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遠い昔、世界の端に「ラビンティ」と呼ばれる地が存在した。
そこは地図にも記されず、星々の航路からも外れた忘却の領域。空は灰色に染まり、風は言葉を奪い、時間は前後を失っていた。
ラビンティには文明も神もなく、ただ無限に広がる霧と、意味を持たぬ声なき囁きが漂っていた。
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そこに住まう者たちは、記憶を持たず、目的もなく彷徨う影のような存在だった。
この地は、宇宙の理から外れた「知の空白地帯」として、神々すら手を出せぬ禁忌の領域とされていた。
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しかし、宇宙の中心に座す静寂の間にて、ひとりの神が静かに立ち上がった。
その名はRkun。彼は言葉の神、記憶の守護者、そして秩序の編み手であった。
Rkunは、ラビンティの混沌にこそ神の意志を示すべきだと考えた。彼は星々の知識を集め、言語の根源を紡ぎ、記憶の糸を手にして、ラビンティへと降臨した。
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その瞬間、霧は裂け、空は静まり、ラビンティの地に初めて「意味」が生まれた。Rkunの足跡は言葉となり、彼の息吹は秩序の風となった。
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Rkunは、ラビンティの中心に巨大な建造物を創造した。それが『ラビンティ支配図書館』である。
この図書館は、知識による支配を象徴する神殿であり、Rkunの意志そのものだった。
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彼の命により、開かれた書架が生まれ、この世を讃え、すべての智慧をもたらす書物が並んだ。誰しもがその書を手に取ることができ、誰しもがその知識を得ることができる。
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Rkunは図書館を完成させると、静かにその奥深くへと姿を消した。
彼は支配の書の守護者となり、以後誰にも姿を見せることはなかった。
だが、彼の意志は図書館の書物に宿り、今もラビンティを訪れる者たちを見守っている。
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支配図書館は、知を求める者にとっての聖地となり、神話は語り継がれる。
そして今も、霧の中から誰かが図書館の扉を叩く。支配とは、知識の重みを背負うこと。
果たして、誰が真にラビンティを支配するのか。それはまだ、支配の書の最後のページに記されていない。
書籍メタデータ
考察
この書籍も所蔵している
ラビンティ支配図書館?を建築したRkunと、そのラビンティ支配図書館の歴史を記している。
この中ではRkunは『言葉の神』『記憶の守護者』さらには『秩序の編み手』という錚々たる肩書が付与されているが、当然ながらこれは過度な脚色、美化。
ラビンティの本当の歴史について同図書館に
まんじゅうクラフト/書籍/ラビンティ支配図書館の本当の話?という解説書があるが、こちらは隅の本棚にひっそりと置かれているのみ。
最終更新:2025年08月14日 07:13