まんじゅうクラフト > 書籍 > 【朗報】Rkun、敗れる

本文

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「っ……!」
 さいほうへいきは恐怖、そして屈辱に顔を歪めた。
 固く閉ざされた部屋の中で、逃げ場はない。

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「立場は不変――変わらないものなんてないんだ」
 チノ・フェットがそう呟いた。
 彼の手には、小さな金属塊が握られている。だが、それがほんの僅かな力でへいきにトドメをさせることは容易に想像ができる。
 彼が人差し指に力を込め、撃鉄を引けば――。

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「これまでの清算の時が来たんだよ」
「……ふざけるな……! 僕はさいほうへいき、ラビンティを支配している神なんだぞ!?」
「少なくとも」チノの手の中で、スペアの弾丸が弄ばれる。「名目上の支配者は俺だから」

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 これまでさいほうへいきは『支配図書館』を建造し、偽りでこのラビンティを染め上げてきた。
 嘘によって民を操り、チノの支配を覆す――既にその計画はもう終着地が見えた、そのはずだった。
「俺はこのために完璧なプランを用意したんだよ」
「プラン……!?」
「そう。お前を消すためにね――」

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 カチャリ。銃口が、へいきの眉間を狙う。
「安心して。必要以上に貶めることはないよ。ラビンティの中で、いつまでもその名前は語り継がれるだろう」
「ふざけるな――ッ!」
 テーブルに手を伸ばす。

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 武器さえ握れば! 銃さえあればこの目の前の人間を始末してしまえるのに――!
「さようなら。いい夢見なよ――」
 ……偽りの神の手は、己の血の中で虚空に揺れただけだった。

書籍メタデータ


考察

ラビンティを支配していたRkunが処刑されるという内容の怪文書。Rkunはラビンティを乗っ取り、裏から様々な手段で支配を行おうとしていたが、本当の支配者であるチノ・フェットに処刑される。
この事件は秘密裏に行われているため、おそらくチノ・フェットがRkunを処刑したことや、Rkunの真実などはおそらく審らかにならない……はずである。

いずれにせよ、これによってラビンティは邪悪なる偽神の支配から逃れることに成功している。
ただし、同時期に刊行された『【悲報】チノ・フェット、敗れる』も同図書館に所蔵されており、どちらが正しいのかは明らかになっていない。

もしかしたら、この本の内容すらもRkunによる謀略のひとつなのかもしれない。
最終更新:2025年10月09日 09:58