)
- 完結したのならムーンライトマイルの進行速度が上がるといいなぁ!サンダーボルト書いたことでパワーアップして! -- 名無しさん (2025-10-06 23:25:38)
- ダリルの文章量が多すぎるのでイオみたいに個別記事を用意した方がいいのでは… -- 名無しさん (2025-10-07 14:05:01)
- コメントをログ化しました -- (名無しさん) 2025-10-07 14:10:29
- Ζ時代のMSが試作状態で多数出て来てたのは、最終回後から正史に近い歴史辿る可能性もあるとみて良いのかな -- (名無しさん) 2025-10-07 14:21:14
- でもそもそもZガンダムってカミーユの設計ありきじゃなかったっけ?ウェブライダー形態もMS形態も出ちゃってるけど -- (名無しさん) 2025-10-07 14:41:57
- 劇場版ではカミーユはΖの設計に関わって無いし…というかそれ言い出すとMk-Ⅱある時点でおかしい -- (名無しさん) 2025-10-07 18:01:39
- というかビダン家がいるエビデンスもいないエビデンスもないので「ビダン家がいなくてもZ・Mk-Ⅱが作れた」「ビダン家がAEに引き抜かれてZ・Mk-Ⅱが作れた」の解釈は自由だと思う。個人的にはサンボル世界はAEがめちゃくちゃ兵器開発してるからフランクリン夫妻が連邦から引き抜かれたに一票 -- (名無しさん) 2025-10-08 16:59:37
- パラレル宇宙世紀って明言されてるんだからもう何でもアリよ。この世界ではこうなんだ!ぐらいで受け入れようぜ。 -- (名無しさん) 2025-10-08 17:20:31
- ダリルが宇宙に放り出されたからめちゃくちゃカミーユオマージュが詰まってる ヘルメットに関するシーンはおそらく小説版 そしてその後のカーラについては新訳版のアナザーと思われる。 「幻覚でも意識だけの存在でもないファに現実の空間で抱きしめられたカミーユ」とダリルを比較すると……。 -- (名無しさん) 2025-10-09 14:46:50
- でもダリルの意思で必死に手を伸ばしたのはクローディアなんだよなあ……僧正はちょっと伸ばしたけど諦めの表情で見送ってた。最後のカーラはダリルの妄想なのか、それともカーラ本人なのか…。 -- (名無しさん) 2025-10-09 21:05:50
- 僧正の頭がサイコミュになったのは、半ばナノマシンと一体化した「ビット」だったからじゃないかなあ。コンソールが消える直前までの脳は異常も出てなかったし。 -- (名無しさん) 2025-10-10 03:04:48
最終更新:2025年10月10日 10:25